大日光・エンジニアリング 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

大日光・エンジニアリング 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

大日光・エンジニアリングは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、車載機器や医療機器向けのプリント配線基板への電子部品実装および機構組立の受託加工を主力としています。直近の業績では、一部電子部品の納期遅延や関税の影響等で減収となったものの、高付加価値製品の売上増などにより経常利益は増益を確保しました。


※本記事は、株式会社大日光・エンジニアリングの有価証券報告書(第47期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 大日光・エンジニアリングってどんな会社?


同社グループは、電子機器メーカーを主要顧客とし、電子部品実装と機構組立の受託加工事業を展開しています。

(1) 会社概要


同社は1979年に電子機器用電子部品実装事業を目的として山口電装として設立されました。1983年に大昌プレテツクへ社名変更し、1999年の合併を機に大日光・エンジニアリングとなりました。2007年にジャスダック証券取引所へ上場し、直近では2022年に中国の無錫栄志電子有限公司を子会社化しています。

筆頭株主はLEE WO INVESTMENT GROUP LIMITEDで、第2位は有限会社欅、第3位はINTERACTIVE BROKERS LLCとなっています。従業員数は連結で988名、単体で246名体制で事業を運営しています。

氏名 持株比率
LEE WO INVESTMENT GROUP LIMITED 19.45%
有限会社欅 15.78%
INTERACTIVE BROKERS LLC 4.96%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.0%です。代表取締役社長執行役員は山口琢也氏が務めています。社外取締役比率は55.6%です。

氏名 役職 主な経歴
山口琢也 代表取締役社長執行役員 2001年ティ・シー・シー入社。2005年同社取締役海外本部長、2013年代表取締役副社長等を経て、2020年3月より現職。
為崎靖夫 取締役 1976年東京銀行入行。2005年同社入社。取締役副社長等を経て、2023年3月より現職。
大島誠二 取締役 1987年同社入社。自動機製造部長、執行役員国内事業所長等を経て、2025年3月より現職。
大島健二 取締役常勤監査等委員 1984年同社入社。取締役レンズ事業部門管掌、内部監査室長等を経て、2025年3月より現職。


社外取締役は、方永義(RS Technologies代表取締役社長)、長谷川雅幸(元ユー・エム・シー・エレクトロニクス常務執行役員)、北野剛(ミヤカワ取締役営業本部長)、千﨑英生(露木赤澤法律事務所弁護士)、柊紫乃(愛知工業大学経営学部教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「日本」および「アジア」ならびに「その他」事業を展開しています。

(1) 日本


国内において、オフィス機器、車載機器、産業機器、医療機器等のプリント配線基板への電子部品実装および機構組立の受託加工事業を行っています。また、人材派遣業、業務請負業、事務機器等販売業、プリント基板製造業、自動車部品等の受託加工事業も展開しています。

収益源は電子機器メーカー等からの受託加工手数料や製品販売代金、人材派遣料などです。運営は主に大日光・エンジニアリングが行うほか、ボン・アティソン、大日光商事、栃木電子工業、NCネットワークファクトリー等の子会社が各事業を担っています。

(2) アジア


中国、タイ、ベトナム等のアジア地域において、主に車載機器、産業機器、医療機器等に使用されるプリント配線基板への電子部品実装および機構組立の受託加工事業を展開しています。また、電子部品の販売拠点を通じたグループ内および顧客への部品供給も行っています。

収益源は、現地および日系の電子機器メーカー等からの受託加工手数料や部品販売代金です。運営はTROIS ELECTRONICS(WUXI)、TROIS(THAILAND)、TROIS VIETNAM、無錫栄志電子有限公司などの子会社および関連会社が行っています。

(3) その他


報告セグメントに含まれない北米地域において、自動車部品や金型等の試作開発部品および量産部品の受託加工事業を展開しています。主に現地のメーカーに対して加工サービスを提供しています。

収益源は、顧客からの部品加工等に係る受託加工手数料です。運営は、米国カリフォルニア州に拠点を置くNC NETWORK,INC.が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移を見ると、売上高は減少傾向にありますが、経常利益は安定して推移しており、収益性の維持・改善が見られます。一方、当期利益は直近の期間において減益となっています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 299億円 339億円 392億円 390億円 370億円
経常利益 3億円 5億円 6億円 7億円 7億円
利益率(%) 0.9% 1.6% 1.5% 1.7% 1.9%
当期利益(親会社所有者帰属) -1億円 10億円 3億円 3億円 2億円

