フューチャー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フューチャー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フューチャーは、東京証券取引所プライム市場に上場し、ITコンサルティング&サービス事業とビジネスイノベーション事業を展開する企業です。経営とAIをデザインするという戦略のもと、顧客のビジネス課題を解決しています。直近の業績では、各事業の成長やグループシナジーの発現により、増収増益を達成しています。


※本記事は、フューチャー株式会社の有価証券報告書(第37期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. フューチャーってどんな会社?


同社グループは、ITコンサルティングとAIを活用したオリジナルサービスで企業の課題を解決する企業です。

(1) 会社概要


1989年に設立され、オープンシステムのコンサルティング業務を開始しました。1999年に株式を店頭登録し、2002年には東京証券取引所市場第一部へ上場しました。2007年のフューチャーアーキテクトへの商号変更を経て、2016年に持株会社制へ移行し、現在のフューチャーへ社名を変更しました。

現在の同社グループは、連結従業員数3,624名、単体従業員数377名の体制で事業を展開しています。筆頭株主は合同会社キーウェスト・ネットワークで、第2位は創業者の金丸恭文氏、第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。

氏名 持株比率
合同会社キーウェスト・ネットワーク 34.04%
金丸 恭文 12.53%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 8.21%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性4名の計11名で構成され、女性役員比率は36.4%です。代表取締役会長兼社長は金丸恭文氏が務めており、社外取締役比率は45.5%となっています。

氏名 役職 主な経歴
金丸 恭文 代表取締役会長兼社長 1979年テイケイシイ入社。1989年同社設立、代表取締役社長に就任。2006年代表取締役会長兼社長などを経て、2016年より現職。
石橋 国人 取締役副社長 1983年ロジック・システムズ・インターナショナル入社。1989年同社入社。1996年取締役を経て、2024年より取締役副社長CISO兼ki-labs担当として現職。
谷口 友彦 取締役 2002年同社入社。SGシステム代表取締役社長などを経て、2024年同社取締役、フューチャーアーキテクト代表取締役社長に就任。2025年より同社取締役グループDX事業統括。
齋藤 洋平 取締役 2001年同社入社。2018年取締役CTOを経て、2024年フューチャーアーキテクト取締役副社長に就任。2025年より同社取締役グループCTO兼テクノロジー事業統括として現職。
神宮 由紀 取締役 1994年シティアスコム入社。日本マイクロソフト等を経て2017年同社入社。2019年取締役、2022年より取締役DEI担当。2025年よりニュービジネスディベロップメント担当。
山岡 浩巳 取締役 1986年日本銀行入行。2019年同社顧問、取締役に就任し、フューチャー経済・金融研究所所長を務める。2022年CLOに就任し、2025年より取締役金融ビジネス・フィンテック事業推進。


社外取締役は、市原令之(元小松製作所常務執行役員)、川本明(慶應義塾大学経済学部教授)、榊原美紀(マクニカホールディングス執行役員)、竹内明日香(アルバ・パートナーズ代表取締役)、西浦由希子(西浦公認会計士事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ITコンサルティング&サービス事業」および「ビジネスイノベーション事業」を展開しています。

ITコンサルティング&サービス事業


経営上の問題を経営者の視点で共有し、ビジネスを本質から理解したうえで、実践的な高い技術力により先進ITを駆使した情報システムを構築し、問題解決のコンサルティングとサービスを提供しています。

顧客へのシステム構築やパッケージソフトの販売・保守、クラウドサービス等から収益を得ています。運営は同社のほか、フューチャーアーキテクト、リヴァンプ、フューチャーインスペース等が担っています。

ビジネスイノベーション事業


同社グループが培ってきたITの知見を利用し、ウェブ関連企業やメディア企業と融合してオリジナルサービスを提供し、ビジネスのイノベーションを創出するサービスを展開しています。

インターネットを通じたスポーツ・アウトドア用品の販売や、雑誌等の制作・ウェブメディア運営等により収益を得ています。運営はYOCABITOや東京カレンダー等が担当しています。

その他事業


上記の2つの報告セグメントに含まれない事業として、スポーツエンターテインメント領域でのチーム運営や、有価証券投資、保有、運用事業など、多角的な事業活動を展開しています。

ハンドボールチームを通じたスポーツ振興や、グループ全体の成長戦略に基づく投資活動等から収益を得ています。運営は主にジークスタースポーツエンターテインメントやフューチャーインベストメントが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績推移を見ると、企業のDX投資や業務改革ニーズを背景に、売上高は継続的な成長を遂げています。利益面においても、効率的なプロジェクト運営やグループ間のシナジー発現により高水準の利益率を維持しており、全体として安定した増収増益のトレンドが続いています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 487億円 537億円 593億円 699億円 760億円
経常利益 93億円 126億円 141億円 150億円 167億円
利益率(%) 19.1% 23.4% 23.7% 21.4% 21.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 37億円 52億円 102億円 66億円 83億円

