ユニバーサルエンターテインメント 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ユニバーサルエンターテインメント 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ユニバーサルエンターテインメントは、東証スタンダード市場に上場し、パチスロ・パチンコ機などの遊技機事業とフィリピンでの統合型リゾート事業を主力としています。当期はスマートパチスロ等の販売好調で遊技機事業が増収増益となった一方、リゾート事業の苦戦や多額の減損損失により、大幅な最終減益となりました。


※本記事は、ユニバーサルエンターテインメントの有価証券報告書(第53期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月30日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ユニバーサルエンターテインメントってどんな会社?


同社は、遊技機の研究開発・製造販売と、海外での統合型リゾート施設運営を主力事業として展開する企業です。

(1) 会社概要


1969年にジュークボックスのリース業として設立されました。1998年に日本証券業協会に株式を店頭登録し、2004年にジャスダック証券取引所へ上場しました。2009年に現在のユニバーサルエンターテインメントに商号を変更し、2016年にはフィリピンでカジノリゾート「オカダ・マニラ」の運営を開始しました。

現在の従業員数は連結で7,004名、単体で1,000名です。筆頭株主は資産管理等を行うOKADA HOLDINGS LIMITEDで、第2位は個人の横塚ヒロ子氏、第3位は信託業務等を行うSTATE STREET BANK AND TRUST CLIENT OMNIBUS ACCOUNT OM02 505002です。

氏名 持株比率
OKADA HOLDINGS LIMITED 70.26%
横塚 ヒロ子 2.63%
STATE STREET BANK AND TRUST CLIENT OMNIBUS ACCOUNT OM02 505002 2.30%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は岡田知裕氏が務めており、社外取締役比率は55.6%です。

氏名 役職 主な経歴
岡田 知裕 代表取締役社長 1991年同社入社。管理本部長、IR広報室長等の取締役やAruze USA, Inc.取締役を経て、2024年9月より現職。
庄子 善行 取締役 1979年いすゞ自動車入社。2001年同社入社後、法務室長、海外事業室長等を歴任。常務執行役員を経て2025年3月より現職。
柳 一之 取締役 1993年同社入社。開発本部システムソリューション部長、開発本部副本部長等を歴任。専務執行役員を経て2025年7月より現職。
佐藤 暢樹 取締役 監査法人トーマツ等を経てアゴーラ・ホスピタリティー・グループ取締役CFO。2020年同社入社。専務執行役員CFO等を経て2026年3月より現職。


社外取締役は、酒井綱一郎(元日経BP取締役副社長)、熊谷貴之(弁護士)、奥田都修(公認会計士・税理士)、鈴木誠(公認会計士・税理士)、金子彰良(公認会計士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「遊技機事業」「統合型リゾート(IR)事業」および「その他」事業を展開しています。

遊技機事業


パチスロ・パチンコ機および周辺機器の研究、開発、製造、販売を行っており、主にパチンコホールなどを顧客としています。スマートパチスロやスマートパチンコなど、市場ニーズに合わせた多様な遊技機を提供しています。

収益源は、パチンコホールに対するパチスロ・パチンコ機の製商品販売によるものです。事業の運営は主に同社が行い、遊技機の製造は連結子会社のメーシー、エレコ、ミズホ、アクロス、ユニバーサルブロスが担当しています。

統合型リゾート(IR)事業


フィリピンのマニラ・ベイ地区において、統合型リゾート施設「オカダ・マニラ」の運営を行っています。国内外からの観光客やVIP顧客を対象に、カジノなどのゲーミング、ホテル宿泊、飲食、小売などのサービスを提供しています。

収益源は、リゾート施設内でのゲーミング収入のほか、ホテルの客室利用料、レストラン等の飲食販売、小売などのサービス販売収入です。この事業は連結子会社のTIGER RESORT, LEISURE AND ENTERTAINMENT, INC.が運営しています。

その他


メディアコンテンツ事業などを展開しており、スマートフォン向けのシミュレーターアプリの配信や、月額制サービス、基本プレイ無料のソーシャルカジノゲームの提供、楽曲の配信などを行っています。

アプリの販売や月額利用料、ゲーム内課金、楽曲の配信収入などから収益を得ています。このメディアコンテンツ事業の運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5年間の業績を見ると、売上高は一時期成長を見せましたが、直近2期間は減少傾向にあります。経常利益と当期利益についても、数年前の黒字から一転して直近2期間は赤字となっており、特に当期は減損損失などの影響により赤字幅が大きく拡大し、厳しい状況が続いています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 904億円 1,410億円 1,790億円 1,263億円 1,228億円
経常利益 -25億円 139億円 381億円 -56億円 -185億円
利益率(%) -2.8% 9.9% 21.3% -4.4% -15.1%
当期利益(親会社所有者帰属) -14億円 47億円 74億円 -119億円 -1,686億円

