※本記事は、新報国マテリアル株式会社 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月30日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
新報国マテリアルは、特殊合金素形材とその精密加工品の製造販売を主軸とする企業です。半導体・FPD製造装置業界向けの低熱膨張合金鋳物や鉄鋼業界向けの高温高強度合金鋳物など、付加価値の高い製品を提供しています。
同社の単体従業員数は99名です。セグメントは特殊合金事業、不動産賃貸事業の2つです。
同社は、自社の鋳造工場やネットワーク化した外注メーカーを活用し、特殊合金素形材や精密加工製品の製造販売を行っています。また、本社工場跡地等の不動産賃貸も手掛けています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
新報国マテリアルは、特殊合金事業と不動産賃貸事業を展開する企業です。同社の給与水準や働き方は、事業特性や企業規模を反映した傾向が見られます。ここでは、転職を検討する方が知りたい給与水準や人材戦略、多様性に関するデータについて詳しく見ていきます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めとなっています。これは、長期的にキャリアを築きやすい環境であることや、経験豊富な人材が定着している傾向を示していると言えるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,617,000円 |
| 平均勤続年数 | 17.0年 |
| 平均年齢 | 44.4歳 |
| 単体従業員数 | 99人 |
同社は、退職給付制度として確定給付型と確定拠出型の両方を採用しています。退職金支給規定に基づく退職一時金制度も導入されています。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
新報国マテリアルは、「少数精鋭の社員を魅力ある職場で幸せの実現」を目指し、社員の働きがいを高める様々な取り組みを行っています。サステナビリティを経営の重要課題と認識し、持続可能な社会の実現と企業の永続的な成長に貢献する人材戦略を推進しています。
具体的には、設備投資による業務効率化の推進や、育児休業制度など多様な働き方ができる体制づくりを進めています。また、社内教育研修体制の整備を通じて、会社全体の生産性向上に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
女性管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
新報国マテリアルは、特殊合金素形材とその精密加工品の製造販売を主軸とし、不動産賃貸事業も展開しています。多岐にわたる産業分野に貢献する事業構造を持っています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、特殊合金素形材及びその精密加工品の製造販売と、不動産の賃貸を主な事業内容としています。同社の売上高は、その大部分を国内の外部顧客から得ており、国内市場が事業の中心となっています。
特殊合金事業
同社の鋳造工場やネットワーク化した外注メーカーにおいて、半導体及びFPD製造装置業界向けの低熱膨張合金鋳物、鉄鋼業界向けの高温高強度合金鋳物といった付加価値の高い製品を製造販売しています。また、同社ブランド材を含む素形材を製造または調達し、機械加工、熱処理、鍛造、圧延等の処理を施した精密加工製品(半導体及びFPD製造装置用部品等)や鍛圧製品(棒材及びワイヤー等)も手掛けています。
収益は、これらの特殊合金製品の製造販売から得ています。直近では、汎用民生品向けのシリコンウエハ関連が大幅に減少しました。AI向けの半導体製造装置関連は上期に増加したものの、下期の減速により通期では微増に留まり、FPD製造装置関連も減少しています。
不動産賃貸事業
同社の本社工場跡地等の賃貸を行っています。収益は、これらの不動産の賃貸収入から得ています。
直近の売上高は前期と同額で推移しており、安定した収益を上げています。
同社の主要な取引先としては、キヤノン、ニコン、日本製鉄が挙げられます。特にキヤノンとニコンへの販売実績が全体の過半数を占める傾向にあります。
| セグメント | 売上高(2024年12月期) | 売上高(2025年12月期) |
|---|---|---|
| SpecialAlloyBusinessReportableSegments | 60.6億円 | 53.9億円 |
| 不動産賃貸事業 | 1.5億円 | 1.5億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
当事業年度における同社の売上高は前期に比べ減収となり、営業利益、経常利益、当期純利益も同様に減少しました。世界経済の不透明な状況や、半導体市場における汎用民生品向けの設備投資意欲の不透明さが業績に影響を与えています。
AI向け半導体製造装置関連は上期に増加したものの、下期に入り米国の関税政策や米中貿易摩擦などの影響により、半導体設備投資が慎重姿勢になったと考えられ、期待していたAI需要が一時的に減速した結果、通期では微増に留まりました。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
新報国マテリアルは、本業で得た資金を将来の成長に向けた投資に充てている状況です。財務基盤は安定しており、事業リスクも明確に開示されています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、自己資本比率が高水準で推移しており、安定した状態を示しています。手元資金は前期から減少していますが、事業活動を支える資金は確保されている状況です。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 56.1億円 | 58.1億円 |
| 自己資本比率 | 72.0% | 75.2% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び預金 | 34.3億円 | 33.1億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社の2025年12月期における営業活動によるキャッシュ・フローは4.8億円のプラスとなりました。これは主に税引前当期純利益の計上や売上債権の減少が要因となっています。しかし、棚卸資産の増加や法人税等の支払いが減少要因として影響しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは△18.6億円のマイナスとなり、前期の5百万円から大幅に減少しています。これは主に定期預金の預け入れによる支出や有形固定資産の取得による支出が影響しています。財務活動によるキャッシュ・フローは△2.4億円のマイナスで、配当金の支払いと自己株式の取得による支出が主な要因です。
