※本記事は、セブン工業株式会社の有価証券報告書(第67期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. セブン工業ってどんな会社?
同社は集成材等を使用した住宅用内装部材および構造部材の生産販売を主力事業として展開しています。
■(1) 会社概要
同社は1961年に丸七白川口市売木材として設立され、木材市売業を開始しました。その後、集成材の生産を本格化し、1990年に現在のセブン工業へと商号を変更しています。1991年に名古屋証券取引所市場第二部、2000年に東京証券取引所市場第二部へ上場を果たしました。直近の2026年には、集成材製造を手掛ける山口工業を完全子会社化し、事業領域の強化を図っています。
現在の従業員数は単体で376名です。大株主の状況を見ると、筆頭株主は住宅建築資材の製造・販売等を手掛ける都築木材で、第2位は木材卸売や林業経営を行う西垣林業、第3位はセブン工業社員持株会となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 都築木材 | 40.13% |
| 西垣林業 | 10.12% |
| セブン工業社員持株会 | 3.02% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性0名の計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役 社長執行役員は木下浩一氏が務め、取締役における社外取締役の比率は50.0%となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 木下 浩一 | 代表取締役 社長執行役員 | 1983年三菱商事入社。米国ロサンゼルス支店長等を経て2020年に同社顧問、同年代表取締役社長に就任。2021年より現職。 |
| 都築 寛明 | 取締役会長 | 1978年都築木材入社。同社代表取締役社長を経て、2016年に同社取締役会長に就任し、現職。 |
| 横井 勝 | 取締役 副社長執行役員事業部門統括 | 2002年同社入社。関西営業部長等を経て、2021年に取締役常務執行役員就任。2024年より現職。 |
| 井上 聡二 | 取締役 執行役員内装建材事業本部長 | 1986年同社入社。化粧建材部長等を経て、2021年に執行役員内装建材事業本部長および取締役に就任し、現職。 |
社外取締役は、西垣貴文(西垣林業代表取締役副社長)、下平真治(都築木材常務取締役)、吉田靖朗(都築木材常務取締役)、上嶋修一(元ミサワセラミックス常務取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「内装建材事業」「木構造事業」および「その他」の事業を展開しています。
■(1) 内装建材事業
階段、手摺、カウンター、和風造作材、框、洋風造作材などの内装部材の生産および販売を行っています。顧客は主に戸建住宅市場の建築会社や建材メーカーであり、近年では店舗向け什器関連など非住宅分野での新たな需要開拓も進めています。
収益源は、これらの内装部材の販売代金による製品売上です。当事業の運営は同社が主体となって行っています。
■(2) 木構造事業
プレカット加工材や住宅パネルなどの構造部材の生産販売に加え、施設建築や住宅構造躯体の建て方請負いも手掛けています。省施工化のニーズに対応したパネル製品の展開や、非住宅木造建築向けの提案力を強化しています。
収益源は、構造部材の販売代金や工事請負契約に基づく請負代金です。当事業の運営も同社が行っています。
■(3) その他
同社が保有する不動産を活用した事業を展開しています。
収益源は、不動産の賃貸管理に伴う賃貸料収入となります。当事業の運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は150億円から170億円台で推移していますが、足元では資材価格の高騰や住宅市場の低迷に伴う価格競争の激化により、利益面での苦戦が目立ちます。直近の当期は売上高が増加したものの、設備投資の稼働調整や先行投資の負担増が重なり、各利益段階で赤字となる結果となっています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 160億円 | 177億円 | 153億円 | 154億円 | 156億円 |
| 経常利益 | 5億円 | 3億円 | 0.4億円 | 2億円 | -0.6億円 |
| 利益率(%) | 3.0% | 1.9% | 0.3% | 1.2% | -0.4% |
| 当期純利益 | 4億円 | 2億円 | -8億円 | 2億円 | -1億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高は増加したものの、資材価格の高騰や各種費用の増加により、売上総利益は減少傾向にあります。これに加えて運賃や人件費等の経費負担増も影響し、営業利益率は悪化しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 154億円 | 156億円 |
| 売上総利益 | 23億円 | 21億円 |
| 売上総利益率(%) | 14.9% | 13.4% |
| 営業利益 | 2億円 | -0.6億円 |
| 営業利益率(%) | 1.2% | -0.4% |
販売費及び一般管理費のうち、販売運賃が10億円(構成比46%)、給料及び手当が4億円(同21%)を占めています。
