※本記事は、株式会社ブルドックソースの有価証券報告書(第100期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ブルドックソースってどんな会社?
創業120年超の老舗ソースメーカー。「ブルドック」「イカリ」の2大ブランドで日本の食卓を支えています。
■(1) 会社概要
1902年に食料品卸商三澤屋商店として創業し、1905年にソースの製造販売を開始しました。1926年に製造部門を分離して前身となる会社を設立し、1973年に東証二部へ上場しました。2005年にはイカリソースの営業を譲り受け、東西の有力ブランドを擁する体制を構築。2022年の市場区分見直しによりプライム市場へ移行し、2023年には群馬県に新工場「TATEBAYASHIクリエイションセンター」を稼働させています。
連結従業員数は295名(単体214名)です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位は医薬品・食品等を扱う興和、第3位は従業員持株会となっています。特定の親会社は存在せず、金融機関や事業会社、持株会などが株主として名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 8.19% |
| 興和 | 5.42% |
| ブルドック持株会 | 4.18% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は29.0%です。代表取締役社長執行役員は石垣幸俊氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 石垣 幸俊 | 代表取締役社長執行役員 | 1978年同社入社。マーケティング室長、経営企画室長、イカリソース代表取締役社長等を歴任。2017年より同社代表取締役社長。2020年より現職。 |
| 佐伯 舞 | 取締役専務執行役員 | 1995年同社入社。マーケティング部長、商品企画部長、経営企画室長等を歴任。2025年4月より現職。 |
| 武市 雅之 | 取締役常務執行役員 | 1989年同社入社。広域量販支店長、首都圏販売部長、サンフーズ代表取締役社長等を歴任。2023年6月より現職。 |
| 山本 精一郎 | 取締役(監査等委員) | 1980年同社入社。営業部長、マーケティング部長、常務執行役員等を歴任。2020年6月より現職。 |
社外取締役は、宮園伸吾(公認会計士・税理士)、石川博康(弁護士)、永島惠津子(公認会計士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ソース類」および「その他」事業を展開しています。
■ソース類事業
「ブルドック」「イカリ」ブランドを中心に、ウスターソース、中濃ソース、とんかつソース等のソース類や、たれ、ドレッシング類を製造販売しています。主要顧客は食品卸売業者を通じた小売店や飲食店、食品加工メーカーであり、家庭用から業務用まで幅広く商品を提供しています。近年は海外市場への展開も強化しています。
収益は、製品の販売対価として顧客から受領する売上が主な源泉です。運営は、東日本を基盤とするブルドックソース、西日本を基盤とするイカリソース、広島に拠点を置くサンフーズが行っています。また、中国では富留得客食品(上海)有限公司が製造販売を行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は130億円から140億円台で安定的に推移していますが、利益面では原材料価格高騰や設備投資の影響等により変動が見られます。直近では売上高が微増し、利益率も回復傾向にあります。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 177億円 | 133億円 | 135億円 | 145億円 | 146億円 |
| 経常利益 | 10億円 | 10億円 | 12億円 | 7億円 | 9億円 |
| 利益率(%) | 5.6% | 7.6% | 9.1% | 4.7% | 5.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 6億円 | 7億円 | 8億円 | 2億円 | 6億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は微増しています。売上原価率は約70%前後で推移しており、売上総利益率はほぼ横ばいです。営業利益は増加しており、本業の収益性は改善傾向にあります。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 145億円 | 146億円 |
| 売上総利益 | 44億円 | 43億円 |
| 売上総利益率(%) | 30.3% | 29.5% |
| 営業利益 | 1.6億円 | 2.2億円 |
| 営業利益率(%) | 1.1% | 1.5% |
販売費及び一般管理費のうち、発送費が11億円(構成比27%)、給与・賞与が11億円(同27%)を占めています。
■(3) セグメント収益
「家庭用ソース」は主力商品の大容量タイプが低調で微減となりましたが、「業務用ソース」や「輸出」が伸長し、全体を押し上げました。海外現地法人も売上を伸ばしています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 家庭用ソース | 83億円 | 82億円 |
