※本記事は、ロイヤルホールディングス株式会社の有価証券報告書(第77期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ロイヤルホールディングスってどんな会社?
外食事業を中核に、コントラクト、ホテル、食品事業などを多角的に展開するホスピタリティ企業です。
■(1) 会社概要
同社は1951年に福岡空港での機内食搭載と喫茶営業から始まり、1956年に設立されました。1978年に福岡証券取引所、1981年に東京証券取引所市場第二部に上場し、2005年には持株会社制へ移行して現在の社名となりました。2021年には双日と資本業務提携を結び、海外事業展開等も積極的に進めています。
現在の従業員数はグループ全体で2,383名、単体で106名です。筆頭株主は資本業務提携先である事業会社の双日で、第2位は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行、第3位は創業者関連とみられる公益財団法人江頭ホスピタリティ事業振興財団となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 双日 | 19.97% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.21% |
| 公益財団法人江頭ホスピタリティ事業振興財団 | 4.93% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性3名の計9名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役会長は菊地唯夫氏、代表取締役社長は阿部正孝氏が務めており、社外取締役比率は55.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 菊地 唯夫 | 代表取締役会長 | 日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)やドイツ証券会社等を経て2004年に同社入社。2010年代表取締役社長、2016年代表取締役会長兼CEOを歴任し、2019年より現職。 |
| 阿部 正孝 | 代表取締役社長 | 1993年に同社入社。ロイヤルコントラクトサービスの取締役営業本部長や代表取締役社長などを歴任し、2022年より現職。 |
| 藤田 敦子 | 取締役 | 1989年に同社入社。ロイヤルマネジメント人事部長や同社執行役員人事担当、サステナビリティ本部長などを経て、2025年より現職。 |
| 木村 公篤 | 取締役(監査等委員) | ソニー、三井信託銀行等を経て2006年ロイヤルマネジメント取締役副社長。同社常務取締役などを歴任し、2024年より現職。 |
社外取締役は、平井龍太郎(元双日代表取締役副社長執行役員)、三井田砂理(双日執行役員リテール・コンシューマーサービス本部長)、中山ひとみ(霞ヶ関総合法律事務所パートナー弁護士)、梅澤真由美(公認会計士梅澤真由美事務所代表)、坂本光一郎(元太陽石油取締役常務執行役員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「外食事業」「コントラクト事業」「ホテル事業」「食品事業」および「その他」事業を展開しています。
■外食事業
ホスピタリティ・レストラン「ロイヤルホスト」や天丼・天ぷら専門店「てんや」、サラダバー&グリル「シズラー」、ピザレストラン「シェーキーズ」などのチェーン店や各種専門店の運営を行っています。国内外の顧客に対して多種多様な飲食サービスを提供しています。
主な収益源は、各店舗を利用する一般顧客からの飲食代金などです。事業の運営は、主にロイヤルフードサービスやロイヤルコントラクトサービスのほか、海外子会社のロイヤルフードサービスシンガポール、ロイヤル双日ベトナムなどが担当しています。
■コントラクト事業
法人などからの委託を受け、空港ターミナルビルや高速道路のサービスエリア、コンベンション施設、医療介護施設、官公庁といった大規模施設内において、立地特性に合わせた飲食業態や売店などを展開しています。
主な収益源は、施設内の店舗を利用する顧客からの飲食代金や商品販売代金などです。この事業の運営は、主に子会社であるロイヤルコントラクトサービスが担当しており、各施設の特性に応じた多様なサービスを提供しています。
■ホテル事業
「ひとと自然にやさしい、常にお客さまのために進化するホテル」を理念に掲げ、「リッチモンドホテル」などの宿泊施設を全国で展開しています。国内の観光客やビジネス客のほか、訪日外国人客などを主な顧客としています。
主な収益源は、ホテルを利用する顧客からの宿泊料金や施設内での飲食サービス料金などです。事業の運営は、主に子会社のアールエヌティーホテルズや、関連会社のケイ・アンド・アール・ホテルデベロップメントが担当しています。
■食品事業
同社グループの各事業における食品製造や購買、物流業務などのインフラ機能を担うとともに、グループ外企業向けの業務食や家庭用フローズンミールの製造・販売、法人向けのおやつ定期宅配サービスなどを展開しています。
主な収益源は、グループ内外の企業への食品販売代金や、一般消費者からの商品代金などです。運営は主に子会社のロイヤルが担当し、おやつ定期宅配サービス事業はたびスルが運営しています。
■その他
機内食事業や不動産賃貸事業などを展開しています。機内食事業では国内外の航空会社を顧客とし、機内食の提供による収益を得ています。運営は主に関連会社の双日ロイヤルインフライトケイタリングやジャルロイヤルケータリングなどが担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績推移を見ると、売上高は継続して増加傾向にあります。利益面でも、以前は経常損失を計上していましたが、その後に黒字転換を果たし、以降は安定して経常利益の拡大を続けており、収益力の回復と向上が確認できます。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 840億円 | 1,040億円 | 1,389億円 | 1,522億円 | 1,655億円 |
| 経常利益 | -45億円 | 22億円 | 53億円 | 73億円 | 79億円 |
| 利益率(%) | -5.4% | 2.1% | 3.8% | 4.8% | 4.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -24億円 | 9億円 | 17億円 | 31億円 | 0.4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で堅調に増加しており、それに伴い売上総利益と営業利益も拡大しています。高付加価値戦略や販売価格の見直し、新規出店などの施策が奏功し、売上総利益率は上昇傾向を示すなど、本業の収益性が高まっています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,522億円 | 1,655億円 |
| 売上総利益 | 1,066億円 | 1,176億円 |
| 売上総利益率(%) | 70.1% | 71.1% |
