ユタカフーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ユタカフーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード・名証メイン上場の食品メーカーです。東洋水産グループの一員として、液体・粉体調味料やチルド食品、即席麺の製造を行っています。2025年3月期の売上高は145億円(前期比4.7%増)、経常利益は8億円(同14.8%増)と、主力事業の受託増により増収増益で着地しました。


#記事タイトル:ユタカフーズ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、ユタカフーズ株式会社 の有価証券報告書(第85期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ユタカフーズってどんな会社?


東洋水産グループの中核生産拠点として、液体・粉体調味料や即席麺、チルド食品の製造を担う企業です。

(1) 会社概要


同社は1919年に創業した山二製材工場を起源とし、1952年に豊産業へ商号変更して醸造業へ転換しました。1961年に名古屋証券取引所市場第二部へ上場し、1976年より東洋水産の経営参加を得て受託製造を開始しています。1997年に現在のユタカフーズへ商号変更し、2000年には東京証券取引所市場第二部へ上場しました。

同社グループは連結子会社を持たない単体企業で、従業員数は278名です。筆頭株主は親会社であり即席麺大手の東洋水産(50.86%)です。第2位は外国法人のバスアンタ・マスター・ファンド(4.82%)、第3位は榎本武平商店(3.02%)となっています。

氏名 持株比率
東洋水産 50.86%
VASANTA MASTER FUND PTE. LTD. 4.82%
榎本武平商店 3.02%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は橋本淳氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
橋本淳 代表取締役社長 1989年東洋水産入社。酒悦代表取締役社長、同社代表取締役専務を経て、2016年6月より現職。
山本芳明 取締役 1982年東洋水産入社。同社関西事業部関西工場長、焼津工場長等を経て、2024年6月より現職。


社外取締役は、大茂為継(マルモ代表取締役社長)、日野恵美子(愛知淑徳大学ビジネス学部教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「液体」「粉体」「チルド食品」「即席麺」の4つの報告セグメントおよび「その他」事業を展開しています。

(1) 液体事業


「うなぎのたれ」「つゆ」「白だし」などの液体調味料を製造・販売しています。1952年からの醸造業のノウハウを活かした自社製品のほか、東洋水産向けの液体スープ等の受託製造も行っています。

収益は、自社製品の販売による対価および親会社からの受託加工賃等から構成されています。運営は主にユタカフーズが行っています。

(2) 粉体事業


粉末スープ、顆粒製品、機能性食品などを製造・販売しています。鳥取工場に事業を集約し、製販一体の体制を構築しています。自社開発製品に加え、顧客ニーズに合わせた受託製造も展開しています。

収益は、製品の販売による対価および親会社からの受託加工賃等から構成されています。運営は主にユタカフーズが行っています。

(3) チルド食品事業


焼そばや生ラーメンなどのチルド麺を製造しています。東洋水産グループの中部地区における生産拠点として重要な役割を担っており、主に親会社からの受託製造を行っています。

収益は、親会社等からの受託加工賃等から構成されています。運営は主にユタカフーズが行っています。

(4) 即席麺事業


袋入り即席麺やカップ麺などを製造しています。東洋水産グループの主力製品の一部を生産しており、親会社からの受託製造が中心です。

収益は、親会社からの受託加工賃等から構成されています。運営は主にユタカフーズが行っています。

(5) その他


報告セグメントに含まれない事業として、冷凍魚などの水産物の仕入・販売を行っています。

収益は、商品の販売による対価から構成されています。運営は主にユタカフーズが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は137億円で底を打ち、その後は回復傾向にあり最新期では145億円となっています。経常利益は原材料価格高騰等の影響を受け変動していますが、直近では8億円まで回復しました。当期純利益も増益基調にあります。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 153億円 150億円 137億円 138億円 145億円
経常利益 15億円 15億円 10億円 7億円 8億円
利益率(%) 9.7% 9.7% 7.4% 5.0% 5.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 10億円 10億円 7億円 5億円 6億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、売上総利益も増加しました。売上原価率は約90%と高い水準で推移していますが、増収効果により利益額は拡大しています。営業利益率も改善傾向にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 138億円 145億円
売上総利益 14億円 15億円
売上総利益率(%) 10.3% 10.3%
営業利益 6億円 7億円
営業利益率(%) 4.2% 4.7%


