※本記事は、日本パワーファスニング株式会社 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
日本パワーファスニングは、プレハブ住宅をはじめとする住宅用及び一般建築・土木用の締結部材(ファスナー)や締結工具(ツール)の製造販売を主軸とする企業です。また、不動産賃貸などのその他事業も展開しています。
単体従業員数は142名、連結従業員数は142名です。同社グループは建築用ファスナー及びツール関連事業の単一セグメントとなっています。
主な国内グループ会社は、J.J.ツールなどです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
日本パワーファスニングは、平均勤続年数が長く、従業員の定着性が高い傾向が見られます。また、平均年齢も比較的高く、経験豊富な人材が活躍していることがうかがえる環境です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は平均勤続年数が長く、従業員の定着性が高い傾向にあります。平均年齢も比較的高く、経験豊富な人材が長く活躍できる環境であることが示されています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,659,000円 |
| 平均勤続年数 | 17.1年 |
| 平均年齢 | 46.1歳 |
| 単体従業員数 | 142人 |
| 連結従業員数 | 142人 |
| 単体のグループ内比率 | 100.0% |
同社は、確定拠出年金制度と前払退職金制度の選択制を採用しています。この制度は、国内の従業員を対象としています。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
連結ベースの確定拠出制度への要拠出額は39百万円です。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「伸びやかで豊かな企業人を育む環境づくり」を企業理念に掲げ、持続的な成長のために人的資本の最大化に取り組んでいます。社員行動規範の「既成概念にとらわれず、積極果敢に職務を遂行し、常に『挑戦と創造』を追求する」という指針のもと、従業員の目標管理・育成・自己啓発支援、および適切な人事評価運用を通じて、会社と従業員の持続的な成長を目指しています。
具体的には、管理者や中堅社員向けの研修を実施し、女性の活躍推進に向けた課題検討や解決策の実施にも取り組んでいます。また、安全衛生管理体制や健康経営の推進を通じて、社員が心身ともに健全な状態で働きがいを感じられる職場環境の構築を目指しています。健康経営の推進では、従業員の健康維持・増進と働き方改革を一体と捉え、定期健康診断後の二次健康診断や特定保健指導、所定外労働時間管理の徹底、ノー残業デーの設定などを行っています。
両立支援制度の利用促進にも力を入れており、出生時育児休業取得時の特別休暇の周知や女性従業員の職域拡大に取り組んでいます。在宅勤務については、ネット環境の整備は完了しており、本格導入に向けた課題解決と充実を図
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
日本パワーファスニングは、建築用ファスナーやツール関連事業を主軸とし、住宅用から一般建築・土木用まで幅広い締結部材と締結工具の製造販売を手掛けています。また、不動産賃貸などのその他事業も展開しており、多角的な収益源を持つ事業構造となっています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、建築用ファスナー及びツール関連事業を主要な事業としています。プレハブ住宅をはじめとする住宅用や、一般建築・土木用の締結部材(ファスナー)や締結工具(ツール)の製造販売を通じて収益を得ています。この事業は、同社とJ.J.ツールが担当しています。
また、不動産賃貸などのその他事業も展開しており、同社が運営しています。同社グループの売上高は、本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えており、国内市場に強く依存していることがうかがえます。主要な顧客としては積水ハウスが挙げられ、売上高に占める割合は前期から横ばいの傾向にあります。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は概ね横ばいから微増で推移しています。経常利益は変動が大きく、前期は大幅な利益を計上しましたが、当期は損失に転じています。親会社株主に帰属する当期純利益も同様に変動が大きく、当期は損失を計上する結果となりました。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 53.3億円 | 53.5億円 | 51.1億円 | 50.4億円 | 50.6億円 |
| 経常利益 | 1.7億円 | 14百万円 | △44百万円 | 3.7億円 | △6百万円 |
| 経常利益率 | 3.1% | 0.3% | △0.9% | 7.3% | △0.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 21.4億円 | 40百万円 | △1.1億円 | 5.1億円 | △30百万円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 132.20 | 2.53 | △6.83 | 32.46 | △2.11 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から増加しています。また、従業員1人あたりの営業利益も前期の損失から当期は利益に転じており、生産性の改善が見られます。これらの指標は、組織全体の効率化や収益体質の強化に向けた取り組みが一定の成果を上げていることを示しています。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 34.1百万円 | 35.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △0.6百万円 | 0.1百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で資金を生み出しつつも、投資活動に資金を投じています。これにより、将来に向けた成長投資を進めている状況がうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤を見ると、自己資本比率は40.9%となっています。これは製造業のプライム市場平均と比較してやや低い水準です。ROE(自己資本利益率)は当期がマイナスに転じており、前期からは大きく変化しています。
手元資金である現金及び預金は13.8億円で、前期から減少しました。これらの状況は、同社グループの収益性と資金の流動性について、現状を把握する上で重要な情報となります。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 23.0億円 | 23.2億円 |
| 自己資本比率 | 39.5% | 40.9% |
| ROE(自己資本利益率) | 18.0% | -1.3% |
| 現金及び預金 | 16.2億円 | 13.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは0.2億円の収入となりました。これは前期の2.3億円から減少しています。税金等調整前当期純損失ではあったものの、減価償却費等の非資金項目の戻し入れや売上債権の減少などが要因となっています。
投資活動によるキャッシュフローは△1.0億円の支出となり、前期の9.6億円の収入から支出に転じました。これは主に有形固定資産の取得による支出が影響しています。財務活動によるキャッシュフローは△1.5億円の支出で、長期借入金の返済や配当金の支払いが主な要因です。
