フジコピアン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フジコピアン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フジコピアンは東証スタンダード市場に上場し、印字記録媒体や事務用消耗品、プラスチック成形品の製造販売を展開しています。直近の業績は、主力製品の販売減や原材料価格の高止まり影響により減収減益となり、営業赤字を計上しています。さらに多額の減損損失を計上し、最終利益も大幅な赤字となっています。


※本記事は、フジコピアンの有価証券報告書(第76期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. フジコピアンってどんな会社?


印字記録媒体や事務用消耗品関連事業を主力とし、グローバルに製品を提供するメーカーです。

(1) 会社概要


1950年に富士化学紙工業として設立され、筆記用・タイプ用カーボン紙の製造販売を開始しました。1988年に大阪証券取引所市場第二部に上場し、1992年に現在のフジコピアンに社名を変更しています。2013年に東京証券取引所市場第二部に上場、2022年の市場区分見直しによりスタンダード市場へ移行し、2025年には福岡証券取引所本則市場に上場しました。

現在の従業員数は連結で551名、単体で247名体制です。筆頭株主は鈴花で、第2位に東京海上日動火災保険、第3位にトーア再保険が名を連ねています。

氏名 持株比率
鈴花 16.86%
東京海上日動火災保険 7.17%
トーア再保険 7.14%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は佐々木敏樹氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
佐々木敏樹 代表取締役社長 1983年同社入社。岡山工場長、開発部長、市場開発部長などを歴任。2023年エフシーベトナムコーポレーション出向(会長兼社長)。2025年3月より現職。
上田正隆 代表取締役専務管理部担当兼経理部担当兼経営企画室担当兼SIプロジェクト室担当 1986年第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。業務監査部副部長等を経て2014年同社顧問。2015年執行役員管理部長。2025年3月より現職。
赤城貫太郎 取締役相談役 1965年同社入社。製造本部長、品質保証部担当などを経て2002年代表取締役社長。2021年代表取締役会長。2025年3月より現職。
赤城耕太郎 取締役上席執行役員監査室長 1991年同社入社。生産統括部長、経営企画室長、環境・品質統制室長、社長室長などを歴任。2025年12月より現職。
金城宜秀 取締役上席執行役員営業統括部長兼東京支店長 1990年同社入社。生産技術部長、生産統括部長、開発部長などを歴任。2024年取締役上席執行役員。2025年3月より現職。
榮聖二 取締役(常勤監査等委員) 1984年同社入社。管理部長、SIプロジェクト室副室長を経て、2024年3月より現職。


社外取締役は、齊藤昌宏(元池田泉州銀行常務執行役員)、岡田誠(元東京海上ホールディングス取締役副社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「印字記録媒体および事務用消耗品関連事業」および「プラスチック成形関連事業」を展開しています。

印字記録媒体および事務用消耗品関連事業


サーマルトランスファーメディア(サーマルリボン等)、インパクトリボン、修正テープなどのテープ類、機能性フィルムの製造・販売を行っています。バーコード用リボンや軽包装用途のほか、自動車や半導体プロセスなどで使用される高付加価値なフィルム製品を国内外の顧客へ提供しています。

製品の販売を主な収益源としています。事業の運営は、フジコピアンのほか、国内子会社の富士加工や、海外子会社のエフシー ベトナム コーポレーションが製造を担い、販売はフジ コピアン(HK)リミテッドなどが担当しています。

プラスチック成形関連事業


プラスチック製キャップなどの各種プラスチック成形品の製造・販売を展開しています。取引先各社の需要に応じた成形ビジネスを中心に、高品質なプラスチック製品を顧客に提供しています。

成形品の販売による代金を収益としています。本事業の製造および販売は、ベトナムに拠点を置く海外子会社のエフシー ベトナム コーポレーションが主体となって運営を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は80億〜90億円台で推移していますが、直近の2025年12月期は主力製品の販売減により減収となりました。利益面でも、原材料価格の高止まりなどの影響で経常赤字に転落し、さらに多額の減損損失を計上したことで最終利益は大幅な赤字となっています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 86億円 99億円 82億円 90億円 85億円
経常利益 4億円 6億円 -7億円 1億円 -2億円
利益率(%) 5.0% 6.5% -8.1% 1.1% -1.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 5億円 -9億円 4億円 -27億円

