※本記事は、株式会社フジックス の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
フジックスは、縫い糸、刺しゅう糸、手芸用各種糸の製造販売を主な事業としています。日本、中国を中心としたアジア諸国および欧米諸国市場でグローバルに事業を展開しています。
単体従業員数は99名、連結従業員数は346名です。セグメントは日本、アジアの2つです。
主な国内グループ会社は、FTC(縫い糸の製造・販売)、シオン(縫い糸・刺しゅう糸の販売)、ニットマテリアル(衣料原材料・縫い糸の販売)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
フジックスは、長年にわたり事業を継続している企業であり、安定した環境で働くことを重視する方にとって、その働き方や給与水準は重要な要素となるでしょう。同社グループは、従業員の育成や多様な働き方を支援する方針を掲げ、持続的な企業価値向上を目指しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の長期的なキャリア形成を支援する環境が整っている傾向が見られます。平均勤続年数や平均年齢から、従業員が長く働き続けることができる職場であることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,475,512円 |
| 平均勤続年数 | 23.0年 |
| 平均年齢 | 52.0歳 |
| 単体従業員数 | 99人 |
| 連結従業員数 | 346人 |
| 単体のグループ内比率 | 28.6% |
同社グループは、退職給付制度として確定給付企業年金制度と退職一時金制度を採用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度であり、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。これらの制度は、国内の従業員だけでなく、一部の在外連結子会社の従業員にも適用されています。
退職一時金制度があり、当社のパート従業員及び一部の連結子会社の従業員に採用されています。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
確定給付制度における退職給付債務は7.0億円、年金資産は8.0億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、不透明な事業環境下で企業価値向上を実現するため、事業構造の変化や経営課題に対応できる人材の確保・育成、そして多様な人材が能力を発揮できる環境整備を重要視しています。給与等の決定にあたっては、従業員の役割、責任、職務内容、能力、業績、経営状況、市場水準を総合的に勘案し、適正かつ公正な処遇を行うことを基本方針としています。職務遂行能力や業務への貢献度を適切に反映させ、労働組合との協議を通じて決定しています。
人材育成においては、各年次、職位、職能に応じた研修制度を実施し、継続的な育成に取り組んでいます。また、自律的なキャリア構築を支援するため、資格取得制度も構築されています。社内環境整備では、イノベーション創出の原動力となる多様な個人の掛け合わせを重視し、専門性や経験、感性、価値観のダイバーシティを積極的に取り入れています。労働者不足への対応や生産性向上の観点から、性別や年齢に関係なく多様な人材が活躍できる環境や仕組みを整備し、中途採用も必要に応じて行っています。
具体的には、管理職のマネジメント力養成のための外部研修や、キャリア採用者の定着・能力発揮のモニタリングを実施しています。従業員一人ひとりが働きがいを持って能力を発揮できるよう、ワークライフ・バランスの整備や健康経営への投資、リモート会議等のデジタルツールの活用を通じて、安心して働き続けられる職場環境の整備に努めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男性育児休業取得率および男女賃金差異は、本記事では取得できていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 7.1% |
多様性・登用
提出会社における総合職に占める女性労働者の割合に関する指標です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 総合職に占める女性労働者の割合 | 25.0% |
人材育成・エンゲージメント
提出会社における年次有給休暇の取得率に関する指標です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 年次有給休暇の取得率 | 72.3% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
フジックスグループは、縫い糸、刺しゅう糸、手芸用各種糸の製造販売を主軸に、グローバルに事業を展開しています。日本とアジアを主要な市場とし、多様な顧客層に製品を提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、縫い糸、刺しゅう糸、手芸用各種糸の製造販売を主な事業としています。日本、中国を主とするアジア諸国及び欧米諸国の市場に向けてグローバルな事業活動を行っています。収益は、主にこれらの糸製品の製造販売から得ています。
日本
同セグメントは、フジックス、FTC、シオン、ニットマテリアルが担当しています。縫い糸、刺しゅう糸、手芸用各種糸の製造販売、工業用縫い糸の製造、縫製副資材の卸売、ニット用糸の販売を行っています。収益は、衣料縫製用、手芸用、車両内装用縫い糸、米国ホビー市場向け製品などの販売から得ており、前期と比較して売上高は減少しています。
アジア
