※本記事は、カンロ株式会社 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
カンロは、菓子食品事業(菓子の製造販売)を主な事業内容としています。同社グループは、キャンディ市場の好調を背景に、のど飴やグミなどの製品を展開しています。
単体従業員数は705名、連結従業員数も705名です。同社グループの事業セグメントは菓子食品事業の単一です。
カンロは、菓子食品事業(菓子の製造販売)を主な事業内容としており、国内においてはカンロが生産・販売を一手に担っています。海外では連結子会社1社を通じてグローバルに事業を展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
カンロは菓子食品事業を展開しており、安定した事業基盤を持つ企業グループです。従業員の給与水準や働き方に関するデータからは、同社グループがどのような人材を求め、どのような環境を提供しているかの傾向を読み取ることができます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均年齢と平均勤続年数から、比較的落ち着いた年齢構成と長期的なキャリア形成が可能な環境であることがうかがえます。従業員が長く働き続けられるような職場環境が整っている傾向があると言えるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,229,000円 |
| 平均勤続年数 | 13.9年 |
| 平均年齢 | 39.2歳 |
| 単体従業員数 | 705人 |
| 連結従業員数 | 705人 |
| 単体のグループ内比率 | 100.0% |
同社は、退職一時金制度に加え、退職金制度の一部に確定拠出年金制度を導入しています。確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方の制度が採用されています。
退職一時金制度は導入されていますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、退職給付債務は20.6億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、企業パーパス「Sweeten the Future 心がひとつぶ、大きくなる。」を体現し、持続的な発展を続けるために人財を最も重要な資産と位置付けています。事業戦略と連動した人事戦略の遂行を通じて、事業領域拡大に向けたストーリーある人財投資に取り組む方針です。
人財育成においては、社員一人ひとりが変化に対応し、学び続け、成長を継続することを重視しています。経営人財の育成・確保として「カンロ経営塾」という選抜研修を実施し、次世代の経営幹部候補や管理職候補を育成しています。また、社員の多様なキャリアパス実現のため社内公募制度を導入し、管理職向けには「未来に向けて一歩踏み出せたか」を評価する人事評価制度を改定しています。
デジタル強化に伴う人財育成・確保にも注力しており、社内リスキリングプログラムの拡充や専門人財の中途採用、外部パートナーとの協業を進めています。グローバル事業展開に沿った人財育成、生産・供給体制拡充に向けた人財育成・確保、研究開発力の向上のための専門性強化も重点テーマです。
社内環境整備では、社員のエンゲージメント向上、健康経営の推進、ダイバーシティの推進、コンプライアンス意識の向上に取り組んでいます。特に健康経営では2020年に健康経営宣言を策定し、社員とその家族の健康づくりを支援しています。ダイバーシティ推進では「働き方改革」「多様な視点」「意識改革」の3つの視点から取り組みを進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。各指標は、女性活躍推進法および育児介護休業法の規定に基づき算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 18.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 73.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 77.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 93.2% |
人材育成
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| カンロ経営塾累計受講人数 | 80名 |
| DX研修のべ受講人数 | 661名 |
| チャレンジ評価“G”以上の割合 | 96.0% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 18.0% |
| 障がい者雇用率 | 2.54% |
働き方・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 従業員エンゲージメントスコア | 50.6% |
| 有給休暇取得率 | 77.6% |
コンプライアンス
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| コンプライアンス関連教育(eラーニング)の受講率 | 99.8% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
カンロは、菓子食品事業を主な事業内容とする同社グループの中核企業です。菓子の製造販売を通じて、人々の生活に甘い喜びを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは菓子食品事業の単一セグメントで事業を展開しており、主に飴、グミ、素材菓子の製造販売を行っています。収益はこれらの商品カテゴリーからの売上によって得られています。
