ダイワボウホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ダイワボウホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場。ITインフラ流通事業を中核に、産業機械事業も展開しています。2025年3月期の連結売上高は1兆1,368億円(前期比17.5%増)、営業利益は349億円(同12.7%増)となり、PC更新需要や官公庁・文教向け案件の獲得により、過去最高の売上高を更新し増収増益を達成しました。


※本記事は、ダイワボウホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第114期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ダイワボウホールディングスってどんな会社?


ITインフラ流通事業を主力とし、工作機械等の産業機械事業も展開する、独立系マルチベンダーグループです。

(1) 会社概要


1941年に大和紡績として設立され、1949年に株式上場しました。1982年に情報産業へ進出しダイワボウ情報システムを設立。2009年に持株会社体制へ移行し現社名へ変更しました。2024年には祖業である繊維事業を譲渡し、現在はITインフラ流通事業を中核とする事業構造へ転換しています。

連結従業員数は2,928名、単体では37名です。筆頭株主は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位も同様に資産管理を行う株式会社日本カストディ銀行(信託口)となっており、機関投資家が上位を占めています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 16.38%
株式会社日本カストディ銀行(信託口) 8.02%
STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 3.68%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性4名の計11名で構成され、女性役員比率は36.0%です。代表取締役社長は西村 幸浩氏です。社外取締役比率は45.5%です。

氏名 役職 主な経歴
西村 幸浩 代表取締役社長 1985年ダイワボウ情報システム入社。同社常務取締役、ダイワボウホールディングス取締役専務執行役員などを経て2020年4月より現職。
猪狩 司 常務取締役 1994年ダイワボウ情報システム入社。ダイワボウホールディングスIR・広報室長、経営戦略室長などを経て2024年4月より現職。
山下 隆生 常務取締役 1990年ダイワボウ情報システム入社。同社常務取締役販売推進本部長などを経て2025年2月より現職。


社外取締役は、中村 一幸(元三菱電機代表執行役副社長)、吉丸 由紀子(元ニフコ執行役員)、藤木 貴子(グーグル合同会社上級執行役員)、堀 哲朗(JSR代表取締役CEO社長執行役員)、岸波 みさわ(元UBS証券エグゼクティブ・ディレクター)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ITインフラ流通事業」および「産業機械事業」を展開しています。

ITインフラ流通事業


パソコン、サーバー、周辺機器等の情報機器やソフトウェアを、全国の販売パートナーを通じてエンドユーザー(企業、官公庁、教育機関等)に提供しています。国内最大級のディストリビューターとして、マルチベンダーであることを強みに幅広い商材を取り扱っています。

販売パートナーやエンドユーザーからの商品販売代金、サブスクリプションサービスの利用料、および保守・導入支援等のサービス料が主な収益源です。運営は主にダイワボウ情報システム、ディーアイエスサービス&ソリューション、アルファテック・ソリューションズが行っています。

産業機械事業


立旋盤などの工作機械や、自動包装機械などの産業機械の製造・販売を行っています。航空機、エネルギー、造船業界などの生産設備として利用されており、顧客ニーズに合わせた受注生産を基本としています。

顧客である製造業の企業等からの機械製品の販売代金およびアフターサービス料が主な収益源です。運営は主にオーエム製作所、オーエム機械、オーエム金属工業などが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は増加傾向にあり、当期は1兆円の大台を超えて過去最高を更新しました。利益面では、経常利益が安定して推移しており、当期純利益は前期の繊維事業譲渡の影響などによる一時的な減少から大きく回復し、高水準となっています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 10,435億円 7,638億円 9,039億円 9,678億円 11,368億円
経常利益 358億円 246億円 286億円 314億円 355億円
利益率(%) 3.4% 3.2% 3.2% 3.2% 3.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 257億円 170億円 191億円 43億円 248億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益、営業利益ともに増加しました。売上総利益率は若干低下していますが、営業利益率は同水準を維持しており、販売費及び一般管理費のコントロールが進んでいることがうかがえます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 9,678億円 11,368億円
売上総利益 782億円 798億円
売上総利益率(%) 8.1% 7.0%
営業利益 310億円 349億円
営業利益率(%) 3.2% 3.1%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が125億円(構成比28%)、保管料及び運送費が63億円(同14%)を占めています。