(2) 損益計算書


売上高の拡大に伴い売上総利益も順調に増加しています。付加価値の高いコンサルティングサービスやパッケージソフトの提供が奏功し、売上総利益率および営業利益率ともに高い水準を維持し、安定した収益基盤を確立しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 699億円 760億円
売上総利益 337億円 370億円
売上総利益率(%) 48.2% 48.7%
営業利益 147億円 162億円
営業利益率(%) 21.0% 21.3%


販売費及び一般管理費(208億円)のうち、給料及び賞与が87億円(構成比42%)、研究開発費が15億円(同7%)、地代家賃が13億円(同6%)を占めています。売上原価(390億円)は、売上高合計に対して51%の構成比となっています。

(3) セグメント収益


主力事業であるITコンサルティング&サービス事業は、大型DX案件の獲得やパッケージソフトの販売好調により、増収と大幅な利益成長を牽引しています。一方、ビジネスイノベーション事業は、特定ブランドの販売絞り込みや投資費用の影響などにより、減収減益となっています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期) 利益(2024年12月期) 利益(2025年12月期) 利益率
ITコンサルティング&サービス事業 608億円 674億円 145億円 164億円 24.3%
ビジネスイノベーション事業 89億円 83億円 4億円 2億円 2.1%
連結(合計) 699億円 760億円 147億円 162億円 21.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は19.8%で市場平均を上回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も64.4%と市場平均を上回っています。営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスであることから、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全な優良企業であると評価できます。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 107億円 87億円
投資CF -204億円 -14億円
財務CF 138億円 -69億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「経営とAIをデザインする」という戦略のもと、自らの業務プロセスに最先端のAIを深く統合し、生産性の劇的な向上と自己変革を加速させることをミッションとしています。「AIによる圧倒的な付加価値」の還元により、ビジネスや地域経済の本質的な課題を解決し、未来価値を最大化することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は「科学・技術を愛し、経営変革・社会変革に貢献する」「足りていないことに恐れず、情熱で不可能に挑戦する」といった経営理念を全社員で共有しています。実力主義・成果主義でありながら礼節を重んじ、温かでユーモアのある組織運営を行うなど、チームワークと個人の研鑽を両立させる文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、事業の「稼ぐ力」の指標である営業利益に最も注目し、売上高営業利益率の上昇を目標として掲げています。

* ITコンサルティング&サービス事業:売上高営業利益率20%以上
* ビジネスイノベーション事業:売上高営業利益率10%以上

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、AIによる顧客の抜本的な経営改革支援に加え、グループ各社の機能を掛け合わせたシナジー発揮により多面的な顧客支援を推進します。また、自社の設計開発プロセスをAI駆動型に刷新し、知的財産の活用や戦略的M&Aを通じてビジネスモデルを進化させ、次期以降の継続的な成長と事業基盤の強化に取り組みます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、成長の源泉である人的資本の価値最大化を重要視し、「魅力的なカルチャーの理解と実践」「経営変革・社会変革を牽引できる人材の成長環境」「多様な人材の活躍」「健康戦略経営」を掲げています。社内表彰制度やAI研修、社会人ドクター支援制度などを通じて、多様で高い付加価値を提供できる人材の確保・育成に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 36.5歳 6.0年 7,945,188円


※平均年間給与は賞与を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 11.3%
男性育児休業取得率 89.7%
男女賃金差異(全労働者) 75.5%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 75.7%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 66.7%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新規採用女性比率(23.8%)、年次有給休暇取得率(73.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) プロジェクトマネジメントの機能不全


同社は品質管理やプロジェクトマネジメントの強化を進めていますが、予見できないトラブルの発生等によりマネジメントがうまく機能せず、作業工数の増加や納品の遅延が生じた場合、プロジェクトの採算が悪化し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 人材の確保および育成の不調


同社の事業発展には優秀な人材の確保と育成が不可欠であり、積極的な採用活動や研修に注力しています。しかし、これが不調に終わった場合や、人員増加に伴う固定的な人件費の増加を上回る受注を獲得できない場合には、成長性が阻害され業績が悪化するリスクがあります。

(3) 情報セキュリティと機密情報の漏洩


同社は顧客の様々な機密情報を取り扱うため、情報管理体制の強化や社内教育を徹底しています。しかし、外部からの不正侵入やコンピューターウイルス、役職員の過誤等により機密情報や個人情報が漏洩した場合、顧客からの信頼を失い、業績に大きな影響を与える可能性があります。

(4) 大規模プロジェクトへの対応遅延


大規模プロジェクトにおいて、予見できないトラブルや仕様変更などにより納期のリスケジュールが発生した場合、中小規模のプロジェクトに比べて業績への影響が大きくなります。また、人員の追加投入による機会損失やアサイン変更の遅れが生じるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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