リリカラ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リリカラ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リリカラは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、壁装材やカーテン等のインテリア事業、オフィス空間構築のスペースソリューション事業、不動産投資開発事業を展開する企業です。直近の業績では、売上高は前年比で微減となったものの、利益率の改善などにより営業利益と経常利益はともに大幅な増益を達成しています。


※本記事は、リリカラの有価証券報告書(第85期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. リリカラってどんな会社?


壁装材やカーテンなどのインテリア事業やオフィス空間構築事業を展開する老舗企業です。

(1) 会社概要


1949年に新宿川吉紙店として設立され、1955年より自社ブランド商品の販売を開始しました。1968年に現スペースソリューション事業となる事務機器部を新設し、1989年に現社名へ変更しています。1991年の株式店頭登録を経て、2004年にジャスダック(現スタンダード市場)へ上場しました。近年では2024年に不動産投資開発事業を開始し、ティーケーピーの連結子会社となりました。

従業員数は単体で545名です。大株主については、筆頭株主は空間再生流通事業を展開し親会社でもあるティーケーピーで、第2位は本間、第3位はリリカラ従業員持株会となっています。

氏名 持株比率
ティーケーピー 53.01%
本間 1.85%
リリカラ従業員持株会 1.24%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。
代表取締役社長執行役員は山田俊之氏です。社外取締役比率は22.2%です。

氏名 役職 主な経歴
山田俊之 代表取締役社長執行役員 1985年三菱銀行入行。1993年同社入社。マーケティング本部長やオフィス事業部統括等を経て、2006年代表取締役社長に就任。2023年7月より現職。
末松博貴 取締役副社長執行役員 1995年同社入社。インテリア営業本部長等を経て、2023年3月代表取締役社長執行役員インテリア事業統括。同年7月より現職。
岡田卓哉 取締役副社長執行役員 1999年バルス入社。2007年ティーケーピー入社後、常務執行役員営業担当等を歴任。2024年9月同社取締役に就任し、2025年10月より現職。
平山雅也 取締役専務執行役員 1985年住友銀行入行。インドネシア三井住友銀行社長、日本電産グループ会社管理部長等を経て、2023年同社入社。2024年3月より現職。
髙木寛 取締役 1989年日本債券信用銀行入行。イーバンク銀行等を経て、2011年ティーケーピー入社。2024年同社取締役に就任し、2025年7月より現職。
渋谷守浩 取締役 1986年渋谷木材工業取締役。エスクリ代表取締役社長等を経て、2020年渋谷代表取締役会長兼社長。2025年同社社外取締役を経て同年11月より現職。
坂本晋 取締役(常勤監査等委員) 1988年丸井入社。丸井グループ総務部広報室長、マルイファシリティーズ取締役等を歴任し、2022年エイムクリエイツ常勤監査役。2025年3月より現職。


社外取締役は、原井武志氏(原井武志公認会計士事務所代表)、内田るみ子氏(三宅坂総合法律事務所パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、インテリア事業、スペースソリューション事業、不動産投資開発事業の報告セグメントで事業を展開しています。

インテリア事業

壁装材、カーテン、床材を中心とする内装材商品の仕入および販売を行っています。主として同社独自で開発した商品「リリカラ」をメーカーに製造委託し、代理店や一部内装工事業者などに販売しています。

収益は、これらの内装材商品の販売による代金から得ています。運営は同社が行っています。

スペースソリューション事業

オフィス空間および施設のインテリア設計・施工、プロジェクト管理、家具、間仕切、事務用品などの提案・販売、ならびに不動産売買・賃貸の仲介業務を提供しています。新しい働き方に対応したオフィス空間構築や施設のバリューアップを顧客企業へ提案しています。

収益は、家具や事務用品などの販売代金、およびオフィス設計・施工等の請負工事代金から得ています。運営は同社が行っています。

不動産投資開発事業

買取再販を通して不動産価値の最大化を図るバリューアッド、多様なアセットタイプの開発、都心の集合住宅やオフィスなど、市場ニーズに対応した物件の保有および賃貸を行っています。

収益は、開発・バリューアップした物件の販売代金や、保有物件からの不動産賃貸料などから得ています。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は320億円から330億円台で安定して推移しています。経常利益は一時的に落ち込む年度もありましたが、直近では利益水準の改善が見られ、当期は大幅な増益を達成して黒字基調を維持しています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 324億円 333億円 328億円 338億円 332億円
経常利益 5億円 16億円 14億円 2億円 7億円
利益率(%) 1.5% 4.8% 4.3% 0.5% 2.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 3億円 10億円 9億円 1億円 5億円