(3) セグメント収益


ITインフラ流通事業は、Windows10サポート終了に伴うPC更新需要やGIGAスクール関連需要を取り込み、大幅な増収増益となりました。一方、産業機械事業はコスト増加等の影響により減収減益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
ITインフラ流通事業 8,947億円 11,239億円 282億円 340億円 3.0%
産業機械事業 132億円 129億円 10億円 9億円 6.6%
調整額 6億円 - 1億円 0億円 -
連結(合計) 9,678億円 11,368億円 310億円 349億円 3.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のCF状況は「健全型」です。本業で稼いだキャッシュ(営業CFプラス)の範囲内で投資(投資CFマイナス)や株主還元・借入返済(財務CFマイナス)を行っており、財務の健全性が維持されています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 245億円 59億円
投資CF -49億円 -26億円
財務CF -29億円 -174億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は34.6%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループはパーパスとして「バリューチェーンで人をつなぐ、社会をつなぐ、未来へつなぐ」を定めています。ビジネスに関わる人々や企業、地域社会をつなぎ、新しいテクノロジーの普及を通じて未来の「快適さ」「安心と安全」「人と社会の幸せ」の実現を目指しています。

(2) 企業文化


パーパス実現のために大切にする共通の価値観(バリュー)として、「パートナーシップ」「多様性と尊重」「感謝と熱意」「誠実と公正」「価値創造への挑戦」の5つを掲げています。特にパートナーシップを重視し、多様性を尊重しながら誠実に事業に取り組み、新たな価値創造に挑戦する姿勢を社員の行動指針としています。

(3) 経営計画・目標


2027年3月期までの中期経営計画では、「事業ポートフォリオ変革による躍進期」と位置づけ、成長を加速させることを目指しています。また、中長期ビジョン「2030 VISION」において、2030年度(2031年3月期)に連結営業利益500億円の達成を目標としています。

(4) 成長戦略と重点施策


「ホールディングス体制での成長」「“過去最高”へのチャレンジ」「ステークホルダーエンゲージメントの向上」を基本方針としています。ITインフラ流通事業では、Windows10サポート終了やGIGAスクール構想第2期に伴うPC更新需要の獲得、クラウド・セキュリティ分野の強化を図ります。産業機械事業では、在庫生産強化による即納体制の整備や、エネルギー業界等への提案営業を強化します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を企業成長の源泉と捉え、「ウェルビーイング経営」を推進しています。多様な人材の確保に向け、従来の主力であった新卒採用に加え、キャリア採用を強化しています。また、階層別・職種別研修やeラーニングの充実により人材育成を図るとともに、従業員エンゲージメント調査を通じて職場環境の改善に取り組み、労働生産性の向上を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 46.9歳 20.6年 8,621,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 81.4%
男女賃金差異(全労働者) 59.6%
男女賃金差異(正規雇用) 59.8%
男女賃金差異(非正規雇用) 48.6%


※女性管理職比率は連結子会社の法定開示データがないため「-」としています。男性育児休業取得率および男女賃金差異は、連結子会社であるダイワボウ情報システムの数値です。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新規採用者の中途採用比率(15.0%)、国内雇用者における外国籍社員数(9名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 商品等に関するリスク


ITインフラ流通事業では、PC等の普及が進み市場全体の伸び悩みや競合激化による利益率低下の可能性があります。また、技術革新の速さによる商品の陳腐化や在庫リスク、主要メーカーの供給不足や不具合発生などが業績に影響を及ぼす可能性があります。産業機械事業は景気変動の影響を受けやすく、設備投資需要の減退がリスク要因となります。

(2) システムトラブル・情報セキュリティリスク


ITインフラ流通事業は独自の物流機能とシステムに依存しており、自然災害やサイバー攻撃等によるシステム障害や情報漏洩が発生した場合、営業活動に重大な支障をきたし、業績や社会的信用に影響を与える可能性があります。これに対し、セキュリティ強化や危機管理体制の整備を進めています。

(3) 外部環境に関するリスク


原材料・燃料価格の変動、金利動向、各種法規制の変更、自然災害などの外部環境の変化により、コスト上昇や生産遅延、販売機会の喪失などが生じ、業績に悪影響を与える可能性があります。これらに対し、リスク管理委員会等を通じたリスクの特定・評価と対策の実施に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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