※本記事は、新日本空調株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
新日本空調グループは、子会社10社とともに設備工事事業を展開しています。空気調和、冷暖房、換気、環境保全、給排水、衛生設備、電気設備などの設計、監理、工事請負を通じて、幅広い分野の環境づくりに貢献しています。
単体従業員数は1,256名、連結従業員数は1,698名です。同社グループのセグメントは設備工事事業の1つです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)(設備工事事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
新日本空調は、空調を核とする事業を通じて社会と自然の調和を育むことを企業理念に掲げ、サステナビリティ経営を推進しています。特に人的資本の進化を重要な経営課題と位置付けており、従業員の成長と働きがいを重視する環境がうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、比較的年齢層が高く、長期にわたって勤務する従業員が多い傾向が見られます。これは、安定した環境でキャリアを築きたいと考える方にとって、参考となる情報です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 10,943,000円 |
| 平均勤続年数 | 15.9年 |
| 平均年齢 | 43.3歳 |
| 単体従業員数 | 1,256人 |
| 連結従業員数 | 1,698人 |
| 単体のグループ内比率 | 74.0% |
同社は、従業員の退職給付に充てるため、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の制度を採用しています。提出会社では退職一時金制度も導入されています。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、退職給付債務は6.5億円、年金資産は4.3億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、労働人口の減少に伴う技術者不足や技能伝承の停滞を主要なリスクと認識し、中期経営計画「SNK Vision 2030 PhaseⅢ」において「人的資本と組織基盤の進化」を重要課題としています。適材適所の実現と働き方の高度化を通じて、生産性向上と高付加価値業務への資源配分を実現し、収益力の向上と持続的成長につなげることを基本方針としています。
従業員の給与やその他の給付は、職務・役割および成果に基づく公正な評価を基本とし、業績水準、市場動向、個人の貢献度を総合的に勘案して決定する方針です。賞与については、業績指標と連動した設計とし、企業価値の持続的向上と従業員のエンゲージメントの最大化を図る報酬体系を採用しています。
具体的な取り組みとしては、人材の確保・育成・配置、ダイバーシティ&インクルージョン、健康経営、エンゲージメントの向上を重点テーマとしています。人材確保と定着のため、採用強化、教育投資、OJTによる技能継承、人材情報の可視化による適材適所の配置を進めています。多様な人材の活躍推進として、女性活躍の推進、多様な人材の登用、アンコンシャスバイアス研修を実施し、健康経営では長時間労働対策やメンタルヘルス対策に取り組んでいます。エンゲージメント向上に向けては、働き方の見直し、有給休暇取得の促進、育児・介護と仕事の両立支援、対話の促進、心理的安全性の高い職場環境の構築を進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 5.1% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 96.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 65.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(職員) | 69.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(契約社員、アルバイト、パート社員) | 61.9% |
多様性・登用
連結グループにおける記載が困難であるため、提出会社における指標を記載しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職比率 | 5.1% |
育児・介護支援
連結グループにおける記載が困難であるため、提出会社における指標を記載しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性の育児休業取得率 | 96.2% |
健康・安全
連結グループにおける記載が困難であるため、提出会社における指標を記載しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 各月の法定時間外労働時間が60時間以上の職員数 | 246名 |
人材育成・エンゲージメント
連結グループにおける記載が困難であるため、提出会社における指標を記載しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 新卒採用者の3年後在職率 | 87.9% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
新日本空調は、空気調和、冷暖房、換気、環境保全、給排水、衛生設備、電気設備などの設計、監理、工事請負を通じて、幅広い分野の環境づくりに貢献しています。国内外の子会社とともに、設備工事事業を主軸として収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、設備工事事業を単一セグメントとして展開しています。国内連結子会社は工事施工協力や空調設備等の保全業務、電気設備工事、産業施設設備工事を担っています。海外連結子会社は、中国、香港、シンガポール、スリランカ、ベトナムなどで空調設備工事を施工しており、資機材納入や施工協力、コンサルティング業務も行っています。
