※本記事は、光フードサービス株式会社 の有価証券報告書(第16期、自 2024年12月1日 至 2025年11月30日、2026年2月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 光フードサービスってどんな会社?
名古屋を本拠地に、10坪程度の小規模店舗で立呑み居酒屋等を展開する飲食企業です。
■(1) 会社概要
2008年に創業者が名古屋市で「立呑み焼きとん大黒」を開店し、2009年に会社を設立しました。「立呑み魚椿」や「横浜家系ラーメン金山家」など業態を広げ、2017年には東京へ進出。2024年2月に東京証券取引所グロース市場および名古屋証券取引所ネクスト市場へ上場を果たしました。
同社の従業員数は単体で189名です(連結子会社なし)。筆頭株主は社長の資産管理会社である株式会社エム・カンパニーで、第2位は社長本人であり、創業家が過半数の株式を保有するオーナー企業としての側面を持ちます。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| エム・カンパニー | 42.34% |
| 大谷 光徳 | 13.31% |
| 中島 翔太 | 6.05% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名、計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は大谷 光徳氏です。社外取締役比率は44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大谷 光徳 | 代表取締役社長 | 名古屋南山を経て2008年個人事業開業。2009年同社設立とともに現職。 |
| 中島 翔太 | 専務取締役事業本部長 | 2009年同社入社。2018年より現職。 |
| 齋藤 寛也 | 取締役居酒屋事業部長 | COLORSを経て2014年同社入社。2018年より現職。 |
| 石田 央 | 取締役管理部長 | 高崎勇一税理士事務所を経て2018年同社入社。2019年より現職。 |
| 近藤 知大 | 取締役経営戦略室長 | ミーツ、ファーストモアを経て2016年同社入社。監査役を経て2020年より現職。 |
社外取締役は、加藤 博康(伸技工業代表取締役)、渡邊 貴志(公認会計士)、藤澤 昌隆(弁護士)、横井 ゆきえ(社会保険労務士)です。
2. 事業内容
同社は、「飲食事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 飲食事業
主力ブランドとして、豚のモツ焼きを提供する「焼きとん大黒」や、天ぷら・刺身を提供する「立呑み魚椿」などを展開しています。10坪程度の小規模物件を活用した立呑みスタイルを特徴とし、リーズナブルな価格設定で日常的に利用できる「サードプレイス」を提供しています。また、ラーメン店「金山家」や焼肉店なども運営しています。
収益は主に、直営店における一般顧客からの飲食代金、およびフランチャイズ加盟店からのロイヤリティ収入や加盟金等から構成されています。また、一部業務委託店からの収入もあります。運営は光フードサービスが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は順調に拡大傾向にあり、直近5期間で着実な成長を遂げています。利益面では、経常利益率が7〜12%程度で推移しており、最終利益もしっかりと確保されています。当期は増収増益となり、過去最高の売上高を更新しました。
| 項目 | 2021年11月期 | 2022年11月期 | 2023年11月期 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 9億円 | 17億円 | 22億円 | 26億円 | 29億円 |
| 経常利益 | 1.1億円 | 1.3億円 | 2.6億円 | 1.9億円 | 2.2億円 |
| 利益率(%) | 12.7% | 7.9% | 11.5% | 7.5% | 7.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.4億円 | 0.6億円 | 2.0億円 | 1.0億円 | 1.0億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間では売上高、売上総利益ともに増加しており、事業規模の拡大が続いています。売上総利益率は73%台と高い水準を維持しています。営業利益についても増加しており、本業の収益性は安定しています。
| 項目 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 26億円 | 29億円 |
| 売上総利益 | 19億円 | 21億円 |
| 売上総利益率(%) | 73.4% | 73.3% |
| 営業利益 | 2.2億円 | 2.3億円 |
| 営業利益率(%) | 8.5% | 7.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が8.0億円(構成比43%)、地代家賃が2.1億円(同11%)を占めています。売上原価においては、材料費が0.9億円(売上原価合計に対し11%)、労務費が0.6億円(同8%)となっています。
■(3) セグメント収益
全区分で売上が伸長しています。特に主力の直営店売上が増加しており、全体の成長を牽引しています。FC売上も増加率が高く、店舗網の拡大が進んでいることがうかがえます。
