※本記事は、多木化学株式会社 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
多木化学グループは、肥料や水処理薬剤などの化学品製造・販売を主軸に、建材、石油、不動産、運輸といった多岐にわたる事業を展開しています。幅広い産業と生活基盤を支える事業ポートフォリオが特徴です。
単体従業員数は484名、連結従業員数は640名です。同社グループの事業セグメントは、アグリ、化学品、建材、石油、不動産、運輸の6つです。
主な国内グループ会社は、しき島商事(石油)、多木建材(建材)、多木商事(運輸)、別府鉄道(不動産)、洛東化成工業(化学品)などです。
令和7年1月7日には洛東化成工業を株式取得により子会社化し、化学品事業に加えています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
多木化学は、化学メーカーとして安定した事業基盤を持つ企業です。同社グループでは、長期ビジョンや中期経営計画に基づき、持続可能な事業戦略と人的資本経営の推進に力を入れています。社員の成長を重視し、働きがいのある職場環境づくりを目指していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、比較的年齢層が高く、勤続年数も長い傾向が見られます。これは、従業員が長期的にキャリアを築きやすい環境であることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,645,676円 |
| 平均勤続年数 | 17.0年 |
| 平均年齢 | 45.8歳 |
| 単体従業員数 | 484人 |
| 連結従業員数 | 640人 |
| 単体のグループ内比率 | 75.6% |
同社及び連結子会社は、確定給付型の退職一時金制度と選択型確定拠出年金制度を採用しています。退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、確定給付型の退職給付債務は33.7億円、年金資産は86百万円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、人の成長を企業の成長の原動力と捉え、働き方の改革と人材育成に努めています。安全安心で働きがいのある職場と、目標に果敢に挑戦する人材による活力ある企業風土の醸成を目指しています。
社内環境整備においては、あらゆる人権と多様な価値観を尊重し、全ての従業員が平等な機会を享受できるよう積極的にサポートしています。特に女性の活躍推進のため、職域の拡大を進める方針です。
また、従業員一人ひとりの強みや目標に焦点を当てたキャリアパス構築のためのジョブローテーションやカスタマイズされたサポートを提供しています。継続的なスキル開発を奨励し、従業員が最新の知識や技術を習得できるよう支援する取り組みも行っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.5% |
| 男性育児休業取得率 | 70.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 68.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 74.9% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 48.9% |
人権尊重と働きやすい職場づくり
連結子会社についてはいずれも人数規模の観点から記載を省略しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 全社員を対象としたハラスメントアンケートの継続的実施 | 年1回実施済 |
| 年次有給休暇取得率 | 83.6% |
人材育成とダイバーシティの推進
連結子会社についてはいずれも人数規模の観点から記載を省略しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| ダイバーシティ研修ほか、女性活躍を推進するための研修の継続的実施 | 対象者への100%実施 |
| 全管理職中の女性管理職比率 | 4.5% |
| 全管理職中の中途採用者管理職比率 | 12.5% |
| 各種研修、資格取得支援制度の更なる充実と通信教育受講率の向上(通信教育受講率) | 46.7% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
多木化学は、肥料や水処理薬剤、機能性材料といった化学製品の製造・販売を主軸に、建材、石油、不動産、運輸といった多角的な事業を展開しています。同社グループは、幅広い分野で社会の基盤を支える製品やサービスを提供し、安定した収益モデルを構築しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、アグリ、化学品、建材、石油、不動産、運輸の6つの事業セグメントを通じて収益を上げています。それぞれの事業が独立した戦略を持ちながら、グループ全体で多様なニーズに対応しています。国内の外部顧客への売上高が連結売上高の90%を超えており、日本国内市場が主要な収益源となっています。
アグリ
肥料の製造・販売や農業関連資材の販売を行っています。収益は、肥料や農業関連資材の販売から得ています。運営は、同社が行っています。当連結会計年度においては、販売数量の増加と原料価格上昇に伴う販売価格の値上がりにより、売上高が前期に比べて大幅に増加しました。
化学品
水処理薬剤や機能性材料などの製造・販売を行っています。収益は、水処理薬剤や機能性材料の販売から得ています。運営は、同社および洛東化成工業が行っています。当連結会計年度では、水処理薬剤の販売数量増加と販売価格の是正、機能性材料の販売好調により、売上高が前期に比べて大幅に増加しました。
建材
石こうボードの製造・販売を行っています。収益は、石こうボードの販売から得ています。運営は、多木建材が行っています。当連結会計年度では、販売数量は減少したものの、販売価格の上昇により売上高が前期に比べて増加しました。
石油
石油の販売などを行っています。収益は、燃料油の販売から得ています。運営は、しき島商事が行っています。当連結会計年度では、需要減退による販売数量の減少があったものの、販売価格の値上がりにより売上高が前期に比べて増加しました。
不動産
商業ビルやその近隣などの不動産賃貸を行っています。収益は、ショッピングセンターの賃料収入や賃貸物件の賃料から得ています。運営は、同社および別府鉄道が行っています。当連結会計年度では、賃貸物件の減少により売上高が前期に比べて減少しました。