■(3) セグメント収益
内装建材事業は、戸建住宅市場の低迷が響き減収減益となりました。一方、木構造事業は非住宅分野の物件獲得等により増収となったものの、主力であるプレカット事業の価格競争激化や設備投資負担により、利益面では赤字へと転落しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 内装建材事業 | 84億円 | 83億円 | 0.1億円 | -0.2億円 | -0.3% |
| 木構造事業 | 70億円 | 73億円 | 1.6億円 | -0.4億円 | -0.5% |
| その他 | 0.1億円 | 0.1億円 | 0.1億円 | - | - |
| 連結(合計) | 154億円 | 156億円 | 2億円 | -0.6億円 | -0.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
勝負型
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 3億円 | -3億円 |
| 投資CF | -5億円 | -7億円 |
| 財務CF | 2億円 | 5億円 |
企業の財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は55.7%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「真実と努力」及び「行持報恩」を基本理念とし、常に真理に則った誠実な行動を実践するとともに、公正性と透明性を重んじる企業倫理に基づいた事業活動を通じて、あらゆるステークホルダーから信頼される企業価値の創造と発展を目指しています。
■(2) 企業文化
品質方針に「お客様へ最大の満足と安心を提供する」を掲げ、顧客ニーズを的確かつ迅速に捉え、快適で付加価値の高い製品・サービスを創出し続けています。また、環境方針として「地球環境との共生」を定め、環境配慮型の事業展開を積極的に推進しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、売上高営業利益率及びROE(株主資本利益率)を、経営上の重要指標として位置付けており、安定的かつ持続的な成長の実現を目指しています。
* 売上高営業利益率:3.0%
* ROE:5.0%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
非住宅分野での木材需要拡大や「ウッドファースト」の潮流が加速するなか、大工職人の減少による省施工化ニーズの高まりを好機と捉えています。非住宅建築向けの提案力を強化し、パネル事業を核とした省施工化ソリューションを積極的に展開するとともに、両領域のシナジー創出を推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
向上心と挑戦意欲の醸成、高い倫理観の涵養を人事施策の根幹に据え、「seven philosophy(社員手帳)」により全従業員に価値観の共有・浸透を図っています。人材育成では階層別研修を通じた次世代リーダーの育成に取り組み、採用においては人物本位の公正な選考と多様な人材の確保を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 42.5歳 | 16.1年 | 5,440,722円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | 50.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 80.1% |
| 男女賃金差異(正規) | 73.6% |
| 男女賃金差異(非正規) | 91.5% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性労働者の上位職への昇進率(5.3%)、年次有給休暇の平均取得率(57.5%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 住宅着工の動向による業績への影響
主力の住宅用木質部材は、木造住宅の着工戸数に直接的な影響を受けます。少子高齢化に伴う市場の縮小や、各種資材価格の高騰、住宅価格の上昇による消費マインドの減退が重なることで、収益が圧迫されるリスクがあります。
■(2) 海外調達における為替・価格変動
資材調達における海外依存度が高いため、国際的な需給バランスや為替相場の変動による影響を強く受けます。同社は東南アジア等で独自の調達体制を確立し、新規サプライヤーの開拓や国産材の活用拡大によってリスク分散に努めています。
■(3) 製品の欠陥に関する製造物責任
木材の経年変化や環境条件による不具合が発生し、住宅の構造体に関わる部材で重大な欠陥が認められた場合、是正費用の発生や信用低下を招き、業績および事業運営に重大な影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 自然災害等の事業継続リスク
主力工場が岐阜県東部に集中しており、河川氾濫や地震等の自然災害リスクを抱えています。大規模災害によって設備が滅失し、操業が停止した場合、事業運営および業績に重大な影響を与える懸念があります。



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