主力商品である飴カテゴリーでは、「健康のど飴」シリーズや「ノンシュガーのど飴」シリーズが堅調に推移しています。また、グルメカテゴリー製品の「じゅるる」シリーズも好評を博しています。グミカテゴリーでは、主力ブランドの「ピュレグミ」シリーズが販売を伸ばしており、米国でも販売されています。直営店舗やデジタルプラットフォームで提供される高価値商品「グミッツェル」も好調に売上を伸ばしています。素材菓子カテゴリーでは、「サクポリ納豆」が好調に推移しています。
同社グループの収益は、主に国内の外部顧客からの売上によって構成されています。特定の主要顧客である三菱商事㈱への売上集中が見られます。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループは第76期より連結財務諸表を作成しているため、それ以前の連結経営指標は記載されていません。直近の第76期においては、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益が計上されています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | - | - | 348億円 |
| 経常利益 | - | - | - | - | 47.5億円 |
| 経常利益率 | - | - | - | - | 13.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | - | - | - | 33.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | - | - | 80.18 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループは第76期より連結財務諸表を作成しているため、前期の連結従業員数に関する情報がなく、前期との比較はできません。当期においては、従業員1人あたりの売上高および営業利益が計上されています。これらの指標は、同社グループの事業活動における効率性を示すものとなっています。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | - | 49.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | - | 6.7百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
カンロの財務状況は、事業活動で得た資金を将来の成長に向けた投資に充てている段階を示しています。これにより、同社グループの経営の現在地を把握することができます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
カンロの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の製造業平均を上回る水準にあり、安定した経営基盤を示しています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を大きく上回っており、効率的な資本活用がうかがえます。手元資金も一定規模を確保しており、事業運営における資金的な柔軟性がある状態です。これらの財務状況は、同社グループの事業継続性や将来の成長投資の余力につながる要素となります。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 168億円 | 190億円 |
| 自己資本比率 | - | 56.5% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 17.8% |
| 現金及び預金 | 49.8億円 | 43.2億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業で得た資金を将来の成長に向けた投資に充てている状況を示しています。営業活動によるキャッシュフローは50.5億円の増加となり、本業が安定的に資金を生み出していることがうかがえます。
一方で、投資活動によるキャッシュフローは52.5億円の減少となっており、主に設備投資などの支出によるものです。これにより、フリーキャッシュフローは2.0億円の減少となりましたが、これは積極的な事業拡大や生産体制の強化に向けた投資が行われていることを示しています。
財務活動によるキャッシュフローも5.3億円の減少となっており、配当金の支払いなどにより資金が減少しています。これらの資金の流れは、同社グループが事業の成長と拡大に注力しており、将来的な事業の安定性や成長性を高めるための基盤を構築している状況を反映しています。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | - | 50.5億円 |
| 投資CF | - | △52.5億円 |
| 財務CF | - | △5.3億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | - | △2.0億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、国内市場において消費者の消費動向の変化や多様化するニーズへの対応遅れ、他社との競争激化による主力ブランド商品の販売減少、リベート増加等による収益性低下のリスクを認識しています。また、少子高齢化や人口減少による国内キャンディ市場の縮小、糖に対するネガティブな風評の拡大も事業に影響を及ぼす可能性があります。
海外市場では、TPPや日EU経済連携協定等による関税引き下げが輸入品との価格競争激化につながるリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、多様な人材の確保が困難になるリスクや、多様な人材が活躍できる働く環境の整備が遅れることによる競争力低下のリスクを認識しています。これらのリスクに対して、カンロ人権ポリシーの策定・運用や人的資本経営の推進、ダイバーシティに係る社員教育の定期的実施などの対策を講じています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
