アスマーク 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アスマーク 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場し、マーケティング・リサーチ事業を主力としています。第24期より連結決算を開始し、売上高は44億円、経常利益は3億円となりました。豊富な自社パネルとIT技術を活用したリサーチサービスのほか、HRテック事業も展開し、事業基盤の拡大を図っています。


※本記事は、株式会社アスマーク の有価証券報告書(第24期、自 2024年12月1日 至 2025年11月30日、2026年2月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アスマークってどんな会社?


マーケティング・リサーチ事業を軸に、HRテック事業等の新規領域も展開する企業です。

(1) 会社概要


同社は2001年に設立され、パネル・リクルーティングサービスを開始しました。2020年にはHRテックサービス「Humap」をリリースし、事業領域を拡大しています。2022年にTOKYO PRO Marketへ上場した後、2023年に東証スタンダード市場へ上場しました。2024年には株式会社販売促進研究所を完全子会社化し、体制を強化しています。

連結従業員数は328名、単体従業員数は316名です。筆頭株主は創業者の町田正一氏で、第2位はマーケティングリサーチ大手の事業会社です。

氏名 持株比率
町田 正一 39.75%
ビデオリサーチ 4.32%
町田 香織 2.59%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役は町田正一氏が務めています。社外取締役比率は66.7%です。

氏名 役職 主な経歴
町田 正一 代表取締役 1989年シンガポール入社等を経て、2001年同社設立。2024年より販売促進研究所代表取締役を兼任。
飯田 恭介 取締役管理部長 2007年マクロミル入社、経営戦略室長等を経て、2018年同社入社。2019年より現職。


社外取締役は、木原康博(株式会社MAM代表取締役)、鈴木親(元株式会社アマガサ常務取締役)、大内智(ベンチャー支援税理士法人代表社員)、塩月潤道(株式会社サニクリーン顧問)です。

2. 事業内容


同社グループは、「マーケティング・リサーチ事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) マーケティング・リサーチ事業


企業や公共機関向けに、商品開発やマーケティングに必要な情報を収集・分析するサービスを提供しています。インターネットを活用した「オンライン・リサーチ」と、会場調査やインタビューなどの「オフライン・リサーチ」を網羅し、企画・設計から実査、集計・分析、レポート作成までトータルでサポートしています。

主な収益は、顧客企業からの調査受託費用です。運営は主に同社が行っていますが、2024年に子会社化した株式会社販売促進研究所もリサーチの企画・実施やコンサルティング業務を担っています。

(2) HRテック事業(その他)


労働人口減少に伴う人材不足や従業員満足度の課題解決を目指し、HRテックサービス「Humap(ヒューマップ)」を提供しています。従業員のエンゲージメントを把握するサーベイツールや、座席管理ツール、コンプライアンス対策サービスなどをラインナップしています。

収益は、サービスの利用企業から受け取る利用料などが主な源泉となります。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


第24期より連結財務諸表を作成しているため、当期の数値のみを表示します。売上高は44億円規模、経常利益率は6.6%となっています。利益面では、親会社株主に帰属する当期純利益として2億円を計上しています。

項目 2025年11月期
売上高 44.2億円
経常利益 2.9億円
利益率(%) 6.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 2.0億円

(2) 損益計算書


当期の売上高は44.2億円、営業利益は2.8億円となりました。売上総利益率は39.7%を確保しており、営業利益率は6.3%となっています。

項目 2025年11月期
売上高 44.2億円
売上総利益 17.5億円
売上総利益率(%) 39.7%
営業利益 2.8億円
営業利益率(%) 6.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が4.6億円(構成比31%)、地代家賃が1.8億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社グループは単一セグメントですが、サービス別の売上構成を見ると、オンライン調査が全体の過半を占めています。オフライン調査も底堅い需要がありますが、調査会社からの受注減少等の影響を受けています。

