コーセーホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コーセーホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場するコーセーホールディングスは、化粧品事業とコスメタリー事業を主軸に展開する企業です。2025年12月期は主力の各事業で売上が伸長し、売上高は3,302億円と増収を達成した一方で、為替差益の減少等の影響を受けて経常利益は215億円と微減となり、増収減益の決算でした。


※本記事は、コーセーホールディングスの有価証券報告書(第84期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. コーセーホールディングスってどんな会社?


化粧品やコスメタリー製品の製造・販売をグローバルに展開する企業です。

(1) 会社概要


1946年に化粧品の製造販売を目的に小林合名会社として設立され、1948年に小林コーセーへ改組されました。1991年にコーセーへ商号変更し、2000年に東京証券取引所市場第一部へ上場を果たしています。2026年1月には持株会社体制への移行に伴い、コーセーホールディングスへと商号を変更しました。

従業員数は連結で8,566名、単体で1,073名です。大株主の状況は、筆頭株主が資産管理等の事業を行う一般社団法人コーセーマネジメントで、第2位に一般社団法人ウッド、第3位に一般社団法人MYMラボラトリーズと、法人が上位を占める構成となっています。

氏名 持株比率
一般社団法人コーセーマネジメント 9.95%
一般社団法人ウッド 9.80%
一般社団法人MYMラボラトリーズ 9.62%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性6名の計16名で構成され、女性役員比率は37.5%です。
代表取締役社長は小林一俊氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
小林一俊 取締役社長(代表取締役) 1986年入社。2004年代表取締役副社長を経て、2007年より代表取締役社長。2026年1月よりコーセー取締役会長。
小林孝雄 専務取締役 1993年入社。コーセーコスメポート代表取締役社長等を経て、2014年より専務取締役。2026年1月よりコーセー代表取締役副社長。
小林正典 常務取締役 2004年入社。2011年執行役員を経て、2017年より常務取締役。
澁澤宏一 常務取締役 1984年入社。2011年執行役員等を経て、2018年より常務取締役。2026年1月よりコーセー専務取締役。
小林勇介 取締役 2000年アルビオン入社。同社専務取締役等を経て、2014年より取締役。2026年1月よりコーセー常務取締役。
小椋敦子 取締役 1988年入社。研究所長等を経て、2026年1月より取締役商品統括部門長。コーセー取締役を兼務。
原谷美典 取締役 1989年入社。経営企画部長等を経て、2026年1月より取締役エンゲージメント推進部門長。コーセー取締役を兼務。
田中慎二 取締役 1989年入社。戦略ブランド事業部長等を経て、2026年1月より取締役マーケティング統括部門長。コーセー代表取締役社長を兼務。


社外取締役は、菊間千乃(弁護士法人松尾綜合法律事務所代表社員弁護士)、湯浅紀佳(三浦法律事務所パートナー弁護士)、須藤実和(プラネットプラン代表取締役)、小林久美(小林公認会計士事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「化粧品事業」「コスメタリー事業」および「その他」事業を展開しています。

化粧品事業


「コーセー」「雪肌精」「コスメデコルテ」「アルビオン」「タルト」等の多様なブランドを通じ、ハイプレステージからプレステージまでの幅広い化粧品の製造と販売を行っています。主に国内および海外の小売業や卸売業を営む企業などを顧客として製品を提供しています。

収益は製品の販売代金から得ており、主に同社が製品を製造し、コーセー化粧品販売などの連結子会社を通じて卸売・販売するモデルです。海外においても台湾高絲股份有限公司などで製造・販売を行うほか、アルビオンなどの子会社が独自のブランドを展開しています。

コスメタリー事業


「ヴィセ」「ファシオ」「メイクキープ」「ソフティモ」「サンカット」など、セルフメイクアップ製品やヘアケア・スキンケア製品の製造および販売を行っています。日用品を扱う小売店やドラッグストアなどを通じて、幅広い消費者に向けた製品を提供しています。

主な収益源は、製品の販売に伴う代金です。事業の運営は、同社が製品の製造を担い、コーセーコスメニエンスやコーセーコスメポートなどの連結子会社を通じて卸売および販売を実施する体制となっています。

その他


報告セグメントに含まれない事業として、主にアメニティ製品事業や不動産賃貸事業などを展開しています。

収益はアメニティ製品の販売代金や不動産の賃貸料などから得ています。アメニティ製品は同社が製造し、コーセートラベルリテールへ販売業務委託を行って販売するほか、不動産管理・賃貸事業は同社自身が運営を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の売上高は安定して成長を続け、3,000億円規模を突破しています。一方、経常利益は市場環境の変化や成長投資等の影響もあり増減を繰り返しており、直近は微減となりました。親会社株主に帰属する当期利益は、前期の構造改革に伴う一時的な落ち込みから当期は大幅な回復を見せています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 2,250億円 2,891億円 3,004億円 3,228億円 3,302億円
経常利益 224億円 284億円 203億円 216億円 215億円
利益率(%) 9.9% 9.8% 6.7% 6.7% 6.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 147億円 173億円 67億円 -7億円 146億円

