※本記事は、株式会社長府製作所 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月18日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
長府製作所は、給湯機器、空調機器、システム機器、ソーラー機器などの住宅関連機器の製造・販売を主たる業務とする企業グループです。同社グループは、快適で健やかな生活を追求した商品開発に積極的に取り組んでいます。
単体従業員数は1,113名、連結従業員数は1,166名です。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)サンポットエンジニアリング(エンジニアリング部門)、(連結子会社)大阪テクノクラート(同)、(連結子会社)インサイトエナジー(同)などです。これらの連結子会社はエンジニアリング部門を担っています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
長府製作所は、住宅関連機器の製造・販売を主軸とする企業です。同社グループは、長年にわたり培ってきた技術とパイオニア精神を活かし、省エネ製品や再生可能エネルギー利用製品の開発を通じて、人にも地球にも優しい暮らしの実現を目指しています。このような事業特性を持つ同社グループが、従業員に対してどのような給与水準や働き方の環境を提供しているのか、具体的なデータから見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高い水準にあります。このことから、長期にわたって安定して働き続ける従業員が多い傾向にあることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,160,290円 |
| 平均勤続年数 | 16.3年 |
| 平均年齢 | 40.9歳 |
| 単体従業員数 | 1,113人 |
| 連結従業員数 | 1,166人 |
| 単体のグループ内比率 | 95.5% |
同社および一部の連結子会社は、従業員の退職給付に充てるため、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の制度を採用しています。これらの制度は国内グループ会社を対象としています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。当連結会計年度末における退職給付債務は75.5億円、年金資産は76.3億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、持続的な発展のために人材の確保・育成が不可欠であると認識しており、多様な人材が能力を発揮できる労働環境の整備を重要な課題としています。特に、2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを加速させるため、GXリーグへの参画やCN推進チームの設置を通じて、環境配慮型企業としての成長を支える人材育成に力を入れています。
また、人的資本に関わる指標と目標を定めた行動計画を策定し、人材の活躍を推進しています。具体的には、女性総合職の人数目標や男性の育児休業取得率目標、法定時間外労働時間の抑制目標などを掲げ、働きやすい環境づくりに取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。パート・有期労働者には有期契約である定年再雇用従業員を含んでおり、有期契約である定年再雇用従業員の男女の賃金の差異は77.5%です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 47.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 64.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 62.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 86.7% |
女性の活躍に関する情報公表
性別による賃金基準に違いはありませんが、賃金差の主な理由は、総合職の女性比率が3.68%であること、総合職の年齢構成において男性は40-50代が58.2%を占める一方、女性は30代以下が76.5%を占めること、全労働者の平均勤続年数が男性20.4年に対し女性11.5年であること、および月平均残業時間が男性19.0時間に対し女性5.8時間であることとされています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 採用した労働者に占める女性労働者の割合 | 34.5% |
| 有給休暇取得率 | 70.8% |
| 男女別賃金比率(全労働者) | 64.6% |
| 男女別賃金比率(正社員) | 62.6% |
| 男女別賃金比率(再雇用) | 77.2% |
| 男女別賃金比率(準社員) | 86.7% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社長府製作所は、住宅関連機器の製造と販売を主たる事業とする同社グループの中核企業です。給湯機器、空調機器、システム機器、ソーラー機器など、多岐にわたる製品を提供し、人々の快適な暮らしを支えています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、住宅関連機器の製造・販売を単一セグメントとして事業を展開しています。給湯機器、空調機器、システム機器、ソーラー機器、そしてエンジニアリング部門が主な事業領域です。
給湯機器では、石油給湯機器、ガス給湯器、電気温水器、エコキュートなどを製造・販売しています。当連結会計年度においては、業界初のウルトラファインバブル石油給湯器などの高効率給湯器が売上を伸ばし、製品価格改定の効果もあって、全体の売上を増加させました。