区分 売上(2025年11月期)
オンライン調査 23.3億円
オフライン調査 17.0億円
その他 3.8億円
連結(合計) 44.2億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

アスマークは、飲料・情報通信業界からのリサーチ需要増により、営業活動で資金を生み出しました。一方で、投資活動では無形固定資産や子会社株式の取得で支出があり、財務活動では借入金の返済や配当金の支払いがございました。

項目 2025年11月期
営業CF 2.9億円
投資CF -1.4億円
財務CF -1.0億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「自社独自の価値を創造し続け、独創的で高品質なサービスを顧客に提供する」を経営理念として掲げています。同業他社には真似できない価値を創造し、クライアントの市場での成功を支援することで、持続可能な社会づくりと課題解決を目指すことをミッションとしています。

(2) 企業文化


同社は、人材を最も重要な経営資源と捉え、社員一人ひとりの可能性を引き出すことを重視しています。個人のビジョンと会社のビジョンがつながることで共に成長していくという考えのもと、多様な人材の維持・育成や働きやすい職場づくりを推進しています。法令遵守や高い倫理観に基づいた行動も重視されています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、顧客ニーズに応え続けるサービスを安定的に提供・開発するために、健全な財務基盤の維持が重要であると考えています。現在は成長フェーズにあることから、具体的な数値目標として「売上高成長率」および「経常利益成長率」を意識した経営に取り組んでいます。

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長に向けて、「マーケティング・リサーチ事業基盤の強化」「ITを駆使した新しいデジタルサービスの開発」などを重点施策として掲げています。具体的には、既存顧客との関係深耕や新規市場へのアプローチに加え、AIやデータ分析技術を活用したソリューション開発に注力します。また、M&Aやアライアンスを通じた非連続な成長も追求します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、事業成長には社員一人ひとりの成長と強固な組織力が不可欠であると考え、多様なバックグラウンドを持つ人材を積極的に採用しています。また、社員全体のスキルアップを目的とした研修プログラムの充実や、働きがいのある職場環境づくりを通じて、社員のエンゲージメント向上に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年11月期 33.5歳 5.1年 4,672,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 36.0%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 66.7%
男女賃金差異(正規) 83.4%
男女賃金差異(非正規) 58.5%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経営環境の変化


経済情勢や景気動向の変動により、顧客企業のマーケティング投資や広告投資マインドが減退した場合、同社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。特に企業の業績悪化に伴うリサーチニーズの減少はリスク要因となります。

(2) 競合との競争激化


マーケティング・リサーチ分野における業界競争が激化し、大手企業による価格競争等が生じた場合、経営成績に影響を与える可能性があります。また、HRテック事業においても参入企業の増加による競争激化が懸念されます。

(3) パネルの維持・拡大


リサーチの品質維持にはパネル数の確保が重要ですが、競合他社のポイント付与率上昇や外部提携先との関係悪化等により十分なパネル数が確保できなくなった場合、リサーチ品質が低下し業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 情報セキュリティと個人情報管理


事業の性質上、多数の個人情報を保有しているため、外部からの不正アクセスや内部管理体制の不備による情報漏洩が発生した場合、損害賠償請求や社会的信用の失墜により、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


関連記事

アスマークの転職研究 2026年11月期1Q決算に見るキャリア機会

アスマークの2026年11月期1Q決算は、人的資本への積極投資により戦略的減益となる一方、データ分析事業が始動。主力のMR事業に加え、成長中のHRテック事業でのキャリア機会が拡大しています。「なぜ今アスマークなのか?」「転職希望者がどの事業で、どんな役割を担えるのか」を整理します。


アスマークの転職研究 2025年11月期決算に見るキャリア機会

アスマークの2025年11月期決算は、売上高が過去最高を更新。調査手法の内製化対応として、新たにデータ分析事業を立ち上げ「データエージェント」への変革を推進。人的資本への大幅投資を行う2026年度に向け、リサーチャーやエンジニアなど専門職種の採用が活発化しています。