(2) 損益計算書


売上高、売上総利益ともに堅調に推移しています。当期は売上総利益率が高い水準で安定しており、効率的なコスト管理も寄与したことで営業利益および営業利益率の改善につながっています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 3,228億円 3,302億円
売上総利益 2,226億円 2,280億円
売上総利益率(%) 69.0% 69.0%
営業利益 174億円 185億円
営業利益率(%) 5.4% 5.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が554億円(構成比26%)、販売促進費が467億円(同22%)を占めています。また、売上原価は1,022億円であり、商品及び製品の製造コストなどが原価の大部分を占める構造となっています。

(3) セグメント収益


主力の化粧品事業はハイプレステージブランド等の好調により増収増益を牽引しています。コスメタリー事業は売上高が前期並みを維持したものの、一部ブランドの減収影響で減益となりました。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期) 利益(2024年12月期) 利益(2025年12月期) 利益率
化粧品事業 2,553億円 2,623億円 151億円 168億円 6.4%
コスメタリー事業 647億円 645億円 70億円 63億円 9.7%
その他 27億円 34億円 14億円 17億円 49.9%
調整額 - - -61億円 -62億円 -
連結(合計) 3,228億円 3,302億円 174億円 185億円 5.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で稼いだキャッシュの範囲内で投資や借入金の返済を行う「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 184億円 111億円
投資CF -89億円 -177億円
財務CF -87億円 -100億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は72.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「英知と感性を融合し、独自の美しい価値と文化を創造する。」という存在理念(パーパス)と、コーポレートメッセージ「美しい知恵 人へ、地球へ。」を掲げています。化粧品を通じて人々に夢と希望を与え、明るい世の中をつくるという使命のもと、人と地球に寄り添い、かけがえのない生涯をともに美しく彩る企業への進化を目指しています。

(2) 企業文化


行動規範として「正しきことに従う心」を基盤となるポリシーとして設定しています。これは法令遵守にとどまらず、社会的倫理に則った行動をとることを意味し、多様な価値観を企業のチカラへ反映する企業文化として根付いています。社員を大切なステークホルダーの一員と考え、助け合い・高め合う独自の組織風土を重視しています。

(3) 経営計画・目標


2030年をマイルストーンとした中長期ビジョン「Vision for Lifelong Beauty Partner」を策定し、以下の定量目標を掲げて経営を行っています。

・売上高成長率:CAGR+5%以上
・営業利益率:12%以上
・EBITDAマージン:18%以上
・ROIC:10%以上

(4) 成長戦略と重点施策


持株会社体制への移行により、意思決定の迅速化とグループ間シナジーの最大化を図ります。日本市場での盤石な基盤構築により確実な成長リソースを生み出し、グローバルでは「脱・自前による地域への最適化」をコアに現地起点のマーケティングやM&Aを推進します。さらに、ウェルビーイング領域など新たな価値提供にも取り組みます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「強い個」と「強い組織」を戦略的に生み出すため、4つのテーマに基づく人材戦略を推進しています。グローバルキーポスト人材の確保や次世代リーダーの育成による「キーとなる人材の充足」、多様性を活かし自ら学び成長する「個の強化・自立への支援」、働きがいを創出する「組織風土の深化と進化」、そして適材適所の人材配置に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 40.5歳 12.8年 7,468,001円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 23.9%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 68.4%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 69.5%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 60.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(80.0%)、育児休業後の復職率(女性)(92.3%)、指導的地位にある社員の女性比率(38.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 戦略リスク


マーケットニーズの変化や競合他社の参入、研究開発の遅れによりブランド価値や市場シェアが低下するリスクがあります。これに対し、定期的な消費者調査による情報収集やオープンイノベーションの活用を通じて、独自の価値追求や製品開発を推進しています。

(2) 事業・財務リスク


原材料の価格高騰や供給途絶により、利益率の低下や製品の安定的な供給に支障をきたすリスクがあります。市場リスクを最小限にするためのグローバル調達の推進やサプライヤーとの良好な関係維持に加え、社内委員会を通じて適切な原価維持と在庫確保に取り組んでいます。

(3) 政治・経済リスク


海外進出国における政治情勢の急変や、製品に関わる法規制の変更により、需要の変動や商品の輸出に影響が及ぶリスクがあります。海外現地法人や取引先との連携により各エリアの状況をタイムリーに把握するとともに、法規制の変更に伴う代替原料の確保等を進めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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