共和電業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

共和電業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スタンダード市場に上場する共和電業は、ひずみゲージ等のセンサや測定器を扱う計測機器の製造販売および計測データ解析等のコンサルティング事業を主力としています。直近の業績は、幅広い事業分野における汎用品の需要増などにより増収となったものの、為替差損の計上等により親会社株主に帰属する当期純利益は減益となりました。


※本記事は、株式会社共和電業の有価証券報告書(第79期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 共和電業ってどんな会社?


同社は、ひずみゲージをコア技術とした計測機器の総合メーカーとして各種センサや測定器を提供する企業です。

(1) 会社概要


1949年に無線通信機器等の製造販売を目的に共和無線研究所として設立されました。1961年に共和電業へ社名変更し、1969年に東京証券取引所市場第二部へ上場しました。その後、子会社の設立等を通じて事業体制を強化し、2000年には同市場第一部へ指定されました。現在はスタンダード市場で事業を展開しています。

同社グループは連結従業員数763名、単体447名で事業を運営しています。筆頭株主は事業会社のアジア電子工業で、第2位は光通信KK投資事業有限責任組合、第3位は共和電業従業員持株会です。

氏名 持株比率
アジア電子工業 7.43%
光通信KK投資事業有限責任組合 6.92%
共和電業従業員持株会 6.38%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長執行役員は下住晃平氏が務めています。社外取締役の比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
下住晃平 代表取締役社長執行役員 1995年同社入社。技術本部自動車機器部長、生産本部生産技術部長、経営管理本部長等を経て2025年より現職。
田中義一 取締役会長 1980年同社入社。経営管理本部長等を経て2019年に代表取締役社長執行役員に就任。2025年より現職。
坂野浩義 取締役上席執行役員 1986年同社入社。海外統括本部副本部長、技術本部副本部長等を経て2026年より現職。
西川清彦 取締役上席執行役員 1986年同社入社。品質管理本部長、技術本部長等を経て2026年より現職。
高野二三夫 取締役上席執行役員 1983年同社入社。経営管理本部長兼財務経理部長、経営戦略室長等を経て2026年より現職。
斎藤美雄 取締役(常勤監査等委員) 1981年同社入社。海外統括本部長、常務取締役執行役員経営管理本部長等を経て2024年より現職。


社外取締役は、輪島勝紀(元トキコシステムソリューションズ社長)、綾部収治(元みずほファクター社長)、柿崎正樹(元山銀リース社長)、百瀬崇子(長濱・水野・井上法律事務所所属)です。

2. 事業内容


同社グループは、「計測機器」および「コンサルティング」の2つの報告セグメントを展開しています。

(1) 計測機器


センサ関連機器や測定器関連機器などの汎用品、顧客要望に応じて設計する特注品、センサと測定器を組み合わせたシステム製品の製造・販売のほか、保守・修理等のアフターメンテナンスを提供しています。自動車やインフラなど幅広い産業の研究開発部門を中心に利用されています。

製品販売や保守サービス等により収益を得ています。運営は同社を中心に行われており、山形共和電業や甲府共和電業、タマヤ計測システムなどの製造子会社から購入した製品を同社が加工・販売しています。また、海外市場向けには販売子会社が製品の展開を担当しています。

(2) コンサルティング


計測機器の設置、測定データの解析、現地での計測業務など、計測に関わる一連の役務を提供しています。インフラ構造物の維持管理や老朽化対策、各種試験設備における安全性評価など、高度な専門知識が求められる分野での課題解決をサポートしています。

計測データの解析や現地計測の業務提供に対する対価として収益を得ています。製品の設置や測定業務の実務は、主に関東地区を共和計測が、関西地区以西をニューテックがそれぞれ担当しており、サービスの販売および窓口業務は同社が担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績は、売上高が138億円から163億円へと概ね順調に拡大しています。経常利益は一時的な落ち込みがあったものの、その後は回復し、14億円台で安定して推移しています。利益率は5〜9%台を維持しています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 145億円 138億円 149億円 154億円 163億円
経常利益 10億円 8億円 12億円 15億円 15億円
利益率(%) 6.7% 5.5% 7.8% 9.5% 9.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 5億円 8億円 10億円 11億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、それに伴い売上総利益も拡大しています。一方で、原材料価格の高騰による影響や販売費及び一般管理費の増加もあり、営業利益の伸びは小幅にとどまっています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 154億円 163億円
売上総利益 60億円 62億円
売上総利益率(%) 39.2% 38.2%
営業利益 14億円 14億円
営業利益率(%) 8.8% 8.5%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が15億円(構成比30%)、退職給付費用が1億円(同2%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の計測機器セグメントは、汎用品の需要増と価格改定の効果により売上高が伸長しました。一方、コンサルティングセグメントは鉄道関連の需要が一巡したこと等により、売上高が減少しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
計測機器 139億円 149億円
コンサルティング 14億円 13億円
連結(合計) 154億円 163億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

