※本記事は、日本セラミック株式会社の有価証券報告書(第51期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 日本セラミックってどんな会社?
各種センサ製品やモジュール製品など電子部品の開発・製造販売を展開するセンサメーカーです。
■(1) 会社概要
同社は1975年に設立され、超音波センサを開発し販売を開始しました。1979年に焦電型赤外線センサを開発し、1986年には中国上海市に合弁会社を設立するなど海外展開も進めました。1990年に大阪証券取引所へ株式を上場し、2000年に東京証券取引所市場第一部へ指定替え、2022年にプライム市場へ移行しました。
現在、連結従業員数は1,377名、単体では275名です。筆頭株主は創業家の資産管理会社である谷口興産で、第2位は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行、第3位は日本カストディ銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 谷口興産 | 17.85% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 15.17% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 7.28% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は谷口真一氏です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 谷口真一 | 代表取締役社長 | 1996年同社入社。2002年取締役、2006年専務取締役を経て、2009年に代表取締役、2014年より現職。 |
| 川﨑晴子 | 取締役 | 1987年山陰合同銀行入行。2013年同社取締役、2018年経営企画室担当を経て、2019年より現職。 |
| 上田正輝 | 取締役(常勤監査等委員) | 1990年同社入社。2018年フィリピン現地法人社長、2022年総務部担当執行役員を経て、2024年より現職。 |
社外取締役は、田村康明(田村康明法律事務所代表)、瀬古智昭(鳥取あおぞら法律事務所所属)、池原浩一(池原公認会計士事務所代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、「電子部品並びにその関連製品の製造販売」の単一事業を展開しています。
同社は、各種センサ製品やモジュール製品などの電子部品、ならびにその関連製品の研究開発および製造販売を行っています。主に家電業界向けの赤外線センサやLED照明用モジュール品、自動車業界向けの超音波センサや電流センサなどを提供しており、国内外の顧客に対して広く製品を供給しています。
収益源は、これら製品の国内外の顧客への販売による対価です。製造および販売は、日本セラミックをはじめ、フィリピンや中国などに展開する複数の連結子会社を通じて行われています。生産から販売までグローバルな体制を構築し、市場の需要に応じた製品提供を通じて収益を確保しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は右肩上がりで成長を続けており、利益面でも順調な拡大傾向が見られます。特に直近の決算期では、車載向け製品の好調や生産工程の合理化などが寄与し、利益率も大きく向上しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 214億円 | 233億円 | 244億円 | 250億円 | 273億円 |
| 経常利益 | 39億円 | 49億円 | 53億円 | 58億円 | 70億円 |
| 利益率(%) | 18.4% | 21.3% | 21.7% | 23.3% | 25.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 21億円 | 45億円 | 51億円 | 35億円 | 73億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加にともない、売上総利益および営業利益ともに前期を上回って着地しています。生産工程の合理化や自動化による効果もあり、各段階の利益率も改善傾向を示しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 250億円 | 273億円 |
| 売上総利益 | 72億円 | 86億円 |
| 売上総利益率(%) | 28.7% | 31.4% |
| 営業利益 | 50億円 | 62億円 |
| 営業利益率(%) | 19.8% | 22.8% |
販売費および一般管理費の主要な内訳を見ると、租税公課が2.6億円、給料および賞与が2.4億円、研究開発費が2.3億円を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は電子部品ならびにその関連製品の研究開発および製造販売の単一事業であるため、セグメント別の記載はありません。車載向け製品やセキュリティ向け製品が好調に推移し、増収となっています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| 電子部品並びにその関連製品の製造販売 | 250億円 | 273億円 |
| 連結(合計) | 250億円 | 273億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業となっています。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は14.4%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は84.4%であり、いずれも市場平均を上回っています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 65億円 | 49億円 |
| 投資CF | 86億円 | -43億円 |
| 財務CF | -64億円 | -54億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「ステークホルダーの満足度を継続的に高める」ことをモットーとし、「真価のある製品を社会に納め人類に貢献する」ことを経営理念に掲げています。また、「ハイテクソードの創造により社会に貢献しよう」という社会的使命を認識し、真価のある製品を通じて人類への貢献と企業価値の向上を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は創業当初から、「環境をよりよくするためのモノづくり」や「人々に安全・安心な製品を提供できるモノづくり」に努める文化を持っています。「環境」「安全」「安心」という3つの社会課題に事業活動を通じて取り組み、持続可能な地域社会の実現にグループ全体で貢献していく姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、事業における継続的な収益力強化や資本効率の改善を進めることで、持続的な企業価値の向上を目指しています。中長期的な数値目標として以下の指標を掲げています。
* 2028年12月期におけるROE(自己資本利益率)12%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、安全・安心・省エネおよび車載関連の電子部品需要が一段と拡大することを見据え、フィリピン新工場における製造ライン整備や成長分野への積極的な投資を推進します。収益性の向上に向け、自動化設備の導入や製造工程の合理化を図るとともに、DXを活用した間接業務の効率化によるコスト削減を徹底します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、人材の多様性と育成が中長期的な企業価値の向上や製品開発につながると考え、国籍・性別・年齢・入社形態に関係なく人材の採用や管理職登用を行っています。入社直後から現場での経験を積み、個々のスキルアップを促す社内研修会や資格取得支援を実施し、従業員が働きやすい職場環境の整備に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 40.2歳 | 12.7年 | 4,214,016円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 6.0% |
| 男性育児休業取得率 | 66.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 75.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 78.2% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 74.4% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) グローバル展開に伴う事業環境リスク
同社の製品は全世界へ供給されており、海外顧客への販売や海外子会社での生産などグローバルに事業を展開しています。そのため、各国の政治経済状況の変化や個人消費動向、大幅な為替変動などが業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 製品開発・設備投資の長期化リスク
新製品開発や生産能力増強のための投資を行っていますが、製品の高度化や顧客の開発計画の長期化により、量産までの期間が延びる傾向にあります。先行投資に伴う経費増加と資金回収のタイミングのずれが財務状況に影響する可能性があります。
■(3) 情報漏えい・サイバー攻撃リスク
同社は取引先などの機密情報や個人情報を保有しています。外部からのサイバー攻撃やシステム障害等により情報が漏えいした場合、社会的信用が低下する恐れがあります。直近でもランサムウェア被害が確認されており、セキュリティ体制の強化を進めています。



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