ブロンコビリー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ブロンコビリー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ブロンコビリーは東京証券取引所プライム市場および名古屋証券取引所プレミア市場に上場し、ステーキ・ハンバーグレストラン「ブロンコビリー」を主力とする飲食事業を展開しています。直近の業績は売上高が前期比で増加し、経常利益も増益となるなど、店舗数の拡大とともに堅調な増収増益トレンドを維持しています。


※本記事は、株式会社ブロンコビリーの有価証券報告書(第44期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ブロンコビリーってどんな会社?


ブロンコビリーは、東海地区を中心にステーキ・ハンバーグレストラン等を展開する外食企業です。

(1) 会社概要


ブロンコビリーは1978年に名古屋市で創業したステーキハウスを起源とし、1983年に法人化されました。1995年に現在の社名へ変更し、2007年にジャスダック上場を果たしました。近年では2022年に調味料等製造の松屋栄食品本舗、2024年にとんかつ専門店を展開するレ・ヴァンを子会社化しています。

同社グループの従業員数は連結で711名、単体で653名です。筆頭株主は同社本社と同じ所在地にあるストロングウィルで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は食品等の卸売を手がける事業会社のトーカンとなっています。

氏名 持株比率
ストロングウィル 27.64%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.94%
トーカン 2.53%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は阪口信貴氏が務めています。社外取締役比率は55.6%です。

氏名 役職 主な経歴
阪口信貴 取締役社長(代表取締役) 日本アイ・ビー・エムを経て同社入社。専務取締役コーポレート本部長等を歴任し、2025年4月より現職。
竹市克弘 取締役会長(代表取締役) 2003年同社入社。取締役営業担当、代表取締役専務等を歴任し、2013年より代表取締役社長。2025年4月より現職。
出口有二 専務取締役会長室室長 1992年同社入社。営業部エリアマネジャー、取締役営業本部長等を歴任し、2025年4月より現職。
宮本卓 常務取締役商品本部長 2001年同社入社。製造部長、取締役商品部長等を歴任し、2024年3月より現職。松屋栄食品本舗代表取締役社長を兼任。


社外取締役は、林俊輔(de la hataraku代表取締役)、野村美紀(Cabi Foods, Inc. CEO)、平野曜二(平野曜二法律事務所代表)、下野雅承(日本アイ・ビー・エム名誉顧問)、臼井健一郎(U.RAKATA代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、飲食事業の単一セグメントで事業を展開しています。

飲食事業


ブロンコビリーは、主にステーキやハンバーグを提供する郊外型レストラン「ブロンコビリー」を直営で展開しています。豪州産・米国産牛肉を使用したメインディッシュに新鮮なサラダバーを組み合わせたメニュー構成が特徴です。また、愛知県下で「かつ雅」等のとんかつ専門店や居酒屋業態も展開し、幅広い顧客層へ食事を提供しています。

収益は主に一般の来店客からの飲食代金として受け取るモデルです。レストランの店舗運営はブロンコビリーおよび子会社のレ・ヴァンが行っています。また、店舗で提供される食材は自社工場での加工に加え、子会社の松屋栄食品本舗がステーキソースやドレッシング等の調味料を製造・供給し、グループ内での製販一体の体制を構築しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近3期間の業績は、売上高が毎年増加し、利益面でも大幅な成長を遂げています。特に経常利益と当期利益は順調に拡大しており、売上高に対する利益率も7%台から10%台へと改善しています。積極的な新規出店や既存店の強化が奏功し、強固な収益基盤を築きつつあることがうかがえます。

項目 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 234億円 266億円 302億円
経常利益 17億円 26億円 30億円
利益率(%) 7.3% 9.8% 10.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 10億円 16億円 20億円

(2) 損益計算書


売上高の拡大に伴い、売上総利益と営業利益の双方が順調に増加しています。売上総利益率は67%台と高い水準を維持しており、営業利益率も着実に改善傾向にあります。原材料費等の上昇リスクをコントロールし、本業でしっかりと利益を生み出す構造が維持されています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 266億円 302億円
売上総利益 180億円 203億円
売上総利益率(%) 67.6% 67.2%
営業利益 25億円 29億円
営業利益率(%) 9.5% 9.7%


