※本記事は、スター精密株式会社 の有価証券報告書(2024年12月期、2024年1月1日 ~ 2024年12月31日、2025年3月27日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
スター精密は、小型プリンターを扱う特機事業と、CNC自動旋盤等の工作機械事業を展開しています。同社グループは、これら二つの事業を国内外で展開し、幅広い産業分野に製品を提供しています。
単体従業員数は507名、連結従業員数は1,642名です。セグメントは特機事業、工作機械事業、全社(共通)の3つです。
主な国内グループ会社は、スターマーケティングジャパン(特機製品の販売)、スマート・ソリューション・テクノロジー(特機製品の・開発、販売)、スターメタル(工作機械製品の・製造)などです。
特機事業においては、2023年12月期第2四半期に株式会社スマート・ソリューション・テクノロジーを新規連結しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
スター精密は、グローバルに事業を展開する製造業であり、安定した事業基盤を持つ企業です。同社では、従業員の成長を重視し、多様な働き方を支援する環境整備に力を入れています。長期的なキャリア形成を視野に入れた人材育成と、公平性を追求した人事制度の構築を進めていることが特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
スター精密では、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高い傾向にあります。これは、長期にわたってキャリアを築く従業員が多いことを示しており、安定した環境で働くことができると考えられます。同社は、従業員の定着を重視し、働きやすい環境づくりに努めていることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,933,000円 |
| 平均勤続年数 | 18.1年 |
| 平均年齢 | 42.2歳 |
| 単体従業員数 | 507人 |
| 連結従業員数 | 1,642人 |
| 単体のグループ内比率 | 30.9% |
スター精密では、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を採用しています。同社は両制度を採用しており、国内連結子会社では中小企業退職金共済制度を併用した退職一時金制度または確定拠出型年金制度、一部の在外連結子会社では退職一時金制度または確定拠出型年金制度を設けています。
退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。退職給付債務は57.8億円、年金資産は74.1億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
スター精密は、「企業と社員が共に成長し、社会に貢献する」をサステナビリティ基本方針としており、多様な人材の育成と活用を重要な経営課題と位置付けています。意欲ある同志的集団として、新しい価値を世の中に提供し、企業価値を高め続けるとともに、社員が能力を最大限に発揮できる場を提供することで、社員の人生を豊かにし、高い生産性を実現することを目指しています。
同社では、2025年1月より新人事制度の運用を開始し、女性比率の高い一般職等の総合職への統合や、年功的要素を撤廃した新たな昇降格ルールの設定を行っています。これにより、性別や年齢に関係なく多様な人材がキャリアアップを目指せるよう制度を整備しています。また、新人事制度において一般職等を総合職へ統合したことで、今後は賃金差異が減少していく見込みです。
「性別、年齢、人種を問わず、すべての社員が能力を最大限に発揮できる環境構築」を目指し、積極的な教育投資や柔軟で多様な働き方(在宅勤務、フレックスタイム勤務制度など)の実現を推進しています。従業員一人ひとりが「みずから行動する」「学び続ける」「技術にこだわる」「集団としての価値を重視する」という行動指針を実践し、会社はそのような人材を育成・評価する仕組みや環境整備を進めています。定期的なエンゲージメントサーベイを実施し、調査結果を踏まえた「対話」を通じて改善活動やマネジメント強化に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データを示します。連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、記載を省略しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 1.6% |
| 男性育児休業取得率 | 91.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 61.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 65.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用労働者) | 72.8% |
多様性・登用
この指標は提出会社単体のデータであり、係長相当職以上にある者に占める女性労働者の割合を示しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職層に占める女性労働者の割合 | 4.4% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
スター精密は、小型プリンターを扱う特機事業と、CNC自動旋盤などの工作機械を扱う工作機械事業を展開しています。これら二つの事業を柱として、国内外で製品の生産と販売を行っています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主に小型プリンターと工作機械の生産・販売を通じて収益を上げています。見込生産を主体としたビジネスモデルであり、製品の需要変動が業績に影響を与える傾向があります。また、海外での売上比率が高く、為替相場の変動も業績に影響を与える要因となっています。特定の顧客への売上集中は見られません。
特機事業
小型プリンターの生産・販売を行っています。生産活動は主に天星精密有限公司が担い、同社および米国、英国、タイ、国内の販売子会社が販売を手掛けています。収益は、主に米国市場での回復傾向が見られたものの、期前半の低迷により前期から減少しました。
工作機械事業
