※本記事は、初穂商事株式会社 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
初穂商事グループは、内装建材事業、エクステリア事業、住環境関連事業を主たる事業としています。主に内装工事用資材の販売、カーポートやフェンスなどのエクステリア商品の販売、屋根工事や外装板金工事用資材の販売を手掛けています。
単体従業員数は298名、連結従業員数は485名です。セグメントは内装建材事業、エクステリア事業、住環境関連事業の3つです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)アイシン(エクステリア事業)、アイエスラインなどです。
2025年10月1日付で、連結子会社のアイシンは、物流部門を担うアイエスラインを吸収合併し、経営資源の集約化を図りました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
初穂商事は、建設資材の総合商社として国内で多店舗展開を進めています。同社グループは、人的資本への投資を重要な経営課題と認識しており、人材の育成と働きやすい環境整備に力を入れています。社員の成長が企業の成長に繋がるよう、多様な学びの機会やライフスタイルに応じた働き方を推進しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均勤続年数が長く、従業員の定着傾向が見られます。平均年齢も40代前半であり、経験豊富な人材が多数在籍していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,440,995円 |
| 平均勤続年数 | 13.7年 |
| 平均年齢 | 41.2歳 |
| 単体従業員数 | 298人 |
| 連結従業員数 | 485人 |
| 単体のグループ内比率 | 61.4% |
同社は確定拠出型年金制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を採用しており、国内グループ会社を対象としています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、人的資本への投資を最も重要な経営課題と位置づけています。持続的な成長のためには、充分な従業員の人数と熟練した人材の維持確保が不可欠であると考えています。
中長期の経営方針として、新卒・中途採用の強化、既存社員の満足度向上、定着率向上、多様な働き方に対応した人事制度の見直しを継続的に行っています。人材育成に関する基本方針では、従業員の成長が企業の成長に繋がるという考えのもと、多様な学びの機会を提供しています。
また、社内環境整備に関する基本方針では、従業員の健康と安全を守り、人権を尊重し、ライフスタイルに応じた多様な働き方を推進する職場環境の整備に努めています。これらの基本方針に基づき、社員一人ひとりの能力発見とやりがいのある職場を目指し、魅力ある企業づくりを進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 77.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 66.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 69.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うちパート・有期労働者) | 79.4% |
人材育成・エンゲージメント
提出会社における指標及び目標です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 月あたりの平均残業時間 | 11.2時間 |
| 有給休暇取得率 | 57.2% |
| 離職率 | 3.4% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
初穂商事は、内装建材、エクステリア、住環境関連の3つの事業を主軸に、建設資材の販売や工事を手掛けています。同社グループは、多様な建材や資材を提供することで、住宅や建築物の快適な環境づくりに貢献しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
初穂商事グループは、建設関連資材の販売と工事を主要な事業としています。内装建材、エクステリア、住環境関連の3つの事業セグメントを展開しており、それぞれの分野で専門性の高いサービスを提供しています。同社グループの収益は、建設市場の動向に左右される側面があるものの、販促キャンペーンの実施や組織再編による経営資源の集約化を通じて、事業基盤の強化を図っています。
内装建材事業
当事業は、主に天井仕上げ工事や間仕切り工事を行う内装仕上げ工事業者向けに、軽量鋼製下地材や石膏ボードなどの内装工事用資材を販売しています。収益は、内装工事用資材の販売から得ています。運営は、初穂商事が行っています。
エクステリア事業
当事業は、ハウスメーカーや外構工事業者向けに、カーポート、物置、フェンス、石材などのエクステリア商品を販売しています。収益は、エクステリア商品の販売から得ています。運営は、株式会社アイシンが行っており、関西エリアの輸送はアイエスライン株式会社が担当していましたが、2025年10月1日付で株式会社アイシンに吸収合併されました。
住環境関連事業
当事業は、住宅や環境に関わる商品群として、屋根工事や外装板金工事を行う建設工事業者向けにカラー鉄板や太陽光発電屋根、ALC金具副資材などを販売しています。また、卸業者やメーカー向けに建築金物、溶接金網、鉄線なども提供しています。収益は、これらの建設資材の販売や工事の受注から得ています。運営は、初穂商事が行っています。
