※本記事は、帝国繊維株式会社 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月17日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、帝国繊維を中核とし、主に防災事業、繊維事業、不動産賃貸事業を展開しています。各種消防ホースや防災特殊車両の製造・販売、麻や化合繊製品の製造・加工・販売、および不動産賃貸を手掛けています。
単体従業員数は191名、連結従業員数は362名です。セグメントは防災、繊維、不動産賃貸の3つです。
主な国内グループ会社は、帝商(防災)、キンパイ商事(防災ならびに繊維)、テイセン産業(繊維)などです。
同社グループは、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度に「その他」に含まれていた保険代理事業を譲渡したことに伴い、当該セグメントを廃止しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
帝国繊維は、防災事業を主軸に社会の安心・安全を支える企業です。従業員の平均年齢や勤続年数から、長期的な視点でキャリアを築ける環境がうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員が比較的長く勤続する傾向が見られ、平均年齢も安定しています。これは、人材の定着性が高く、落ち着いた環境で業務に取り組める可能性を示しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,682,692円 |
| 平均勤続年数 | 11.1年 |
| 平均年齢 | 40.9歳 |
| 単体従業員数 | 191人 |
| 連結従業員数 | 362人 |
| 単体のグループ内比率 | 52.8% |
同社及び連結子会社は、確定給付型の制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度)として確定給付企業年金制度及び退職一時金制度を設けています。
退職一時金制度がありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、退職給付債務は5.8億円、年金資産は5.7億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、2028年度までの「テイセン未来創造計画/テイセン2028」において、「人を創る」「仕事を創る」「企業文化を創る」ことを掲げ、未来への基盤づくりに努めています。特に「人を創る」ことでは、人材育成を成長への投資と捉え、「人を育む企業文化の下、自立・自律する人材を育てる」ことを推進しています。
社員一人ひとりが主体的に学び、成長し続ける環境を整えるため、学び全体を「Teisen Business College(テイセンビジネスカレッジ)」として体系化し、学習機会を提供しています。具体的には、新入社員から執行役員までの階層別研修、コンプライアンス・ハラスメント・情報セキュリティ研修、外部講師によるセミナーなどを実施しています。
また、国内外の知識吸収や国際的な視野拡大を目的とした「社内公募留学制度」や、任意参加の勉強会である「テイセン未来創造ゼミ」を創設し、社員が自由な発想で意見を交わしながら未来を描く機会を提供しています。業務での活用を見据えた生成AI研修も新たに開始し、学びの機会を拡充しています。社員が心身ともに健康で働きがいを感じながら活躍できるよう、フレックスタイム制度などの柔軟な働き方を支援し、安全衛生管理を企業活動の根幹に据えています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。パート・有期労働者は、相対的に賃金水準の高い専門家および定年後再雇用の管理職は男性のみとなっていることが男女の賃金差異の要因となっています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 7.8% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 68.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 70.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 41.5% |
多様性と働きがいの状況
提出会社のみを対象とした集計値です。年次有給休暇取得率は正社員年間在籍者にて算出、離職率は正社員自己都合離職率です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 定期健康診断受診率 | 100% |
| 年次有給休暇取得率 | 69.8% |
| 女性管理職比率 | 7.8% |
| 男性育児休業取得率 | 100% |
| コンプライアンス・ハラスメント研修受講率 | 100% |
| 離職率 | 3.4% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
帝国繊維グループは、防災、繊維、不動産賃貸の3つの事業セグメントを展開しています。社会の安全・安心を守る防災事業を主軸に、高機能繊維素材の開発・製造、そして不動産賃貸事業を通じて収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主に日本国内で製品の卸売および直接販売を行っています。多発化・激甚化・多様化する各種災害の脅威から社会や事業の安心・安全を守ることを目指し、先進的な防災事業の確立と発展に注力しています。官公庁向けの売上が全体の約3割を占めるなど、特定の顧客層への貢献も特徴です。
防災
同社グループの防災事業は、各種消防ホースとその関連製品、防災機器・救急救助器具、探索機器・警報器具、CBRNE(化学・生物・放射能物質・核・爆発物)・危険物処理関連資機材の製造、仕入、販売を行っています。また、救助工作車・防災特殊車輌・空港用化学消防車などの製造、仕入、販売も手掛けています。
収益は、これらの製品販売に加え、連結送水管などの点検業務からも得ています。運営は、帝商、キンパイ商事、テイセンテクノが行っています。
繊維
繊維事業では、主に麻および麻化合繊混紡製品・化合繊製品の製造、加工、販売を行っています。官公庁向け繊維資材の売上は増加した一方で、アパレル向けの麻素材の売上は減少しました。
