オーナンバ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オーナンバ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オーナンバは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、電線やワイヤーハーネス、新エネルギー関連製品などの製造販売を展開する配線システムメーカーです。当期の連結売上高は444億円(前期比0.8%減)、営業利益は26億円(同18.5%増)となり、環境関連市場での需要拡大等により減収増益を達成しました。


※本記事は、オーナンバ株式会社の有価証券報告書(第95期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. オーナンバってどんな会社?


電線やワイヤーハーネス、新エネルギー関連製品の製造販売を手掛ける総合配線システムメーカーです。

(1) 会社概要


同社は1942年に大阪スピンドル製作所を買収して航空機用警報機等の製造を開始し、1952年にビニル電線の製造に参入しました。1972年にはカラーテレビ用ワイヤーハーネスの製造を開始し、1981年に現在のオーナンバへ社名を変更しています。1999年からは太陽電池用電線およびユニットの製造を開始し、事業領域を拡大してきました。

現在の従業員数はグループ全体で3,556名、単体で163名となっています。筆頭株主はESG投資事業組合で、第2位は事業会社のカネカ、第3位は日本生命保険相互会社が名を連ねています。

氏名 持株比率
ESG投資事業組合 8.31%
カネカ 6.80%
日本生命保険相互会社 4.99%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は木嶋忠敏氏です。社外取締役比率は18.2%です。

氏名 役職 主な経歴
木嶋忠敏 代表取締役社長 1980年松下電器産業入社。2010年パナソニックチャイナ有限公司パナソニックホームアプライアンス社総経理を経て、2021年より現職。
宮本敦浩 代表取締役副社長 1983年松下電器産業入社。2016年同社オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社経理センター所長を経て、2026年より現職。
山田秀明 常務取締役 1989年ユニオンマシナリ入社。2018年同社代表取締役社長を経て、2026年より現職。
熊谷康浩 常務取締役管理統括部長 1987年同社入社。2014年Czech Republic Onamba s.r.o.取締役社長、同社執行役員を経て、2026年より現職。
朝見直仁 取締役生産開発統括部長 1989年松下電器産業入社。2020年パナソニック車載システムズ事業部EMBU BU長を経て、2026年より現職。
堀内吏 取締役営業統括部長 1992年同社入社。2018年欧南芭(上海)貿易有限公司董事長兼総経理、同社執行役員を経て、2026年より現職。


社外取締役は、藤井英彦(関西外国語大学教授)、笠藤歩(協和綜合法律事務所所属)です。

2. 事業内容


同社グループは、「日本」「欧米」「アジア(日本を除く)」の報告セグメントを展開しています。

(1) 日本


国内において、自動車部品向けや産業用機器向けのワイヤーハーネス、ハーネス加工用機械、汎用電線、太陽光発電配線ユニットなどの新エネルギー関連製品の製造・販売を展開しています。

顧客への製品販売および加工受託から収益を得ています。運営は同社をはじめ、オーナンバインターコネクトテクノロジー、ユニオンマシナリ、アスレ電器などの子会社が担っています。

(2) 欧米


北米や欧州市場において、自動車関連市場などを中心とした電線製品やワイヤーハーネス製品の加工および販売を行っています。

当該地域における製品の加工・販売を収益モデルとしています。主な運営主体は、米国の子会社であるO&S CALIFORNIA,INC.やチェコのCZECH REPUBLIC ONAMBA S.R.O.などです。

(3) アジア(日本を除く)


中国や東南アジア地域において、電線製品やワイヤーハーネス、ハーネス加工用機械・部品の製造、加工、販売を展開しています。

各地域の顧客への製品製造・販売から収益を得ています。中国の欧南芭電子配件(昆山)有限公司やベトナムのVIETNAM ONAMBA CO.,LTD.などの子会社が運営を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は430億円から440億円台で安定して推移していますが、利益面では年度により変動が見られます。直近の当期利益は一時的な特別利益の剥落などにより減少傾向にあります。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 370億円 436億円 448億円 448億円 444億円
経常利益 13億円 29億円 25億円 23億円 24億円
利益率(%) 3.5% 6.7% 5.7% 5.2% 5.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 6億円 6億円 20億円 5億円

