※本記事は、日本セラミック株式会社 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
日本セラミックは、各種センサ製品やモジュール製品などの電子部品、およびその関連製品の研究開発、製造販売を主たる事業としています。同社グループは、車載向け製品、セキュリティ向け製品、照明・家電向け製品などを展開しています。
単体従業員数は275名、連結従業員数は1,377名です。
国内においては日本セラミックが生産・販売を一手に担い、海外7社の連結子会社を通じてグローバルに事業を展開しています。
当連結会計年度において、同社グループは連結子会社である昆山日セラ電子器材有限公司の清算を結了しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
日本セラミックは、従業員の定着を重視し、安定した環境でキャリアを築きたいと考える方にとって魅力的な企業です。同社グループは、事業を通じて社会貢献を目指すとともに、従業員が働きがいを感じられる職場環境の整備にも力を入れています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
日本セラミックでは、従業員の平均勤続年数が比較的長く、平均年齢も安定していることから、長期的なキャリア形成が可能な環境であることがうかがえます。これは、従業員が安心して働き続けられるような職場づくりに注力していることの表れと言えるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,214,016円 |
| 平均勤続年数 | 12.7年 |
| 平均年齢 | 40.2歳 |
| 単体従業員数 | 275人 |
| 連結従業員数 | 1,377人 |
| 単体のグループ内比率 | 20.0% |
同社は確定給付型の退職給付制度を設けています。これは、給与や勤続年数に応じて将来の給付額が決まる制度です。
この制度は同社および一部の連結子会社に適用されており、退職一時金制度も設けられています。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
退職給付債務は4.8億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
日本セラミックは、人材の多様性と育成を企業価値向上と社会に役立つ製品開発に不可欠と考えています。国籍、性別、年齢、入社形態を問わず、人材の採用や管理職への登用を進め、従業員一人ひとりの人権や個性を尊重した働きやすい職場環境の整備を目指しています。
入社間もない時期から現場での経験を積む機会を多く提供し、従業員が目標ややりがいを見つけられるよう支援しています。また、個々のスキルアップを促すため、社内研修会の開催や資格取得支援も実施しています。
女性がより活躍できる職場を目指し、女性活躍推進法に基づく「一般事業主行動計画」を策定しているほか、育児休暇取得の推進や再雇用制度を通じて、従業員が働きやすい環境づくりに努めています。さらに、従業員の資産形成支援として従業員持株会制度と職場つみたてNISA制度を導入し、持株会では拠出金に対して10%の奨励金を付与しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 6.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 75.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用) | 78.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち非正規雇用) | 74.4% |
多様性・登用
提出会社における指標及び目標、実績を記載しています。女性管理職比率は「課長級」と「課長級より上位の役職(役員を除く)」にある従業員の合計に占める女性管理職の割合を集計したものです。
| 指標 | 2025年度実績 | 2030年度目標 |
|---|---|---|
| 女性管理職比率 | 6.0% | 10.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
日本セラミックは、各種センサ製品やモジュール製品などの電子部品の研究開発、製造販売を主たる事業としています。同社グループは、単一事業としてグローバルに展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
日本セラミックは、各種センサ製品やモジュール製品などの電子部品とその関連製品の研究開発、製造販売を主たる事業としています。同社グループは単一事業として事業を展開しており、車載向け製品、セキュリティ向け製品、照明・家電向け製品などを提供しています。収益は、これらの電子部品の製造販売から得ています。
特に車載向け製品は、先進運転支援システム(ADAS)の需要拡大や自動車生産台数の回復を背景に好調に推移しています。また、セキュリティ向け製品の販売も拡大しており、照明・家電向け製品の在庫調整も一巡しました。同社グループの売上高は、日本、欧州、アジア(中国、台湾、その他)、北南米の各地域から得られています。
当期においては、日本が最大の売上高を占め、アジア地域がこれに続いています。主要な顧客として、当期は㈱中外への販売が全体の売上高に占める割合が大きくなっています。海外比率については、アジアや欧州、北南米といった地域からの売上高も存在し、グローバルに事業を展開していることがうかがえます。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5期にわたり売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに増加傾向を示しています。特に当期は、売上高の増加に加え、原価改善や関係会社清算益の発生などにより、利益が大きく伸びています。この傾向は、同社グループが生産工程の合理化・自動化による収益性改善に注力してきた結果と言えます。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 214億円 | 233億円 | 244億円 | 250億円 | 273億円 |