| 業務用ソース | 37億円 | 40億円 |
| 家庭用(ソース以外)ドレッシング・たれ等 | 13億円 | 12億円 |
| 家庭用(ソース以外)その他 | 6億円 | 5億円 |
| 輸出 | 5億円 | 5億円 |
| 現地法人(上海) | 1億円 | 1億円 |
| 連結(合計) | 145億円 | 146億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
ブルドックソースは、投資有価証券の売却益を主な要因として、投資活動によるキャッシュ・フローが大幅な収入に転じました。営業活動によるキャッシュ・フローは、堅調な利益創出により大きく増加し、事業の健全性を示しています。一方で、財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済や自己株式の取得により支出となりました。これらの活動の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は増加しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.9億円 | 23億円 |
| 投資CF | -41億円 | 6億円 |
| 財務CF | 0.3億円 | -25億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「幸福感を味わえる商品の提供」を経営理念としています。幸福感とはすべての方が元気に暮らすことであると考え、品質第一の「安全・安心・信頼」できる企業を目指すとともに、新しい価値を創出し、ホッとするおいしさと今までにない楽しさを提供することを志向しています。また、企業スローガンとして「食の幸せのとなりに」を掲げています。
■(2) 企業文化
同社は、社員一人ひとりの価値判断基準(Value)として「ひとりひとりに食のこだわりを届ける」を定めています。また、「おいしさを届ける」「安全・安心を届ける」「高品質を届ける」の3点をグループの揺るぎない価値とし、これらを基盤として社会・経済・環境の課題解決に取り組む姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
2032年度を最終年度とする長期ビジョン「BGI 2032」を策定し、「Sauce」を極める世界ブランドへの成長を目指しています。その実現に向けた第11次中期経営計画「B-Challenge2025」では、最終年度である2025年度の数値目標を掲げています。
* 売上高:155億円
* 営業利益:4億円
■(4) 成長戦略と重点施策
「国内戦略」「海外戦略」「VC(バリューチェーン)戦略」の3つを基本戦略としています。国内ではブランド特性を活かした商品拡充や業務用市場の開拓を進め、海外ではベトナム等アジア地域への進出モデル確立を目指します。VC戦略では、新工場の生産性向上やDX推進による経営変革に取り組みます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材を「資本」と捉え、時代の変化に応じて新しい価値を創出できる人材の育成を目指しています。教育システムの構築や専門性の強化、リカレント教育により社員の自律的な成長を支援するとともに、DXやグローバル対応のための専門人材採用を強化しています。また、多様性を尊重し、誰もが働きがいを持って活躍できる職場環境の整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 43.0歳 | 17.0年 | 5,595,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 19.6% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 68.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 76.0% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 82.8% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) TCFDに基づいた気候変動についてのリスク
気候変動による原料農産物の収穫量減少や品質低下、異常気象による工場の被災などが想定されます。また、脱炭素社会への移行に伴う炭素税の導入やプラスチック規制の強化によるコスト増加のリスクがあります。同社はTCFD提言への賛同を表明し、CO2排出量削減などの対策を進めています。
■(2) 原材料調達についてのリスク
主原料である野菜・果実、香辛料などの価格高騰や調達難のリスクがあります。国際情勢の変化、為替変動、気候変動による不作などが要因となります。同社は産地や調達先の分散化、代替原料の検討などにより、安定調達とコスト抑制に努めています。
■(3) 商品品質についてのリスク
商品の安全性や品質に問題が発生した場合、大規模なリコールやブランドイメージの毀損につながる可能性があります。特に異物混入やアレルギー表示の誤りなどは重大なリスクです。同社は国際的な食品安全規格FSSC22000の認証取得や品質管理体制の強化により、安全・安心な商品提供に取り組んでいます。



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