※本記事は、ユタカフーズ株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ユタカフーズは、液体、粉体、チルド食品、即席麺の4部門にわたる食品の製造販売を主な事業としています。特に即席麺は親会社からの受託製造が中心です。
単体従業員数は271名です。セグメントは液体、粉体、チルド食品、即席麺、その他、報告セグメント(共通)の6つです。
ユタカフーズは、液体と粉体の製造販売を自社で行っています。また、液体、粉体、チルド食品、即席麺については親会社からの受託製造も手掛けています。
当事業年度において、同社はチルド新工場の稼働を開始し、経営効率の向上と利益目標の達成に取り組んでいます。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ユタカフーズは、従業員の平均勤続年数が長く、安定した環境でキャリアを築ける可能性のある会社です。人材育成や多様な人材の登用にも力を入れており、長期的な視点での成長を支援する方針が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高い傾向にあります。これは、従業員が長期にわたって安定して働き続けていることを示しており、落ち着いた環境でキャリアを形成したいと考える方にとって魅力的な要素となるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,102,358円 |
| 平均勤続年数 | 16.1年 |
| 平均年齢 | 39.1歳 |
| 単体従業員数 | 271人 |
| 連結従業員数 | - |
| 単体のグループ内比率 | - |
同社は確定給付型の退職給付制度を設けており、確定給付企業年金制度と退職一時金制度があります。この制度は国内の従業員に適用されます。
退職一時金制度も設けられていますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、退職給付債務は16.0億円、年金資産は10.6億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
ユタカフーズは、中期経営計画において「社会と家族(自分)のために自分の力を発揮できる普通の会社」をビジョンに掲げ、持続的な企業価値向上を目指す人材戦略を策定しています。省力化・省人化や従業員の負担軽減による働きやすい環境づくりを進めつつ、次期幹部候補の育成、女性管理職・役職者の積極的な登用、性別に関係なく意欲のある従業員の登用を推進しています。
具体的には、全社員に割り振られた職掌等級制度に基づき給与や賞与を決定しており、年3回の人事評価によって個人の業務成果を反映させています。優秀な人材の獲得と従業員の定着のため、ベースアップを含めた賃上げも継続的に実施しています。
人材育成においては、社内での改善提案活動を通じて個人が自ら考え実行し、知識取得と経験から学ぶことで意識改革とスキル向上を目指しています。多様な人材を育てる目的として、研修や資格取得への積極的な取り組み、部門異動による多能工な人材の成長を促進しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。管理職に占める女性労働者の割合は女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づき、男性労働者の育児休業取得率は育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に基づき算出されています。男女賃金差異の対象期間は2025年度(2025年4月1日~2026年3月31日)です。社員区分に応じて職務内容等が相違しますが、賃金は性別に関係なく社員区分ごとの基準を適用しており、人数、職掌、役職、勤続年数等の違いにより差が生じています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 12.5% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 61.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 61.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 66.1% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性比率 | 12.5% |
育児・介護支援
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 教育制度利用率 | 7.7% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ユタカフーズは、食品の製造販売を主軸とする企業です。液体、粉体、チルド食品、即席麺の4つの部門を展開し、幅広い食品を提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、液体、粉体、チルド食品、即席麺の4つの部門で事業を展開しています。特に即席麺部門では、親会社からの受託製造を主な事業内容としています。
液体
液体部門では、様々な液体の食品を製造・販売しています。受託数の増加により売上高は増加しましたが、原材料費の高騰が影響しセグメント利益は減少しました。
粉体
粉体部門は、顆粒製品の受託が好調に推移しており、売上高とセグメント利益ともに増加に貢献しています。
チルド食品
チルド食品部門では、新工場の稼働を開始し、受託が増加しています。しかし、新工場稼働に伴う減価償却費や諸経費の増加により、セグメント損失を計上しています。
即席麺
即席麺部門は、親会社からの受託製造を主な収益源としています。売上高は前年並みに推移しましたが、セグメント利益は減少しました。
同社は、東洋水産株式会社への販売実績が総販売実績の67.2%を占めており、特定の顧客への収益集中が見られます。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 粉体 | 48.4億円 | 52.3億円 |
| 液体 | 47.3億円 | 50.2億円 |
| 即席麺 | 19.2億円 | 19.4億円 |
| チルド食品 | 18.0億円 | 19.2億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の売上高は増加傾向にありますが、営業利益、経常利益、当期純利益は減少しています。特に営業利益と経常利益は大きく減少する結果となりました。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
ユタカフーズの財務状況は、事業活動や投資活動において資金を使用している状況を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、高い自己資本比率を維持しており、安定した経営基盤を示しています。一方で、ROEはプライム市場平均と比較して低い水準にあり、収益性の改善が課題となっています。手元資金は減少傾向にあり、資金の効率的な活用が求められる状況です。これらの状況は、同社の今後の事業戦略や収益改善の取り組みが、従業員の雇用や給与の安定性に影響を与える可能性を示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 225.0億円 | 230.2億円 |
| 自己資本比率 | 87.4% | 86.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 2.5% | 0.9% |
