※本記事は、フジ日本株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
フジ日本は、糖類、機能性素材、不動産を主要事業とする企業です。精製糖や砂糖関連製品の製造販売に加え、食品添加物や機能性食品素材「イヌリン」の製造販売、さらには不動産賃貸事業も展開しています。
単体従業員数は70名、連結従業員数は254名です。同社グループの事業セグメントは、糖類、機能性素材、不動産、その他の4つです。
主な国内グループ会社は、フジ日本商事、ユニテックフーズ、Tastableなどです。
2025年4月1日付で組織変更を実施し、経営管理区分を変更しました。これにより、従来の「精糖事業」は「糖類事業」に名称変更され、一部事業が「機能性素材事業」セグメントに移管されています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
フジ日本は、長期的な視点で人的資本経営を推進し、人材を競争優位の源泉と位置付けています。多様な人材が意欲をもって活躍できる組織の構築と、次世代を担う人材の育成に注力しており、従業員一人ひとりの成長を支援する環境づくりを目指しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は平均年齢が40歳代前半、平均勤続年数が12年を超えており、比較的長期にわたって働く従業員が多い傾向が見られます。これは、安定した環境でキャリアを築きたいと考える方にとって、参考となる情報です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,759,000,000円 |
| 平均勤続年数 | 12.4年 |
| 平均年齢 | 40.7歳 |
| 単体従業員数 | 70人 |
| 連結従業員数 | 254人 |
| 単体のグループ内比率 | 27.6% |
同社および一部の連結子会社は、従業員の退職給付に充てるため、確定給付型と確定拠出型の両方の退職給付制度を採用しています。確定給付型では、退職金規程に基づく確定給付企業年金制度(キャッシュバランスプラン)を導入しており、加入者ごとに仮想個人勘定を設けています。
なお、退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。当連結会計年度末における確定給付債務は5.5億円、年金資産は9.0億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
フジ日本グループは、長期ビジョン「NEXT VISION 2040」の実現に向け、人的資本への戦略的かつ継続的な投資を重要な経営課題と位置付けています。人材の質と組織力の強化を目的に、長期的な視点で人的資本経営を推進しており、人的資本に関するKPI設定やエンゲージメントサーベイの定期実施を通じて、データに基づいた意思決定と施策の高度化を図っています。
給与体系は、基本給と職能給を基礎とした月例給与を採用しています。基本給は職位と役割に基づき、職能給は従業員一人ひとりの職務遂行能力や専門性の発揮度合いに応じて決定される仕組みです。新人事制度により、従来の年功的要素に偏らない、職務内容・責任範囲・成果に基づく報酬設計へと転換しており、社員の能力発揮や成長が直接的に処遇へ反映される構造となっています。賞与は、目標達成度等の定量評価と定性的評価を組み合わせた結果に基づき支給額が決定されます。
人材育成においては、グローバル人材育成として大手英会話スクールと連携した英語研修プログラムを導入し、実務に直結する英語コミュニケーション能力の向上を図っています。また、経営人材育成として、マネジメント力の強化に特化した経営人材育成研修を実施し、次世代の経営人材の計画的な育成を推進しています。働き方改革としては、多様な価値観やライフスタイルに対応した柔軟な働き方を目指し、従来の総合職に加え、新たにエリア職および専門職を導入し、職種転換が可能な制度も構築しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の規定に基づき算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 7.1% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | - |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 74.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 83.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 28.6% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
フジ日本グループは、糖類、機能性素材、不動産を主要な事業領域としています。多角的な事業展開を通じて、安定した収益基盤を構築している会社です。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
フジ日本グループは、食品関連の素材から不動産まで幅広い事業を展開しています。主力は「糖類」と「機能性素材」であり、これらが同社グループの収益の大部分を占めています。特定の顧客への売上集中が見られることも特徴です。
糖類
同社グループは、精製糖や砂糖関連製品の製造販売を行っています。収益は、精製糖や液糖、砂糖関連製品の販売から得ています。運営は、フジ日本、南栄糖業、太平洋製糖、フジ日本商事などが行っています。当連結会計年度は減収減益となりました。
機能性素材
同社グループは、食品添加物や機能性食品素材「イヌリン」の製造販売をしています。収益は、食品添加物、機能性食品素材、天然添加物素材の仕入販売から得ています。運営は、フジ日本、Fuji Nihon Thai Inulin Co.,Ltd.、フジ日本商事、ユニテックフーズ、UNITEC FOODS KOREA Co.,Ltd.、Tastable、上海唯霓食品有限公司などが行っています。当連結会計年度は増収増益となりました。
不動産
