※本記事は、株式会社コモの有価証券報告書(第42期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. コモってどんな会社?
ロングライフパンの製造と販売を主力とし、食料備蓄や食品廃棄ロスの削減にも貢献する食品メーカーです。
■(1) 会社概要
1984年にパネトーネ種を使用したロングライフパンの製造と販売を目的に愛知県で設立されました。1997年に店頭登録を行い、2004年にジャスダック証券取引所へ上場を果たしました。その後、2019年に名古屋証券取引所市場第二部にも重複上場し、2022年の市場再編に伴い東京証券取引所スタンダード市場および名古屋証券取引所メイン市場へ移行しています。2026年には物流効率等を担う子会社を吸収合併し、現在の体制となりました。
現在の従業員数は連結で196名、単体で173名となっています。筆頭株主および第2位株主は個人の舟橋一輝氏と舟橋康太氏であり、第3位には事業会社の富士エコーが名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 舟橋 一輝 | 4.52% |
| 舟橋 康太 | 4.52% |
| 富士エコー | 4.32% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は木下克己氏が務めており、社外取締役比率は12.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 木下 克己 | 代表取締役社長 | 2001年に同社入社。常務取締役財経部長、営業本部長、管理本部長などを歴任し、2012年より現職。 |
| 鈴木 憲幸 | 常務取締役 | 十六銀行を経て2013年に同社入社。総務部長、コモサポート代表取締役社長などを経て2025年より現職。 |
| 伊藤 政幸 | 取締役製造本部長 | 1984年に旧コモ入社。中日本営業部長、営業本部長、取締役営業本部長などを経て2023年より現職。 |
| 中島 文孝 | 取締役営業本部長 | 1991年に同社入社。東京営業所長、中部営業所長などを歴任し、2023年より現職。 |
社外取締役は、馬渕貴好氏(元岐阜放送監査役)です。
2. 事業内容
同社グループは、ロングライフパン事業の単一セグメントで展開しています。
■ロングライフパン事業
イタリア北部コモ湖周辺に生息するパネトーネ種を利用した、賞味期間が60日から90日と長い「ロングライフパン」の製造と販売を行っています。デニッシュ、クロワッサン、ワッフルなどをラインナップし、生活協同組合や自動販売機オペレーター、量販店、卸問屋など多様な顧客に対して製品を安定して供給しています。
収益源は、全国の生活協同組合や自動販売機オペレーター等に対するパン製品の販売代金です。事業の運営は同社が行っており、本社工場のみで集中生産する体制を敷いています。なお、これまで製品の保管や仕分業務請負、配送手配代行業務を行っていた子会社のコモサポートは、経営効率化のため2026年4月に同社へ吸収合併されています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
表示期間の業績を見ると、売上高は65億円規模から73億円規模へと拡大傾向にあります。経常利益については、一時的な落ち込みを経て直近では1.2億円まで回復し、利益率も改善を見せています。製品価格の改定や販路の拡大が業績の伸長に寄与していることが伺えます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 65億円 | 70億円 | 73億円 | 71億円 | 73億円 |
| 経常利益 | 2.2億円 | 0.5億円 | 0.9億円 | 0.7億円 | 1.2億円 |
| 利益率(%) | 3.4% | 0.7% | 1.2% | 1.0% | 1.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.4億円 | 0.3億円 | 0.4億円 | 0.4億円 | 0.8億円 |
■(2) 損益計算書
売上高が増加する中、売上総利益率および営業利益率がいずれも前期から改善しています。原材料価格の上昇等が懸念される環境下においても、適切な価格改定等の施策により採算性が向上していることが確認できます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 71億円 | 73億円 |
| 売上総利益 | 19億円 | 20億円 |
| 売上総利益率(%) | 26.0% | 27.4% |
| 営業利益 | 0.7億円 | 1.7億円 |
| 営業利益率(%) | 0.9% | 2.3% |
販売費及び一般管理費のうち、配送費が6.3億円(構成比34%)、給料手当が4.2億円(同23%)を占めています。また、売上原価(53億円)の内訳としては、材料費が31億円(構成比58%)、労務費が11億円(同21%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社はロングライフパン事業の単一セグメントであるため、ここでは主な販売経路別の売上高推移を記載しています。生活協同組合や自動販売機オペレーター向けの売上が安定して推移する中、主力経路の多くで増収を確保しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 生活協同組合 | 23億円 | 25億円 |
| 自動販売機オペレーター | 17億円 | 18億円 |
| 量販店 | 11億円 | 10億円 |
| 卸問屋 | 6億円 | 6億円 |
| その他 | 14億円 | 14億円 |
| 連結(合計) | 71億円 | 73億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」に分類されます。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も45.2%で市場平均を下回っています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.3億円 | 4.4億円 |
| 投資CF | -3.1億円 | -2.4億円 |
| 財務CF | -1.1億円 | -1.6億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「パネトーネ種を生かし、おいしさを通じて人々により多くのコミュニケーションを提供する」ことを基本理念として掲げています。長期保存が可能な高品質で安全なロングライフパンの開発を通じて、食料備蓄の啓発や食品廃棄ロスの削減に貢献し、お客様とともに喜びを分かち合い信頼される企業を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、経営理念を実現するための運営指針として「お客様にご満足いただける心のこもった製品開発に努めます」「新しいことに積極的に挑戦する企業風土を育てます」「和の心で助け合い、学び合い、自己啓発し、自己実現をめざします」という3つを掲げています。明るく働きやすい健全な社風の醸成を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
中長期的に資本コストを上回るROE(自己資本利益率)の向上を目指す価値創造企業でありたいと考えており、ROEを重要な指標として位置付けています。次期については連結決算から非連結決算に移行しますが、持続的な成長に向けた計画を策定しています。
* ROE:10.0%以上(2027年3月期目標)
* 売上高:73億円(2027年3月期個別業績予想)
■(4) 成長戦略と重点施策
同社製品の根幹であるパネトーネ種の特長を活かし、より付加価値の高い新製品の開発および原材料の見直しに注力する方針です。同時に、新たな市場の開拓、販路の拡大、適正な価格による取引等を図り収益力の向上を目指します。また、決定済みの設備投資計画を着実に進めるほか、業務の合理化や品質の向上にも努めていきます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
労働安全を第一に労働環境を整備し、健康経営により活力のある職場づくりを目指しています。女性活躍社会の実現につながるよう女性幹部の育成に配慮するほか、男女の区別なく若手社員を対象とした次世代幹部の養成を重要視し、外部研修への派遣等による能力開発を支援しています。また、中途採用にも積極的に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 42.0歳 | 18.4年 | 5,217,621円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 17.3% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※同社および連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」および「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定による公表義務の対象ではないため、有報には一部項目の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 食品の安全性に関するリスク
食品業界において食の安全・安心を揺るがす事件が発生する中、予期せぬ製品の欠陥や仕入原料への不適切な物質の混入等により、大規模な製品回収や製造物責任が発生した場合、同社の業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 本社工場への生産集中に伴う供給リスク
同社の製品はロングライフである特性を活かし、本社工場のみで製造し全国へ販売しています。そのため、想定範囲を超えた自然災害等が発生し、本社工場が重大な被害を受けて操業停止となった場合、製品の供給が全面的に停止するリスクがあります。
■(3) 原材料の調達と価格高騰リスク
主要原材料である小麦粉、砂糖、油脂等は、異常気象等による需給逼迫や原油価格上昇等の影響を受けやすくなっています。また、ロングライフパン特有の特殊な原材料が調達できなくなることや仕入価格が高騰した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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