その結果、フリーキャッシュ・フローは△13.7億円のマイナスに転じました。同社は本業で資金を生み出しているものの、積極的な投資活動により資金が流出している状況です。これは将来の成長に向けた投資を優先していることを示しており、今後の事業展開に注目が集まります。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 14.1億円 | 4.8億円 |
| 投資CF | 5百万円 | △18.6億円 |
| 財務CF | △5.5億円 | △2.4億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 14.2億円 | △13.7億円 |
※フリーCF(フリーキャッシュ・フロー)とは、会社が事業活動と投資活動を通じて自由に使える余剰資金のこと。
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、半導体業界およびFPD業界への依存度が高く、売上高の約7割を占めています。これらの業界における受注量が急激に減少した場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、半導体およびFPD製造装置用部品に使用されるニッケル等の希少原材料の市況が高騰した場合、仕入価格の上昇が経営成績に影響を与えるリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
新報国マテリアルは、創造的な金属材料技術を基盤とし、先端技術の発展に貢献しながら、持続的な成長を目指しています。お客様や社会からの信頼を大切にし、社員の働きがいを追求する企業風土を醸成しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
新報国マテリアルは、創造性に富む金属材料技術、生産技術、加工技術を培い、独創的な金属材料を創製することを目指しています。これにより、先端技術の基盤を支え、お客様や株主様の期待に応えるとともに、人々の生活や文化に貢献することを目指しています。同社は、会社の持続的成長を実現することを経営方針としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
新報国マテリアルは、サステナビリティを経営の重要課題と認識し、持続可能な社会の実現への貢献と永続的な成長を目指しています。そのために、2022年2月に「SDGs推進委員会」を設置し、取り組みを推進しています。
同社は、「少数精鋭の社員を魅力ある職場で幸せの実現」を目標に掲げ、社員の働きがいを高める様々な取り組みを行っています。具体的には、業務効率化の推進や育休制度など多様な働き方ができる体制づくりを進めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
新報国マテリアルは、売上100億円企業への成長を目指す中で、社会に不可欠な会社となることを掲げています。また、お客様や社会から信頼される会社、株主様から支持される会社となることを重要な課題として取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
新報国マテリアルは監査等委員会設置会社であり、取締役会が重要な意思決定と業務執行の監督を担っています。監査等委員会は、取締役の業務執行状況を監査し、法令違反行為等の未然防止を図る体制です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
新報国マテリアルの株主構成を見ると、事業会社が筆頭株主として名を連ねています。その他にも、個人株主や関連企業が上位に位置しており、多様な主体によって支えられている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本製鉄 | 15.30% |
| 村岡克彦 | 10.80% |
| 湊組 | 8.10% |
| 石田龍山 | 4.70% |
| 埼玉りそな銀行 | 4.70% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性5名・女性1名)で構成され、女性役員比率は17.0%です。代表取締役社長は成瀬正氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 成瀬 正 | 代表取締役社長 | 1970年に住友金属工業株式会社(現日本製鉄株式会社)に入社後、住友特殊金属株式会社や株式会社NEOMAX、日立金属株式会社を経て、2008年3月に同社取締役副社長に就任。2009年8月より代表取締役社長、2016年3月より社長執行役員を務め、現職です。 |
| 鎌田 貴幸 | 取締役営業部長 | 1997年4月に同社に入社し、製造部鋳鋼課主任、営業部営業課長を経て、2012年1月に営業部長に就任。2023年3月より取締役営業部長、2024年4月より取締役執行役員を務め、現職です。 |
| 横井 裕二 | 取締役三重工場長 | 1997年1月に山本重工業株式会社(現三重工場)に入社後、同社で鋳鋼部部長などを歴任。2014年4月に株式会社新報国製鉄三重の取締役工場長に就任し、2023年3月より同社取締役三重工場長を務め、現職です。 |
社外取締役は、八尾量也氏(元日鉄ステンレス鋼管副社長・監査等委員長)、丸茂隆氏(税理士丸茂隆税務事務所所長・監査等委員・独立委員会委員)、井上裕子氏(株式会社井上鉄工所代表取締役社長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、社外監査等委員を含む監査等委員による監査体制が経営監視機能として有効であると判断しています。社外取締役は、社内役員から独立した専門的見地から経営全般に関与し、牽制機能を充実させる役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、企業価値の持続的な向上を促すインセンティブとして機能する報酬体系を基本方針としています。各役員の職責や役割、会社の業績、担当業務への貢献・実績に基づいて決定されており、役員賞与も当期の業績を考慮して決定されます。明確な業績連動報酬は採用していません。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 64百万円 | 21.3百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 12百万円 | 4.0百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。