(2) 損益計算書


売上高は前年と同水準で推移したものの、高付加価値商品の需要拡大等に伴う品種構成の改善により、売上総利益率および営業利益率がいずれも向上しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 448億円 444億円
売上総利益 84億円 92億円
売上総利益率(%) 18.9% 20.6%
営業利益 22億円 26億円
営業利益率(%) 4.9% 5.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が22億円(構成比33%)、荷造運搬費が8億円(同13%)を占めています。

(3) セグメント収益


アジア地域が需要回復により増収となった一方で、日本および欧米地域は市場の回復遅れや需要減少の影響を受け、減収となりました。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
日本 242億円 240億円
欧米 131億円 119億円
アジア(日本を除く) 75億円 85億円
連結(合計) 448億円 444億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

オーナンバグループは、事業運営に必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、製造費用や販管費などの営業費用を賄うための主な資金源となっています。設備の新設・更新に係る投資は、自己資金や金融機関からの借入金で対応しています。有利子負債残高はありますが、現金及び現金同等物の残高も十分に確保されています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 23億円 18億円
投資CF 0.2億円 -15億円
財務CF -18億円 -7億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「我々は常に革新を起こし特徴ある価値の創造により世界に貢献する」「世界的視野に立って事業を推進する」「世界のお客様の満足のため環境重視、品質至上、スピードある行動を実践する」を経営理念に掲げています。技術力とグローバルネットワークを強化し、総合的な配線システムメーカーを目指しています。

(2) 企業文化


経営理念をベースとし、「環境重視、品質至上、スピードある行動」を重視する文化があります。法令遵守にとどまらず、倫理に基づく社会的な良識を持って行動することを企業行動規範に定めています。「限りなく美しい地球を未来につなぐ」というスローガンのもと、環境保護と汚染予防に取り組む姿勢が根付いています。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画「PROGRESS 2026」を策定しており、最終年度である2026年度に向けて以下の数値目標を掲げています。

・売上高:470億円
・営業利益:27億円
・営業利益率:5.7%
・ROE:7.0%

(4) 成長戦略と重点施策


100周年(2041年)に向けた成長基盤確立のため、エネルギー新時代に即した「グローバルな総合配線システムメーカー」の実現を目指しています。部門ごとの重点成長戦略の推進、脱炭素社会実現への貢献強化、国内生産拠点の強化とグローバル拠点戦略の実践、「グローバル同一品質」の構築等に取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


国籍、人種、性別を問わず人物主義で各従業員の発揮能力および成果に基づいた人事評価と処遇を行う方針です。働きやすさを第一に考え、年間休日128日以上の確保やフレックスタイム制度、産休育休制度、社宅制度などの環境整備を実施し、健康経営優良法人認定への取り組みやメンター制度により働きやすい職場を構築しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 48.6歳 12.2年 6,386,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.4%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全従業員) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


※同社は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」および「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」による公表義務の対象ではないため、有報には男性育児休業取得率および男女賃金差異の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 為替及び各国の法規制・税制リスク

海外の事業活動における為替の変動や法規制・税制の変更が業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は為替予約取引を利用して変動リスクの低減を図るとともに、監査室による各国のリスク管理状況のレビューを実施しています。

(2) 原材料の市況価格変動リスク

主要原料である銅や塩ビコンパウンドの予想を超えた購入価格の急激な変動は、業績に大きな影響を与える可能性があります。コストダウンや価格転嫁などの施策を通じて、当該リスクの低減に努めています。

(3) 環境に関する規制対応リスク

EUのRoHS指令など世界各地の環境規制が強化される中、代替物質の開発や対策費用が発生する可能性があります。同社は法規制の順守や環境マネジメントシステムの維持・向上を図り、環境規制への対応を進めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。