同社グループの事業は国内に限定されており、海外からの収益はありません。特定の顧客への売上高が連結売上高の10%以上を占めることはありません。
| セグメント | 売上高(2024年12月期) | 売上高(2025年12月期) |
|---|---|---|
| 内装建材事業 | 181億円 | 181億円 |
| エクステリア事業 | 123億円 | 129億円 |
| 住環境関連事業 | 44.6億円 | 44.7億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
初穂商事グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は継続的に増加しています。一方で、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、直近2期において減少傾向にあります。これは、売上高は過去最高を更新し連続増収を記録したものの、人件費を中心としたコストアップが増収分を上回り、利益を圧迫したことによるものです。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 299億円 | 318億円 | 344億円 | 348億円 | 354億円 |
| 経常利益 | 9.4億円 | 14.3億円 | 15.7億円 | 15.0億円 | 14.4億円 |
| 経常利益率 | 3.1% | 4.5% | 4.6% | 4.3% | 4.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 5.0億円 | 8.5億円 | 9.8億円 | 9.7億円 | 8.3億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 153.17 | 261.09 | 297.48 | 296.19 | 252.26 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
初穂商事グループの従業員1人あたりの売上高は、前期からわずかに減少しています。また、従業員1人あたりの営業利益も前期に比べて減少しており、生産性指標は前期から減少傾向にあります。これらの指標は、同社グループの収益体質や組織効率の傾向を示すものとなります。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 73.9百万円 | 73.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.7百万円 | 2.5百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
初穂商事の経営の安定性について、財務基盤とキャッシュフローの状況から見ていきます。同社グループは、本業で着実に資金を生み出し、将来に向けた投資も行っています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
初穂商事の財務基盤は、自己資本比率が45.1%となっており、前期から増加しています。これはプライム市場の製造業平均に近い水準を示しています。ROE(自己資本利益率)は8.5%で、プライム市場平均と比較するとやや低い水準です。手元資金である現金及び預金は76.0億円と、前期から増加しており、事業運営の安定性につながる要素となっています。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 106億円 | 113億円 |
| 自己資本比率 | 43.3% | 45.1% |
| ROE(自己資本利益率) | 10.8% | 8.5% |
| 現金及び預金 | 61.6億円 | 76.0億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
初穂商事の当連結会計年度におけるキャッシュフローは、営業活動によるキャッシュフローが21.7億円のプラスとなりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上や売上債権の減少、仕入債務の増加などによるものです。投資活動によるキャッシュフローは△11.0億円のマイナスとなっており、定期預金の預入や有形・無形固定資産の取得などによる資金の使用を示しています。
この結果、本業で得た資金で投資を賄った後のフリーキャッシュフローは10.7億円のプラスとなりました。財務活動によるキャッシュフローは△6.8億円のマイナスで、長期借入金の返済や配当金の支払いなどによる資金の使用が主な要因です。同社グループは本業で安定的に資金を生み出し、投資も行いつつ、資金の流出を抑えている状況であり、事業の安定性を示す傾向にあります。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 6.3億円 | 21.7億円 |
| 投資CF | △3.1億円 | △11.0億円 |
| 財務CF | △6.6億円 | △6.8億円 |
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
初穂商事は、建設資材の専門商社として、社会貢献を基本理念に掲げ、持続的な成長を目指している会社です。お客様の立場に立ち、より快適な社会づくりに貢献することを重視する企業文化が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「建築資材の取扱いを通して、より快適な夢と希望あふれる社会づくりに貢献する」ことを基本理念としています。この理念のもと、内装建材事業、エクステリア事業、住環境関連事業の三本の柱で多角的な成長を続けています。