空調機器では、石油ストーブ、ガスストーブ、温水暖房システム、地中熱ヒートポンプ、融雪システムなどを手掛けています。ハウスメーカー向けのヒートポンプ式熱源機や全館空調システムは好調に推移しましたが、欧州向けのヒートポンプ式熱源機の販売が振るわず、全体の売上は減少しました。
システム機器は、システムバス、人工大理石浴槽、システムキッチンなどを提供しています。システムバスの販売が振るわなかったため、全体の売上は減少傾向にあります。
ソーラー機器・その他では、太陽熱温水器、太陽熱利用給湯システム、ソーラー床下換気扇などを扱っています。エコワイターやエネワイターの販売が好調だったことから、全体の売上は増加しました。
エンジニアリング部門は、当連結会計年度において売上が減少しました。同社グループは、快適さや健康を追求した新製品、およびカーボンニュートラル実現に向けた高効率で環境負荷の低い新製品の拡充に積極的に取り組んでいます。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの連結業績は、過去5年間で売上高と経常利益が変動しながら推移しています。親会社株主に帰属する当期純利益も同様に変動が見られ、当連結会計年度は減少となりました。
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、製品補償損失引当金を計上したことにより、前期と比較して減少しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 449億円 | 498億円 | 485億円 | 461億円 | 465億円 |
| 経常利益 | 41.4億円 | 53.7億円 | 56.7億円 | 44.9億円 | 45.9億円 |
| 経常利益率 | 9.2% | 10.8% | 11.7% | 9.7% | 9.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 29.1億円 | 38.7億円 | 40.0億円 | 31.4億円 | 21.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 83.88 | 111.55 | 117.09 | 92.45 | 63.96 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期と比較してわずかに増加しています。一方で、従業員1人あたりの営業利益は前期から横ばいの水準を維持しています。これらの指標は、同社グループの事業活動における効率性や収益創出能力の傾向を示しています。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 39.1百万円 | 39.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.5百万円 | 1.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
長府製作所グループは、本業で安定的に資金を生み出し、事業活動に必要な投資も自己資金で賄える財務基盤を築いています。これにより、将来に向けた成長投資と安定した事業運営の両立が期待できる状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
長府製作所の財務基盤は、自己資本比率が非常に高い水準にあります。これは、外部からの借入に依存せず、自社の資金で事業を運営していることを示しています。一方で、ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均と比較して低い水準となっています。手元資金は一定の厚みを維持しており、不測の事態にも対応できる体制が整っています。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 1,352億円 | 1,377億円 |
| 自己資本比率 | 94.4% | 93.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 2.3% | 1.6% |
| 現金及び預金 | 41.6億円 | 37.3億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
長府製作所グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュフローは、売上債権の減少や引当金の増加などにより、前期から大きく増加しました。投資活動によるキャッシュフローは、有価証券の売却や投資有価証券の取得などにより、資金の使用が増加しています。財務活動によるキャッシュフローは、主に配当金の支払により、前期とほぼ同水準の資金を使用しています。本業で得た資金が投資を上回っており、安定した事業運営と将来への投資を両立できる資金の流れを示しています。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 25.8億円 | 48.1億円 |
| 投資CF | △5.8億円 | △34.9億円 |
| 財務CF | △15.6億円 | △15.6億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 20.0億円 | 13.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの製品は原材料費が製造原価の過半を占めており、主要材料の価格変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、給湯機器市場は成熟しており、競合による販売価格の低下や他社の新技術開発が収益に影響を与えるリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
