グローバルダイニング 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

グローバルダイニング 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

グローバルダイニングは、東京証券取引所スタンダード市場に上場し、都内や米国でイタリア料理や和食などのレストラン経営を主とする飲食事業を展開しています。直近の業績は、新規施設の開業効果などにより売上高が前期比で増収となった一方、多額の開業費用等を計上したことで経常利益は減益となりました。


※本記事は、株式会社グローバルダイニングの有価証券報告書(第53期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. グローバルダイニングってどんな会社?


同社は、都内を中心にイタリア料理や和食など多様なコンセプトのレストランを直営で展開する企業です。

(1) 会社概要


同社は1973年に有限会社長谷川実業として設立され、喫茶店を開業しました。1985年に長谷川実業へと組織変更し、1990年には米国カリフォルニア州に子会社を設立して海外進出を果たしました。1997年に現在のグローバルダイニングへ商号を変更し、1999年に株式を上場しました。直近では2024年に宿泊複合施設を開業するなど、新たな事業領域への展開も進めています。

現在の従業員数は連結で179名、単体で160名です。筆頭株主は創業者であり代表取締役社長を務める長谷川耕造氏です。第2位はスペースラボ、第3位は米国所在のハセガワインターナショナルトレイドカンパニーとなっています。

氏名 持株比率
長谷川 耕造 59.05%
スペースラボ 7.60%
ハセガワインターナショナル トレイドカンパニー(常任代理人 グローバルダイニング) 6.01%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は長谷川耕造氏が務めています。社外取締役は2名で、取締役全体の33.3%を占めています。

氏名 役職 主な経歴
長谷川 耕造 代表取締役社長 1973年に長谷川実業を設立し代表取締役に就任。1985年より長谷川実業(現グローバルダイニング)代表取締役を務め、2010年より現職。米国子会社の最高経営責任者も兼任。
小林 庸麿 取締役副社長 1999年に同社へ入社し、モンスーンカフェのコンセプトシェフなどを歴任。2011年に執行役員総料理長に就任し、2021年より現職。
樋口 琢匠 取締役 2009年にアルバイトとして入社後、正社員に登用され店舗アシスタントマネージャー等を経験。施設監理グループのチーフデザイナー等を経て、2025年より現職。
藤本 三郎 取締役(監査等委員) 1973年に富士銀行(現みずほ銀行)へ入行。その後、科学技術振興機構での事務参事などを経て、2016年より現職。湘南グリーンサービスの顧問も務める。


社外取締役は、大島明子(松田綜合法律事務所パートナー弁護士)、川井隆史(ハンズオン・CFO・パートナーズ代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「飲食事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

飲食事業


同社グループは、都内を中心にイタリア料理、メキシコアメリカ料理、アジア料理、国際折衷料理、和食などの飲食店を経営しています。また、米国カリフォルニア州のロサンゼルス地区においてもレストランチェーンを展開し、国内外の顧客に向けてエンターテインメントとしての外食サービスを提供しています。

収益源は、主に店舗に来店した顧客への料理や飲料の提供に対する対価です。店舗運営は、国内においてはグローバルダイニングが担い、米国においては子会社であるグローバルダイニング,インク.オブ カリフォルニアが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5年間の業績推移を見ると、売上高は一時停滞したものの、その後は継続的な増収基調を維持しています。一方、経常利益および当期利益は年度により変動が見られ、直近では新店開業に伴う費用の増加などにより減益となりました。利益率も低下傾向にあり、投資の早期収益化が課題となっています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 96億円 96億円 111億円 118億円 137億円
経常利益 11億円 3.0億円 7.3億円 7.5億円 6.6億円
利益率(%) 11.1% 3.1% 6.6% 6.4% 4.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 10億円 2.2億円 8.5億円 5.1億円 3.1億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益推移を見ると、売上高および売上総利益は増加していますが、売上総利益率および営業利益率は低下しています。これは、原材料費や人件費の高騰に加え、新規施設の開業に伴う多額の初期費用が計上されたことが主な要因です。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 118億円 137億円
売上総利益 19億円 20億円
売上総利益率(%) 16.2% 14.8%
営業利益 7.5億円 6.9億円
営業利益率(%) 6.4% 5.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料が3.9億円、信販手数料が2.8億円を占めています。

