オンデック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オンデック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場。M&Aアドバイザリー事業を主力とし、中小企業の事業承継や成長支援を行う。2025年11月期は連結売上高8.6億円、親会社株主に帰属する当期純損失1.5億円となり、赤字を計上。M&A成約件数の伸び悩みや体制強化に伴うコスト負担等が影響し、減益となった。


※本記事は、株式会社オンデック の有価証券報告書(第18期、自 2024年12月1日 至 2025年11月30日、2026年2月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. オンデックってどんな会社?


M&Aアドバイザリー事業を専業とし、中小企業の事業承継や成長支援、再生型M&Aなどを手掛ける企業。

(1) 会社概要


2005年に創業し、2007年に設立されました。2020年に東京証券取引所マザーズへ上場し、2022年の市場区分見直しに伴いグロース市場へ移行しています。2025年にはコンサルティング事業の展開を目的として子会社を設立するなど、業容の拡大を進めています。

同グループの従業員数は連結で57名、単体で57名です。筆頭株主は社長の久保良介氏、第2位は副社長の舩戸雅夫氏で、創業メンバーが主要株主となっています。

氏名 持株比率
久保 良介 29.80%
舩戸 雅夫 29.80%
光通信KK投資事業有限責任組合 6.43%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は久保良介氏です。社外取締役比率は20.0%です。

氏名 役職 主な経歴
久保 良介 代表取締役社長 ジェーシービー、松田産業を経て、2005年にM&A事業を立ち上げ。2007年同社設立とともに代表取締役に就任し、2014年より現職。
舩戸 雅夫 代表取締役副社長提携推進部マネージングディレクター ジェーシービー、大西賢を経て、2005年にM&A事業を立ち上げ。同社設立時より代表取締役を務め、2014年副社長に就任。2024年より現職。
山中 大輔 取締役M&Aアドバイザリー本部本部長 大和証券、ソフトバンク・インベストメント(現SBIインベストメント)を経て、2015年同社入社。東京オフィス長などを歴任し、2025年より現職。
岸本 義友 取締役経営管理部兼事業推進部マネージングディレクター エスユーエス取締役、エンリッション執行役員などを経て、2025年同社入社。執行役員を経て、2026年より現職。


社外取締役は、山根太郎(ミラタップ代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「M&Aアドバイザリー事業」および「その他」事業を展開しています。

**M&Aアドバイザリー事業**
国内中小企業を主な対象として、企業買収や合併の仲介、またはフィナンシャルアドバイザーとしての助言を行います。M&Aの実現可能性検討から、マッチング、条件調整、クロージングまでの一連のプロセスを支援します。

収益は、譲渡希望者および買収希望者から受領する着手金や成功報酬などの手数料から構成されます。運営は主に同社が行っています。

**その他の事業**
中小・中堅企業に対する直接投資やファイナンス支援を行う投資事業、およびM&A戦略策定やPMI(統合プロセス)支援などを行うコンサルティング事業を展開しています。

収益は、投資先からのリターンや、コンサルティングサービスの提供対価として受け取る報酬などです。運営は同社および株式会社オンデックコンサルティングが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2025年11月期より連結決算へ移行しています。直近の売上高は8.6億円となりました。損益面では、経常損失2.2億円、親会社株主に帰属する当期純損失1.5億円となり、赤字を計上しています。過去の単体実績と比較しても、利益面での変動が見られます。

項目 2021年11月期 2022年11月期 2023年11月期 2024年11月期 2025年11月期
売上高 -億円 -億円 -億円 -億円 8.6億円
経常利益 -億円 -億円 -億円 -億円 -2.2億円
利益率(%) -% -% -% -% -25.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.2億円 1.5億円 -1.5億円 2.4億円 -1.5億円

(2) 損益計算書


2025年11月期より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との単純比較はできませんが、参考として前期(単体)と比較すると、売上高および各利益段階で減少が見られます。特に利益面では、前期の黒字から損失へと転じています。

項目 2024年11月期 2025年11月期
売上高 -億円 8.6億円
売上総利益 9.6億円 3.2億円
売上総利益率(%) -% 37.5%
営業利益 3.7億円 -2.2億円
営業利益率(%) -% -25.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が1.1億円(構成比20%)、役員報酬が0.8億円(同14%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社グループはM&Aアドバイザリー事業以外の重要なセグメントがないため、セグメントごとの記載は省略されています。

区分 売上(2024年11月期) 売上(2025年11月期)
連結(合計) -億円 8.6億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-15.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は82.3%で市場平均を上回っています。

項目 2024年11月期 2025年11月期
営業CF -億円 -2.2億円
投資CF -億円 0.0億円
財務CF -億円 -0.1億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「企業の成長と変革の触媒となり、道徳ある経済的価値を創出する。」を企業理念として掲げています。また、企業の生産性を高める機会を提供するインベストメント・バンクとして、またその実行を促進するアドバイザリー・ファームとして、比類なき存在を目指すことをビジョンとしています。

(2) 企業文化


同社はM&Aアドバイザリー業務を、M&Aプロジェクトの最適な推進を実現する「プロジェクト・マネジメント業務」と定義しています。単なるマッチングにとどまらず、ビジネスモデルの理解や利害関係者の調整、課題対応などを通じて、高品質なアドバイザリーサービスの提供を徹底する姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは持続的な成長と企業価値向上を目標とし、経営指標として「売上高」と「営業利益」を重視しています。また、これらに影響する指標として、成約件数、平均報酬単価、M&Aコンサルタント数の推移を把握し、改善に取り組んでいます。

(4) 成長戦略と重点施策


M&Aアドバイザリー事業の持続的成長のため、人材の確保と育成、譲渡案件のソーシング・マッチング力の強化、案件管理体制の構築を重点施策としています。金融機関や士業等との連携強化による優良案件の獲得に加え、直接アプローチによる営業手法の拡充も図ります。また、ITツール活用による管理体制強化も推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


高品質なサービス提供のため、専門性の高い経験豊富な人材の確保と育成を最重要課題としています。OJTとOff-JTを組み合わせた育成体制の構築や、ナレッジ共有の仕組み整備、モチベーション向上に資する人事制度の構築を通じて、人材の能力発揮とサービス品質の向上を図る方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年11月期 36.6歳 4.0年 7,260,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競合の激化

M&Aアドバイザリー事業には許認可等の規制がなく参入障壁が低いため、大規模事業者から個人事業者まで多数の競合が存在します。新規参入や競争激化により事業の収益性が低下した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) M&Aアドバイザリー事業への依存

同社グループの売上は主としてM&Aアドバイザリー事業に依存しています。経済情勢や事業環境の変化によりM&A需要が急激に縮小した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 人材の獲得および流出

事業成長には高度な専門知識と経験を持つコンサルタントの確保が重要です。計画通りに優秀な人材を獲得できない場合や、社外への流出を防止できない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 案件不成立や進捗遅延

M&A案件は成約に至らないケースや、条件交渉の難航等によりスケジュールが遅延する場合があります。特に手数料単価の高い案件の成否や期ズレは、業績変動の要因となる可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。