(2) 損益計算書


売上高の減少に伴い、売上総利益も前年から減少しています。グループを挙げてコスト削減に取り組んだものの、原材料価格の高止まりなどの影響を吸収しきれず、営業利益は赤字幅が拡大する結果となりました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 90億円 85億円
売上総利益 21億円 18億円
売上総利益率(%) 23.4% 21.2%
営業利益 -0.2億円 -2億円
営業利益率(%) -0.2% -2.7%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び賞与が6億円(構成比27%)、研究開発費が4億円(同21%)を占めています。売上原価は67億円で、売上原価合計に対する割合は約79%となっています。

(3) セグメント収益


印字記録媒体および事務用消耗品関連事業は、国内での需要低迷や海外市場の景気減速の影響を受け減収減益となりました。一方、プラスチック成形関連事業は取引先の需要回復により増収増益を達成しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期) 利益(2024年12月期) 利益(2025年12月期) 利益率
印字記録媒体および事務用消耗品関連事業 86億円 80億円 20億円 17億円 21.1%
プラスチック成形関連事業 4億円 4億円 0.6億円 1億円 21.9%
連結(合計) 90億円 85億円 21億円 18億円 21.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 3億円 1億円
投資CF -3億円 -5億円
財務CF -4億円 1億円


営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。

企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-29.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も57.4%でスタンダード市場の製造業平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「技術力と行動力で顧客の満足を得て国際社会に貢献し充実発展する」を基本理念として掲げています。人間性の尊重と合理性の追求を柱とし、新技術に対する挑戦を通じて、独創的なアイデアを製品化し世に広めていくことで社会に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


ルーティン業務に埋没することなく、一人ひとりが経営パートナーへ成長していくことを重視しています。「守(基本を守る)・破(型を破り応用する)・離(型から離れ独自の道を行く)」にて技術と精神の成長を促し、変革と未来創造を実現する文化の醸成に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


2030年に迎える創業80周年に向け、新中期経営方針「FCX80(守る/変える)」を策定しています。毎年の計画を見直すローリング方式を採用し、最終年度である2030年度には以下の目標を掲げています。

・売上高:110億円
・営業利益:10億円
・ROE:7.3%

(4) 成長戦略と重点施策


「コンバーティング技術」と「コア技術」を掛け合わせ、事業ポートフォリオの変革を図ります。基盤収益事業の立て直しと中核的成長事業の加速を進めるとともに、戦略的育成事業への重点投資を実施します。

・基盤収益事業(テープ類等):用途を絞り込んだ拡販とコストダウン
・中核的成長事業(TTM):廉価版開発やオンデマンド印刷方式の推進
・戦略的育成事業(機能性フィルム):電子・光学・精密加工分野への展開

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人的資本への投資」を中長期的成長と持続的な企業価値向上の要諦と位置づけています。自らが経営者目線で考え、従業員一人ひとりが経営パートナーとして活躍できるよう、採用や育成、配置を行っています。また、多様な人材が個性と能力を最大限発揮できる社内環境の整備を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 42.1歳 17.1年 5,002,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 9.8%
男性育児休業取得率 50.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 75.6%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 77.0%
労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用労働者) 63.1%


また、同社は「人的資本投資およびダイバーシティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、労働者に占める女性の割合(18.0%)、管理職に占める経験者採用者の比率(26%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済環境の変化

同社グループは売上高の約3割を海外市場が占めており、為替変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、製品に広く使用される石油化学製品などの原材料価格やエネルギーコストが高騰した場合、収益を圧迫するリスクがあります。

(2) 競合の影響

一部の事業において、競合他社製品との差別化が困難であり、価格競争の激化が予想されます。想定を超える販売価格の下落が生じた場合、売上高の減少や利益率の低下につながるリスクがあります。

(3) 海外での事業展開

北米、欧州、アジアなどで事業を展開しているため、各地域における予期せぬ法律や規制の変更、政治・経済的要因の変動、国際社会の混乱などが発生した場合、材料調達や製品の安定供給に支障をきたす可能性があります。

(4) 生産設備の集中

効率性の観点から、主要な生産設備を岡山工場に集中させています。そのため、同工場において自然災害や不測の事故などが発生した場合、生産活動全体が制約を受け、事業運営や財政状態に重大な影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。