オプロ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オプロ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オプロは、東証グロース市場に上場し、帳票DXやサブスクリプション管理などのクラウドサービス事業を展開しています。2025年11月期は、企業のDX推進やペーパーレス化の需要を背景に、売上高は前期比21.3%増、経常利益は同59.9%増と大幅な増収増益を達成しています。


※本記事は、株式会社オプロ の有価証券報告書(第29期、自 2024年12月1日 至 2025年11月30日、2026年2月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. オプロってどんな会社?


クラウド帳票サービスや販売管理サービスを提供し、企業のDXと業務効率化を支援するIT企業です。

(1) 会社概要


1993年に有限会社里見企画事務所として創業し、1997年に現法人の前身となる株式会社エスピーオーを設立しました。2007年に帳票クラウドサービス「oproarts」の提供を開始し、クラウド事業へ本格参入しました。2019年に現在の社名へ変更し、サブスクリプション管理サービス「ソアスク」を開始しました。2024年8月に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たしています。

同社(単体)の従業員数は119名です。筆頭株主は創業者の里見一典氏で、第2位は法人株主、第3位は取締役の安川貴英氏です。

氏名 持株比率
里見 一典 44.40%
たいかも 6.86%
安川 貴英 5.14%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は里見一典氏です。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
里見 一典 代表取締役社長 1984年日本ディジタルイクイップメント入社。1993年里見企画事務所設立。1997年エスピーオー(現同社)設立、代表取締役社長。現在に至る。
安川 貴英 取締役管理部長 1993年興和開発入社。日本オラクル、三旺コーポレーション、サンブリッジを経て、2013年同社入社。2018年取締役就任。2025年7月より現職。
吉田 順一 取締役マーケティング本部長 1998年パソナ入社。NTTヨーロッパ、トロシステムズ社長、Phone Appli副社長を経て、2019年同社入社。2020年取締役就任。2025年12月より現職。


社外取締役は、宮澤敏(庚伸代表取締役)、内田健治(フィデスプロフェッショナルグループ代表取締役)、長井利仁(パーソルデジタルベンチャーズ社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「データオプティマイズソリューション」および「セールスマネジメントソリューション」事業を展開しています。

**データオプティマイズソリューション**
企業や行政機関の帳票データ処理や電子化を支援するサービスです。主力製品の「帳票DX」はクラウド上で帳票を出力・配信し、「カミレス」は申請手続きのデジタル化を実現します。
収益は、主に顧客企業からの月額ライセンス利用料(サブスクリプション)や導入支援等の初期費用から構成されています。運営はオプロが行っています。

**セールスマネジメントソリューション**
サブスクリプションビジネスに特化した販売管理サービスです。「ソアスク」は見積から請求までの一元管理を、「モノスク」は有形商材のサブスク管理機能を提供しています。
収益は、顧客企業からの月額ライセンス利用料(ID課金等)や導入時のプロフェッショナルサービス料からなります。運営はオプロが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年11月期から2025年11月期までの5期間において、売上高は右肩上がりで成長を続けています。特に直近の2025年11月期は売上高26億円、経常利益3.4億円に達し、利益率も13.2%と高い水準を記録しています。一時的な赤字期間もありましたが、全体として収益性が向上している傾向にあります。

項目 2021年11月期 2022年11月期 2023年11月期 2024年11月期 2025年11月期
売上高 8億円 13億円 16億円 21億円 26億円
経常利益 0.7億円 1.3億円 1.1億円 2.1億円 3.4億円
利益率(%) 9.4% 10.3% 6.8% 10.0% 13.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.1億円 1.0億円 1.0億円 1.5億円 2.4億円

(2) 損益計算書


直近2期間の業績を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益も順調に拡大しています。売上総利益率は約54%と高い水準を維持しており、営業利益率も前期の10.2%から当期は13.0%へと改善しました。事業規模の拡大が利益率の向上に寄与していることが読み取れます。

