※本記事は、ブルドックソース株式会社の有価証券報告書(第101期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ブルドックソースってどんな会社?
ブルドックソースは、家庭用・業務用のソース類を中心に製造販売を手掛ける老舗食品メーカーです。
■(1) 会社概要
1902年に食料品卸商として創業し、1905年にソースの製造販売を開始しました。1926年に製造部門を分離して会社を設立し、1973年に株式を上場しています。近年は、2005年にイカリソースの営業譲受け、2019年にサンフーズを子会社化し、中国の上海に現地法人を設立するなど事業を拡大しています。
現在の従業員数は、連結で282名、単体で199名となっています。大株主の構成を見ると、筆頭株主は資産管理業務などを行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位は事業会社の興和、第3位には従業員持株会であるブルドック持株会が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 6.22% |
| 興和 | 5.64% |
| ブルドック持株会 | 4.46% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は29.0%です。代表取締役社長執行役員は石垣幸俊氏が務めています。また、社外取締役は3名在籍しています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 石垣幸俊 | 代表取締役社長執行役員 | 1978年同社入社。マーケティング室長等を経て、2005年に取締役およびイカリソース代表取締役社長に就任。その後、2020年より現職。 |
| 佐伯舞 | 取締役専務執行役員 | 1995年同社入社。マーケティング部長、執行役員商品企画部担当、執行役員経営企画室長などを経て、2026年より現職。 |
| 武市雅之 | 取締役常務執行役員 | 1989年同社入社。量販支店長等を経て2019年にサンフーズ代表取締役社長に就任。2023年より現職、イカリソース代表取締役会長も務める。 |
社外取締役は、宮園伸吾(宮園会計事務所開設代表)、石川博康(アーク法律事務所開設代表弁護士)、永島惠津子(公認会計士永島会計事務所開設代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、ソース類の製造販売を単一セグメントとして事業を展開しています。
■(1) 家庭用・業務用ソース
主力商品であるウスター、中濃、とんかつソースを中心とした家庭用ソースや、お好みソースなどの専用ソースを一般消費者向けに製造販売しています。また、外食市場やスーパーマーケットの惣菜関連、給食向け、さらには加工食品メーカー向けに業務用ソースの提案と提供も行っています。
収益源は、量販店などの小売業者や外食店舗、食品メーカー等への商品販売による代金です。国内市場の基盤として、ブルドックソースが主力製品を製造販売しているほか、イカリソースやサンフーズなどの連結子会社もそれぞれのブランド価値を活かして商品の製造販売を担っています。
■(2) ドレッシング・たれ等および海外事業
ソース領域の拡大として、「&ブルドックドレッシング」シリーズなどのドレッシング類やたれ類、もんじゃ焼材料セットなどの製造販売を行っています。また、海外市場向けには、北米や欧州、アジア・オセアニア地域へ商品の輸出販売を行うほか、中国の現地法人を通じた商品の販売も展開しています。
商品の販売代金が主な収益源です。国内ではブルドックソースを中心に事業を展開し、海外向け輸出事業も同社が推進しています。さらに、中国市場での事業は、連結子会社である富留得客食品(上海)が運営しており、日系企業だけでなく現地の外食店舗や量販向けにも販路を広げています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績推移を見ると、売上高は緩やかながらも着実に拡大を続けており、133億円から147億円規模へと成長しています。利益面では一時的に落ち込む時期があったものの、直近の期間では生産性向上によるコスト削減効果や有形固定資産の売却益計上などが大きく寄与し、経常利益、当期利益ともに大幅な増益を達成して収益性を回復させています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 133億円 | 135億円 | 145億円 | 146億円 | 147億円 |
| 経常利益 | 10億円 | 12億円 | 7億円 | 9億円 | 13億円 |
| 利益率(%) | 7.6% | 9.1% | 4.7% | 5.9% | 9.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 7億円 | 8億円 | 2億円 | 5億円 | 21億円 |
■(2) 損益計算書
売上高が横ばいから微増で推移するなか、売上総利益は約4億円増加し、売上総利益率も29.5%から32.3%へと改善しています。さらに、販売費及び一般管理費を前年並みにコントロールした結果、営業利益は2億円から6億円へと約3倍に拡大し、営業利益率も向上して本業の稼ぐ力が強まっていることがわかります。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 146億円 | 147億円 |
| 売上総利益 | 43億円 | 47億円 |
| 売上総利益率(%) | 29.5% | 32.3% |
| 営業利益 | 2億円 | 6億円 |