CNC自動旋盤などの工作機械の生産・販売を行っています。同社、斯大精密(大連)有限公司、スターマイクロニクス マニュファクチュアリング(タイランド)Co.,LTDが生産を担い、国内製造子会社であるスターメタル㈱が加工の一部を受託しています。販売は同社、米国、欧州、アジアの販売子会社が行っています。収益は、米国や欧州市場の低迷により、前期から大幅に減少しました。
| セグメント | 売上高(2023年12月期) | 売上高(2024年12月期) |
|---|---|---|
| 工作機械事業 | 621億円 | 514億円 |
| 特機事業 | 161億円 | 136億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、2022年12月期をピークに減少傾向にあります。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益も同様に、2022年12月期をピークとして減少に転じています。直近の2024年12月期においては、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも前期から大幅な減少となりました。
| 項目 | 2020年12月期 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 457億円 | 644億円 | 874億円 | 782億円 | 650億円 |
| 経常利益 | 27.7億円 | 78.0億円 | 142億円 | 110億円 | 45.2億円 |
| 経常利益率 | 6.1% | 12.1% | 16.3% | 14.0% | 6.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 17.3億円 | 57.4億円 | 103億円 | 81.8億円 | 18.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 49.07 | 150.83 | 271.14 | 218.89 | 53.99 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、2023年12月期から2024年12月期にかけて減少しました。また、従業員1人あたり営業利益も同様に減少しています。これらの指標の減少は、同社グループ全体の生産性が前期と比較して低下していることを示しており、収益体質や将来的な給与水準の持続性について、組織としての効率性を見直す必要性があることを示唆しています。
| 指標 | 2023年12月期 | 2024年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 46.8百万円 | 39.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 6.2百万円 | 2.4百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、安定した基盤を築いていることを示しています。本業で得た資金を適切に運用し、健全な資金の流れを維持している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率はプライム市場の製造業平均と比較して高い水準にあり、強固な財務基盤を構築していることがうかがえます。一方で、ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回る水準となっています。手元資金として現金及び預金を厚く保有しており、不測の事態にも対応できる体制が整っています。これらの財務状況は、同社グループの安定した経営を支え、雇用や給与の安定性にもつながる基盤があることを示しています。
| 指標 | 2023年12月期(前期) | 2024年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 803億円 | 744億円 |
| 自己資本比率 | 85.6% | 79.8% |
| ROE(自己資本利益率) | 10.7% | 2.4% |
| 現金及び預金 | 297億円 | 236億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは収入となっています。これは、法人税等の支払いがあったものの、税金等調整前当期純利益や減価償却費などによるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより、支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出や配当金の支払いなどにより、支出となっています。その結果、フリーキャッシュ・フローはプラスを維持しています。本業で安定した資金を生み出しつつ、将来に向けた投資も行っている状況であり、雇用や給与の安定性につながる基盤があることを示しています。
| 項目 | 2023年12月期(前期) | 2024年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 71.3億円 | 61.5億円 |
| 投資CF | △20.4億円 | △54.6億円 |
| 財務CF | △50.5億円 | △102.8億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 50.9億円 | 7.0億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、各事業を世界各地で展開しており、需要が販売先の景気動向に左右されやすい傾向があります。特に主力の工作機械事業は、企業の設備投資需要の影響を受けやすい業界です。
また、生産および販売の海外比率が高いため、為替リスクを負っています。為替相場が大きく変動した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、グローバルに事業活動を展開しており、多様な価値観や専門性を持つ優秀な人材の確保および育成が中長期的な成長に不可欠であると考えています。人材獲得競争の激化等により、人材の確保および育成が十分にできない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
