※本記事は、小松マテーレ株式会社 の有価証券報告書(第113期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 小松マテーレってどんな会社?
化学素材メーカーとして、ファッションから資材まで幅広い分野で高機能・高感度な素材を提供する企業です。
■(1) 会社概要
1943年に小松織物精練染工として設立され、1961年に合繊織物の染色・捺染加工を開始しました。1978年に東京証券取引所市場第二部に上場し、1980年には同第一部銘柄に指定されています。2018年には現在の社名である小松マテーレに変更し、化学素材メーカーとしてのブランド確立を図っています。
連結従業員数は1,203名、単体では835名です。筆頭株主は事業上の取引関係がある東レで、第2位は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行、第3位は投資ファンドのTHE SFP VALUE REALIZATION MASTER FUND LTD.となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 東レ | 9.42% |
| 日本マスタートラスト信託銀行 | 8.96% |
| THE SFP VALUE REALIZATION MASTER FUND LTD. | 8.88% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性1名、計12名で構成され、女性役員比率は8.0%です。代表取締役社長は中山大輔氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 中山 大輔 | 代表取締役社長 | 1992年同社入社。国際営業部長、市場開拓室長などを経て、2014年常務取締役、2019年専務取締役。2023年代表取締役専務を経て、2024年6月より現職。 |
| 佐々木 久衛 | 代表取締役会長 | 1977年東レ入社。同社取締役、常任理事などを歴任。2020年同社入社、経営企画室長、代表取締役社長を経て、2024年6月より現職。 |
| 米谷 俊泰 | 常務取締役生産本部長 | 1991年同社入社。2009年執行役員。小松美特料(蘇州)貿易有限公司董事長などを経て、2023年取締役。2024年6月より現職。 |
| 小川 直人 | 常務取締役技術開発本部長 | 1982年倉庫精練入社、同社代表取締役社長を歴任。2016年同社顧問。コマクソン代表取締役社長などを経て、2020年6月より現職。 |
| 松尾 千洋 | 取締役 | 1992年同社入社。工場長、執行役員などを歴任。2018年取締役、2019年常務取締役を経て、2024年6月より現職。 |
社外取締役は、大西洋(日本空港ビルデング取締役副社長)、山下修二(小松製作所技術顧問)、堀内節郎(弁護士)、西村友伸(東レテキスタイル事業部門長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「繊維事業」および「その他の事業」を展開しています。
■(1) 繊維事業
衣料ファブリック、資材ファブリック、および関連製品の企画・開発・製造・販売を行っています。ファッション衣料向けの高感性・高機能素材に加え、車両内装材や生活関連資材、さらには環境配慮型素材など、多岐にわたる化学素材を提供しています。
収益は、主に顧客への製品販売や染色加工サービスの対価として得ています。運営は、主に小松マテーレが合繊・薄膜ファブリックを手掛け、子会社のコマクソンがナイロン素材や自動車内装材、吉田産業がニット製品、エヌエスケーエコーマークがマークデザイン製作等を担っています。
■(2) その他の事業
繊維事業以外の周辺事業として、製品の保管・輸送等の物流サービスや、環境関連商品の販売、建設関連事業などを展開しています。グループ全体の効率化やシナジー創出を支援する役割も担っています。
収益は、主に物流サービスや商品の販売対価から得ています。運営は、物流分野をコマツインターリンクが担当し、環境関連商品の販売をインターリンク金沢が行っています。また、関連会社のトーケンが総合建設業を営んでいます。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は直近5期間において増加傾向にあり、特に当期は過去最高水準の売上規模に達しています。利益面では、エネルギー価格高騰等の影響を受けつつも回復基調にあり、当期は経常利益、当期純利益ともに前期を上回り、増収増益を達成しました。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 300億円 | 314億円 | 354億円 | 367億円 | 395億円 |
| 経常利益 | 19億円 | 22億円 | 17億円 | 26億円 | 28億円 |
| 利益率(%) | 6.4% | 6.8% | 4.7% | 7.2% | 7.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 18億円 | 22億円 | 11億円 | 18億円 | 29億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い売上総利益も増加し、利益率も改善しています。販売費及び一般管理費は増加しましたが、増収効果により営業利益率は前年を上回る水準となりました。全体として収益性が向上していることが読み取れます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 367億円 | 395億円 |
| 売上総利益 | 73億円 | 84億円 |
| 売上総利益率(%) | 19.8% | 21.2% |
| 営業利益 | 19億円 | 22億円 |
