東テク 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東テク 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東テクは東京証券取引所プライム市場に上場しており、空調機器や制御機器を中心とした商品販売事業と、計装工事などを手掛ける工事事業を展開しています。直近の業績では、旺盛な建設需要やデータセンターなどの成長分野の取り込みが奏功し、売上高および経常利益ともに前期比で増加となる増収増益を達成しています。


※本記事は、東テク株式会社の有価証券報告書(第71期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. 東テクってどんな会社?


空調機器や制御機器の販売と、計装工事や管工事の設計・施工を中核として快適環境を創造する専門商社です。

(1) 会社概要


1955年7月に冷暖房機器の販売・サービスを目的に設立されました。1960年代にダイキン工業等と代理店契約を結び、1986年に現在の東テクへ商号を変更しました。2004年のジャスダック上場を経て、2017年に東証一部へ指定されました。近年も2025年に三王機工を取得し事業を拡大しています。

現在の従業員数は連結で2,855名、単体で1,171名です。筆頭株主は日本レイで、第2位は主要な仕入先であり事業提携関係にあるダイキン工業、第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。

氏名 持株比率
日本レイ 12.83%
ダイキン工業 7.29%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.81%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は小山馨氏が務めています。

氏名 役職 主な経歴
小山馨 代表取締役社長 1978年同社入社。大阪支店長、上席執行役員等を経て、2023年取締役専務執行役員技術本部長兼計装事業統括部長に就任。2025年4月より現職。
長尾克己 取締役 1982年同社入社。本社営業開発部長等を経て2006年代表取締役社長に就任。代表取締役会長等を経て2026年4月より現職。
中溝敏郎 取締役監査等委員 1979年富士銀行(現みずほ銀行)入行。2007年同社入社。専務取締役専務執行役員経営管理本部長等を経て2023年6月より現職。


社外取締役は、斎藤政賢(元東京不動産管理社長)、宇佐美敦子(税理士法人山田&パートナーズ代表社員)、荒田和人(荒田会計事務所所長)、久保田征良(山下綜合法律事務所所属)です。

2. 事業内容


同社グループは、「商品販売事業」「工事事業」および「その他」事業を展開しています。

商品販売事業


空調機器、制御機器、設備機器、発電機などの機器販売と、納入した機器の保守点検・スポットメンテナンスサービスを提供しています。主に建設市場における顧客を対象に、高付加価値なソリューション提案を行っています。

機器の販売代金や保守契約に基づくサービス料を収益源としています。事業の運営は主に同社および日本ビルコン、東テク北海道、アーチバックなどの子会社が行っています。

工事事業


計装工事を中心に、管工事や電気設備工事の設計・施工を行っています。また、同社グループが施工した各種工事に対する保守点検・メンテナンス業務を提供し、ストックビジネスの拡大を図っています。

各種工事の請負代金やメンテナンス契約による保守料金から収益を得ています。事業の運営は同社のほか、アイ・ビー・テクノス、三王機工、北日本計装、鳥取ビルコン、および海外子会社などが担っています。

その他


報告セグメントに含まれない事業として、エネルギー関連の事業を展開しています。環境負荷低減に向けた取り組みの一環として、再生可能エネルギーの活用を推進しています。

同社が保有する太陽光発電施設を利用して発電を行い、電力会社へ売電することによって収益を獲得しています。運営は同社単独で行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期の業績推移を見ると、売上高および経常利益は毎期着実に増加しており、右肩上がりの成長を継続しています。利益率も段階的に改善しており、直近の期では10.6%に達するなど、高い収益性を確保しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,101億円 1,267億円 1,407億円 1,560億円 1,700億円
経常利益 71億円 82億円 106億円 156億円 180億円
利益率(%) 6.5% 6.5% 7.5% 10.0% 10.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 38億円 44億円 49億円 80億円 92億円