建設セグメントのビジネスに特化した建設資材商社のナンバーワンを目指し、プロフェッショナル集団となる人材を育成することで「100年企業」へ向けて持続的に成長していくことをビジョンとしています。企業価値の更なる向上を図り、幅広い利害関係者の信頼と期待に応えることを基本方針としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、グループ経営理念として「損得より先に善悪を考え、会社はお客様の為にあることを基本に心からのサービスを提供し、ともに栄えることを目指す」ことを掲げています。また、「人を大切にし、努力が成果につながる職場環境を提供し、社員一人ひとりの能力の更なる発見を目指す」ことを重視しています。
人材の育成に関する基本方針では、従業員の成長が企業の成長と捉え、多様な学びの機会を提供することで従業員の成長を支援するとしています。社内環境整備に関する基本方針では、全ての従業員の健康と安全を守り、人権を尊重し、ライフスタイルに応じた多様な働き方を推進する職場環境の整備に努めることを明文化しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、環境変化に対応するため、数年にわたり人員の増強、人事制度および労働環境の整備を進めています。ジャストインタイムデリバリーサービスの実行のために人的資本を充足させ、外部環境の変化に備える方針です。
ガバナンス体制の強化を重要な経営課題とし、同社グループの成長に合わせて本部機能や営業管理区分を随時見直し、組織体制を柔軟に変化させています。経営体制についても新陳代謝を図り、成長の原動力としていくことを目指しています。また、資本コストや株価を意識した経営の一環として、株価純資産倍率(PBR)の改善や株式流動性の向上など、資本政策の実行にも取り組んでいます。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
初穂商事では、監査等委員会設置会社として、取締役会が業務執行の監督を担っています。経営監視機能の強化と透明性の高い経営を目指すガバナンス体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
初穂商事の株主構成を見ると、筆頭株主は白百合商事です。また、代表取締役社長である斎藤悟氏が第2位の株主として名を連ねています。さらに、取引先を対象とする持株会であるハツホ共栄会が上位株主の一角を占めており、複数の斎藤姓の株主が上位に位置している点が特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 白百合商事 | 16.62% |
| 斎藤 悟 | 10.80% |
| ハツホ共栄会 | 6.96% |
| 斎藤 陽介 | 5.33% |
| 斎藤 豊 | 3.73% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性7名・女性2名)で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は斎藤悟氏が務めています。社外取締役比率は22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 斎藤 悟 | 代表取締役社長 | 1980年9月同社入社。2001年3月同社代表取締役社長就任より現職。2020年12月よりアイシン取締役(非常勤)。 |
| 志岐 義幸 | 取締役副社長 営業本部長兼 西日本地区統括 | 1982年3月同社入社。2005年3月同社取締役西日本地区統括兼福山営業所長就任。2024年3月同社取締役副社長営業本部長兼西日本地区統括就任より現職。 |
| 月東 達也 | 取締役 住環境関連事業統括 兼小牧営業所長 | 1984年9月同社入社。2017年3月同社取締役中部地区鉄鋼二次製品統括兼小牧営業所長就任。2023年4月同社取締役住環境関連事業統括兼小牧営業所長就任より現職。 |
| 渋川 信幸 | 取締役 東日本地区統括 | 2009年4月同社入社。2021年3月同社取締役東日本地区統括就任。2023年7月同社取締役東日本地区統括就任より現職。 |
| 成田 哲人 | 取締役 経営管理室長 | 2010年4月同社入社。2023年3月同社取締役経営管理室長就任より現職。 |
社外取締役は、磯部隆英氏(未来工業社外取締役(監査等委員))、森美穂氏(森法律事務所開設・名古屋銀行社外取締役(監査等委員))、大橋伸子氏(大橋伸子公認会計士事務所開設)です。
同社は監査等委員会設置会社です。社外取締役を含む監査等委員が、専門的見地から経営管理体制の透明性と公正性を確保するための監査・監督機能を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
初穂商事の役員報酬は、固定報酬、業績連動報酬、譲渡制限付株式報酬で構成されています。役付取締役には固定報酬、業績連動報酬、譲渡制限付株式報酬が支給され、その割合は概ね60:30:10です。役付取締役を除く取締役には固定報酬と譲渡制限付株式報酬が支給され、その割合は概ね90:10となっています。社外取締役の報酬は固定報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 1.3億円 | 25.2百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 16百万円 | 16.0百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 10百万円 | 3.3百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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