運輸
海上および陸上輸送などを行っています。収益は、貨物輸送量や荷役量の増加による運送収入から得ています。運営は、多木商事および多木物流が行っています。当連結会計年度では、貨物輸送量や荷役量の増加により売上高が前期に比べて増加しました。
| セグメント | 売上高(2024年12月期) | 売上高(2025年12月期) |
|---|---|---|
| 化学品 | 183億円 | 202億円 |
| アグリ | 108億円 | 119億円 |
| 建材 | 37.0億円 | 38.0億円 |
| 運輸 | 28.1億円 | 28.3億円 |
| 石油 | 19.6億円 | 19.6億円 |
| 不動産 | 13.4億円 | 13.2億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は概ね増加傾向にあり、特に直近の連結会計年度では大きく伸長しました。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、一時的な変動はあったものの、直近の連結会計年度では大幅な増加を達成し、堅調な推移を示しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 328億円 | 358億円 | 349億円 | 389億円 | 420億円 |
| 経常利益 | 29.8億円 | 31.4億円 | 13.4億円 | 31.6億円 | 37.8億円 |
| 経常利益率 | 9.1% | 8.8% | 3.8% | 8.1% | 9.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 19.2億円 | 20.6億円 | 13.6億円 | 23.0億円 | 32.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 221.46 | 237.53 | 156.86 | 271.37 | 389.05 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から当期にかけて増加しています。また、従業員1人あたりの営業利益も前期に比べて増加しており、同社グループ全体の生産性が向上している傾向が見られます。これらの指標の改善は、組織の効率化や事業活動における収益創出能力の強化を示唆しています。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 64.4百万円 | 65.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 4.4百万円 | 4.9百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
多木化学グループの財務状況は、安定した基盤を築いていることを示しています。本業で着実に資金を生み出し、将来に向けた投資も行いながら、手元資金も確保している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
多木化学グループは、自己資本比率が高く、財務の健全性が保たれています。これは、外部からの借入に過度に依存せず、自社の資金で事業を運営していることを示しています。また、手元資金も十分に確保されており、不測の事態や経済変動に対する耐性があると言えます。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 380億円 | 433億円 |
| 自己資本比率 | 64.9% | 65.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 6.4% | 8.1% |
| 現金及び預金 | 74.6億円 | 71.7億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
多木化学グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローはプラスとなっており、本業で安定的に資金を生み出している状況です。投資活動によるキャッシュ・フローはマイナスですが、これは主に固定資産の取得による支出があったためです。その結果、事業活動で得た資金が投資活動による支出を上回り、フリーキャッシュ・フローはプラスとなっています。
財務活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなっており、自己株式の取得や配当金の支払などにより資金が減少しました。同社グループは、営業活動で得られた資金を、更新投資や成長投資、株主還元などにバランス良く配分する方針を示しています。このキャッシュ・フローの状況は、同社グループが安定した事業基盤を持ち、将来に向けた投資も行いつつ、株主還元も行える健全な財務状態にあることを示しています。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 43.4億円 | 23.1億円 |
| 投資CF | △16.1億円 | △10.6億円 |
| 財務CF | △3.5億円 | △14.6億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 27.3億円 | 12.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、国内外の経済情勢や業界再編、機能性材料の最終製品市況の変動、不動産事業の賃料収入の減少など、事業環境の変動が経営成績に影響を与える可能性があると認識しています。また、機能性材料の主要販売先は技術革新が激しい業界であり、新規技術の開発や競争力の高い代替製品の出現により、当社製品の競争力が低下するリスクも挙げています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、内部統制システムが有効であっても、役職員の悪意または重大な過失に基づく行動などにより機能しなくなる可能性があると認識しています。また、業務プロセスの機能不全につながるような潜在的リスクの把握に努め、コンプライアンス教育を含む不正防止策の強化・徹底を図っています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