| 営業利益率(%) | 5.1% | 5.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が16億円(構成比25.2%)、試験研究費が6億円(同10.5%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の繊維事業が増収増益となり、全社業績を牽引しました。衣料ファブリック部門において北米ファッションや中東民族衣装向けが好調だったほか、国内向けファッションも増加しました。その他の事業は売上が微減となりましたが、利益面では前年並みを維持しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 繊維事業 | 361億円 | 390億円 | 18億円 | 21億円 | 5.4% |
| その他の事業 | 5億円 | 5億円 | 0.8億円 | 0.8億円 | 15.3% |
| 調整額 | -19億円 | -20億円 | 0.1億円 | 0.1億円 | - |
| 連結(合計) | 367億円 | 395億円 | 19億円 | 22億円 | 5.5% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
小松マテーレのキャッシュ・フローの状況についてご説明します。
営業活動によるキャッシュ・フローは増加しており、これは主に事業活動から生み出される資金が堅調であることを示しています。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは大きく減少しており、これは有価証券の取得や固定資産への投資を積極的に行っているためです。財務活動によるキャッシュ・フローも減少しており、これは配当金の支払いなどが主な要因となっています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 31億円 | 48億円 |
| 投資CF | -2億円 | -57億円 |
| 財務CF | -9億円 | -13億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「小松マテーレは人々の感動を創造します。」「小松マテーレは地球・社会に貢献します。」「小松マテーレは社員と共に成長します。」の三つの理念を掲げています。これらを基に、人々に驚きと感動を与える素材を創造し続ける化学素材メーカーを目指しています。
■(2) 企業文化
“驚き”と“感動”があふれる素材を創造し続ける「化学素材メーカー」を目指す姿勢を重視しています。環境変化をいち早く感知し柔軟に対応するための組織体制の強化や、地球環境保護、人的資本、コンプライアンスを重視した経営を行う文化を持っています。
■(3) 経営計画・目標
中期経営計画「KFW-2026」において、事業領域の拡大と基盤強化を基本方針としています。2026年度までの数値目標として以下を掲げています。
* 売上高:420億円
* 営業利益:25億円
* 営業利益率:6.0%
* 自己資本利益率(ROE):6.0%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
「KFW-2026」に基づき、海外事業の拡大、サステナブル商材の推進、製品事業の推進の3つを重点課題としています。特に海外ではブランド力と実績を活かした新規市場開拓を進め、サステナブル分野では環境配慮型素材群「マテレコ」の拡充を図ります。また、独自製品の付加価値を高め、収益貢献度を向上させる方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「社員と共に成長します」という理念のもと、社員が自己変革に挑戦し、生き生きと能力を発揮できる環境づくりを目指しています。具体的には、階層別研修やOJTを通じた「人材開発」、ワークライフバランスを重視した「柔軟な働き方の推進」、女性活躍や男性育休取得促進などの「多様性・共生・尊重」を優先課題としています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 38.4歳 | 16.1年 | 5,850,065円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 6.1% |
| 男性育児休業取得率 | 18.8% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 70.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 70.3% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 56.2% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、障がい者雇用率(2.3%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 原油価格の変動
合成繊維の加工及び販売を主力とするため、エネルギーコストや原材料が売上原価の大きな割合を占めています。原油価格の高騰により調達コストが上昇し、販売価格への転嫁や生産性向上などの内部努力で吸収できない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 国際的活動及び海外進出
アジア、中東、欧州、北米を中心に海外での生産・販売活動を行っています。政治・経済の不安、法規制の変更、労働争議、テロや戦争による社会的混乱など、予期せぬカントリーリスクが顕在化した場合、経営成績や財務状況に影響を与える可能性があります。
■(3) 自然災害等に関するリスク
国内生産拠点が石川県に集中しているため、同地域での地震や台風などの大規模災害により生産設備が破損した場合、操業停止等の重大な影響が生じる可能性があります。また、世界規模での感染症発生によるサプライチェーンの寸断もリスク要因として認識されています。



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