長府製作所は、創業以来の経営理念に基づき、社会文化の向上に貢献することを目指しています。顧客満足を第一に、環境に配慮した製品開発と企業体質の強化に取り組む会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
長府製作所は、「会社は絶えずより良い製品を作り、これを広く普及することに努力し、以って社会文化の向上に寄与する」ことを経営理念としています。同社グループは、この理念のもと、「顧客満足第一」をモットーに、社員全員でより良い製品を提供していくことを掲げています。
中長期的には、顧客満足度の向上と安定配当の継続を経営目標とし、企業体質の強化に注力しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「人に優しい、環境に優しい」環境配慮型企業として、サステナビリティに関する取り組みを重視しています。培ってきた技術とパイオニア精神を活かし、省エネ製品や再生可能エネルギー利用製品の開発を通じて、人と地球にやさしい暮らしの実現を目指す価値観を持っています。
また、多様な人材が能力を発揮できる労働環境の整備も重要な課題と認識しており、グループ全体の継続的な発展のために人材の確保・育成に力を入れています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、カーボンニュートラルの実現を重要な経営課題の一つとしています。これに向けて、環境にやさしく高効率な製品のラインアップ強化とシェアアップに取り組んでいます。
具体的には、開発部門では高効率・省エネ、快適・健康を追求した高付加価値商品の開発を進めています。また、生産・購買部門では原材料費高騰に対応した品質向上と設備投資に注力し、グループをあげて経営全般の合理化と業績向上に努めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会は取締役11名(うち社外取締役2名)で構成されています。経営の意思決定の迅速化と健全性の向上を図り、企業価値を持続的に高めることを目指したガバナンス体制となっています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社は、長府物産、長府精機、長府共済会といった同社グループの関連会社が上位株主として名を連ねています。特定の株主グループが経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 長府物産 | 12.68% |
| 長府精機 | 12.05% |
| 長府共済会 | 9.33% |
なお、前事業年度末において主要株主であったJP MORGAN CHASE BANK 380055は、当事業年度末現在では主要株主ではなくなりました。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性11名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は山下学氏が務めています。社外取締役比率は18.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山下 学 | 取締役社長 (代表取締役) | 1998年4月同社入社、2024年3月同社取締役総務部長、2025年3月より同社取締役社長(代表取締役)現職。 |
| 川上 康男 | 取締役会長 (代表取締役) | 1971年2月同社入社、1997年12月同社取締役社長(代表取締役)、2012年3月より同社取締役会長(代表取締役)現職。 |
| 川上 康弘 | 常務取締役 | 2004年10月同社入社、2014年3月同社取締役総務部長、2023年3月より同社常務取締役現職。 |
| 和田 健 | 取締役 花巻工場 工場長 | 1982年3月同社入社、2013年3月同社取締役営業部長、2022年4月より同社取締役花巻工場長現職。 |
| 林 徹郎 | 取締役 海外営業部長 | 1985年4月同社入社、2014年3月同社取締役東京支店長、2023年5月より同社取締役海外営業部長現職。 |
| 三久保 忠俊 | 取締役 宇都宮工場長 兼 東京支店長 | 1995年3月同社入社、2021年3月同社取締役宇都宮工場営業部長、2024年1月より同社取締役宇都宮工場長兼東京支店長現職。 |
| 西島 一幸 | 取締役 | 1994年4月同社入社、2021年3月同社取締役、2022年3月より大阪テクノクラート代表取締役社長現職。 |
| 斎藤 哲哉 | 取締役 製造部長 | 2005年1月同社入社、2021年3月同社製造部長、2024年3月より同社取締役製造部長現職。 |
社外取締役は、山元浩氏(弁護士)、椋梨敬介氏(山口フィナンシャルグループ代表取締役社長CEO)です。
同社は監査等委員会設置会社を採用しています。監査等委員である取締役3名のうち2名が社外取締役であり、客観的な立場から経営監視機能を強化する体制となっています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社は、役員報酬について明確な業績連動報酬は採用していません。基本報酬の個人配分と業績を反映した賞与を支給する体系です。支給の可否や支給額は、代表取締役が総合的に勘案して決定しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 9名 | 68百万円 | 7.6百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 9百万円 | 9.0百万円 |
| 社外役員 | 2名 | 6百万円 | 3.0百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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