セブン工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

セブン工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード、名証メインに上場する木質建材メーカーです。集成材を用いた住宅部材の製造販売を主力とし、内装建材と木構造事業を展開しています。直近決算では、販売価格適正化や生産性向上が奏功し、売上高は1.0%増、経常利益は341.1%増と大幅な増益を達成、最終黒字化を果たしました。


※本記事は、株式会社セブン工業 の有価証券報告書(第66期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. セブン工業ってどんな会社?


集成材を用いた階段・カウンターなどの内装建材や、プレカット加工材などの構造部材を製造・販売する企業です。

(1) 会社概要


1961年に丸七白川口市売木材として設立され、木材市売業を開始しました。1976年に集成材部門の営業権を譲り受け、現在の事業基盤となる生産を開始しています。1990年に現社名であるセブン工業へ商号を変更し、翌1991年に名古屋証券取引所市場第二部に上場しました。2000年には東京証券取引所市場第二部にも上場を果たしています。

同社(単体)の従業員数は378名です。筆頭株主は住宅建築資材の製造販売を行う都築木材で、第2位は木材卸売業を営む西垣林業です。第3位には同社の社員持株会が名を連ねており、業界関連企業との結びつきが強い資本構成となっています。

氏名 持株比率
都築木材 40.12%
西垣林業 10.12%
セブン工業社員持株会 2.93%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性0名の計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役 社長執行役員は木下浩一氏が務めています。社外取締役比率は36.4%です。

氏名 役職 主な経歴
木下 浩一 代表取締役 社長執行役員 三菱商事入社後、米国三菱商事会社ロサンゼルス支店長、三菱商事建材常務執行役員などを経て、2020年4月に同社顧問に就任。同6月より現職。
都築 寛明 取締役会長 都築木材入社後、同社取締役、代表取締役副社長を経て、2012年4月より同社代表取締役社長(現任)。2016年6月より現職。
横井 勝 取締役 副社長執行役員事業部門統括 2002年に同社入社。プレカット部長、木構造建材事業本部長、製造部長などを歴任。2024年4月より現職。
井上 聡二 取締役 執行役員内装建材事業本部長 1986年に同社入社。内装建材部長、製造部長などを経て、2021年4月より執行役員内装建材事業本部長。同6月より現職。


社外取締役は、西垣貴文(西垣林業代表取締役副社長)、下平真治(都築木材常務取締役)、吉田靖朗(都築木材常務取締役)、上嶋修一(元ミサワセラミックス常務)です。

2. 事業内容


同社グループは、「内装建材事業」「木構造事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 内装建材事業

階段、手摺、カウンター、和風造作材、框、洋風造作材などの内装部材を製造・販売しています。主な顧客は住宅メーカーや建材商社などであり、住空間を構成する多様な木質製品を提供しています。

収益は、顧客に対する製品販売の対価として得ています。国内販売においては主に出荷時に収益を認識しています。運営は主に同社が行っています。

(2) 木構造事業

プレカット加工材や住宅パネルなどの構造部材の製造・販売を行うほか、施設建築や住宅構造躯体の建て方請負も手掛けています。非住宅分野における木造化需要にも対応しています。

収益は、製品の販売代金および工事請負契約に基づく対価から構成されます。工事請負については、進捗度に応じて一定期間にわたり収益を認識する場合があります。運営は主に同社が行っています。

(3) その他

報告セグメントに含まれない事業として、不動産の賃貸管理を行っています。

収益は、保有する不動産の賃貸料などから得ています。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は150億円から170億円台で推移しています。利益面では、2024年3月期に当期純損失を計上しましたが、2025年3月期には黒字に回復しました。利益率は低水準ながらも改善傾向にあります。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 127億円 160億円 177億円 153億円 154億円
経常利益 2.2億円 4.8億円 3.3億円 0.4億円 1.9億円
利益率(%) 1.7% 3.0% 1.9% 0.3% 1.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 2.8億円 3.6億円 2.3億円 -7.8億円 1.8億円

(2) 損益計算書


売上高は微増ですが、売上総利益が増加しており、収益性の改善が見られます。営業利益は前期の約0.4億円から当期は1.8億円へと大きく伸長しました。原価低減や生産性向上の取り組みが利益率の向上に寄与していることが読み取れます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 153億円 154億円
売上総利益 21億円 23億円
売上総利益率(%) 14.0% 14.9%
営業利益 0.4億円 1.8億円
営業利益率(%) 0.2% 1.2%


販売費及び一般管理費のうち、販売運賃が9.6億円(構成比46%)、給料及び手当が4.4億円(同21%)を占めています。売上原価においては、材料費が89億円(構成比70%)、労務費が22億円(同17%)を占めており、材料費の比率が高い構造となっています。