これらの結果、自由に使える資金を示すフリーキャッシュフローは△0.8億円の支出となりました。本業で資金を生み出しつつも、有形固定資産への投資を積極的に行っている状況がうかがえます。これは、将来の事業成長に向けた投資フェーズにあることを示しており、今後の事業展開や雇用・給与の安定性にも影響を与える可能性があります。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.3億円 | 0.2億円 |
| 投資CF | 9.6億円 | △1.0億円 |
| 財務CF | △17.7億円 | △1.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 11.9億円 | △0.8億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、主要販売分野である住宅業界及び建設業界等の市場動向の影響を大きく受けます。また、工業用ファスナー分野は国内に多数の製造業者が存在し、輸入品も多く、競争が激しい業界です。
さらに、主な販売先である積水ハウス株式会社への売上依存度が26.6%を占めています。今後の同社との取引動向によっては、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループが属する建設・住宅業界では、深刻化する人手不足が業界を取り巻く環境として挙げられています。これは同社グループの事業活動にも影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
日本パワーファスニングは、オリジナリティ溢れる技術を基盤に、顧客の信頼と社会の発展に貢献することを目指しています。社員一人ひとりが伸びやかに成長できる環境づくりを大切にしている会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは「伸びやかで豊かな企業人を育む環境づくりを目指し、オリジナリティ溢れる技術をベースに製品を開発し、顧客の信頼を得るとともに、社会の発展に貢献する。」という企業理念を掲げています。
この理念のもと、「常にユーザーの最新のニーズをキャッチし、最適設計のファスナーとツールを提供することにより、日本で最大の総合ファスニングメーカーを目指す。」ことを企業目標としています。持続的な企業価値の向上を図ることを目指している会社です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、企業理念にある「伸びやかで豊かな企業人を育む環境づくり」を重視しています。社員行動規範として「既成概念にとらわれず、積極果敢に職務を遂行し、常に『挑戦と創造』を追求する」ことを指針としています。
リスク管理を経営の重要課題と位置付け、「リスク管理規程」に基づき、リスクの発生防止と対応に取り組む体制を構築しています。また、持続的な成長のために人的資本の最大化に努めており、従業員の目標管理や自己啓発支援、適切な人事評価運用を通じて、会社と従業員が共に成長することを目指しています。健康経営の推進や両立支援制度の利用しやすい環境整備にも取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、建築市場の構造的変化への対応を課題と認識しています。組織戦略として、経営資源(人的)の再編に取り組んでおり、具体的には直接人員の増強や間接人員との比率の適正化、首都圏営業関連の人員補強と営業所の再編を進めています。
サステナビリティの観点では、施工現場の省力化や建物の長寿命化に寄与し、環境負荷を低減した製品の開発・提供を基盤としています。製造工程では再生可能エネルギーの積極活用やエネルギー消費を意識した生産効率の見直しに取り組んでいます。人的資本の分野では、健康経営の推進や両立支援制度を利用しやすい環境整備を通じて、社員が働きがいを感じられる職場環境の構築を目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
日本パワーファスニングは監査等委員会設置会社として、コーポレート・ガバナンス体制を構築しています。取締役会は、経営の基本方針や重要事項の審議・決定、および同社グループの業務執行の監督を担っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
日本パワーファスニングの株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社であるマルエヌです。これに複数の個人株主や金融機関が上位に名を連ねています。特定の事業会社や個人が上位株主として存在しており、同社の経営を支える主要な存在となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| マルエヌ | 27.16% |
| 土肥雄治 | 10.53% |
| 土肥智雄 | 4.87% |
| みずほ銀行 | 4.67% |
| 池田泉州銀行 | 4.57% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性5名・女性1名)で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長技術・生産担当は藤井宏二氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 藤井 宏二 | 代表取締役社長 技術・生産担当 | 1988年4月同社入社、2016年4月同社生産本部技術・品証部長、2023年3月同社取締役就任、2025年5月同社代表取締役社長就任より現職。 |
| 高木 茂幸 | 取締役 営業担当 兼新製品・新事業担当 兼営業部長 兼大阪営業部長 | 1987年4月同社入社、2012年4月同社営業本部マーケティング部長、2024年3月同社取締役就任、2025年12月同社取締役営業担当兼新製品・新事業担当兼営業部長兼大阪営業部長より現職。 |
| 鈴木 昭洋 | 取締役 管理担当 兼企画・総務部長 兼システム部長 | 1994年4月同社入社、2008年4月同社管理本部総務部総務課長、2024年3月同社取締役就任、2026年1月同社取締役管理担当兼企画・総務部長兼システム部長より現職。 |
社外取締役は、加藤弘之氏(税理士法人エクジット代表社員・監査等委員)、横山美帆氏(清水謙法律事務所代表弁護士・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役が監査・監督の実効性を高め、取締役会の監督機能を強化しています。監査等委員会は、独立した社外取締役2名を含む3名で構成されています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
日本パワーファスニングの役員報酬は、業務執行取締役に対しては固定報酬としての基本報酬と業績連動報酬としての役員賞与で構成されています。一方、監査等委員である取締役および社外取締役には、その職務の性質を考慮し、基本報酬のみが支払われる仕組みです。基本報酬は役位や職責、在任年数に加え、同社の業績や従業員給与水準などを総合的に勘案して決定されます。業績連動報酬は、事業年度ごとの業績向上意識を高めるため、営業利益などの業績指標の達成度合いに基づいて支給されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 31百万円 | 6.3百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 11百万円 | 10.8百万円 |
| 社外取締役 | 2名 | 7百万円 | 3.6百万円 |
当事業年度における役員報酬等の総額は49.5百万円であり、対象となる役員の合計は8名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。