スター精密は、「世界に挑戦する「偉大な中小企業」」として社会の持続的発展に貢献することをパーパス(存在意義)に掲げ、社員が自律的に判断し行動する企業文化を大切にしています。規模を追わず、資本効率と労働生産性を重視しながら、社会と共に発展する企業を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
スター精密は、「企業は永遠に発展させるもの、従業員の生活はたゆまず向上するもの」を企業理念としています。同社グループのパーパス(存在意義)は、「世界に挑戦する「偉大な中小企業」として社会の持続的発展に貢献する」ことです。
経営方針としては、いたずらに規模を追わず、資本効率と労働生産性を最重要評価指標としています。環境の変化に合わせて新たな価値を継続的に生み出す機能を有すること、そして個々の事業においては常に世界市場を見据え、グローバルニッチを戦略の柱とすることを掲げています。社員がその能力を最大限に発揮できる環境構築と独自技術追求への投資を長期的な視野で継続し、事業を通じて社会と共に永遠に発展する企業を目指し、2030年の目指す姿を設定し推進しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
スター精密では、社員が自律的に判断し行動するための指針として、以下の行動指針を掲げています。それは「みずから行動する」「学び続ける」「技術にこだわる」「集団としての価値を重視する」の4つです。同社は、意欲ある同志的集団として新しい価値を世の中に提供し、企業価値を高め続けることを目指しています。
社員が能力を最大限に発揮できる環境構築のため、「性別、年齢、人種を問わず、すべての社員が能力を最大限に発揮できる環境構築」を目標としています。新たな人事制度の構築や柔軟で多様な働き方の推進、定期的なエンゲージメントサーベイを通じた対話と改善活動により、より良い企業風土の醸成および働きがいのある環境づくりに取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
スター精密グループは、2030年の目指す姿の実現に向けて、中期経営計画を推進しています。その中で、グループ全体のコーポレート・ガバナンス体制のさらなる強化と、新人事制度に基づく企業風土改革を進めることを課題としています。
また、サステナビリティ方針に基づくマテリアリティへの取り組みも積極的に進めています。具体的には、「CO2排出削減による気候変動への対応」「環境配慮型製品の創出」「多様な人材の育成と活用」「コーポレート・ガバナンスの深化」を重点課題として特定し、取り組んでいます。気候変動への対応としてTCFD提言への賛同を表明し、リスクと機会の分析を事業戦略に反映させています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
スター精密は監査等委員会設置会社であり、取締役会の監督機能強化と意思決定の迅速化を図る体制を採用しています。執行役員制度を導入し、機動的な業務執行を目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
スター精密の株主構成を見ると、筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)であり、その他にも信託銀行や海外の金融機関が上位に名を連ねています。これは、機関投資家が同社の主要な株主として経営を支えている状況を示しています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 18.54% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 10.89% |
| ザ バンク オブ ニューヨーク メロン 140042 | 5.46% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性6名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長執行役員は佐藤衛氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐藤 衛 | 代表取締役 社長執行役員 | 1984年同社入社。特機事業部営業部長、取締役特機事業部次長、特機事業部長などを歴任。2012年執行役員、管理本部長を経て、2017年代表取締役取締役社長に就任。2025年3月より現職。 |
| 笹井 康直 | 取締役 常務執行役員 開発本部長 | 1983年同社入社。機械事業部営業部長、機械事業部開発部長などを経て、2015年執行役員機械事業部副事業部長に就任。2017年機械事業部長、2023年開発本部長。2025年3月より現職。 |
| 佐藤 誠悟 | 取締役 常務執行役員 コーポレート本部長 | 2003年同社入社。特機事業部営業部長、執行役員特機事業部副事業部長などを歴任。2021年管理本部副本部長、2022年上席執行役員管理本部長。2024年3月常務取締役。2025年3月より現職。 |
社外取締役は、片山幹雄氏(元シャープ代表取締役社長)、西川勢一氏(元フォルシアクラリオン・エレクトロニクス経営管理部担当部長・常勤監査等委員)、杉本基氏(杉本会計事務所所長・監査等委員)、宮田逸江氏(藤枝のぞみ法律特許事務所所長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会の監督機能強化を目的としています。社外取締役は独立した立場から経営意思決定と取締役の職務執行の監督を担っており、全員が東京証券取引所の定める独立役員として指定されています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
スター精密の役員報酬は、会社業績に連動する体系を採用しています。月額の固定報酬である基本報酬に加え、業績連動報酬としての取締役賞与、そして中長期的なインセンティブとしての株式報酬で構成されています。監査等委員である取締役および社外取締役の報酬は、その役割を考慮し基本報酬のみとなっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 1.6億円 | 51.7百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 36百万円 | 9.0百万円 |
なお、上記の取締役報酬額には、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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