星和電機 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

星和電機 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スタンダード市場上場の星和電機は、情報機器、照明機器、コンポーネントの製造販売を主力とする企業です。道路情報表示システムや産業用防爆照明などで強みを持ちます。直近の業績は、売上高が民間設備関連の照明器具等の伸長で増収となった一方、利益面はコンポーネント事業などの減益により増収減益の傾向にあります。


※本記事は、星和電機株式会社の有価証券報告書(第78期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 星和電機ってどんな会社?


道路情報システムや産業用照明、電磁波環境対策部品などを手掛ける、産業インフラを支えるメーカーです。

(1) 会社概要


1949年に電気工事材料の販売および電気工事請負業として設立されました。1958年に耐圧防爆形蛍光灯器具を開発し、防爆検定第一号合格品として販売を開始しました。その後、1969年に電光式道路情報表示板を開発するなど事業を拡大し、1989年に上場を果たしました。2022年の市場再編に伴い、東証スタンダード市場へ移行しています。

現在の従業員数は連結で637名、単体で527名となっています。大株主については、筆頭株主は星和電機取引先持株会で、第2位は公益財団法人である京都青少年育成スポーツ財団、第3位は金融機関が名を連ねています。

氏名 持株比率
星和電機取引先持株会 14.47%
公益財団法人京都青少年育成スポーツ財団 7.73%
京都銀行 4.62%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性0名の計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は増山晃章氏が務めており、社外取締役比率は18.2%となっています。

氏名 役職 主な経歴
増山晃章 代表取締役社長 1981年同社入社。営業企画室長、新規事業本部長などを経て、2005年代表取締役社長に就任。2014年より営業本部長を兼務し、2016年より現職。
春山雅彦 常務取締役 1987年同社入社。公共営業本部関西支社長などを経て、2016年取締役営業本部長に就任。2025年より現職。
水本和治 常務取締役 1992年同社入社。生産本部生産計画部長、生産事業統括部長などを経て、2024年取締役執行役員に就任。2025年より現職。
寺垣敬司 取締役執行役員 1994年同社入社。品質管理部長、情報システム事業部長などを経て、2021年取締役執行役員事業戦略本部長に就任。2024年より現職。
竹之内光彦 取締役執行役員 1986年同社入社。照明事業部長、情報システム事業部長などを経て、2020年取締役執行役員に就任。2025年より現職。
小林浩幸 取締役執行役員 1986年同社入社。東日本統括部長などを経て、2019年執行役員営業本部副本部長兼営業企画部長に就任。2026年より現職。
河合隆 取締役執行役員 1991年同社入社。照明事業部技術部長、照明事業部長などを経て、2021年取締役執行役員照明システム事業部長に就任。2025年より現職。
長谷部卓也 取締役執行役員 1986年同社入社。営業本部工事部長、エンジニアリング部長などを経て、2026年取締役執行役員エンジニアリング事業本部長に就任し現職。
宮下雅良 取締役(監査等委員) 1981年同社入社。公共営業本部長、品質保証本部長などを経て、2025年取締役(監査等委員)に就任し現職。


社外取締役は、益満清輝(益満法律事務所所長)、千代田邦夫(元金融庁公認会計士・監査審査会会長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「情報機器」「照明機器」「コンポーネント」および「その他」事業を展開しています。

情報機器事業


一般道・高速道路情報表示システムをはじめ、河川情報や津波情報の表示システム、LED式信号機等の製造・販売を行っています。高度情報化時代におけるコミュニケーションツールとして、インフラを支える製品群を各種公共機関などへ提供しています。

収益源は、道路情報板などの製品販売や据付工事、保守サービスを通じた対価です。運営は主に星和電機が担っており、子会社の星和テクノロジーが保守等の各種サービスを提供しています。

照明機器事業


石油精製所や化学工場等の爆発危険場所で使用される防爆形照明をはじめ、道路・トンネル照明、街路照明などの各種産業用照明機器の開発・製造販売を行っています。近年はオールLED化や多機能システム製品の提供にも注力しています。

収益は、これらの高付加価値な照明器具や照明用LEDモジュールなどの販売代金から得ています。運営は主に星和電機と、子会社であるデジテック、中国の常熟星和電機有限公司などが行っています。

コンポーネント事業


デジタル機器の普及に伴う電磁ノイズを防ぐ電磁波環境対策部品や、配電盤の配線作業を合理化する配線保護機材(カッチングダクト等)、配管保護機材の製造販売を展開しています。電波暗室を活用したノイズ対策ソリューションも提供しています。

収益源は、各種メーカーや代理店への部材および製品の販売代金です。運営は星和電機が主体となり、中国の常熟星和電機有限公司やベトナムのSEIWA ELECTRIC(VIETNAM)Co.,Ltd.などで製造を担っています。

その他の事業


報告セグメントに含まれない事業領域として、商品仕入販売や情報サービス事業などを展開しています。具体的には、コンピューター保守業務および機器の販売、ソフトウェアの開発販売などを手掛けています。