(4) キャッシュ・フローと財務指標

グローバルダイニングのキャッシュ・フローの状況は、事業活動から得られた資金が投資活動や財務活動による資金流出を上回る健全な状態を示しています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、事業の収益性を示す税金等調整前当期純利益や、減価償却費の計上、未払消費税等の増加などにより、前年同期を大きく上回る資金を生み出しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産の取得による支出がありましたが、前年同期と比較すると支出額は減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入と長期借入金の返済による支出があり、結果として資金が流出しました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 6.4億円 13.5億円
投資CF -16.8億円 -11.1億円
財務CF 6.0億円 -1.4億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「すべてのお客様に感動して頂き、社員も感動できる最高の舞台を提供する」をミッションに掲げています。また、パーパス(存在意義)として「世界に喜びと健康を」を謳い、空間・料理・サービスにこだわったエンターテインメントとしての外食を追求することで、持続的な成長と企業価値の向上を目指しています。

(2) 企業文化


同社はバリュー(大切にする価値観)として、「個の尊重」「仕事に楽しさと誇りを」「本物志向」「革新性と創造性」「健康増進」の5つを掲げています。現状に満足せず常に新しい価値を生み出すチャレンジ精神や、料理・サービスの品質追求、健康的な食の提供と環境づくりを重視する文化です。

(3) 経営計画・目標


同社は、持続的な企業価値向上に向けた「成長投資の着実な収益化」と「資本効率の向上」を両立させるため、以下の経営指標を目標として掲げています。

* ROE(株主資本当期純利益率):10%
* ROA(総資産経常利益率):5%以上
* ROI(投資利益率):15%以上を念頭においた出店
* 既存店売上高の前年比プラス

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、宿泊・飲食・物販・イベントを融合させた「新しい商業施設パッケージ」の創出や、アルコールに依存しないロードサイド店舗など投資効率の高い中小型業態の開発を推進しています。また、米国事業の成長を最優先としつつ、将来的にはタイやインドネシアなどアジア地域への進出も見据え、グローバル展開を加速させていく方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社の持続的な成長には優秀な人材の確保と育成が不可欠であり、企業理念の浸透や独自の立候補制昇格人事・評価制度を通じて次世代リーダーの創出を図っています。また、現場スタッフからの管理職登用を深化させるとともに、多様なバックグラウンドを持つ人材の採用により組織の多様性と活性化を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 36.3歳 7.1年 6,889,086円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 19.1%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 62.5%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 75.4%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 76.5%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 賃貸借契約の更新や解除に関するリスク


同社グループは店舗物件を直営にて賃借していますが、賃貸人側の事情により契約更新ができない場合や、期間前解約により計画外の退店を余儀なくされる可能性があります。これらの事象が発生した場合、業績が順調な店舗であっても営業継続が困難となり、経営成績に影響を及ぼす恐れがあります。

(2) 新規出店と減損損失に関するリスク


新規出店に際しては厳格に立地を選定していますが、集客が見込みを下回る場合や業態変更・退店を実施する場合があります。それに伴う固定資産の除却損や違約金の発生、また収益性の著しい低下により店舗単位での減損損失を計上することになった場合、財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 代表取締役への過度な依存リスク


同社グループは、新業態開発や店舗開発、子会社の経営指導など経営全般において、創業者であり代表取締役社長である長谷川耕造氏への依存度が高くなっています。執行役員制度の導入など後継者育成を進めていますが、同氏が経営から退く事態が生じた場合、事業展開や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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