販売費及び一般管理費のうち、雑給(パート・アルバイト給与等)が49億円(構成比28%)、給与手当が28億円(同16%)、賃借料が18億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は飲食事業の単一セグメントですが、地域別では東海地区と関東地区が売上の大部分を占めています。すべての地域で前期から売上を伸ばしており、とくに関西地区や関東地区での事業規模の拡大が全体の増収を力強く牽引しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
東海地区 121億円 136億円
関東地区 91億円 106億円
関西地区 43億円 49億円
九州地区 6億円 7億円
その他 5億円 5億円
連結(合計) 266億円 302億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、運転資金及び設備投資を自己資金にて調達しております。
営業活動では、堅調な利益創出により資金を獲得しました。投資活動では、主に店舗などの設備投資に資金を使用しました。財務活動では、株主への配当金支払いに資金を使用しました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 27億円 34億円
投資CF -14億円 -14億円
財務CF -6億円 -4億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「食を通じて人を幸せにしたい」という想いを込めて、「ご馳走カンパニー」の実現という長期ビジョンを掲げています。お客様が外食に求める「家庭では味わえない美味しい料理」と「気持ちよいサービス」「清潔で楽しいお店」を実現させるために、「最高の料理」「最高のサービス」「最高の空間」の3つの「ご馳走」品質を向上させることを基本方針としています。

(2) 企業文化


主体性を持って経営することをモットーとして常日頃から実践しており、「全員経営」「衆知経営」「自主責任経営」の徹底を掲げています。また、「お客様の立場で顧客創造し、仲間の物心両面の幸福と社会の発展貢献」という経営目的のもと、従業員を仲間として大切に思い、人の成長を通じて会社の成長発展を目指す文化を根付かせています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、高い収益性を維持し企業価値を向上させていくため、原価率の低減やコスト管理に努めることで事業活動の成果を図る「売上高経常利益率」を重要な経営指標として掲げています。

* 2025年12月期目標:売上高経常利益率 10.0%

(4) 成長戦略と重点施策


「ご馳走カンパニー」の実現を目指し、収益力の高い物件を厳選しながら関東・関西・九州地区への出店を継続するとともに、とんかつ業態の拡大や海外進出も視野に入れた新業態の開発に取り組みます。また、自社工場や子会社による仕入・商品開発・製造までを一貫して行う強みを活かし、商品開発力の強化を進めます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


社員採用においては新卒・中途に加え、パートやアルバイトの採用も安定して行えるよう採用市場の変化に柔軟に対応し、将来の人的資源の確保に努めています。また、トレーニングと研修を強化して採用後の早期戦力化を目指すとともに、次世代を担う幹部社員の育成にも注力し、採用と定着のバランスを適切にとる方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 31.8歳 7.5年 5,144,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.0%
男性育児休業取得率 70.0%
男女賃金差異(全労働者) 68.0%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 78.8%
男女賃金差異(非正規雇用労働者) 112.5%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競合他社の増加など外食業界の動向


外食業界は成熟しており、市場規模の拡大は見込みにくい傾向にあります。中食業界の拡大等により競争が激化しており、同社と同様のコンセプトを持つ競合他社が増加し競争がさらに激化した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 牛肉など原材料価格の高騰


同社は主に豪州産牛肉を使用していますが、天候不順や為替相場の変動、関税の引き上げなどにより仕入価格が上昇するリスクがあります。また、その他の食材についても仕入価格の高騰や数量確保が困難になった場合、仕入コストの増加を通じて収益を圧迫する可能性があります。

(3) 新規出店等の店舗展開リスク


同社は関東・関西・九州地区への出店や新たなエリアへの拡大を計画していますが、出店基準に見合う物件の確保が困難な場合や、人員確保が計画通りに進まない場合、予定していた収益が確保できないリスクがあります。また、賃貸物件の差入保証金が回収不能となる懸念も存在します。

(4) 特定業態への依存と食肉問題


同社の主力はステーキハウス「ブロンコビリー」であり、消費者の嗜好の変化等により支持を得られなくなった場合は来客数が減少するリスクがあります。また、特定の食材(牛肉)に起因した問題が発生した場合には、複数業態を展開する企業以上に多大な影響を受ける可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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