コモ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コモ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コモは東証スタンダード、名証メインに上場し、パネトーネ種を使用した保存料無添加のロングライフパンの製造・販売を行う食品メーカーです。2025年3月期の連結業績は、売上高71億円(前期比減収)、経常利益0.7億円(前期比減益)、親会社株主に帰属する当期純利益0.4億円(前期比増益)でした。


※本記事は、株式会社コモ の有価証券報告書(第41期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. コモってどんな会社?


パネトーネ種を使用した、賞味期間が60日から90日と長い「ロングライフパン」の製造・販売を主力事業とする食品メーカーです。

(1) 会社概要


同社は1984年、パネトーネ種を使用するロングライフパンの製造・販売を目的に愛知県小牧市で設立されました。1997年に日本証券業協会へ店頭登録し、2004年にジャスダック証券取引所へ上場しました。2019年には名古屋証券取引所市場第二部へ重複上場を果たし、現在は東証スタンダード市場および名証メイン市場に上場しています。

2025年3月31日現在、同社グループは連結従業員187名、単体従業員162名の体制で事業を展開しています。筆頭株主および第2位株主は個人株主であり、第3位は物流関連企業の富士エコーとなっています。

氏名 持株比率
舟橋 一輝 4.52%
舟橋 康太 4.52%
富士エコー 4.32%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は木下克己氏が務めています。社外取締役比率は11.1%です。

氏名 役職 主な経歴
木下 克己 代表取締役社長 十六銀行業務部主任調査役を経て同社入社。財務経理部長、管理本部長などを歴任し、2012年より現職。
伊藤 政幸 取締役製造本部長 1984年旧コモ入社。営業本部部長、営業本部長などを経て、2023年より現職。
榊 剛弘 取締役関連会社統括本部長 1994年旧コモ入社。製造部長、内部監査室長などを経て、2023年より現職。コモサポート代表取締役社長を兼務。
鈴木 憲幸 取締役管理本部長 十六銀行大曽根支店長を経て同社入社。総務部長、関連会社統括本部長などを歴任し、2025年より現職。
中島 文孝 取締役営業本部長 1991年同社入社。東京営業所長、中部営業所長などを経て、2023年より現職。


社外取締役は、馬渕貴好(岐阜放送監査役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ロングライフパン事業」および「その他」事業を展開しています。

ロングライフパン事業


イタリア原産のパネトーネ種を使用した、保存料無添加で賞味期間が60日から90日と長いパン製品の製造・販売を行っています。デニッシュ、クロワッサン、ワッフル、パネトーネなどの製品ラインナップがあり、生活協同組合、自動販売機オペレーター、量販店などを通じて消費者に提供されています。

製品の売上収益を主な収益源としています。運営は、製造・販売を同社が担当し、製品の保管、仕分業務請負、配送手配代行業務については、連結子会社のコモサポートが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2025年3月期の売上高は71億円と前期比で減少しました。利益面では、経常利益が0.7億円と前期から減少した一方で、当期純利益は0.4億円と微増しています。利益率は低水準で推移しており、収益性の向上が課題となっています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 65億円 65億円 70億円 73億円 71億円
経常利益 4.3億円 2.2億円 0.5億円 0.9億円 0.7億円
利益率(%) 6.5% 3.4% 0.7% 1.2% 1.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 2.7億円 1.3億円 0.4億円 0.5億円 0.4億円

(2) 損益計算書


売上高は減少しましたが、売上総利益率は概ね横ばいで推移しています。営業利益は減少傾向にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 73億円 71億円
売上総利益 19億円 19億円
売上総利益率(%) 25.9% 26.0%
営業利益 0.8億円 0.7億円
営業利益率(%) 1.1% 0.9%


販売費及び一般管理費のうち、人件費(給料手当、賞与引当金繰入額等の合計)が約4.7億円(構成比約26%)、配送費が約6.2億円(同35%)を占めています。

(3) セグメント収益


全品目で概ね前年並みか減少傾向にありますが、クロワッサン群は増収となりました。主力のデニッシュ群やワッフル群は減収となっています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
デニッシュ 33億円 31億円
クロワッサン 26億円 28億円
ワッフル 6億円 5億円
パネトーネ 0.0億円 0.1億円
その他 8億円 7億円
連結(合計) 73億円 71億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社グループは、事業運営に必要な流動性と資金源泉の安定確保を基本方針としています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、日々の事業活動から生み出される資金の状況を示しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資や資産の取得・売却等による資金の増減を表しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入や返済、配当金の支払い等による資金の動きを示しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 7.2億円 0.3億円
投資CF -3.1億円 -3.1億円
財務CF -0.0億円 -1.1億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、パネトーネ種の素材を生かし、おいしさを通じて人々により多くのコミュニケーションを提供したいという基本理念を掲げています。この理念のもと、常に価値ある製品・サービスを創造し続け、顧客とともに喜びを分かち合い信頼される企業を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、「お客様にご満足いただける心のこもった製品開発に努める」「新しいことに積極的に挑戦する企業風土を育てる」「和の心で助け合い、学び合い、自己啓発し、自己実現を目指す」という3つの運営指針を掲げています。これらを基本として、事業を通じた社会的課題解決に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、中長期的に資本コストを上回るROEの向上を目指しています。中期経営計画においては、最終年度となる2027年3月期にROE10.0%以上の達成を目標として掲げています。

* 2026年3月期 売上高:72億円
* 2026年3月期 営業利益:1.6億円
* 2026年3月期 経常利益:1.6億円
* 2026年3月期 親会社株主に帰属する当期純利益:1億円

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、パネトーネ種の特長を活かした高付加価値の新製品開発や原材料の見直しに注力しつつ、新たな市場開拓と販路拡大を図る方針です。また、業務プロセスの見直しや適正価格での取引推進により収益力の向上を目指すとともに、食品の安全・安心を支える品質のさらなる向上にも努めています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、労働安全と従業員の生活安定に配慮した健康経営により、活力ある職場づくりを目指しています。女性や若手社員を含む次世代幹部の育成を重要視し、外部研修への派遣等による能力開発を推進しています。また、新卒・中途採用を通じて多様な人材を確保し、ジェンダーや国籍に関わらず能力に応じた管理職登用を行う方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.2歳 18.6年 5,435,967円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 14.2%
男性労働者の育児休業取得率 -
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) -
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) -
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期社員) -


※男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異については、同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 食品の安全性について


製品の欠陥や異物混入等により大規模な製品回収や製造物責任が発生した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。同社はFSSC22000に基づく品質管理体制を構築し、対応マニュアルの整備や保険の付保を行っていますが、食の安全・安心に対する消費者の関心は高く、対応を誤れば企業存続に関わるダメージとなります。

(2) 製品の供給体制について


同社製品は本社工場のみで製造し全国へ販売しているため、自然災害や事故等により本社工場が被災し操業停止となった場合、製品供給が全面的に停止するリスクがあります。想定を超える災害等が発生した場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 原材料の調達及び価格変動について


小麦粉、油脂、卵などの原材料価格は、天候不順による収穫量減少や需要増、原油価格上昇等の影響を受け変動します。また、ロングライフパン特有の原材料を使用しているため、仕入先の経営破綻等により調達困難となる可能性もあります。これらの要因による調達不能や価格高騰は業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。