フジ日本 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フジ日本 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、精糖、機能性素材、不動産事業を展開しています。当期の連結業績は、売上高282億円(前期比9.0%増)、経常利益37億円(同14.0%増)となり、増収増益を達成しました。機能性素材事業の伸長や精糖事業の営業強化が寄与しています。


#記事タイトル:フジ日本転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、フジ日本株式会社 の有価証券報告書(第102期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. フジ日本ってどんな会社?


精製糖の製造販売を祖業とし、現在は機能性食品素材「イヌリン」や不動産事業も展開する企業です。

(1) 会社概要


1949年に精製糖の製造販売を目的として設立され、1961年に東証第2部に上場しました。2001年にフジ製糖と合併して商号をフジ日本精糖に変更し、2012年にはタイに機能性素材の製造子会社を設立しました。2024年10月に商号を現在のフジ日本に変更し、事業の多角化を進めています。

連結従業員数は241名、単体では59名体制です。筆頭株主は総合商社の双日で、第2位は製糖会社の和田製糖、第3位は物流会社の鈴与です。主要株主には事業パートナーとなる企業が名を連ねており、安定した資本関係を構築しています。

氏名 持株比率
双日 31.78%
和田製糖 9.57%
鈴与 7.41%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は曾我英俊氏です。社外取締役比率は57.1%です。

氏名 役職 主な経歴
曾我 英 俊 代表取締役社長 1981年日商岩井(現双日)入社。双日食料代表取締役社長、同社会長を経て、2023年6月より現職。
関 根 郁 也 取締役 1981年日商岩井(現双日)入社。双日食料事業部担当部長、同社砂糖本部本部長等を経て、2020年6月より現職。
大 橋 高 弘 取締役 1994年日本精糖入社。同社管理本部本部長等を経て、2023年6月より現職。


社外取締役は、髙橋明彦(鈴与取締役副社長)、和田哲義(和田製糖代表取締役社長)、埴原正和(元双日エネルギー・社会インフラ本部部長)、大越いづみ(元電通グループ取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「精糖」「機能性素材」「不動産」および「その他」事業を展開しています。

(1) 精糖


精製糖および砂糖関連製品の製造販売を行っています。顧客は主に食品メーカーや卸売業者等です。主力製品の上白糖やグラニュー糖などを安定供給しています。

収益は、顧客への製品販売代金として受け取ります。運営は、同社が行うほか、関連会社の南栄糖業が原料となる粗糖を生産し、太平洋製糖が精製糖の製造受託を行っています。販売および国産原料糖の仕入は連結子会社のフジ日本商事が行っています。

(2) 機能性素材


食品添加物や機能性食品素材「イヌリン」、ペクチン、ゼラチン等の天然添加物素材の製造加工、仕入販売を行っています。また、プラントベーストミートの製造販売も手掛けています。

収益は、製品の販売代金です。運営は同社のほか、タイの連結子会社Fuji Nihon Thai Inulin Co.,Ltd.がイヌリンの製造販売を行い、連結子会社のユニテックフーズやフジ日本商事が各種素材の仕入販売を行っています。韓国子会社や株式会社Tastableも事業を担っています。

(3) 不動産


同社が所有する土地建物の賃貸およびその他不動産関連事業を行っています。保有資産の有効活用を通じて安定収益を確保しています。

収益は、テナント等からの賃貸収入です。運営は主に同社が行っています。

(4) その他


切花活力剤「キープ・フラワー」の製造販売や、タイ国における食品販売、パン類等の製造販売を行っています。

収益は、製品の販売代金です。運営は同社のほか、タイの連結子会社FUJI NIHON (Thailand) Co.,Ltd.および関連会社のDAY PLUS(THAILAND)Co.,Ltd.が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に増加傾向にあります。特に直近2期間では売上高が大きく伸びており、当期は282億円に達しました。利益面でも、経常利益率が10%前後で推移していましたが、直近では12%台へと向上しており、増収に伴い利益率も改善しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 190億円 201億円 227億円 259億円 282億円
経常利益 18億円 19億円 21億円 32億円 37億円
利益率(%) 9.3% 9.5% 9.4% 12.4% 12.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 10億円 15億円 13億円 18億円 18億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、売上総利益も増加しています。売上総利益率は約27%の水準を維持・向上させており、収益性が高まっています。営業利益も前期の22億円から当期は32億円へと大幅に増加し、営業利益率は11.5%となりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 259億円 282億円
売上総利益 63億円 76億円
売上総利益率(%) 24.2% 27.0%
営業利益 22億円 32億円
営業利益率(%) 8.4% 11.5%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が9億円(構成比20%)、運賃が8億円(同18%)を占めています。