(2) 損益計算書


売上高の微減に伴い売上総利益も減少していますが、売上総利益率は高い水準を維持しています。しかし、販売費及び一般管理費の増加などにより、営業利益は前期の黒字から当期は赤字へと転落し、収益性の悪化が見られます。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 1,263億円 1,228億円
売上総利益 751億円 720億円
売上総利益率(%) 59.5% 58.6%
営業利益 30億円 -32億円
営業利益率(%) 2.4% -2.6%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が213億円(構成比28%)、減価償却費が192億円(同26%)を占めています。

(3) セグメント収益


遊技機事業はスマートパチスロ等の販売好調により大きく増収を達成しましたが、統合型リゾート事業は市場全体の縮小や一時的な来訪者減の影響を受けて減収となりました。結果として全体の売上高は減少しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
遊技機事業 435億円 567億円
統合型リゾート(IR)事業 820億円 654億円
その他 5億円 5億円
連結(合計) 1,260億円 1,227億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは「積極型」に分類されます。本業で生み出した資金に加えて、外部からの資金調達も行い、設備投資などの成長に向けた投資を積極的に進めている状態です。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 15億円 111億円
投資CF -134億円 -39億円
財務CF -98億円 93億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-92.7%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も34.7%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、グローバルエンターテインメント企業として「楽しさ」を創造し、「夢のある社会」創りに貢献することを経営の基本方針として掲げています。具体的には、遊技機メーカーとしてユーザーに「楽しい!」を提供するとともに、フィリピンでの統合型リゾート施設を通じて、魅力あふれる総合的なエンターテインメント体験を世界中の人々に提供することを使命としています。

(2) 企業文化


同社の統合型リゾート事業においては、日本の精密なこだわりとフィリピンの温かなおもてなしを融合させるという理念を重視して運営を行っています。この調和の精神は、ゲストが滞在を通じて体験する価値や、従業員によるサービス提供のあり方の中に深く息づいており、最高級の「非日常」を提供し続けるための基盤となっています。

(3) 経営計画・目標


遊技機事業においては、市場調査と営業体制の強化を図り、多様化する市場ニーズにマッチした製品を提供することで販売台数を確保し、市場シェアトップの地位を獲得することを目指しています。また、フィリピンにおける統合型リゾート事業では、調整後EBITDA(営業損益に減価償却費等の調整項目を加えた指標)を重要な客観的指標として設定し、業績の管理を行っています。

(4) 成長戦略と重点施策


遊技機業界の経営環境が厳しい中、独自性のある魅力的な遊技機を創出し、販売シェアの向上を図ることで市場の活性化に努めます。特許申請書類の標準化など知的財産の創出と保護を進め、技術面での差別化を図ります。統合型リゾート事業では、顧客層に合わせたゲーミングフロアの拡充やレストランの整備により来場者数と宿泊者数の増大を目指す方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、従業員を貴重な経営資本の一つである「人財」として位置付けています。サステナビリティの観点からも人財の確保を重要課題と認識し、適正な給与水準や福利厚生の充実、ワークライフバランスの確保、ライフイベントに即した勤務形態の柔軟化を進めています。また、性別や年齢、国籍等の多様性を尊重した採用や平等な評価制度を通じて、従業員満足度の向上と人財確保に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 45.3歳 13.0年 7,410,286円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.2%
男性育児休業取得率 83.3%
男女賃金差異(全労働者) 61.1%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 65.8%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 58.6%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法律・規制による影響


遊技機事業においては、国家公安委員会規則で定められた技術上の規格に適合する必要があります。行政当局の指導や業界による自主規制などにより仕様の大きな変更を余儀なくされた場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 部材供給不足のリスク


遊技機の製造において、半導体を中心とした部品や部材の供給が不足する事態が発生した場合、製造計画や販売計画の変更を余儀なくされ、同社グループの事業展開や業績に悪影響を与えるリスクが存在します。

(3) 統合型リゾート市場での競争激化


フィリピン国内やアジア地域における統合型リゾート施設との競争が激化しています。フィリピン政府によるゲーミングライセンスの追加発行や競争激化により、質の良いプロモーターとの関係維持やVIP顧客の確保が困難になるリスクがあります。

(4) 情報セキュリティの脅威


ホテル宿泊客やゲーミングプレイヤー、従業員等の個人情報データの保護において、セキュリティ違反や漏洩が発生した場合、行政処罰や評判の低下を招く恐れがあります。システムの機能不全や不正アクセスによる影響も懸念されます。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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