| 経常利益 | 39.4億円 | 49.5億円 | 53.1億円 | 58.4億円 | 70.5億円 |
| 経常利益率 | 18.4% | 21.3% | 21.7% | 23.3% | 25.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 28.2億円 | 50.2億円 | 36.9億円 | 41.6億円 | 70.0億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 110.65 | 206.00 | 156.55 | 181.29 | 324.59 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は前期から増加しており、生産性の向上が見られます。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から増加しており、収益性の改善が進んでいることが示されています。これらの指標の向上は、同社グループが生産工程の合理化や自動化、コスト削減を推進していることと関連しています。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 17.2百万円 | 19.8百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.4百万円 | 4.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
日本セラミックは、財務基盤の安定性と資金の流れから、堅実な経営状況を示しています。本業で得た資金を投資に回しつつ、余剰資金も確保している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
日本セラミックの財務基盤は、高い自己資本比率と潤沢な手元資金によって特徴づけられます。当期の自己資本比率は84.4%と、プライム市場の製造業平均を大きく上回る水準を維持しています。ROE(自己資本利益率)も14.4%と、プライム市場平均を上回る水準を示しており、効率的な資本活用がうかがえます。手元資金である現金及び預金も299億円を確保しており、事業運営における安定性が高い状態です。これらの財務状況は、事業の継続性や将来的な成長投資の余力に繋がり、雇用や給与の安定性にも影響を与える要素となります。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 522億円 | 500億円 |
| 自己資本比率 | 85.5% | 84.4% |
| ROE(自己資本利益率) | 8.3% | 14.4% |
| 現金及び預金 | 323億円 | 299億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
日本セラミックのキャッシュフローは、本業で安定した資金を生み出しつつ、将来への投資も行っている状況を示しています。営業活動によるキャッシュフローは48.9億円の収入となりました。これは税金等調整前当期純利益や減価償却費が主な増加要因となった一方で、仕入債務の減少や法人税等の支払額が減少要因となっています。投資活動によるキャッシュフローは42.5億円の支出となりました。定期預金の預入や有形固定資産の取得が主な支出要因です。財務活動によるキャッシュフローは53.7億円の支出となり、自己株式の取得や配当金の支払いが主な支出要因です。結果として、フリーキャッシュフローは6.4億円のプラスとなっており、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金を確保している状態です。この資金の流れは、同社グループが安定した事業運営を継続し、将来の成長に向けた投資余力も有していることを示しており、雇用や給与の安定性にも寄与する要素となります。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 65.5億円 | 48.9億円 |
| 投資CF | 86.5億円 | △42.5億円 |
| 財務CF | △64.3億円 | △53.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 151.9億円 | 6.4億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの事業活動はグローバルに展開されており、世界各国の政治経済状況の変化や大幅な為替変動などの影響を受ける可能性があります。また、製品分野によっては競合会社との企業競争が激化し、販売価格の下落を伴うリスクも存在します。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
日本セラミックは、ステークホルダーの満足度を追求し、社会貢献と企業価値向上を両立させることを目指しています。真価のある製品を通じて、人々の生活と地球環境に貢献する企業文化を育んでいます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、ステークホルダーの満足度を継続的に高めることをモットーに、真価のある製品を社会に提供することで人類に貢献し、企業価値を向上させることを経営の基本方針としています。電子部品メーカーとして培ってきた技術的・人的ノウハウ、そして生産ノウハウを活かし、常に新しい事業分野を開拓しています。
