※本記事は、アップルインターナショナル株式会社の有価証券報告書(第31期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. アップルインターナショナルってどんな会社?
同社は、中古車の輸出・買取・販売を主力事業とし、グローバルな自動車流通市場で総合商社を目指す企業です。
■(1) 会社概要
1996年にアップルインターナショナルを設立して中古車の買取を始め、同年から東南アジア等への輸出を開始しました。2003年に上場し、2004年にアップルオートネットワークの株式を取得して子会社化しました。近年は時計や貴金属などのリユース流通事業にも参入しています。
現在の従業員数は連結で83名、単体で20名体制です。大株主の状況としては、筆頭株主は創業者であり代表取締役会長兼社長を務める久保和喜氏で、第2位は金融機関のSBI証券、第3位は個人の内藤征吾氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 久保 和喜 | 31.20% |
| SBI証券 | 6.60% |
| 内藤 征吾 | 3.20% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役会長兼社長営業本部長は久保和喜氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 久保 和喜 | 代表取締役会長兼社長営業本部長 | 住友電装を経て1996年に同社を設立し代表取締役社長に就任。アップルオートネットワーク代表取締役会長等を歴任し、2020年より現職。 |
| 倉本 康宏 | 取締役営業副本部長 | VTキャピタル等を経てアップルオートネットワークに入社。直営事業部部長などを経て、2023年より現職。 |
| 岡田 卓也 | 取締役 | 住友商事にてアジア大洋州住友商事会社COOなどを歴任。エネサンスホールディングス代表取締役社長を経て、2026年より現職。 |
| 小林 恵一 | 取締役 | トヨタオート三重(現ネッツトヨタ三重)を経て同社に入社。営業本部長などを歴任し、2020年より現職。 |
| 久保 裕佳 | 取締役 | 毎日オークションを経てアップルオートネットワークに入社。リユース流通事業部などを経て、2024年より現職。 |
社外取締役は、西田宜正氏(元オリエントコーポレーション社長)、冨士容一氏(元リンナイ)です。
2. 事業内容
同社グループは、「自動車販売関連事業」および「その他事業(リユース流通事業)」を展開しています。
■(1) 自動車販売関連事業
国内の一般ユーザーやオートオークションから仕入れた中古車を海外の輸入業者へ販売する輸出事業と、国内ユーザーから買取を行いオートオークションや中古車販売業者へ販売する買取・販売事業を展開しています。また、加盟会員に対し適正価格情報の提供等を行うフランチャイズ事業や、タイでのオートオークション会場の運営も行っています。
収益源は中古車の販売代金のほか、フランチャイズ加盟会員から受け取るロイヤリティです。輸出事業や買取事業は主にアップルインターナショナルが手掛け、フランチャイズ事業や国内買取・販売事業は子会社のアップルオートネットワークやカーコンサルタントメイプルが運営しています。
■(2) その他事業(リユース流通事業)
自動車以外の領域として、時計や貴金属、バッグといった中古ブランド品の買取および販売事業を展開しています。査定から売却まですべてインターネット上で完結するシステムを構築しているほか、東京都内において直営のリユース買取専門店をオープンし、買取チャネルの多様化を図っています。
収益源は、一般消費者や業者との取引によるリユース品の販売代金です。当事業の運営は、アップルインターナショナルの子会社であるアップルオートネットワークが主体となって行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績推移を見ると、売上高は2021年12月期から2024年12月期にかけて事業規模の拡大により右肩上がりで成長し、約2.3倍に増加しました。しかし、2025年12月期はタイ向けの自動車輸出における競争激化などの影響を受けて一転して減収となり、経常利益および当期利益も前期比で減少しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 187億円 | 292億円 | 309億円 | 438億円 | 408億円 |
| 経常利益 | 5億円 | 17億円 | 13億円 | 15億円 | 6億円 |
| 利益率(%) | 2.9% | 5.8% | 4.1% | 3.5% | 1.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1億円 | 11億円 | 7億円 | 9億円 | 6億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の業績を比較すると、売上高は前期比で減少しています。これに伴い売上総利益も減少しましたが、販売費及び一般管理費は前期と同水準を維持した結果、営業利益は前期比で半減する形となりました。利益率の観点でも、売上総利益率および営業利益率ともに低下傾向にあります。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 438億円 | 408億円 |
| 売上総利益 | 38億円 | 30億円 |
| 売上総利益率(%) | 8.7% | 7.4% |
| 営業利益 | 14億円 | 6億円 |
| 営業利益率(%) | 3.1% | 1.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が5億円(構成比22%)、運賃が4億円(同16%)を占めています。
■(3) セグメント収益
