ダイワボウホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ダイワボウホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ダイワボウホールディングスは東京証券取引所プライム市場に上場し、ITインフラ流通事業と産業機械事業を展開する企業です。直近の業績では、PCの更新需要等を着実に獲得し、売上高は前期比で増加、各段階利益も過去最高を更新する増収増益を達成しました。事業ポートフォリオの変革を通じて成長を続けています。


※本記事は、ダイワボウホールディングスの有価証券報告書(第115期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ダイワボウホールディングスってどんな会社?


ITインフラ流通事業と産業機械事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


同社は1941年に大和紡績として設立され、1949年に東京・大阪両証券取引所に上場しました。1982年にダイワボウ情報システムを設立して情報産業に進出。2006年の純粋持株会社化を経て、2009年にダイワボウホールディングスに商号を変更しました。2024年には祖業の繊維事業を譲渡しています。

現在の従業員数は連結で3,072名、単体で47名となっています。大株主の状況については、筆頭株主が資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)であり、第2位はJP MORGAN CHASE BANK 380055、第3位は日本カストディ銀行(信託口)が名を連ねています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 14.27%
JP MORGAN CHASE BANK 380055 4.42%
日本カストディ銀行(信託口) 4.40%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性4名の計11名で構成され、女性役員比率は36.0%です。代表取締役社長は西村幸浩氏が務めています。社外取締役比率は45.5%です。

氏名 役職 主な経歴
西村幸浩 代表取締役社長 1985年にダイワボウ情報システムへ入社し、取締役、常務取締役を歴任。2012年に同社常務執行役員に就任後、2020年より現職。
猪狩司 専務取締役 1994年にダイワボウ情報システムへ入社し、同社IR・広報室長や経営戦略室長を経て、2025年より現職。
山下隆生 常務取締役 1990年にダイワボウ情報システムへ入社し、同社常務取締役経営管理担当などを経て、2026年より現職。


社外取締役は、吉丸由紀子(元日産自動車ダイバーシティディベロップメントオフィス室長)、藤木貴子(元インテル執行役員グローバル営業本部長)、堀哲朗(元東京エレクトロン代表取締役専務執行役員CFO)、岸波みさわ(元UBS証券エグゼクティブ・ディレクター)、堂埜茂(元パナソニック取締役副社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、ITインフラ流通事業および産業機械事業を展開しています。

ITインフラ流通事業


コンピュータ機器及び周辺機器の販売、IT機器の導入支援や保守等の技術サービスの提供、システム開発・ネットワーク構築などのソリューションビジネスを行っています。

主に機器の販売代金や保守サービス料などを顧客から受け取るビジネスモデルです。運営は主にダイワボウ情報システム、ディーアイエスサービス&ソリューション、アルファテック・ソリューションズが行っています。

産業機械事業


主に工作機械や自動包装機械等の自動機械、その他産業機械の製造販売を行っており、それぞれに付帯する事業も展開しています。

機械製品の販売代金などを収益源としています。運営は主にオーエム製作所、オーエム機械、オーエム金属工業、オムテックが行うほか、海外ではO-M(U.S.A.),INC.などが販売及び営業支援を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