同社グループの収益は、これらの設備工事の請負によって得られています。当連結会計年度の完成工事高は国内が大部分を占めていますが、海外の完成工事高も収益に貢献しています。前期は特定の顧客への売上高が連結損益計算書の10%以上を占めていましたが、当期は特定の顧客への収益集中は見られません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5期にわたり完成工事高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに増加傾向を示しています。特に直近の当連結会計年度では、完成工事高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益がいずれも前期から増加となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常利益 | 73.7億円 | 79.1億円 | 97.2億円 | 120億円 | 159億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 54.0億円 | 56.0億円 | 71.7億円 | 96.6億円 | 122億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 115.94 | 119.86 | 155.19 | 211.62 | 267.76 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり営業利益は前期から増加しており、従業員1人あたり当期純利益も同様に増加しています。これらの指標の改善は、組織全体の効率性や収益性の向上が進んでいることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 6.6百万円 | 8.9百万円 |
| 従業員1人あたり当期純利益(連結) | 5.6百万円 | 7.2百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、本業で安定した資金を生み出し、手元資金も厚い状態を示しています。
これにより、事業活動の基盤が盤石であることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率と潤沢な手元資金によって安定しています。
これは、事業活動における外部環境の変化に対する耐性が高いことを示しており、長期的な事業継続の安定性につながる要素です。
収益性を示すROEもプライム市場平均を上回る水準で推移しており、効率的な経営が行われていることがうかがえます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 693億円 | 827億円 |
| 自己資本比率 | 58.6% | 61.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 14.3% | 16.0% |
| 現金及び預金 | 203億円 | 233億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業キャッシュフローが当期もプラスを維持しています。
ただし、前期と比較すると資金の増加額は減少しています。
投資活動によるキャッシュフローも当期はプラスとなっており、投資有価証券の売却による収入が主な要因です。
財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金の純減少や配当金の支払いにより資金が減少していますが、前期に比べて減少幅は縮小しています。
結果として、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローはプラスを維持しており、本業で安定的に資金を生み出しつつ、財務的な健全性を保っている状況がうかがえます。
これは、事業の持続可能性と将来的な成長投資の余力を示しており、雇用や給与の安定性につながる基盤があると言えます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 142億円 | 116億円 |
| 投資CF | 20.5億円 | 2.0億円 |
| 財務CF | △102億円 | △51.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 163億円 | 118億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、事業を展開する日本国内の景気後退や民間設備投資の減少、国際情勢の不安定化によるエネルギー価格や資機材価格の変動が、受注機会の減少や工事採算の悪化につながるリスクを認識しています。
また、アジアを中心とした海外事業においては、法的規制や租税制度の変更、政情不安、経済状況や為替レートの急激な変動が、財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、若年層や専門性を有する人材の慢性的な不足および流出が事業活動に重要な影響を与える可能性があると認識しています。
新たな人事制度の導入等により、人材の育成・確保に努めている状況です。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
新日本空調は、社会と自然の調和を育み、未来へ向けた思いを満たすことを使命としています。ナレッジとテクノロジーを活用するエンジニア集団として、持続可能な地球環境の実現とお客様資産の価値向上を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「Fill your tomorrow 社会と自然の調和を育み、未来へ向けた思いを満たす。」を使命とする企業理念を掲げています。この理念のもと、2030年を節目とした長期経営方針「SNK Vision 2030」を定めています。
同社グループは、持続可能な地球環境の実現とお客様資産の価値向上に向け、ナレッジとテクノロジーを活用するエンジニア集団を目指しています。快適な空間の創造にとどまらず、健康、安全、省エネルギー、脱炭素、レジリエンス(自然災害、気候変動、社会情勢の変化、供給制約などの不確実性に対して、事業と顧客の快適性を維持・回復・進化していく力)を統合した価値「カイテキ」を創造し、人と社会と地球が調和する豊かな環境の実現を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、企業理念の「価値観」として「調和」「探究」「真摯」「絆」を大切にしています。社会と自然への敬意、新たな価値創造への挑戦、何事にも強くしなやかに向き合う姿勢、そして仲間との喜びの分かち合いを重視しています。