収益は、官公庁向け繊維資材や民需向けの産業資材用高機能繊維素材等の製造、加工、販売から得ています。運営は、キンパイ商事、テイセン産業が行っています。
不動産賃貸
不動産賃貸事業は、不動産の賃貸を行っています。
収益は、ショッピングセンター貸地等の賃料から得ています。
| セグメント | 売上高(2024年12月期) | 売上高(2025年12月期) |
|---|---|---|
| 防災 | 250億円 | 273億円 |
| 繊維 | 59.2億円 | 58.4億円 |
| 不動産賃貸 | 5.3億円 | 5.5億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は増加傾向にあります。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、直近の期において増加しています。これは、救助工作車やセキュリティ関連ビジネス、送排水ビジネスの拡大が寄与した結果となっています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 330億円 | 299億円 | 280億円 | 315億円 | 336億円 |
| 経常利益 | 56.9億円 | 53.0億円 | 35.7億円 | 45.5億円 | 53.1億円 |
| 経常利益率 | 17.3% | 17.7% | 12.7% | 14.5% | 15.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 39.8億円 | 36.6億円 | 24.5億円 | 32.5億円 | 37.4億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 150.48 | 139.31 | 93.76 | 124.48 | 145.41 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期から増加しています。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から増加傾向を示しています。これらの指標の改善は、組織全体の生産性が向上していることを示唆しています。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 91.5百万円 | 92.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 10.1百万円 | 11.2百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
帝国繊維は、財務の安定性を示す自己資本比率が高く、手元資金も厚い状況です。キャッシュフローも本業で安定した資金を生み出し、投資に充てている傾向が見られます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
帝国繊維は、高い自己資本比率と潤沢な手元資金を確保しており、強固な財務基盤を築いています。これは、事業の安定性や将来の成長に向けた投資余力があることを示しています。
自己資本比率はプライム市場の製造業平均(46.8%)を大きく上回る水準です。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均(9.4%)を下回る水準となっています。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 665億円 | 724億円 |
| 自己資本比率 | 80.0% | 79.1% |
| ROE(自己資本利益率) | 5.0% | 5.4% |
| 現金及び預金 | 127億円 | 128億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が増加したほか、棚卸資産が増加した一方で、売上債権が減少したことから、前期に比べて増加し、収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得が増加したこと等により、支出額は前期に比べて増加しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得が増加したことから、支出額は前期に比べて増加しました。
当期は営業活動で得た資金が投資活動による支出を上回り、フリーキャッシュ・フローはプラスとなっています。これは、本業で安定的に資金を生み出し、投資も行いつつ、手元に資金が残る優良な状態を示しています。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 19.5億円 | 29.1億円 |
| 投資CF | △0.1億円 | △8.5億円 |
| 財務CF | △12.4億円 | △29.3億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 19.4億円 | 20.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、市場リスクとして消防等の予算・補助金の削減や、規制強化等に対応できないことによる市場喪失の可能性を認識しています。また、当社が優位な市場への他社参入や、新たな商材・技術による他社からの市場侵食のリスクも挙げています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、人材確保の不調をリスクとして認識しており、優秀な人材による事業の深化・拡大を機会と捉えています。人材獲得手法の多角化や社員教育の充実に取り組む方針です。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
帝国繊維は、防災事業を通じて社会の安心・安全を守ることを企業理念とし、持続可能な社会の実現を目指しています。人を育み、新たな価値を創造する企業文化を大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「防災事業を通じ、社会や事業の安心・安全を守る」ことを企業理念としています。事業を通じて社会課題の解決に取り組み、持続可能な社会の実現を目指しています。