(3) セグメント収益


内装建材事業は減収となったものの、収益体質改善により黒字転換しました。一方、木構造事業は増収を確保しましたが、資材価格高騰や価格競争激化の影響で減益となりました。全社としては内装建材事業の利益改善が寄与しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
内装建材事業 85億円 84億円 -1.8億円 0.1億円 0.2%
木構造事業 67億円 70億円 2.2億円 1.6億円 2.3%
その他 0.1億円 0.1億円 0.1億円 0.1億円 42.9%
調整額 -0.1億円 -0.1億円 0.1億円 0.1億円 -
連結(合計) 153億円 154億円 0.4億円 1.8億円 1.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

セブン工業のキャッシュ・フローの状況は、営業活動では主に棚卸資産の減少等により資金が増加しました。一方、投資活動では有形固定資産の取得等により資金が使用されました。財務活動では、長期借入による収入があったものの、借入金の返済や配当金の支払いにより資金が使用されました。これらの結果、当事業年度末の現金及び現金同等物は増加しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 8.8億円 3.3億円
投資CF -2.3億円 -5.1億円
財務CF -3.0億円 2.4億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「真実と努力」および「行持報恩」を基本理念としています。真理に則った誠実な行動と、公正性・透明性を重視した企業倫理に基づく活動を通じて、全てのステークホルダーから信頼を得られる事業の創生・構築を目指すことを基本姿勢としています。

(2) 企業文化


品質方針として「顧客に最大の満足と安心」を掲げ、顧客ニーズに迅速かつ的確に対応する商品の創造・供給に努めています。また、「地球環境との共生」を実現するための環境方針を定め、環境配慮型の事業展開を推進しています。これらの活動を通じて、持続的成長が可能な企業体制の確立と企業価値の最大化を図る文化があります。

(3) 経営計画・目標


経営上の重要指標として「売上高営業利益率」および「ROE(株主資本利益率)」を位置付けています。付加価値の高い製品開発や新事業領域の拡充、事業間のシナジー創出などを通じて、安定的かつ持続的な成長を目指しています。

* 売上高営業利益率:3%
* ROE:5%以上

(4) 成長戦略と重点施策


今後は「Change」から「Create」へとフェーズを移行させ、変革の布石を創造へと転換させる方針です。具体的には、非住宅建築分野における提案力強化を通じた木造化領域の拡大や新市場の開拓に取り組むほか、パネル事業を中心としたユニット化による新商品開発、完全プレカット階段の拡充など、省施工化への対応を積極的に推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


社会・環境への貢献を企業理念とし、向上心と挑戦意欲、高い倫理観を持つ人材の育成を重視しています。中堅社員や管理職向けの研修による中核人材の育成に加え、風通しの良い企業風土やワーク・ライフ・バランスの推進など、職場環境の整備にも注力しています。また、多様な人材の確保に向けて、休日数の増加や賃金水準の見直し等の待遇改善も進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.3歳 16.3年 5,185,150円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 60.0%
男女賃金差異(全労働者) 77.8%
男女賃金差異(正規) 75.1%
男女賃金差異(非正規) 82.3%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 住宅着工の動向による影響

同社は新築住宅市場向けの製品が売上の大半を占めており、国内の少子高齢化に伴う新設住宅着工戸数の減少傾向が業績に影響を及ぼす可能性があります。市場競争の激化による収益圧迫も懸念されるため、非住宅分野への領域拡充や特注対応力を活かした提案により、特定市場への依存度低減を図っています。

(2) 特定販売先への依存

売上高の相当部分を一部の特定顧客に依存しており、これら顧客の業績動向や経営方針の変更により受注が大幅に減少した場合、業績に重大な影響が生じる可能性があります。また、価格引下げ要請等による利益率低下のリスクもあるため、新規開拓による顧客基盤の分散化を進めています。

(3) 海外調達と為替変動リスク

資材調達において海外依存度が高いため、国際的な需給バランスの変動や為替相場の変動が業績に影響を与える可能性があります。これに対し、ベトナムを中心とした東南アジアでの独自調達体制や国内外のサプライヤーとの協働体制を構築し、国産材の活用拡大も進めることでリスク軽減に努めています。

(4) 災害に対するリスク

主力工場が岐阜県東部に集中しており、当該地域での河川氾濫や土砂災害、東海・東南海地震などの自然災害が発生した場合、操業停止等により業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。防火体制の整備や事業継続計画(BCP)の策定、安否確認システムの導入など、災害への備えを講じています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。