世界的にトップシェアを誇るセンサ分野では、さらなるシェア向上と新しい用途開発を強力に推進しています。人々に優しく、便利で安全、かつ親切な製品の開発を進めることで、社会のニーズに応えています。また、企業活動を通してCSV(共通価値の創造)やSDGsを重要な経営課題と認識し、「環境」「安全」「安心」という3つの社会課題解決に貢献しながら、持続可能な地域社会の実現を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、経営理念である「真価のある製品を社会に納め人類に貢献する」と、環境方針「センサで、人にやさしく、地球にやさしく」に基づき、事業や製品を通じて環境・社会課題の解決に貢献することを大切にしています。サステナビリティ委員会を設置し、課題解決に向けた対応方針や実行計画の議論、進捗管理を行っています。
人材の多様性と育成を企業価値向上に繋がるものと捉え、国籍・性別・年齢・入社形態に関係なく人材の採用や管理職への登用を進めています。従業員個々の人権・人格・個性を尊重し、働きやすい職場環境の整備を目指しており、現場での経験機会の提供やスキルアップを促すための社内研修会開催、資格取得支援も実施しています。女性活躍推進法に基づく行動計画の策定や育児休暇取得の推進、再雇用制度の整備など、多様な働き方を支援する取り組みも行われています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、快適な生活環境の整備が求められる中で、サステナビリティへの取り組みを重要な経営課題と捉えています。製品を通じて環境・社会課題の解決に貢献することを目指しています。
中長期的な企業価値向上に不可欠な要素として、社内研修の充実などを通じた人材育成体制の強化にも注力しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
日本セラミックは、取締役会と監査等委員会制度を採用しており、経営の意思決定の透明性・公平性を確保するため、独立役員である社外取締役を過半数とする指名委員会および報酬委員会を設置しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
日本セラミックの株主構成を見ると、筆頭株主は谷口興産です。上位株主には、日本マスタートラスト信託銀行や日本カストディ銀行といった信託銀行が名を連ねています。また、日セラ興産や代表取締役社長の谷口真一氏、取締役の川﨑晴子氏など、創業家およびその関連会社が上位に複数名を占める構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 谷口興産㈲ | 17.85% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 15.17% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 7.28% |
| 日セラ興産㈱ | 5.26% |
| 山陰合同銀行 | 4.93% |
なお、三菱UFJフィナンシャル・グループから2025年6月30日付で大量保有報告書の変更報告書が提出されており、三菱UFJ信託銀行が666,200株(2.45%)、三菱UFJアセットマネジメントが281,700株(1.03%)を保有しています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
日本セラミックの役員は6名(男性5名・女性1名)で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は谷口真一氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 谷口 真一 | 代表取締役社長 | 1996年7月同社入社、2002年3月同社取締役就任、2002年4月同社執行役員、2003年1月上海日セラセンサ有限公司総経理就任、2006年3月同社専務取締役就任、2009年3月同社代表取締役就任、2014年2月同社代表取締役社長より現職。 |
| 川﨑 晴子 | 取締役 | 1987年4月山陰合同銀行入行、2013年3月同社取締役就任、2014年1月山陰合同銀行退行、2019年3月統括総務 経営企画室担当より現職。 |
社外取締役は、田村康明氏(田村康明法律事務所弁護士)、瀬古智昭氏(鳥取あおぞら法律事務所弁護士・山陰合同銀行社外取締役)、池原浩一氏(池原公認会計士事務所公認会計士・アクシスITパートナーズ社外監査役)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会、監査等委員会制度を採用しています。独立社外取締役を過半数とする指名委員会および報酬委員会を設置することで、経営の意思決定における透明性と公平性を確保する体制が構築されています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
日本セラミックの役員報酬は、基本報酬と業績連動報酬である賞与によって構成されています。業績連動報酬は、連結EBITDA、連結純利益、連結ROEの成長率に対する達成度に応じて変動する仕組みです。監査等委員である取締役には、その役割と独立性の観点から基本報酬のみが支給され、業績連動報酬は支給されません。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 2名 | 78百万円 | 39.0百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 7百万円 | 7.0百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 4百万円 | 1.3百万円 |
なお、ストックオプション報酬額として年額50百万円以内が株主総会で決議されています。また、役員退職慰労金制度は2011年3月29日に廃止されていますが、それまでの在任期間に対応する退職慰労金は退任時に支給されます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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