(2) 損益計算書


売上高の減少に伴い売上総利益も微減していますが、営業利益は前年と同水準を維持しており、安定したコスト管理が行われていることが伺えます。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 390億円 370億円
売上総利益 42億円 39億円
売上総利益率(%) 10.8% 10.5%
営業利益 6億円 6億円
営業利益率(%) 1.7% 1.7%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与手当が11億円(構成比33%)、研究開発費が4億円(同11%)、運搬費が3億円(同8%)を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別の収益を見ると、日本セグメントはオフィス機器向けが増収となったものの車載機器向け等が減収となりました。アジアセグメントは高付加価値製品の売上が伸び、減収ながらも大幅な増益を達成しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期) 利益(2024年12月期) 利益(2025年12月期) 利益率
日本 161億円 158億円 8億円 4億円 2.6%
アジア 227億円 210億円 5億円 9億円 4.1%
その他 2億円 0.9億円 -0.2億円 -0.3億円 -34.7%
調整額 - - -6億円 -6億円 -
連結(合計) 390億円 370億円 6億円 6億円 1.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

大日光・エンジニアリングは、営業活動で資金を獲得し、投資活動と財務活動で資金を使用しました。営業活動では、売上債権や棚卸資産の減少、減価償却費の計上などにより、事業活動を通じて資金を生み出しています。投資活動では、有形固定資産や無形固定資産の取得による支出がありましたが、投資有価証券の売却収入もありました。財務活動では、長期借入金の返済や短期借入金の減少、自己株式の取得などにより資金が使用されましたが、長期借入による収入もありました。これらの活動の結果、同社の現金及び現金同等物は増加しました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 17億円 26億円
投資CF -5億円 -6億円
財務CF -7億円 -9億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「すべてのステークホルダーから信頼され、期待され、愛される企業集団を目指し、技術とアイデアで社会に貢献する」という企業理念を掲げています。社会そして地球の持続可能な発展に貢献することを目指し、企業の社会的責任(CSR)を自覚しながら事業運営に取り組んでいます。

(2) 企業文化


従業員が主役であるという基本方針のもと、従業員が「安心」して価値創造活動に取り組み、「夢」と「誇り」をもって活躍できる環境の整備を重視しています。多様性と人格・個性を尊重し、一人ひとりがやりがいと幸せを感じられる、安全で働きやすい職場づくりを実践しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、「DNE WAY 長期経営計画2030」に基づき、資本コストを意識した収益性の向上と投下資本効率の改善を目指す「中期経営計画 Phase2(2024-2026)」を策定しています。ROICに着目したKPIを設定し、諸施策を着実に実行することで中長期的な企業価値向上を図っています。

- 2026年目標 東南アジア売上比率:18.3%
- 2026年目標 棚卸資産回転期間:2.0ヵ月
- 2026年目標 ROIC:4.1%

(4) 成長戦略と重点施策


既存領域の収益性改善と外部リスクに強い事業領域の多層化を進めています。「東南アジア」「医療分野」「半導体分野」の売上比率拡大や、「航空宇宙関連」「バッテリ関連」への新規受注に挑戦しています。また、開発・設計力の強化による高付加価値案件の獲得や、DX推進を通じた生産性・管理業務の効率化を図っています。

- 2026年目標 医療分野売上比率:11.0%
- 2026年目標 半導体分野売上比率:10.0%
- 2026年目標 開発設計案件売上高:20億円

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


階層別・リーダー・プロフェッショナル人材育成に向けた研修プログラムの再構築や、キャリアパスを考慮した人材の最適配置を推進しています。タレントマネジメントシステムの運用による個人のスキルの可視化や、ベテラン人材が活躍できる人事制度の導入により、従業員のモチベーション向上と能力の最大限の発揮を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 43.3歳 13.3年 4,778,103円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.7%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 63.1%
男女賃金差異(正規雇用) 71.3%
男女賃金差異(非正規雇用) 87.7%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率(2026年12月末目標8.4%)、スコープ1及び2の温室効果ガス総排出量(13,555.2tCO2)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 電子部品供給網の影響


半導体や樹脂材料等の供給不足や納期遅延は概ね解消したものの、一部の電子部品で納期遅延が継続しています。品質、コスト、納期に対応するために一定の部品在庫を抱える必要があり、供給遅延が継続した場合は生産活動や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 特定販売先への高い売上依存度


主要顧客グループへの売上依存度が約23%と高くなっています。新規取引先への販路拡大により依存度低下に注力していますが、該当グループの製造計画の変更や最終製品の販売状況によっては、同社の経営成績に影響を与える可能性があります。

(3) 海外での事業展開


中国や東南アジア等の海外に事業拠点を有しているため、各国の政治・経済情勢の変化、法規制や税制の変更、紛争や災害の発生等がリスクとなります。また、外貨建取引による急激な為替変動も、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 有利子負債依存度と財務体質


設備資金等を主に金融機関からの借入で調達しており、有利子負債依存度が40.7%と高く、金利変動の影響を受けやすい状況です。内部留保による自己資本の蓄積に努めていますが、コスト高騰や値下げ要請による収益低下が生じた場合、財務体質の改善が遅れるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。