(2) 損益計算書


直近2期間の売上高は順調に拡大しており、売上総利益や営業利益もそれぞれ増加傾向にあります。売上総利益率は約28%台で安定的に推移しており、営業利益率も10%台に乗せるなど、コスト管理と収益力向上の成果が数値に表れています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,560億円 1,700億円
売上総利益 419億円 483億円
売上総利益率(%) 26.9% 28.4%
営業利益 147億円 171億円
営業利益率(%) 9.4% 10.1%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び手当が107億円(構成比34%)と最も大きく、次いで賞与引当金繰入額が34億円(同11%)、福利厚生費が30億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


両セグメントともに前期から増収を達成しています。特に工事事業は旺盛な建設需要や保守領域での提案型受注が奏功し、大幅な売上成長を牽引しました。商品販売事業も再開発案件などを背景に堅調な推移を見せています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
商品販売事業 907億円 938億円
工事事業 652億円 762億円
その他 0.4億円 0.3億円
連結(合計) 1,560億円 1,700億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の健全型パターンを示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 139億円 96億円
投資CF -11億円 -85億円
財務CF -84億円 -50億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は19.5%で市場平均を上回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も64.0%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「東テクグループはこころ豊かな快適環境を創造します。」を存在意義として定めています。価値の高いサービスでお客様の満足度を高めること、地球にやさしい環境づくりで社会に貢献すること、出会いを大切にこころ豊かな企業体質を実現することを経営の使命として掲げています。

(2) 企業文化


2030年をターゲットとした長期ビジョン「ここちよいを、その先へ。」を掲げ、人に、社会に、地球にここちよい、新しい時代の「ここちよさ」を追求しています。技術革新や社会構造の変化を的確に捉え、ステークホルダーとの信頼関係を大切にしながら、一歩先の未来の快適環境を創造できる組織文化を醸成しています。

(3) 経営計画・目標


2031年3月期を最終年度とする第二次中期経営計画において、売上高および経常利益の絶対額確保と利益率の向上を目指す数値目標を設定しています。収益性の高い計装事業への資源集中や事業ポートフォリオの強化により、高収益体質への転換を図ります。

・売上高:2,200億円
・経常利益:220億円

(4) 成長戦略と重点施策


「高付加価値ソリューションの深耕」「ストックビジネスの拡大」「グループ連携による収益機会の最大化」を軸に高収益化を目指します。空調事業での提案強化や計装事業のリモートメンテナンス拡大、エネルギーソリューションの横断型提案を推進するとともに、DX活用による業務標準化・システム化を進めます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「経営戦略と人事戦略の一体化」を前提とし、人材をコストではなく投資対象と捉える人的資本経営を推進しています。自発的な思考と挑戦によって新たな価値を生み出す人材を求め、人事制度改革や技術力育成強化、労働環境の整備を通じて、社員一人ひとりが自律的に成長し価値を最大化できる仕組みを整えています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 41.1歳 11.8年 9,184,178円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.5%
男性育児休業取得率 41.4%
男女賃金差異(全労働者) 65.2%
男女賃金差異(正規雇用) 66.5%
男女賃金差異(非正規雇用) 51.8%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメントスコア(76.4pt)、離職率(4.3%)、有給休暇取得率(68.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 景気及び市場の動向


建築設備業界は景気変動や政府の経済政策の影響を強く受けやすいため、民間設備投資や公共投資が想定以上に低迷した場合、同社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 人材の採用と育成


企業成長には有能な人材の確保と育成が極めて重要です。インターンシップや東テクグループテクニカルセンターでの実践的な技術研修を通じた人材確保・育成に努めていますが、十分な人材を確保・育成できなかった場合、企業の成長に多大なマイナス影響を及ぼすリスクがあります。

(3) 労務管理と時間外労働


現場作業などによる時間外労働の増加に対処するため、就業時間管理やワークスタイルの改善を進めています。しかし、予期せぬトラブル等で時間外勤務が増加し納期遅延が生じた場合、社員の健康問題や同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。