同セグメントは、上海富士克制線有限公司、上海新富士克制線有限公司、富士克國際(香港)有限公司、上海福拓線貿易有限公司、常州英富紡織有限公司、FUJIX VIETNAM CO.,LTD.、FUJIX INTERNATIONAL Co.,Ltd.が担当しています。主に工業用縫い糸及び刺しゅう糸の製造販売、縫い糸の撚糸加工を行っています。収益は、中国国内、香港、中国華南地区、アジア諸国、ベトナム、タイ国内の顧客への販売から得ており、前期と比較して売上高は減少しています。為替換算レート変動の影響も受けています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 日本 | 43.8億円 | 43.3億円 |
| アジア | 12.7億円 | 11.4億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は直近5年間で減少傾向にあります。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、直近5年間で損失が続いており、当期も損失となっています。売上高の減少に加えて、製造コストの高止まりや工場操業度の低下などが利益面に影響を与えています。
営業活動によるキャッシュ・フローは継続して流入となっており、本業からのキャッシュ創出は維持されています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 54.2億円 | 57.4億円 | 58.1億円 | 56.5億円 | 54.7億円 |
| 経常利益 | △1.7億円 | △1.2億円 | △6百万円 | △1.0億円 | △1.2億円 |
| 経常利益率 | △3.1% | △2.2% | △0.1% | △1.9% | △2.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △1.6億円 | △1.9億円 | 90百万円 | △1.1億円 | △1.2億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △119.29 | △137.28 | 65.50 | △78.34 | △89.88 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期から横ばいとなっています。一方、従業員1人あたり営業利益は、前期から損失が拡大している状況です。これらの指標は、同社グループの収益体質や組織効率の傾向を示すものとなります。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 15.8百万円 | 15.8百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △0.5百万円 | △0.6百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、本業の収益性において課題を抱えています。しかし、資金の動きを見ると、事業活動による資金流入があり、投資活動による資金も確保されている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は78.7%であり、プライム市場の製造業平均と比較して高い水準を示しています。一方で、ROE(自己資本利益率)は△1.3%とマイナスであり、プライム市場平均を下回る状況です。手元資金である現金及び預金は24.8億円を確保しており、一定の財務的な安定性が見られます。これらの状況は、同社グループの事業継続の基盤を支える要素となっています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 102億円 | 105億円 |
| 自己資本比率 | 79.6% | 78.7% |
| ROE(自己資本利益率) | -1.2% | -1.3% |
| 現金及び預金 | 25.4億円 | 24.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュフローは67百万円の流入となりました。これは、税金等調整前当期純損失や棚卸資産の増加があったものの、減価償却費などの非資金項目や売上債権の減少が寄与しています。投資活動によるキャッシュフローは663百万円の流入となり、定期預金の払戻による収入が主な要因です。財務活動によるキャッシュフローは配当金の支払額により114百万円の流出となりました。これらの結果、フリーキャッシュフローはプラスであり、資金の流動性は確保されている状況です。本業の収益性には課題が見られるものの、資金繰り自体は安定しており、事業継続の基盤を支えています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 144百万円 | 67百万円 |
| 投資CF | △291百万円 | 663百万円 |
| 財務CF | △91百万円 | △114百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △146百万円 | 730百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
環境規制強化と環境負荷軽減への取り組みは、事業継続に影響を与えるリスクとして挙げられています。原材料価格の高騰や消費者の節約志向による消費減退も、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
フジックスは、「誠実」を社是とし、優れた技術とまごころで社会に貢献することを目指す企業グループです。縫い糸、刺しゅう糸、手芸用各種糸の製造・販売を通じて、全てのステークホルダーに長期安定的に貢献することを目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは「誠実」を社是とし、「すぐれた技術とまごころがつくり出す製品を通じて社会に奉仕する」ことを経営理念としています。
ユーザーである縫製業者や刺しゅう業者、手作りホビーを楽しむ人々への価値ある製品とサービスの提供を通して、全てのステークホルダーに長期安定的に貢献できる企業グループを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは「誠実」を社是とし、経営理念として「すぐれた技術とまごころがつくり出す製品を通じて社会に奉仕する」ことを掲げています。持続的社会の構築に向けて、水資源の保全や資源循環など環境負荷の軽減に努める方針です。