また、従業員の日常行動の心構えとして「夢を持とう」「誠実に生きよう」「当事者意識を持とう」「学び続けよう」「やってみよう、そしてやり遂げよう」「支え合おう」「感謝を伝えよう」という行動指針を定めています。多様な人材が能力を発揮できる包摂的な職場環境の構築を推進し、職員同士の対話促進や心理的安全性の高い職場環境の構築に取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、中期経営計画「SNK Vision 2030 PhaseⅢ」において、2030年に向けたありたい姿の実現とマテリアリティへの対応を重要な課題としています。優先して取り組む5つの重要課題として、「デジタルによる価値創出」「脱炭素とレジリエンスの強化」「人的資本と組織基盤の進化」「持続可能型バリューチェーンの確立」「未来成長領域の創造」を設定しています。
これらの課題に対応するため、「デジタルフロンティア戦略」「グリーンイノベーション戦略」「人的資本・エンゲージメント戦略」「価値共創・収益力戦略」「未来事業創造戦略」の5つの基本戦略を推進しています。労働人口の減少や技術者不足、技能伝承の停滞、人材の属人化、長時間労働に伴う健康問題なども人的資本に関するリスクとして認識し、対応を進めています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
新日本空調は監査等委員会設置会社であり、取締役会は社外取締役を含む10名で構成されています。代表取締役社長が取締役会の議長を務め、経営の監督機能の充実を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
新日本空調は、従業員関連の団体が上位株主として名を連ねる資本構成となっています。筆頭株主は新日本空調協和会であり、新日本空調従業員持株会も上位に位置しています。このほか、複数の信託銀行や事業会社も大株主として同社を支えています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 新日本空調協和会 | 8.44% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.30% |
| 新日本空調従業員持株会 | 4.88% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 3.62% |
| 三井住友銀行 | 3.55% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
新日本空調の役員は10名(男性8名・女性2名)で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長経営企画担当は廣島雅則氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 廣島雅則 | 代表取締役社長経営企画担当 | 1990年同社入社。首都圏事業本部ファシリティソリューションセンター長、デジタル推進室長、執行役員技術本部長などを歴任。2024年4月より代表取締役社長経営企画担当に就任し現職。 |
| 伊藤雅基 | 取締役専務執行役員技術統括担当 | 1990年同社入社。大阪支店長、首都圏事業本部長などを歴任。取締役上席執行役員、取締役常務執行役員を経て、2026年4月より取締役専務執行役員技術統括担当に就任し現職。 |
| 井上聖 | 取締役常務執行役員管理本部長 | 1987年同社入社。管理本部人事部長、管理本部副本部長、執行役員管理本部長などを歴任。取締役上席執行役員を経て、2026年4月より取締役常務執行役員管理本部長に就任し現職。 |
| 野田英勝 | 取締役常務執行役員営業本部長 | 1987年同社入社。都市施設事業部営業部長、首都圏事業本部副本部長、執行役員営業本部長などを歴任。取締役上席執行役員を経て、2026年4月より取締役常務執行役員営業本部長に就任し現職。 |
| 夏井博史 | 取締役会長 | 1979年同社入社。執行役員、取締役上席執行役員、専務取締役、取締役副社長、代表取締役社長、代表取締役会長などを歴任。2024年6月より取締役会長に就任し現職。 |
社外取締役は、村中健一氏(元横浜税関長)、水野靖史氏(フェアネス法律事務所パートナー・監査等委員)、梅原由美子氏(Value Frontier代表取締役・監査等委員)、成相明子氏(元新宿税務署長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社制度を採用しています。社外取締役は経営陣から独立した立場で、専門的知見と豊富な経験に基づき、取締役の職務執行を監督する役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
新日本空調の役員報酬は、企業価値の持続的な向上と株主利益との連動を重視した体系です。取締役(監査等委員および社外取締役を除く)の報酬は、基本報酬60%、業績連動報酬30%、株式報酬10%を目安としています。業績連動報酬は事業年度ごとの業績向上意識を高めるため、業績指標を反映した現金報酬です。非金銭報酬としての株式報酬は、株主との価値共有を目的とした譲渡制限付株式で構成されています。監査等委員である取締役および社外取締役の報酬は、その職務に鑑み固定報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 6名 | 3.5億円 | 58.3百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 24百万円 | 24.0百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 36百万円 | 7.2百万円 |
なお、総額には期中に退任した役員の報酬が含まれます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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