(2) 損益計算書


売上高は微減したものの、売上総利益は増加しており、売上総利益率も改善しています。これに伴い、営業利益および営業利益率も前年と比較して大きく伸び、収益性が向上していることが伺えます。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 338億円 332億円
売上総利益 102億円 111億円
売上総利益率(%) 30.2% 33.5%
営業利益 2億円 8億円
営業利益率(%) 0.7% 2.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が27億円(構成比27%)、その他が16億円(同16%)、荷造運搬費が16億円(同15%)を占めています。売上原価の内訳としては、商品売上原価が169億円(構成比76%)、完成工事原価が43億円(同20%)を占めています。

(3) セグメント収益


インテリア事業は商品見本帳の拡販等により増収増益となりました。スペースソリューション事業は前年の大型案件の反動で減収となったものの、利益率改善により増益を達成しました。不動産投資開発事業は物件販売により大幅な増収増益となっています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期) 利益(2024年12月期) 利益(2025年12月期) 利益率
インテリア事業 242億円 247億円 1億円 3億円 1.2%
スペースソリューション事業 95億円 74億円 1億円 4億円 4.7%
不動産投資開発事業 0.2億円 10億円 -0.2億円 2億円 14.3%
連結(合計) 338億円 332億円 2億円 8億円 2.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益や資産売却によって得た資金で借入の返済を進める改善局面であることを示しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF -8億円 16億円
投資CF 1億円 0.8億円
財務CF 12億円 -9億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.4%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は40.0%であり、いずれも市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「快適な生活空間を創造し、提案する」を経営理念に掲げています。お客様に感動していただける空間の提供や、資産の付加価値を向上する提案を通じて快適空間をトータルにプロデュースし、「お客様に豊かな生活を提案し、持続的な成長を実現する会社」を目指して事業を展開しています。

(2) 企業文化


自らの存在意義を示すパーパスとして、「まだ誰も気づいていない空間の魅力で、人の心を彩り続ける。」を掲げています。経営理念およびパーパスを基軸とし、さまざまなステークホルダーへの価値創造に配慮した経営を推進することで、中長期的な企業価値向上を図る文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は中期経営計画「Beyond-120」において、持続的な成長基盤の構築と永続的な企業価値の向上を目指しています。株主還元については、株主資本配当率(DOE)5%、配当性向40%、かつ1株当たり36円を下限とした配当を行うという方針を維持しつつ、財務健全性とのバランスを踏まえた経営を進めています。

・営業利益10億円(2026年12月期事業見通し)

(4) 成長戦略と重点施策


目標未達を構造的課題と捉え、抜本的な改革に着手する戦略を掲げています。具体的には、固定費構造の見直しによる徹底した生産性向上、利益率を重視した事業ポートフォリオの再構築、販売体制の改善、経営体制の在り方の検証および機動的な組織運営の実行などを速やかに推進し、持続可能な利益体質の確立を最優先課題として取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人的資本を経営上の重要課題と捉え、中期経営計画でも「人財への積極的な投資」を掲げています。「リリカラ人財投資宣言」を制定し、多様な個性を持つ従業員が能力を存分に発揮できる職場づくりや人事制度の整備を推進するとともに、経営理念の浸透や多様な働き方の支援などエンゲージメント向上に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 43.0歳 16.0年 5,686,575円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 13.6%
男性育児休業取得率 160.0%
男女賃金差異(全労働者) 72.0%
男女賃金差異(正規雇用) 78.0%
男女賃金差異(非正規雇用) 82.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、目標とする女性管理職比率(15.0%)、目標とする男性育児休業取得率(100.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 業績の季節的偏重と市況変動

同社の業績は、需給の変化等に起因する市況変動の影響を受けやすく、下期に利益が偏る傾向にあります。そのため、マクロ経済や新設住宅着工戸数の動向などが変化した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原料価格の高騰リスク

主力商品である壁装材のビニルなどは、石油化学関連製品の価格変動の影響を受けます。原油価格は需給バランスによる変動率が高いため、原油価格の上昇がコスト高の要因となり、利益率を圧迫するリスクがあります。

(3) 貸倒れによる与信リスク

販売先の業容に応じた与信限度額の設定や保証人の確保など、不良債権の発生を抑制する管理に注力しています。しかし、景気後退等により取引先の信用状態が悪化し、貸倒引当金の積み増しが必要となる事態が生じる可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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