販売費及び一般管理費のうち、運送費及び保管費が3億円(構成比35%)、その他が2億円(同26%)を占めています。売上原価においては、原材料費が76億円(構成比65%)、経費が24億円(同20%)を占めています。

(3) セグメント収益


全セグメントで売上高は堅調に推移しました。特に液体事業は受託数の増加により大幅な増益となりました。即席麺事業も増収増益を達成しています。一方、粉体事業は増収ながらも減益、その他事業は減収減益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
液体 43億円 47億円 0.5億円 1億円 2.7%
粉体 47億円 48億円 2億円 2億円 4.3%
チルド食品 18億円 18億円 2億円 2億円 13.5%
即席麺 18億円 19億円 0.6億円 0.9億円 4.7%
その他 12億円 12億円 0.1億円 0.1億円 1.1%
連結(合計) 138億円 145億円 6億円 7億円 4.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ユタカフーズは、営業活動により多くの資金を生み出し、事業の成長を支えています。投資活動では、将来の事業基盤強化に向けた設備投資等が行われました。財務活動では、株主への還元等が行われました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 9億円 14億円
投資CF -44億円 -41億円
財務CF -3億円 -3億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「人・食・味を豊に社会に貢献する」ことを経営理念として掲げています。顧客の要求に応える製品を提供し、企業活動を通じて社会に貢献できる事業活動を推進することを基本方針としています。

(2) 企業文化


品質第一の姿勢を貫き、安心・安全な製品を提供することを基本としています。また、親会社である東洋水産グループの運営方針を尊重しつつ、自律的な内部統制システムを整備し、法令遵守や環境保全活動にも積極的に取り組む姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


部門別利益管理を重視し、各部門の利益率向上による売上高の追求だけでなく、1株当たり当期純利益(EPS)の増加を重点目標としています。中長期的には自己資本当期純利益率(ROE)や総資産経常利益率(ROA)の向上に努め、資産効率の改善を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


即席麺やチルド食品については、東洋水産と協力し新製品開発や受託量の拡大を図ります。特にチルド新工場の稼働により経営基盤の強化を目指します。自社開発主体の液体・粉体分野は戦略分野と位置づけ、研究開発の強化や生産体制の整備を進め、自社製品比率の向上と売上拡大に注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「企業は人材である」との観点から、人材育成の充実を重視しています。改善提案活動を通じた個人のスキル向上や、部門異動による多能工化を促進し、次期幹部候補の育成や女性役職者の登用を推進しています。ダイバーシティ推進による人材育成と登用を経営基盤強化の重要事項と位置づけています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 39.1歳 16.5年 5,930,347円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 11.8%
男性育児休業取得率 0%
男女賃金差異(全労働者) 56.8%
男女賃金差異(正規) 57.2%
男女賃金差異(非正規) 72.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、教育制度利用率(10.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定の取引先への依存


同社の売上高の6割以上は親会社である東洋水産向けが占めています。東洋水産グループの販売戦略や生産拠点の統廃合、生産物流体制の再構築などの方針変更があった場合、同社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料価格の高騰等


原材料コストの上昇圧力が強い中、資源・原材料価格の高騰や為替相場の変動、不安定な国際情勢などが経営環境に影響を与えています。これら外部要因によるコスト増が、同社の業績に悪影響を与える可能性があります。

(3) 食品の安全性と品質管理


製品のクレームや回収が発生しない保証はなく、万が一大規模なクレームや食の安全に関わる問題が発生した場合、多額のコスト負担や社会的信用の失墜により、業績に重大な影響を与える可能性があります。また、自然災害や感染症等による生産への影響もリスク要因です。

(4) 人的資源の確保


調味料事業における味覚・嗅覚に依存する技術や、製造現場での労働力の確保が重要です。生産年齢人口の減少や人材獲得競争の激化により、必要な質の高い人材を計画通りに確保・育成できない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。