多木化学は、創業者精神に基づき、自然と環境を大切にしながら社会貢献を目指す企業です。持続可能な社会の実現に向けた長期的なビジョンを掲げ、従業員一人ひとりの成長と多様性を尊重する企業風土を醸成しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「創業者精神に則り、自然と環境を守り、確かな価値の創造を通じて、豊かな社会の実現に貢献」をグループ理念としています。この理念のもと、企業の持続的発展と企業価値の向上を図ることを経営の基本方針としています。
また、将来のありたい姿を「環境、社会、地域に配慮した持続可能な事業戦略の実践」と明確化した「長期ビジョン2050」を構築しています。政府の温室効果ガス削減目標を踏まえた非財務に関する取り組みとして「サステナビリティビジョン2030」を策定し、持続可能な社会の実現に貢献していくことを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、グループ理念に基づき、株主、取引先、従業員、地域社会等からの信頼と期待に応えることを重視しています。法令その他の社会的規範を遵守し、公正で健全な企業活動を行い、社会の発展に貢献することを基本としています。
人材育成においては、あらゆる人権と多様な価値観を尊重し、人の成長が企業の成長の原動力であると考えています。安全安心で働きがいのある職場と、目標に果敢に挑戦する人材による活力ある企業風土の醸成に努めています。
社内環境整備では、環境への配慮や社会的な課題への取り組みを強化し、従業員が誇りを持って働ける環境を構築しています。全ての従業員が平等な機会を享受し、個々の能力を最大限に引き出せるようサポートし、女性の活躍推進にも取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、中期経営計画2028において、以下の4つの基本方針を掲げています。これらは、財務・非財務の両面から企業価値の向上に取り組むための優先的な課題です。
具体的には、「成長事業への積極的投資と新事業の創出」「既存事業の深化による収益力向上」「サステナビリティ・トランスフォーメーションの実践」「GRCの推進」です。特にサステナビリティ・トランスフォーメーションの実践では、温室効果ガス削減を含む気候変動への対応、人的資本経営の推進、DXの推進など、同社グループの持続的な成長と発展に向けた取り組みにより企業価値の向上を図っています。
GRCの推進においては、ガバナンス(G)、リスク管理(R)、コンプライアンス(C)を一体的に捉え、責任ある企業活動を推進しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
多木化学は監査等委員会設置会社であり、取締役会が業務執行を監督する体制です。独立社外取締役が監査・監督機能の強化に貢献しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、日本マスタートラスト信託銀行が筆頭株主となっています。その他、複数の金融機関や事業会社が上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.45% |
| 三菱UFJ信託銀行 | 3.62% |
| 株式会社中国銀行 | 3.43% |
なお、株式会社三井住友銀行は令和7年1月15日現在で所有株式数が339千株となっています。また、三菱UFJ信託銀行は令和7年11月24日現在で所有株式数が421千株となっています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性9名・女性2名)で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は多木勝彦氏が務めています。社外取締役比率は36.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 多木 勝彦 | 代表取締役 社長 | 平成20年4月同社入社、令和6年3月より代表取締役社長。 |
| 多木 隆元 | 取締役 会長 | 昭和52年4月同社入社、平成9年3月代表取締役社長、令和7年3月より取締役会長。 |
| 泉 一成 | 取締役 上席常務執行役員 | 昭和63年4月同社入社、令和5年3月取締役上席執行役員、令和7年3月より取締役上席常務執行役員。 |
| 井筒 裕之 | 取締役 上席執行役員 | 平成2年1月同社入社、令和3年3月より取締役上席執行役員。 |
| 鈴木 吾郎 | 取締役 上席執行役員 | 昭和62年4月同社入社、令和4年3月より取締役上席執行役員。 |
社外取締役は、岩木達郎氏(岩木達郎税理士事務所所長)、重田昇三氏(元損害保険ジャパン株式会社常務執行役員)、北嶋紀子氏(フェニックス法律事務所共同代表)、水野久美子氏(水野会計事務所所長)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役5名のうち4名が独立社外取締役です。独立社外取締役が専門的知識と経験を活かし、経営の適法性・妥当性の確保に努めています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、監査等委員でない取締役に対しては固定報酬、業績連動報酬である役員賞与、譲渡制限付株式報酬を組み合わせて支給しています。一方、監査等委員である取締役には、業務執行から独立した立場を重視し、固定報酬である月額報酬のみを支給する方針です。報酬総額に対する割合は、概ね固定報酬80%、業績連動報酬10%、譲渡制限付株式報酬10%程度となっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 7名 | 2.4億円 | 33.9百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 16百万円 | 16.0百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 23百万円 | 4.6百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。また、総額には期中に退任した役員の報酬が含まれます。取締役の報酬等の総額には、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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