同社の直近5年間の業績推移を見ると、売上高は継続的な成長を遂げており、直近の期には大幅な増収を達成しています。経常利益も売上高の拡大に伴い安定して増加傾向にあります。当期純利益は一時的な減少を経験したものの、その後は力強い回復を見せ、直近では過去最高水準の利益を確保しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 7638億円 9039億円 9678億円 11368億円 13509億円
経常利益 246億円 286億円 314億円 355億円 449億円
利益率(%) 3.2% 3.2% 3.2% 3.1% 3.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 183億円 100億円 -38億円 150億円 307億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い売上総利益も順調に拡大しています。売上総利益率は安定した水準を維持しており、営業利益についても着実な増益を達成しています。営業利益率も改善傾向にあり、本業における収益性の向上が確認できます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 11368億円 13509億円
売上総利益 798億円 946億円
売上総利益率(%) 7.0% 7.0%
営業利益 349億円 442億円
営業利益率(%) 3.1% 3.3%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が156億円(構成比31.0%)、保管料及び運送費が67億円(同13.4%)、賃借料が45億円(同8.8%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力であるITインフラ流通事業は、PCの更新需要や文教向け需要などを着実に獲得し、前年比で大幅な増収を達成しています。産業機械事業においても、主力の航空機業界を中心に国内受注が大幅に増加し、順調に売上を伸ばしています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
ITインフラ流通事業 11239億円 13365億円
産業機械事業 129億円 144億円
連結(合計) 11368億円 13509億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」の状況です。
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は19.9%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は36.8%であり、いずれも市場平均を上回っています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 59億円 146億円
投資CF -26億円 -62億円
財務CF -174億円 -197億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、パーパス(存在意義)として「バリューチェーンで人をつなぐ、社会をつなぐ、未来へつなぐ」を掲げています。ビジネスに携わる人々や企業、地域社会をつなぎ、結びつけることを重視し、多様なIT製品やサービスの普及、研究開発を通じて、未来における快適さや安心と安全の実現を目指しています。

(2) 企業文化


同社はパーパスを実現するため、会社として大切にする共通の価値観や社員の行動指針として「パートナーシップ」「多様性と尊重」「感謝と熱意」「誠実と公正」「価値創造への挑戦」の5つをバリューとして定めています。有機的な連携・協調によって総合力を発揮し、社会課題の解決に向けて社会を快適に変えていく文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)の対象期間を「事業ポートフォリオ変革による躍進期」と位置付けています。また、中長期ビジョン『2030 VISION』の実現に向けて、2030年度(2031年3月期)までに社会に求められる事業モデルを創造し、大きな利益目標の達成を目指しています。

* 2030年度(2031年3月期)連結営業利益500億円

(4) 成長戦略と重点施策


「ホールディングス体制での成長」「“過去最高”へのチャレンジ」「ステークホルダーエンゲージメントの向上」をグループ基本方針とし、事業ポートフォリオ変革を追求する経営を進めます。ITインフラ流通事業ではAIやクラウドビジネス等の成長領域へ深化し、産業機械事業では高精度機械の開発や自動化分野での受注確保に注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、「個を高め、個をむすび、つながる力で、未来の価値をいろどる」を人事理念に掲げています。持続的な成長に向け、多様な個性や経験を持つ人材の確保・育成と、従業員エンゲージメントの向上を重視し、「ウェルビーイング経営」を基本方針として従業員の幸せや働き甲斐の充実を追求しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 45.1歳 16.5年 9,315,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.6%
男性育児休業取得率 95.7%
男女賃金差異(全労働者) 63.4%
男女賃金差異(正規雇用) 63.3%
男女賃金差異(非正規雇用) 48.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、中途採用比率(18.5%)、外国籍社員数(20名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 商品の陳腐化や調達の不確実性


ITインフラ流通事業では、パソコン本体を主要商品としており、技術革新や陳腐化が速く進むため、在庫リスクが存在します。また、世界的なパーツ不足や主力メーカーの供給減少、不具合の発生などが生じた場合、商品の販売や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 景気変動に伴う設備投資の冷え込み


産業機械事業は受注生産が中心であり、景気変動の影響を受けやすい特徴があります。景気後退期には、企業の設備投資や個人消費の低迷により需要が冷え込み、業界全体の受注総額が縮小することで、業績を悪化させる要因となります。

(3) システム障害や情報セキュリティリスク


独自の物流機能とシステムに依存しているため、自然災害やサイバー攻撃等によるネットワーク障害、機密情報の漏洩が発生した場合、営業活動に重大な支障をきたし、財務状況や社会的信用に大きな影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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