セグメント別の売上推移を見ると、主力である自動車販売関連事業は、マレーシア向けの需要が堅調に推移したものの、タイにおける競争激化などの影響により前期比で減収となりました。一方で、2023年に開始した時計や貴金属などを扱うリユース流通事業(その他事業)は、順調に売上高を伸ばしています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| 自動車販売関連事業 | 437億円 | 407億円 |
| その他(リユース流通事業) | 1億円 | 1億円 |
| 連結(合計) | 438億円 | 408億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
キャッシュ・フローの推移を見ると、本業のキャッシュ創出がマイナスとなり、資産売却や借入によって資金を補填している「救済型」の傾向が見られます。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -12億円 | -0.7億円 |
| 投資CF | -0.3億円 | 3.9億円 |
| 財務CF | 11億円 | 0.4億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.9%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は50.0%で、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は経営理念として『FORWARD THE FUTURE』を掲げています。絶えず市場の要請を先取りし、グローバルに自動車関連ビジネスを展開しながら、社会生活の改善と向上に寄与することを社会的使命としています。世界中の人々と喜びを分かち合い、信頼を築き上げることに価値を見出し、新たな価値を創造し続けることに挑戦して社会の発展に貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
経営方針『CREATE THE VALUE』のもと、「NOと言わずにBESTを尽くして、お客様に満足して頂ける方法を考える」「従業員が達成感と充実感を感じられる職場環境を実現する」といった価値観を重視しています。お客様に喜んで頂くための独創的な発想や一歩先んじて実践する勇気に価値を見出し、お客様の喜びをすべての原点として行動する文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社は継続的安定的な収益の確保を目的とし、既存事業による収益と新規事業への投資のバランスを保ちながら収益拡大を図る『拡大均衡政策』を実施しています。成長性として増収率、収益性として売上高経常利益率、効率性として自己資本利益率(ROE)を重要な経営指標として位置づけています。なお、2025年12月期における増収率はマイナス6.8%、売上高経常利益率は1.4%、ROEは7.9%となっています。
■(4) 成長戦略と重点施策
グループ会社とのシナジー効果を前提とし、中古車事業のグローバル化ならびにIT化を加速するための積極的な投資を行い、中長期的な収益拡大を目指しています。東南アジア諸国における需要拡大を見据えた積極投資や新規市場の開拓を進めるほか、国内においては経営資源を活用して新たなビジネスモデルの構築や、顧客満足度1位を目指した人材教育の徹底に取り組む方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
事業領域ならびに市場エリアの拡大を図るため、顧客ニーズを的確に把握し得る優秀な人材の確保と継続的な社員教育の推進を重要課題としています。定期的な採用活動に加え、ジョブローテーションの実施による組織の活性化や明確な目標設定、業績と連動した各種インセンティブを含めた育成プランを導入し、多様な人材がやりがいを持って働ける組織の構築を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 40.2歳 | 6.9年 | 8,121,000円 |
※平均年間給与は基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 輸出事業における各国規制やカントリーリスク
主力である東南アジア諸国等への中古車輸出において、各国の自国産業保護や環境保護を目的とした輸入関税の変更、輸入許可の制約が生じる可能性があります。また、為替レートの変動や海上運賃の上昇、政治・経済状況の変化といったカントリーリスクが顕在化した場合、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 中古車買取市場における競争激化
国内の中古車買取事業において、買取専門業者だけでなく、自動車メーカー系ディーラーやオートオークション系企業などの新規参入が相次ぎ、競争が一段と激しくなっています。同業他社との競合により、安定的な車両の確保が困難になったり、収益率が低下したりするリスクがあります。
■(3) フランチャイズ事業に係るブランドイメージ毀損リスク
同社グループは加盟店との間でフランチャイズ契約を結び、「アップル」のブランド名でチェーン展開を行っています。契約先である加盟店において不祥事などが発生した場合、チェーン全体のブランドイメージが低下し、業績に影響を与える可能性があります。
■(4) 自動車の利用方法の変化
生活スタイルの変化に伴う自動車離れの進行に加え、カーシェアリングの普及による非保有化、ユーザーの保有期間の長期化、少子高齢化による人口動態の変化など、一般消費者の自動車の利用方法そのものが変化することで、将来的に事業環境に悪影響を及ぼすリスクが想定されています。



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