収益は、商品の販売代金や情報システムの提供による対価として得ています。運営は主に子会社の星和テクノロジーが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、売上高は230億円台から250億円台で安定して推移しています。経常利益は一時期落ち込みが見られたものの、その後は回復傾向にあり、10億円台後半の堅調な水準を維持しています。公共事業や民間設備投資の動向を的確に捉え、安定的な収益基盤を確保しています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 262億円 234億円 238億円 252億円 254億円
経常利益 14億円 16億円 12億円 19億円 17億円
利益率(%) 5.5% 6.7% 4.9% 7.6% 6.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 9億円 10億円 7億円 14億円 12億円

(2) 損益計算書


直近の損益状況では、民間設備関連の産業用照明器具が好調に推移し、増収を確保しました。一方で、配線保護機材等の売上減少に伴い、売上総利益や営業利益は微減となっており、全体としては増収減益の着地となっています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 252億円 254億円
売上総利益 62億円 61億円
売上総利益率(%) 24.5% 23.9%
営業利益 18億円 16億円
営業利益率(%) 7.0% 6.5%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び賞与が19億円(構成比43%)、運賃及び荷造費が5億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の照明機器事業は、民間設備関連の伸長により増収増益を牽引しました。一方、情報機器事業は一般道路向け製品の落ち込みにより微減となり、コンポーネント事業も配線・配管保護機材の減少によって減収減益となっています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期) 利益(2024年12月期) 利益(2025年12月期) 利益率
情報機器 96億円 95億円 14億円 13億円 13.8%
照明機器 95億円 99億円 18億円 20億円 20.1%
コンポーネント 56億円 54億円 3億円 3億円 6.1%
その他 5億円 5億円 0.3億円 0.3億円 5.6%
調整額 -億円 -億円 -18億円 -20億円 -%
連結(合計) 252億円 254億円 18億円 16億円 6.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のパターンを示しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 10億円 21億円
投資CF -2億円 -1億円
財務CF 1億円 -24億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は63.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


経営理念として「人材の開発と相互信頼に努め、新技術に挑戦して、社会に貢献する。」を掲げています。また、経営方針として「環境変化に適応した俊敏な事業活動により、マルチコアカンパニーとして進化し続ける企業を目指す」と定め、国内外の市場において複合技術を活用したソリューション展開を通じて社会貢献を使命としています。

(2) 企業文化


同社は、経営理念や働く目的を実現するために、社員として共有すべき価値観や仕事の進め方を表した「Seiwa Way」という思想を導入しています。「持続可能な組織を実現するためにSeiwa Wayの思想に基づき責任ある行動をする」という方針のもと、モノづくり、市場創出、技術の観点で積極的な事業活動を推進する文化が醸成されています。

(3) 経営計画・目標


中期経営戦略(2024年12月期〜2026年12月期)において、「持続可能な社会を実現するために、持続可能な組織を目指す」ことを目標としています。最終年度の数値目標として以下を掲げています。

* 売上高:26,000百万円
* 営業利益:1,900百万円
* 経常利益:1,970百万円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:1,330百万円
* 営業利益率:7.3%

(4) 成長戦略と重点施策


既存領域から未知の領域へと情報感度を高め、新たな市場を開拓して新規事業を創出することに注力しています。これを加速させるため「新規事業創成本部」を設置しました。既存事業では、蛍光灯製造禁止を背景としたLED照明への切り替え需要獲得や、政府のカーボンニュートラル施策に対応する道路照明のLED化対応を推進し、シェア拡大を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「人財開発基本方針」に基づき、「人と組織のありたい姿」の実現に向けて「人の成長」に焦点を当てた人材開発を推進しています。階層別、職種別、個人別の教育計画の企画や実施を通じて、従業員一人ひとりの多様なキャリアゴールの実現をサポートし、プロとしての成長を促す取り組みを行っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 44.1歳 17.5年 6,565,450円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.9%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 62.0%
男女賃金差異(正規雇用) 75.3%
男女賃金差異(非正規雇用) 48.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新卒採用における女性の割合(23%)、女性管理職者の人数(1名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 公共事業依存による影響リスク


情報機器事業や照明機器事業の一部は、国や地方自治体の公共事業予算の動向に大きく影響を受けます。同社は民需関連市場の新規開拓や新規事業の創出に取り組んでいますが、インフラ整備などの公共工事の減少や入札制度の変更があった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料価格高騰と部品調達リスク


製品製造に必要な原材料や部品を外部から調達しているため、市況の変動による価格高騰が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、供給元における不測の事態により原材料の供給不足や遅延が発生するリスクに対し、同社は代替先の確保や複数社からの調達検討などを進めています。

(3) 新製品の開発リスク


多様化・高度化する顧客のニーズに対応し、適時に適正な価格で新製品を開発・生産する能力が常に求められます。市場変化の予測を誤ったり、技術ノウハウの継承が遅れたりした場合、競争力低下や機会損失を招き、業績悪化につながるリスクが存在します。同社は新製品開発委員会を設置し、早期実現に向けた評価・検討を行っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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