共和電業のキャッシュ・フローの状況についてご説明します。

営業活動によるキャッシュ・フローは、利益や減価償却費の計上等により収入があったものの、売上債権の増加や棚卸資産の増加、仕入債務の減少、税金の支払い等により、前連結会計年度に比べて収入が減少しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻しや投資有価証券の売却等による収入があった一方で、定期預金の預け入れや有形・無形固定資産の取得等により支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得や短期借入金の減少、配当金の支払い等により、前連結会計年度に比べて支出が増加しました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 16億円 6億円
投資CF -3億円 -4億円
財務CF -12億円 -20億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「計測を通じ、お客様と共に社会と人の安全を実現し、安心な未来をつくる」という経営ビジョンを掲げています。インフラ構造物に対する安全意識の高まりや老朽化への維持管理など、同社が貢献できる領域の拡大を成長の機会ととらえ、事業活動を通じた社会課題の解決を目指しています。

(2) 企業文化


従業員が常に意識し共有すべき基本的な心構えとして「KYOWA WAY」を制定しています。「働く人たち同士が信頼と尊重でつながる」「働く人たちが仕事にやりがいと誇りをもち、自ら考え行動できる」「常に挑戦し、継続的な成長を追求する」ことを具現化できる人材を求める人物像とし、前向きな気持ちでチャレンジできる企業風土の醸成を進めています。

(3) 経営計画・目標


2025年度を初年度とする新中期経営計画「KYOWA Vision 2027」を策定し、安定的な収益確保による財務体質の強化を優先課題としています。継続的な成長軌道に乗せることを目指し、2026年度には以下の計数目標を掲げています。

* 売上高:165億円
* 営業利益:15億円
* 営業利益率:8.8%
* ROE:6.6%

(4) 成長戦略と重点施策


「既存分野の深耕とサービスの拡充・創出」および「収益力の向上と資本効率の改善」を基本方針としています。具体的な施策として、校正事業の拡大やクラウドサービスの事業化、フィールドビジネスの強化といった計測事業のさらなる拡充を進めるほか、ECサイトやデジタルを積極活用した顧客満足の向上に注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


多様な価値観をもった人材の働きやすさとやりがいの向上を目指し、従業員の成長とともに会社が成長できる仕組みづくりを推進しています。「自律と協働」を重視した組織横断の研修や、若手社員の社会人基礎力向上プログラムを実施するほか、ワークライフバランスに配慮した柔軟な就業形態の構築により、エンゲージメントの向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 41.1歳 16.4年 7,190,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.8%
男性育児休業取得率 42.9%
男女賃金差異(全労働者) 77.4%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 79.6%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 73.4%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇取得率(83.8%)、平均残業時間/月(11.5時間)、育児休業取得後の復職率(100.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場リスク


同社の製品は官公庁や大学、各種製造業など幅広い分野に販売されていますが、国内の経済環境や設備投資動向の大幅な悪化により製品需要が減少する可能性があります。また、事業の海外展開を進めているため、各国の経済環境や為替相場の変動、法的規制の変更等が業績に影響を及ぼす懸念があります。

(2) 技術開発リスク


応力測定分野の総合メーカーとして広範囲な顧客ニーズに対応すべく技術開発を進めていますが、計測機器業界の技術進歩は目覚ましく、急激な技術革新や予期しない代替技術が出現した場合、同社製品の需要が低下し、競争上の優位性を失うことで業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 競争リスク


長い経験とノウハウに基づく高品質・高性能な製品を市場に提供していますが、アジア諸国をはじめとする海外メーカーの品質・技能向上は著しく、将来的に品質面での競争力を失った場合、一部製品で価格競争が激化し、収益性が低下するリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。