2023年には、防災業界におけるリーディングカンパニーへの進化を目指す「テイセン未来創造計画」を策定しました。この計画は、「人を創る」「仕事を創る」「人と仕事を繋ぐ企業文化を創る」をテーマに掲げています。
「防災のテイセン」としての未来を切り拓き、世界に通用する防災企業として社会及びステークホルダーからの信任を得ることを目指しています。さらに、新中期経営計画「テイセン2028」では、「先進的防災事業を確立し、安心安全な未来を創る」ことをミッションとしています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「人を創る」「仕事を創る」「人と仕事を繋ぐ企業文化を創る」ことを「テイセン未来創造計画」のテーマに掲げています。これは未来を切り拓くための基盤づくりとしています。
人的資本経営においては、「人を育む企業文化の下、自立・自律する人材を育てる」ことを推進しています。社員一人ひとりが主体的に学び、成長し続ける環境を整えることを目指しています。
また、社員が心身ともに健康で、働きがいを感じながら活躍できる職場環境の整備を重視しています。柔軟な働き方を支援し、性別やライフステージを問わず誰もが活躍できる環境づくりに取り組んでいます。安全衛生管理を企業活動の根幹に据え、安全意識の向上と職場の安全性確保にも努めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、新中期経営計画「テイセン2028」において、営業を支える下野・鹿沼両工場の革新を重点テーマとしています。両工場を「製造拠点」から「技術集約拠点」へと脱皮させることを目指しています。
具体的には、技術・開発機能の強化や、教育・訓練・実証実験等の機能を備えた施設の充実を図っています。また、事業規模の拡大と収益基盤の充実を図るため、アライアンス強化に向けた取り組みも進めています。
サステナビリティに関する取り組みも強化しており、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置しています。重要課題として地域社会への貢献、人権尊重、人材育成、社員の幸福・健康などを掲げ、持続可能な社会の実現に努めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は、取締役会と監査役会を設置しており、指名報酬委員会や執行役員制度も導入することで、ガバナンス体制の強化を図っています。取締役会は重要案件の決議や業務執行の監督を行い、監査役会は取締役会の意思決定の妥当性・適正性などを監視・監督しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社グループの筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)であり、機関投資家が上位に名を連ねています。その他、NIPPON ACTIVE VALUE FUND PLCのような海外ファンドや、みずほ銀行、明治安田生命保険相互会社、西松建設、損害保険ジャパン、ヒューリック、モリタホールディングス、東京建物といった事業会社や金融機関が主要株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 10.26% |
| NIPPON ACTIVE VALUE FUND PLC | 5.68% |
| みずほ銀行 | 4.95% |
| 明治安田生命保険相互会社 | 4.93% |
| 西松建設 | 3.82% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性9名・女性1名)で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役会長執行役員は白岩強氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 白岩 強 | 代表取締役 会長執行役員 最高経営責任者(CEO) | 1969年4月 ㈱富士銀行入社。1999年3月 同社取締役。2012年3月 同社代表取締役社長。2022年3月 同社代表取締役会長執行役員より現職。 |
| 桝谷 徹 | 代表取締役 社長執行役員 最高執行責任者(COO) | 1975年4月 同社入社。2007年3月 同社取締役。2021年3月 同社代表取締役社長。2022年3月 同社代表取締役社長執行役員より現職。 |
| 岡村 建 | 取締役 副社長執行役員 | 1987年4月 ㈱富士銀行入社。2018年3月 同社取締役。2021年3月 同社取締役副社長。2022年3月 同社取締役副社長執行役員より現職。 |
| 中尾 徹 | 取締役 常務執行役員 防災統括部 送排水システムグループ部長 | 1990年4月 同社入社。2017年3月 同社取締役防災統括部市場開発グループ部長。2020年3月 同社常務取締役。2022年3月 同社取締役常務執行役員 防災統括部送排水システムグループ部長より現職。 |
社外取締役は、髙木裕康氏(東京丸の内法律事務所パートナー)、深澤正宏氏(安田不動産相談役)、成田信子氏(元ベーカー&マッケンジー法律事務所パートナー)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役3名を選任することで、客観的な視点から経営の監督を行っています。これにより、迅速な意思決定と経営監視機能の強化が図られています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の取締役の報酬は、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして機能するよう設計されています。固定報酬としての基本報酬、短期の業績連動報酬としての賞与、中長期の業績連動報酬としての業績連動型株式報酬制度「株式給付信託(BBT)」から構成されています。社外取締役には基本報酬のみが支給されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 3.7億円 | 92.3百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 21百万円 | 21.0百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 35百万円 | 5.9百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。