カンロは、企業パーパス「Sweeten the Future 心がひとつぶ、大きくなる。」を掲げ、人々と社会に笑顔を創り続けることを目指しています。同社グループは、このパーパスとビジョンに基づき、持続的な成長と社会貢献を追求する企業風土を醸成しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは2025年2月に「Kanro Vision 2.0」を定めました。企業パーパスは「Sweeten the Future 心がひとつぶ、大きくなる。」であり、ビジョン(あり姿)として「Sweetな瞬間を創り続けることで人々と社会に笑顔を。」を掲げています。
企業理念は、このパーパスを優しい未来へリードする素材の力と機能を追求した商品・サービスで実現することを目指しています。これらは、同社グループが今後進むべき方向性を示しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
「Kanro Vision 2.0」では、4つのバリュー「Sweetな瞬間を創造する」「事業基盤を変革する」「未来へ紡ぐ」「創発的な組織の更なる進化」を掲げています。これらは同社グループの進む方向性を示すものです。
また、クレド(行動指針)として「創意工夫」「信義誠実」「百万一心」を定めています。社員一人ひとりが変化を恐れず新たな価値を創造し、誠実な言動で信頼に応え、多様性を活かし合いながらパーパスに向かって成長することが求められています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、人財、IT/デジタル、研究開発への投資基盤の強化を重要な課題と認識しています。人的資本経営を進め、人財の採用、育成、定着に取り組むとともに、人事制度整備や処遇改善を通じて働きがいのある職場環境の実現を目指しています。
IT/デジタル活用では、生成AIを含むデジタルツールを積極的に活用し、業務効率化と生産性・競争力向上を図ります。サステナビリティの推進も重点テーマであり、「サステナビリティ委員会」を設置し、社会課題の解決に向けた活動に取り組んでいます。
コーポレート・ガバナンス体制の強化も進め、危機管理対応やコンプライアンス意識の向上に継続的に取り組む方針です。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
カンロは、経営の透明性と健全性の確保、効率性の向上を基本方針として、コーポレート・ガバナンスの充実に努めています。取締役会および監査役会の機能強化、法令違反行為の未然防止、ディスクロージャー、株主への説明義務を重視しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社は、事業会社である三菱商事を筆頭株主としています。その他、株式会社榎本武平商店やカンロ共栄会などが上位株主として名を連ねています。筆頭株主である三菱商事とは営業上の取引関係もあります。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 三菱商事 | 29.55% |
| 榎本武平商店 | 6.26% |
| カンロ共栄会 | 5.48% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 3.75% |
| 三井住友銀行 | 2.71% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性8名・女性2名)で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長CEO兼チーフ・コンプライアンス・オフィサー兼サステナビリティ委員長は村田哲也氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 村田哲也 | 代表取締役社長CEO兼チーフ・コンプライアンス・オフィサー兼 サステナビリティ委員長 | 1992年4月三菱商事株式会社入社、2019年3月同社取締役、2023年1月同社代表取締役社長CEO兼チーフ・コンプライアンス・オフィサー、2024年1月より現職。 |
| 石川和弘 | 取締役 専務執行役員 コア事業本部長 | 1988年4月同社入社、2024年3月同社取締役常務執行役員コア事業本部長、2026年1月より現職。 |
| 佐藤光記 | 取締役 常務執行役員 CFO財務・経理本部長兼 CIOデジタルソリューション本部長 | 1993年4月三菱商事株式会社入社、2025年3月同社取締役常務執行役員CFO財務・経理本部長兼CIOシステムソリューション本部長、2026年1月より現職。 |
社外取締役は、堀江裕美氏(Haruka代表取締役・ガバナンス委員長)、伊藤善計氏(堺化学工業社外取締役・ガバナンス委員)、太田智久氏(TCコンサルティング合同会社代表・ガバナンス委員)です。
同社は監査役会設置会社であり、独立役員の要件を満たす社外取締役・社外監査役の選任により経営監督機能を強化しています。また、取締役等の指名・報酬等の検討にあたり、透明性・公正性を確保するため、取締役会の諮問機関としてガバナンス委員会を設置しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、持続的かつ発展的な成長による企業価値向上を目的としています。社外取締役を除く取締役の報酬は、基本報酬、短期的なインセンティブとしての業績連動報酬(賞与)、株式報酬で構成されています。社外取締役および監査役の報酬は、基本報酬と固定賞与により構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 1.5億円 | 38.2百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 23百万円 | 23.4百万円 |
| 社外役員 | 8名 | 56百万円 | 7.0百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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