同社グループは、土地建物の賃貸やその他の不動産関連事業を展開しています。収益は、所有する土地建物の賃貸から得ています。運営は、フジ日本が行っています。当連結会計年度は減収増益となりました。
その他の事業セグメント
同社グループは、切花活力剤「キープ・フラワー」の製造販売を行っています。収益は、切花活力剤の販売から得ています。運営は、フジ日本が行っています。
同社グループの売上高は、機能性素材事業が糖類事業をわずかに上回る割合を占めています。特定の顧客である双日食料への売上が、同社グループの総売上高の大きな割合を占めています。地域ごとの売上高では、国内市場が主要な収益源となっています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 機能性素材 | 135億円 | 141億円 |
| 糖類 | 138億円 | 134億円 |
| 不動産 | 6.5億円 | 6.3億円 |
| その他の事業セグメント | 2.6億円 | 2.4億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5年間で売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに増加傾向を示しています。直近の当連結会計年度では、売上高はわずかな増加にとどまったものの、各利益項目は堅調な伸びを見せています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 201億円 | 227億円 | 259億円 | 282億円 | 284億円 |
| 経常利益 | 19.2億円 | 21.2億円 | 32.0億円 | 36.5億円 | 37.7億円 |
| 経常利益率 | 9.5% | 9.4% | 12.4% | 12.9% | 13.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 16.1億円 | 16.7億円 | 23.7億円 | 28.4億円 | 32.2億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 30.06 | 31.15 | 44.13 | 53.70 | 62.77 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は前期から減少しましたが、従業員1人あたり営業利益は増加しています。これは、売上高の伸び以上に利益率が改善したことを示しており、組織全体の収益性向上がうかがえます。従業員1人あたりの利益が増加していることは、効率的な事業運営が進んでいることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 117.0百万円 | 112.0百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 13.4百万円 | 14.0百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、安定した経営基盤と将来に向けた投資のバランスを示しています。本業で着実に資金を生み出しながら、成長のための投資も行っている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率と安定した収益性を示しています。自己資本比率はプライム市場の製造業平均である46.8%を上回る水準です。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均の9.4%を上回っています。
手元資金である現金及び預金は前期から増加しており、不測の事態にも対応できる厚みがあることがうかがえます。これらの財務指標は、同社グループが安定した経営を維持していることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 239億円 | 279億円 |
| 自己資本比率 | 70.6% | 72.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 11.9% | 12.5% |
| 現金及び預金 | 66.4億円 | 82.4億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業で安定的に資金を生み出し、その資金を成長投資に充てながらも、手元に余剰資金を残している状況を示しています。当期の営業活動によるキャッシュフローはプラスとなり、税金等調整前当期純利益の計上が主な要因です。投資活動によるキャッシュフローはマイナスで、有形固定資産の取得や長期貸付金による支出など、将来に向けた投資が行われています。
その結果、フリーキャッシュフローはプラスとなっており、本業で得た資金が投資を上回っています。財務活動によるキャッシュフローはマイナスで、短期借入金の減少や配当金の支払いが主な要因です。これらの資金の流れは、同社グループが安定した事業運営と計画的な投資を行っており、雇用や給与の安定性にもつながる堅実な財務状況にあることを示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 33.2億円 | 32.1億円 |
| 投資CF | △15.5億円 | △17.4億円 |
| 財務CF | △3.8億円 | △9.6億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 17.8億円 | 14.8億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの主力である糖類事業は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」など法令に基づいて事業を行っており、政府の国内農業政策や各国の貿易政策の変更が業績に影響を与える可能性があります。また、国内市場においては、少子高齢化の進行や食への志向の変化に伴う消費者の購買行動の変化が、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループの継続的な成長には、各事業における優秀な人材の確保・育成が重要であると認識されています。雇用環境の多角化が進む中で、有能な人材の流出防止や新たな人材の確保・育成ができない場合、業績に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