| 営業利益率(%) | 1.5% | 4.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給与・賞与が11億円(構成比26%)、発送費が11億円(同26%)を占めています。また、売上原価の内訳では、材料費が48億円(構成比48%)、経費が15億円(同15%)を占めています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CFがプラス、財務CFがマイナスとなっており、営業利益に加えて資産売却等で得た資金を活用し、借入金の返済などを進める「改善型」のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 23億円 | 16億円 |
| 投資CF | 6億円 | 25億円 |
| 財務CF | -25億円 | -19億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.5%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も67.7%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
ブルドックソースは、「幸福感を味わえる商品の提供」を経営理念に掲げています。これは、すべての方が元気に暮らすことを幸福感と捉え、品質を第一に安全・安心・信頼できる企業を目指すものです。さらに、新しい価値を創出し、ホッとするおいしさや今までにない楽しさを提供することで、社会の食の幸せに貢献することを重視しています。
■(2) 企業文化
同社は、「自然の力とおいしさで、食の幸せと健康をサポートする企業を目指します」という企業コンセプトと、「食の幸せのとなりに」という企業スローガンを掲げています。また、社員一人ひとりが食へのこだわりを届けることを価値判断基準(Value)とし、品質を重んじながらも新しい変化に挑戦するプロフェッショナルとしての自律的な成長を促す文化を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
2032年度を最終年度とする長期ビジョン「BGI 2032」を策定し、「世界のSauceを創造するブルドックグループ」を目指しています。また、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて、株主還元の充実や保有株式の削減、成長のための戦略投資を進めており、総還元性向60%を目標に掲げて持続的な企業価値の最大化を図っています。
■(4) 成長戦略と重点施策
成長戦略として、国内戦略、海外戦略、バリューチェーン(VC)戦略の3テーマを推進しています。国内では市場のリーディングカンパニーとして家庭用・業務用商品のシェア拡大を図り、海外では現地の消費者ニーズに応える事業モデルの構築と輸出の拡大に注力しています。さらに、生産性の向上やDXの推進を通じた経営変革により、持続的な成長基盤を強化しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材を資本として捉え、時代の変化に応じて新しい価値を創出できる人材の育成を目指しています。専門人財の育成やリカレント教育によるスキル開発に加え、多様性を尊重して誰もが働きやすい職場環境の整備を進めています。また、若手社員を採用活動に参画させるなど、社内外の知見を融合させて自律的な成長と協働を促す人材戦略を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 43.7歳 | 17.1年 | 5,702,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 22.0% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 70.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 77.1% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 92.3% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 気候変動に伴う影響
脱炭素社会に向けた取り組みなど、気候変動が事業に様々な影響を及ぼす可能性があります。同社グループではTCFDの提言に賛同し、気候変動リスクのシナリオ分析を行うとともに、温室効果ガス排出量の削減や環境配慮型素材の導入など、リスク低減に向けた具体的な対策を推進しています。
■(2) 原材料調達の不安定化と価格高騰
主力商品のソースに使用される野菜果実や香辛料は世界各国から調達しており、中東情勢や円安、エネルギー価格の上昇などが調達コストに影響を与えます。さらに気候変動による供給不足のリスクもあるため、産地や調達先の分散化を図り、安定的に原材料を確保できる体制を構築しています。
■(3) 環境変化やビジネスモデルの変革への対応
デジタル技術の革新や消費者のライフスタイルの変化、競合の台頭など、外部環境の急速な変化への対応が遅れた場合、ブランド価値の低下や競争力の低下を招くリスクがあります。そのため、マーケティング力を強化し、ITを活用した新たな販売手法の開拓やDX化による生産性向上に取り組んでいます。
■(4) サイバー攻撃や情報システム障害
業務の多くをコンピューターシステムで管理しているため、高度化するサイバー攻撃や不正アクセスによるシステム障害、機密情報の流出が発生するリスクがあります。対策として、セキュリティ体制の強化や基幹業務システムのデータセンター委託を行い、インシデント発生時の早期復旧体制を整えています。



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