| 現金及び現金同等物 | 25.3億円 | 3.5億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社の当期のキャッシュフローは、営業活動、投資活動、財務活動のいずれにおいても資金を使用している状況を示しています。本業の稼ぎを示す営業キャッシュフローは、未収消費税等の増減額や法人税等の支払額により資金を使用しました。投資キャッシュフローは、有形固定資産の取得による支出が貸付金の回収による収入を上回り、資金を使用しています。これはチルド新工場の稼働開始など、設備投資を積極的に行っているためと考えられます。財務キャッシュフローは、主に配当金の支払により資金を使用しました。これらの状況は、同社が事業拡大のための投資を継続しつつ、資金の効率的な運用が今後の成長と雇用安定性にとって重要であることを示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 1,408百万円 | △238百万円 |
| 投資CF | △4,123百万円 | △1,658百万円 |
| 財務CF | △278百万円 | △278百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △2,715百万円 | △1,896百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は売上高の6割以上を特定の取引先である東洋水産株式会社に依存しており、東洋水産グループの販売戦略や生産拠点の統廃合により、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、猛暑や冷夏といった天候、原材料価格の高騰、新たな感染症の発生などが、同社の売上高や仕入価格に影響を与えるリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社の調味料事業では、高い知識・技術と経験を持つ人材が不可欠であり、適切な人材の採用や育成ができない場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、国内の生産年齢人口の減少が続く中で、製造現場をはじめとする人材獲得競争の激化や最低賃金の引き上げなどの法改正への対応が、同社の経営成績及び財政状態に影響を与えるリスクがあります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ユタカフーズは、「人・食・味を豊かに社会に貢献する」という経営理念のもと、食を通じて豊かな社会の実現を目指している会社です。品質第一の姿勢を貫き、安心・安全な製品提供を基本とする企業文化を大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ユタカフーズは、「人・食・味を豊に社会に貢献する」ことを経営理念としています。お客様の要求に応える製品を提供し、その企業活動において社会に貢献できる事業活動を推進していく方針です。目標とする経営指標としては、部門別利益管理を重視し、1株当たり当期純利益(EPS)の増加を重点目標としています。中長期的には、自己資本当期純利益率(ROE)や総資産経常利益率(ROA)の向上に努め、より良い資産効率を図ることを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、「人・食・味を豊に」という企業理念のもと、「食」を通じて笑顔が広がる豊かな社会の実現に貢献することを目指しています。品質第一の姿勢を貫き、安心・安全な製品を提供することを基本として品質管理を徹底する企業風土があります。また、企業活動における社会的責任を認識し、環境保全活動やコンプライアンス体制の強化を推進しています。中期経営計画では「社会と家族(自分)のために自分の力を発揮できる普通の会社」をビジョンに掲げ、人材育成と人材登用を重視しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、顧客ニーズの変化に対応した製品開発を行うための研究開発を重視しています。安心・安全な製品を提供することを基本として品質管理を徹底するとともに、人材育成の充実と既存設備の有効活用を推し進めることを課題としています。効率的な生産・物流体制の構築と業務改善の徹底も重点テーマです。また、気候変動を重要な経営課題と捉え、廃棄物の削減や省エネ活動の推進、自然エネルギーの導入などに取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ユタカフーズは監査役設置会社であり、監査役および監査役会による経営監視体制を構築しています。取締役会は社外取締役を含む構成で運営されています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ユタカフーズの筆頭株主は東洋水産であり、同社はユタカフーズの親会社として経営に影響力を持っています。同社は東洋水産グループの一員として、グループ運営の方針を尊重しつつ、自律的な内部統制システムの整備を進めています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 東洋水産 | 50.86% |
| VASANTA MASTER FUND PTE. LTD.(常任代理人 みずほ銀行決済営業部) | 4.89% |
| 榎本武平商店 | 3.02% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性6名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は橋本淳氏が務めています。社外取締役比率は0.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 橋本 淳 | 代表取締役社長 | 1989年4月東洋水産株式会社入社。2007年6月株式会社酒悦取締役に就任、2011年4月同社酒悦代表取締役社長に就任。2015年6月同社代表取締役専務に就任、2016年6月同社代表取締役社長に就任より現職。 |
| 山本 芳明 | 取締役 | 1982年4月東洋水産株式会社入社。2010年7月マルチャン,INC.工場長。2013年3月東洋水産株式会社工務部長に就任。2022年3月同社本社工場長に就任より現職。2024年6月同社取締役に就任より現職。 |
| 大茂 為継 | 取締役 | 1992年9月株式会社マルモ入社。2001年6月同社取締役に就任、2003年6月同社代表取締役専務に就任、2005年7月同社代表取締役社長に就任より現職。2014年6月同社取締役に就任より現職。 |
| 日野 恵美子 | 取締役 | 2011年4月福山大学経済学部講師。2014年4月同大学同学部准教授。2017年4月愛知淑徳大学ビジネス学部准教授。2023年6月同社取締役に就任より現職。2025年4月愛知淑徳大学ビジネス学部教授より現職。 |
社外取締役は、大茂為継氏(マルモ代表取締役社長)、日野恵美子氏(愛知淑徳大学ビジネス学部教授)です。
同社は監査役設置会社であり、監査役会による経営監視体制を構築しています。社外取締役は、一般株主との利益相反が生じるおそれのない立場で取締役会に参画し、経営の健全性と透明性の向上を監督する役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ユタカフーズの役員報酬は、基本報酬、賞与、退職慰労金で構成されています。基本報酬は株主総会で決議された限度額内で各役員の貢献度に基づいて決定され、賞与は同社の経常利益に基づいて算定されます。社外取締役の報酬は業務執行から独立した立場を考慮し、基本報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 2名 | 33百万円 | 16.5百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 11百万円 | 11.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 12百万円 | 3.0百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。