(3) セグメント収益


全セグメントで増収となりました。精糖事業は営業強化やインバウンド需要等により増収増益でした。機能性素材事業はイヌリンの販売数量増加や子会社の好調により大幅な増収増益となりました。不動産事業も安定的に推移しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
精糖 133億円 138億円 18億円 25億円 18.3%
機能性素材 117億円 135億円 8億円 13億円 9.5%
不動産 6億円 7億円 6億円 6億円 89.0%
その他 3億円 3億円 1億円 1億円 25.1%
調整額 - - -11億円 -12億円 -
連結(合計) 259億円 282億円 22億円 32億円 11.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業活動で得た資金を元に、投資活動や借入返済、株主還元を行っている「健全型」のキャッシュ・フロー状態にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 9億円 33億円
投資CF -5億円 -15億円
財務CF -1億円 -4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は70.6%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「私たちは、『夢のあるたくましい会社』を目指し、健康な生活づくりに貢献します。」という企業理念を掲げています。株主、取引先、従業員の満足度を高め、食文化を通じた豊かな生活づくりに貢献し、企業価値を向上させることを基本方針としています。

(2) 企業文化


「食を科学し世界をパワフルに!」というパーパスを制定しています。持続可能な生物資源から独自のフードサイエンス技術で新たな価値を創造し、世界の人々を元気にすることを目指しています。精糖メーカーとしての歴史を大切にしつつ、フードサイエンスカンパニーへの飛躍を志向しています。

(3) 経営計画・目標


2040年までの長期ビジョン「NEXT VISION 2040」の達成に向け、5ヶ年×3回の中期経営計画に取り組んでいます。現在は第1期にあたる「CHANGE 2028」を推進中です。重視する経営指標として以下を掲げています。

* 経常利益(グループ全体の成長指標)
* 株主資本利益率(ROE)(経営効率性)
* 株主資本配当率(DOE)(株主還元)
* 負債資本倍率(D/Eレシオ)(財務安定性)

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画「CHANGE 2028」では、「攻めへの転換」をスローガンに、東南アジアでの事業拡大やフードサイエンス領域の事業創出等を推進します。

* 精糖:営業体制強化、品質管理徹底による安定供給、コスト削減。
* 機能性素材:イヌリンの国内販売拡大(新機能・新製品)、海外販売回復・増産体制確立、ユニテックフーズでのODM事業拡大。
* 不動産:安定収益確保、タイのパートナー企業と連携したキャッサバでん粉事業等による企業価値向上。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


競争力の源泉は「人材」であるとし、多様な人材が活躍できる組織構築と優秀な人材の確保・育成を目指しています。組織改革、人的資本経営、グループ経営推進、DX推進を重点テーマとし、女性管理職比率の向上や従業員エンゲージメントの向上、グローバル人材の育成に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.8歳 14.5年 7,827,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 23.5%
男性育児休業取得率 -%
男女賃金差異(全労働者) 77.4%
男女賃金差異(正規雇用) 82.5%
男女賃金差異(非正規雇用) 42.5%


※男性労働者の育児休業取得率については、対象者がいなかったため記載しておりません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 農業制度の影響


主力の精糖事業は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」等の法令に基づいており、政府の国内農業政策や各国の貿易政策の変更があった場合、業績に影響を与える可能性があります。

(2) 国内市場での消費環境の変化


少子高齢化の進行や食への志向の変化により、国内市場が想定外に変化した場合、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 生産拠点の集約


精製糖生産を他の製造会社に委託しており、委託先でトラブルや災害により操業停止等の混乱が生じた場合、製品供給が停止し、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。