フジ日本は、「夢のあるたくましい会社」を目指し、健康な生活づくりに貢献するという企業理念を掲げています。食を科学し、世界の人々をパワフルに、元気にすることを使命としています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
フジ日本グループは、「私たちは、『夢のあるたくましい会社』を目指し、健康な生活づくりに貢献します。」という企業理念を掲げています。株主、取引先、従業員の満足度を高め、食文化による豊かな生活づくりを通じて社会に貢献し、会社の価値を高めることを基本方針としています。
また、「食を科学し世界をパワフルに!」というパーパス(社会での役割)を制定し、持続可能な生物資源と独自のフードサイエンス技術で新たな価値を創造し、世界の人々を元気にすることを目指しています。このパーパス実現のため、2040年までの長期ビジョン「NEXT VISION 2040」を策定し、精糖メーカーとしての歴史を大切にしながら、フードサイエンスカンパニーへの飛躍を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
フジ日本グループは、競争力の源泉を「人材」と捉え、人材を「財」として育成する方針です。多様な人材が意欲をもって活躍できる活力ある組織の構築と、優秀な人材を確保するための環境整備を推進しています。会社の発展と共に社員が成長する企業文化の形成を目指しています。
サステナビリティ経営においては、「人間尊重を基本とした企業文化の形成」をESG戦略の重要課題の一つとしています。具体的には、経営戦略に沿った組織構築や適材適所の人員配置といった組織改革に取り組んでいます。
さらに、女性管理職比率の向上、従業員エンゲージメントの向上、積極的なグローバル人材育成といった人的資本経営を推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
フジ日本グループは、人口減少による市場規模の縮小や労働力不足、原材料・エネルギー価格の高騰、円安など、厳しい経営環境に直面しています。このような状況に対応するため、事業環境変化に対する柔軟かつ迅速な対応を重要課題と認識しています。
各事業における収益力の一層の向上と安定した収益体制の構築を目指しています。将来の中核となる新規事業や新製品の開発投資、M&Aの実行、海外事業の積極的な展開を通じて企業の活力を高める方針です。
特に、糖類事業の販売数量減少に歯止めをかけつつ、タピオカ周辺事業を含む非砂糖分野の拡大を目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
フジ日本は監査役制度を採用しており、取締役会と監査役会を設置しています。公正な意思決定と業務執行の監督機能強化のため、社外取締役を選任しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
フジ日本は、事業会社である双日を筆頭株主とし、複数の事業会社が上位株主として名を連ねる資本構成となっています。筆頭株主である双日は、同社グループの経営に影響力を持つ主要株主です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 双日 | 31.78% |
| 和田製糖 | 9.57% |
| 鈴与 | 7.41% |
| 塩水港精糖 | 4.95% |
| 静岡銀行 | 3.08% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は曾我英俊氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 曾我 英俊 | 代表取締役 社長 | 1981年日商岩井(現双日)入社。双日食料代表取締役社長を経て、2021年6月同社取締役、2023年6月より同社代表取締役社長に現職。Fuji Nihon Thai Inulin Co.,Ltd.取締役など、グループ会社の役員も兼任しています。 |
| 谷津 裕司 | 取締役 | 1991年PIAA入社。1999年同社入社後、砂糖本部清水営業部部長、砂糖本部副本部長などを歴任。2023年6月執行役員砂糖本部副本部長、2025年6月より同社取締役に現職。フジ日本商事や太平洋製糖の取締役も兼任しています。 |
社外取締役は、髙橋明彦氏(鈴与取締役副社長)、埴原正和氏(双日リテール・コンシューマーサービス本部担当顧問)、大越いづみ氏(チェンジホールディングス執行役員)です。
社外監査役は、藤田世潤氏(銀座K.T.C税理士法人パートナー)、二宮照興氏(丸市綜合法律事務所弁護士)です。
同社は監査役制度を採用しています。取締役5名のうち3名が社外取締役であり、公正な意思決定と業務執行に対する監督機能の強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社は、取締役の報酬について、固定報酬と業績連動報酬を組み合わせた体系を採用しています。業績連動報酬の指標には連結経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益、ROEが選定されています。標準的な業績の場合、報酬構成割合はおおよそ固定報酬70%に対し業績連動報酬30%となります。監査役の報酬は、経営に対する独立性と客観性を重視し、固定報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 47百万円 | 11.8百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 21百万円 | 21.0百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 26百万円 | 4.3百万円 |
なお、総額には期中に退任した役員の報酬が含まれます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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