| 区分 | 売上(2024年11月期) | 売上(2025年11月期) |
|---|---|---|
| 直営店売上 | 24億円 | 27億円 |
| 業務委託売上 | 1.0億円 | 0.8億円 |
| FC売上 | 0.2億円 | 0.3億円 |
| その他 | 0.2億円 | 0.2億円 |
| 連結(合計) | 26億円 | 29億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
光フードサービスは、飲食事業の単一セグメントで事業を展開しています。
同社の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益の計上や減価償却費の計上等により増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻しによる収入が、有形固定資産の取得による支出等を上回ったことで増加に転じました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入が、長期借入金の返済や配当金の支払い等を上回ったことで増加しました。
| 項目 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.1億円 | 2.9億円 |
| 投資CF | -3.1億円 | 0.2億円 |
| 財務CF | 5.3億円 | 0.4億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「ひとつでも多くの笑顔と笑い声に出会いたい」を企業理念として掲げています。「もっと笑顔。もっといい日。」をタグラインとし、日常の些細な笑顔や幸せを集めることを行動原理としています。ビジョンとして「永続・600店舗」を掲げ、最もパブリックな企業を目指しています。
■(2) 企業文化
「10坪のイノベーションを起こす!!」をスローガンとし、10坪という小規模店舗を活用した事業モデルを推進しています。提供価値として、公民館のような身近な存在である「公民感」、安全・清潔・おいしい「安心感」、付加価値による「お得感」、応援者代表としての「特別感」を重視し、365日いつでも気軽に立ち寄れる場の提供を目指しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、既存店の成長と新規出店拡大による安定的かつ持続的な成長を目指しています。具体的な数値目標として以下のKPIを重視しています。
* 既存店成長(年間60回以上来店の常連客数)
* 既存店成長(既存店売上高前年対比)
* 新規出店(直営店店舗数)
■(4) 成長戦略と重点施策
今後の成長に向け、理念に共感する人材の採用と育成を最重要課題とし、店長やスタッフへの教育プログラムを強化します。また、既存エリアに加え新たな地域への出店や、最適な物件の獲得を推進します。さらに、QSC(品質・サービス・清潔さ)の向上や衛生・品質管理の徹底により、既存店売上高の維持向上を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
成長を続けるために優秀な人材の確保が必要不可欠と考え、企業理念に賛同した人材の採用を最重要課題としています。中途採用やスカウト採用に積極的に取り組み、適材適所の配置を行います。また、理念の浸透を重視し、特に店長及び現場スタッフへの教育プログラムを強化することで、店舗運営力の向上を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年11月期 | 29.0歳 | 3.0年 | 4,034,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 22.2% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 74.8% |
| 男女賃金差異(正規) | 84.6% |
| 男女賃金差異(非正規) | 89.0% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、離職率(2023年11月末から4.3%減)、新規採用者の定着率(2023年11月末から12.5%向上)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 人材の確保・育成及び人件費の高騰
事業拡大には優秀な人材の確保と育成が不可欠ですが、少子化による労働人口減少等で人手不足や賃金上昇が社会問題化しています。人材が十分に確保・育成できない場合や、人件費の高騰が長期化した場合には、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 原材料価格の高騰
食材等の原材料価格について、厳正な品質チェックや価格交渉により低減に努めていますが、市場動向の変化等により価格が高騰した場合、同社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
■(3) 衛生管理の強化・徹底
飲食店営業許可を取得し、衛生管理マニュアルに基づき外部業者やエリアマネージャーによるチェックを実施していますが、食中毒などの衛生事故が発生した場合、社会的信用の失墜等により業績に影響を及ぼす可能性があります。



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