※本記事は、株式会社ブルボン の有価証券報告書(第149期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ブルボンってどんな会社?
ビスケットや米菓などの菓子類を中心に、飲料・食品・冷菓なども手掛ける新潟県発祥の食品メーカーです。
■(1) 会社概要
1924年に北日本製菓として設立され、地方での量産工場による菓子作りを開始しました。1989年に現在のブルボンへ商号変更し、ブランドイメージの統一を図りました。2000年には東京証券取引所市場第二部(現スタンダード市場)に上場しています。中国での生産・販売拠点の設立や米国法人の設立などグローバル展開も進めており、近年では地ビール製造のエチゴビールを子会社化するなど事業領域を拡大しています。
現在の従業員数は連結で4,186名、単体で3,881名です。筆頭株主は関連財団の公益財団法人ブルボン吉田記念財団で、第2位は創業家等の資産管理会社と思われる吉田興産、第3位は従業員持株会等の関連団体であるブルボン柏湧共栄会となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 公益財団法人ブルボン吉田記念財団 | 10.81% |
| 吉田興産 | 9.10% |
| ブルボン柏湧共栄会 | 7.19% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性19名、女性2名の計21名で構成され、女性役員比率は9.5%です。代表取締役社長は吉田康氏です。社外取締役比率は23.8%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 吉田康 | 取締役社長(代表取締役) | 1979年入社。取締役第二製造企画部長等を経て1996年より現職。 |
| 吉田匡慶 | 専務取締役(代表取締役)経営企画研究本部長 | 北海道銀行を経て2014年入社。統合企画部長等を経て2024年より現職。 |
| 吉川実 | 専務取締役(代表取締役)製造保証本部長 | 1983年入社。品質保証部長、常務取締役等を経て2024年より現職。 |
| 井手規秀 | 常務取締役開発開拓本部長 | 1996年入社。西日本営業部長、営業戦略統括部長等を経て2024年より現職。 |
| 浅野和男 | 常務取締役国内経営計画推進担当 | 1975年入社。品質保証部長、統合企画部長等を経て2012年より現職。 |
| 大竹一弘 | 常務取締役国際経営計画推進担当 | 1977年入社。国際営業部長、中国事業部長等を経て2017年より現職。 |
| 中野隆 | 常務取締役人智財本部長 | 1987年入社。本社工場長、総務推進部長等を経て2024年より現職。 |
| 諸橋文弘 | 取締役製造保証本部副本部長 | 1983年入社。施設管理部長、設備開発管理部長等を経て2025年より現職。 |
| 坂井裕次 | 取締役開発開拓本部製品開発統括部長 | 1995年入社。第二製品開発部長、第一製品開発部長等を経て2023年より現職。 |
| 横田昇 | 取締役人智財本部人事企画部長 | 1979年入社。製造管理部課長代理等を経て2017年より現職。 |
| 間島孝弘 | 取締役人智財本部財務管理部長 | 日本フードリンク等を経て2011年入社。財務管理部次長等を経て2024年より現職。 |
| 小林修 | 取締役製造保証本部製造管理部長 | 1987年入社。村上工場長、製品開発部次長等を経て2018年より現職。 |
社外取締役は、河端和雄(元Jオイルミルズ副社長)、佐々木広介(元第四銀行副頭取)、尾関幸美(中央大学大学院教授)、櫻井孝男(元味の素ファインテクノ会長)、上杉奈保美(ともにマーケティング社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「菓子」および「飲料・食品・冷菓・その他」事業を展開しています。
■(1) 菓子事業
ビスケット、米菓、豆菓子、キャンデー、チョコレート、スナック、チューインガム、小麦粉せんべい、デザート等の製造販売を行っています。主な顧客は一般消費者であり、卸売業者や小売店を通じて製品を提供しています。
収益は、これらの製品販売による対価を得ています。運営は主に同社が行っていますが、中国市場向けなどは連結子会社の波路梦(長興)食品有限公司などが製造・販売を行っています。また、株式会社レーマンがチョコレートおよび洋菓子の製造販売を行っています。
■(2) 飲料・食品・冷菓・その他事業
ミネラルウォーター、ココア飲料、調理済食品、酒類、冷菓等の製造販売を行っています。また、通信販売事業や自動販売機事業なども含まれます。
収益は、製品の販売代金やサービスの対価などからなります。運営は同社のほか、エチゴビール株式会社がビールの製造販売を行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に増加傾向にあり、特に直近の2025年3月期は前期比で大きく伸長しています。利益面では、2023年3月期に一時的な落ち込みが見られましたが、その後はV字回復し、直近では利益率も大幅に改善しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,184億円 | 945億円 | 974億円 | 1,037億円 | 1,135億円 |
| 経常利益 | 47億円 | 47億円 | 18億円 | 43億円 | 76億円 |
| 利益率(%) | 3.9% | 5.0% | 1.9% | 4.1% | 6.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 28億円 | 28億円 | 14億円 | 32億円 | 54億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益が拡大しています。売上原価率や販管費率のコントロールにより、営業利益率は前期の3.7%から6.6%へと大きく改善しており、収益性が高まっています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,037億円 | 1,135億円 |