項目 2024年11月期 2025年11月期
売上高 21億円 26億円
売上総利益 10億円 14億円
売上総利益率(%) 49.3% 54.2%
営業利益 2.1億円 3.3億円
営業利益率(%) 10.2% 13.0%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が3.3億円(構成比32%)、役員報酬が1.0億円(同10%)を占めています。売上原価においては、外注費が6.7億円(構成比58%)、労務費が4.9億円(同42%)となっています。

(3) セグメント収益


両ソリューションともに増収となりました。「データオプティマイズソリューション」は既存顧客の拡大や公共DX需要により堅調に推移し、「セールスマネジメントソリューション」もサブスクリプション市場の拡大を背景に売上を伸ばしています。

区分 売上(2024年11月期) 売上(2025年11月期)
データオプティマイズソリューション 15.4億円 18.6億円
セールスマネジメントソリューション 4.6億円 6.0億円
合計 20.1億円 24.7億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は20.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は47.6%で市場平均を上回っています。

項目 2024年11月期 2025年11月期
営業CF 4.4億円 4.4億円
投資CF -0.7億円 -16.3億円
財務CF 7.7億円 0.0億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「make IT simple」をミッションに掲げ、複雑化するITをシンプルにまとめ上げ、変化に迅速に対応できる製品・サービスを提供することを目指しています。また、製品・サービスの指針として「Less is More(無駄を省くことで、さらにより良いものになる)」を掲げ、パフォーマンスの高い開発と顧客満足度の向上を追求しています。

(2) 企業文化


同社は「謙虚・誠実・進取」を経営理念とし、人を敬い、真面目に対応し、新しいことを取り入れる姿勢を重視しています。行動指針(CREDO)として、イノベーションへの挑戦、顧客の成功(カスタマーサクセス)の追求、シンプルで洗練された活動、スピードと柔軟性を持ったチャレンジ、適切なコミュニケーションを掲げています。

(3) 経営計画・目標


同社は中期ビジョンとして「ARR100億円、ARRのCAGR30%以上、Rule of 40%の達成」を掲げています。これらを実現するために、エンタープライズ市場の開拓や収益基盤の多様化、AIネイティブ化を成長戦略のポイントとして位置づけています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、公共DX市場やエンタープライズ領域での商機拡大に向け、「帳票DX」「カミレス」の政府セキュリティ評価制度(ISMAP)登録を活用し、専任体制の整備を進めています。また、AIによる帳票自動生成などの機能開発を通じて「AIネイティブ企業」への進化を目指すとともに、Salesforce以外のプラットフォームとの連携も強化し、収益基盤の多様化を図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、単純作業ではなく、AI等を活用して主体的に価値創出できる自律型人材の確保・育成を重視しています。採用では能力に加え「謙虚・誠実・進取」の理念への共感を重視し、育成ではMBO評価制度や自己学習支援を通じて専門性の向上を促進しています。また、多様な働き方を支援する制度やコミュニケーション活性化施策により、挑戦し続けられる組織づくりを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年11月期 32.9歳 5.1年 6,782,136円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 9.5%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 70.8%
男女賃金差異(正規) 71.6%
男女賃金差異(非正規) -%


※「パート・有期労働者」については対象者が女性のみのため、男女の賃金の差異を算出しておりません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) DX投資の動向の影響


同社の事業は国内のDX投資需要に依存しています。経済情勢の悪化や景気減速により、顧客企業のDX投資意欲が減退した場合、同社の業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 特定の取引先への依存


同社サービスの売上の約9割はSalesforceと連携したものです。同社とのパートナー契約に支障が生じたり、同社の事業方針変更や競争力低下により市場規模が縮小した場合、同社の事業活動や業績に重大な影響が出る可能性があります。

(3) 技術革新への対応


ソフトウェア業界は技術革新が急速であり、現在保有する技術やノウハウが陳腐化するリスクがあります。新しい技術への対応が遅れたり、予期せぬ技術投資が必要になった場合、競争力の低下や業績への影響が生じる可能性があります。

(4) 優秀な人材の確保及び育成


事業拡大には優秀な人材の確保と定着が不可欠です。必要な人材が十分に採用・育成できなかった場合や、人材流出が進んだ場合、事業展開に支障をきたし、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。