人材育成においては、すべての人材が必要なスキルを身につけ能力を最大化させるため、各年次、職位、職能ごとに求められる能力・専門知識の習得を目的とした研修制度を実施しています。また、自律的なキャリア構築を支援する観点から、資格取得制度を構築しています。
社内環境整備では、イノベーション創出の原動力となる多様な個人の掛け合わせを重視し、専門性や経験、感性、価値観といった知識と経験のダイバーシティを積極的に取り込むことを必要と考えています。性別や年齢などに関わらず様々な人材が活躍できる環境や仕組みを整備し、多様な人材が意欲をもって活躍する活力ある組織の構築を推進しています。
従業員一人ひとりが働きがいを持って能力を十分に発揮できる仕組みづくりと、安心して働き続けることができる働きやすい職場環境の整備に努めています。具体的には、管理職のマネジメント力養成、キャリア採用のモニタリング、健康経営への投資、リモート会議等の活用を進めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループの優先的に対処すべき課題は、まず経常損失の解消であり、そのために早期に実施可能な収益改善策を実行していく方針です。
中長期的な課題としては、アジア各国や関連業界からの環境負荷軽減への要請に対応し、製品仕様や原料の見直し等により環境負荷軽減に努めることを挙げています。国内事業においては、国内連結子会社3社を含む国内事業のシナジー効果発揮、連携強化、効率化、収益力維持向上を図るとしています。
手芸及びホビー関連分野では、国内での手芸の「きっかけ」作りに注力し需要を掘り起こすとともに、独自性の高い商品の提案により欧米諸国やアジア各国などへの販売拡大と海外市場シェア拡大を目指しています。また、ライフスタイルの変化や働き方改革の動向を踏まえつつ、将来の賃上げを見据えた業務の効率化や簡素化も目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
フジックスの取締役会は、社内取締役と社外取締役で構成されており、監査等委員会が独立した立場から監査機能を担う体制となっています。これにより、経営の透明性と健全性の確保に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
フジックスの筆頭株主は株式会社FJ興産であり、創業家や関連会社が上位株主として名を連ねる資本構成となっています。これにより、特定の株主グループが経営に一定の影響力を持つ傾向が見られます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 株式会社FJ興産 | 11.52% |
| 藤 井 太 郎 | 6.18% |
| 鈴 木 直 子 | 6.16% |
| 小 原 京 子 | 5.90% |
| 藤 井 一 郎 | 3.28% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性8名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は藤井一郎氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 藤 井 一 郎 | 代表取締役社長 | 1980年4月同社入社、1998年6月同社代表取締役社長より現職。 |
| 松 尾 勇 治 | 常務取締役 管理部長 | 2003年12月同社入社、2020年6月同社常務取締役管理部長より現職。 |
| 藤 井 翔 太 | 常務取締役 経営企画室長 | 2010年4月株式会社京都銀行入行、2015年4月同社入社、2020年6月同社常務取締役経営企画室長より現職。 |
| 上 原 康 裕 | 取締役 生産部長 | 1988年4月同社入社、2020年6月同社取締役生産部長より現職。 |
| 伊 藤 和 夫 | 取締役アパレル資材部長 | 1987年4月同社入社、2023年4月同社取締役アパレル資材部長より現職。 |
社外取締役は、山田善紀氏(税理士法人川嶋総合会計代表社員・監査等委員)、吉田薫氏(吉田薫法律事務所代表・監査等委員)、寺町雅人氏(監査法人京立志社員・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、社外取締役3名全員が監査等委員を務めています。社外取締役は東京証券取引所に独立役員として届け出ており、客観的な視点から取締役の職務執行を監査し、取締役会の監督機能を補完する役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
フジックスの役員報酬は、固定報酬、賞与、退職慰労金で構成されており、業績連動報酬や非金銭報酬は採用されていません。個々の取締役の報酬は、指名報酬委員会が代表取締役の作成した報酬案を審議し、その答申を踏まえて取締役会で決定される仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 60百万円 | 12.0百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 1百万円 | 1.0百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 11百万円 | 3.7百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。また、総額には期中に退任した監査等委員である取締役1名に対する退職慰労金16百万円が含まれています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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