| 営業利益 | 74億円 | 77億円 |
| 営業利益率(%) | 4.8% | 4.6% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び賞与が337億円(構成比31%)、その他が270億円(同25%)、賃借料が215億円(同20%)を占めています。
■(3) セグメント収益
各セグメントにおいて増収を達成しています。特にホテル事業は訪日外国人客などの観光需要が回復基調となったことで大幅な増収増益となりました。一方で外食事業やコントラクト事業は、海外出店などに伴う初期費用の計上や原材料費の上昇により増収ながらも減益となっています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) | 利益(2024年12月期) | 利益(2025年12月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 外食事業 | 623億円 | 660億円 | 32億円 | 23億円 | 3.5% |
| コントラクト事業 | 494億円 | 529億円 | 27億円 | 27億円 | 5.0% |
| ホテル事業 | 349億円 | 413億円 | 54億円 | 68億円 | 16.6% |
| 食品事業 | 52億円 | 50億円 | 1億円 | 5億円 | 9.0% |
| その他 | 3億円 | 3億円 | 6億円 | 10億円 | 307.9% |
| 調整額 | - | - | -48億円 | -54億円 | - |
| 連結(合計) | 1,522億円 | 1,655億円 | 73億円 | 79億円 | 4.8% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは「積極型」に分類されます。営業活動で安定的に資金を生み出しつつ、新たな借入などの財務活動を通じて資金を調達し、事業成長に向けた積極的な投資を行っている状態を示しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 104億円 | 158億円 |
| 投資CF | -98億円 | -167億円 |
| 財務CF | -77億円 | 8億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.8%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は39.2%であり、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、1951年の創業以来「“食”を通じて国民生活の向上に寄与すること」を目指しています。現在は、「食とホスピタリティで、地域と社会を笑顔にする」という経営ビジョン2035を掲げ、すべてのステークホルダーから信頼され、選ばれる企業やブランドとなることで持続的な企業価値の向上を追求しています。
■(2) 企業文化
経営基本理念を礎とし、地域や社会に根付いた企業としてステークホルダーとのつながりを大切にする文化を重視しています。「日本で一番質の高い“食”&“ホスピタリティ”を通じて国民生活の向上に寄与すること」を行動の軸とし、法令遵守や高い倫理観をもった良識ある企業経営に全役職員が努めています。
■(3) 経営計画・目標
「中期経営計画2025~2027」において、財務基盤の健全性を維持しながら収益力の強化と資本効率の向上を目指しています。最終年度における主要財務目標として以下の数値を設定し、株主価値の創出に努めています。
* 売上高 1,875億円
* 経常利益 100億円
* 自己資本比率 40%
* ROE 12%
■(4) 成長戦略と重点施策
「変革から成長、そして飛躍へ」を基本方針とし、「ブランド戦略」「グローバル戦略」「サステナビリティ戦略」「人材戦略」の4つを全社戦略として推進しています。具体的には、ロイヤルグループブランドの進化とマーケティングの高度化、海外展開とインバウンド需要の獲得、サステナビリティ基盤の整備などを実行しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは「人財中心経営」を戦略の基盤と位置づけ、すべての人材が付加価値を生む源泉であるという考えのもと、人材の確保や育成、働く環境の整備に積極的な投資を行っています。教育研修機関「ロイヤルアカデミー」の設立などを通じてプロフェッショナル人材を育成し、多様な人材が活躍できる風土の実現を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 46.9歳 | 5.6年 | 7,612,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 32.0% |
| 男性育児休業取得率 | 75.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 67.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 76.2% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 112.2% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇取得率(55.4%)、離職率(7.1%)、障がい者雇用率(2.79%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 人材の確保と育成
労働人口の減少が見込まれる中、短時間労働者や外国人労働者を含めた人材の確保が困難な状況になった場合や、人材育成が不十分でサービス品質が低下した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、賃金上昇や法改正への対応遅延もリスクとして認識されています。
■(2) 食品の安全性
飲食事業や食品製造において、食中毒や異物混入などの品質問題が発生した場合、営業停止や風評被害により社会的信用が低下し、業績に影響する可能性があります。安全な食材確保や徹底した衛生管理など、品質保証体制の強化に継続的に取り組んでいます。
■(3) 食材・商品等の供給体制と仕入コスト
自社工場や取引先を含むサプライチェーンにおいて、自然災害や地政学リスク等により商品の供給中断が生じた場合、店舗運営に支障をきたす恐れがあります。また、天候や為替相場の変動に伴う原材料費や物流費の仕入コスト高騰も、収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 海外事業の展開
海外展開を進める中で、進出国の政情不安や経済状況の変化、法規制の変更、為替レートの変動などのカントリーリスクが存在します。また、現地での人材確保の遅れやフランチャイズ企業の業績悪化による店舗展開の縮小が生じた場合、グループ全体の成長計画に影響する可能性があります。



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