| 売上総利益 | 245億円 | 291億円 |
| 売上総利益率(%) | 23.6% | 25.7% |
| 営業利益 | 38億円 | 75億円 |
| 営業利益率(%) | 3.7% | 6.6% |
販売費及び一般管理費のうち、運送費及び保管費が88億円(構成比41%)、給料手当・賞与が49億円(同23%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の菓子事業は、「ラングレイス」等の新商品やチョコレート品目の好調により増収となりました。飲料・食品・冷菓・その他事業も、酒類や自動販売機事業の改善等により売上を伸ばしています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 菓子 | 995億円 | 1,090億円 |
| 飲料・食品・冷菓・その他 | 43億円 | 45億円 |
| 連結(合計) | 1,037億円 | 1,135億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、営業活動で得た資金で借入金の返済を行いつつ、投資活動も自己資金の範囲内で実施している「健全型」のキャッシュ・フロー状態にあります。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 98億円 | 65億円 |
| 投資CF | -53億円 | -65億円 |
| 財務CF | -12億円 | -22億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は64.2%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「利害相反する人を含めて、集団の生存性を高める」を経営理念としています。これは自集団だけでなく、消費者、流通、国・県・市町村、株主、金融機関、取引先、従業員という「七媒体」すべてと共に響き合って生存性を高めることを基本としています。
■(2) 企業文化
食品製造企業として「品質保証第一主義」に徹する文化があります。コーポレートメッセージである「おいしさ、思いやり、いつもいっしょに。」の体現を目指し、安定した原材料調達やフードセーフティーへの取り組み強化により、品質保証体制のレベルアップを図っています。
■(3) 経営計画・目標
持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目標とし、投資効率を重視した経営を行っています。また、連結ROE(株主資本当期純利益率)を重要指標と捉え、今後はROIC(投下資本利益率)についても重要指標としていく方針です。
■(4) 成長戦略と重点施策
「心と体の健康づくり」をテーマに、健康増進総合支援企業を目指した活動を推進しています。新製品開発体制の強化、企画提案型営業による新たな需要創造、グローバル展開の推進、経営基盤の強化を重点施策としています。
* ビスケットの市場シェア拡大や新しいチョコレート商品の開発
* 自動販売機事業やeコマース事業の強化
* 中国・米国市場や東南アジア等へのグローバル展開
* AI、IoTを活用した生産システム構築やDX、GXの推進
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「人財育成方針」に基づき、社員一人ひとりを大切な経営資源として捉え、戦略的・継続的な育成を行っています。また、「社内環境整備方針」により、安全で健康的な職場環境の確保や、DEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)の推進、心理的安全性の確保に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 38.3歳 | 16.0年 | 4,964,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 7.4% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 71.6% |
| 男女賃金差異(正規) | 74.8% |
| 男女賃金差異(非正規) | 64.5% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(85.0%)、サステナブル原料使用(カカオ豆97.7%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 原材料の調達および価格変動リスク
原材料の多くを海外調達に依存しており、異常気象や地政学的リスクによる調達困難、為替変動や国際相場の高騰などが仕入価格の上昇を招き、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 経済情勢および人口動態の変化
国内の人口減少や少子高齢化による消費需要の低迷に加え、主力製品における関税率の変更などが事業活動に影響を与える可能性があります。また、労働力不足による人員確保の困難さもリスクとなります。
■(3) 食品の安全性と品質保証
品質保証第一主義を掲げていますが、想定を超える異物混入や有害物質の検出などが発生した場合、大規模な商品回収や社会的信用の低下を招き、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 商品開発および競合環境
消費者の嗜好変化に対応した新製品が計画通りに販売できない場合や、国内外の競合他社による新製品投入や価格競争などにより優位性を確保できない場合、収益性が低下する可能性があります。



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