※本記事は、株式会社東計電算の有価証券報告書(第56期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 東計電算ってどんな会社?
情報処理・ソフトウェア開発を主力とし、業種別専門SEと自社データセンター運用を特徴とする企業です。
■(1) 会社概要
1970年に東京濾器計算センターとして設立され、受託計算の営業を開始しました。1980年に東計電算に商号変更し、オンラインプログラム等のソフトウェア開発業務を開始しました。2000年に東京証券取引所市場第二部に上場し、2004年に市場第一部銘柄に指定されました。その後、タイ現地法人の設立などを経て現在に至ります。
現在の従業員数は連結で820名、単体で809名です。筆頭株主は資産管理を行う親会社のアップワードで52.31%を保有し、第2位は事業会社の東京濾器です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| アップワード | 52.31% |
| 東京濾器 | 7.82% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合 | 4.49% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長は甲田英毅氏、代表取締役社長執行役員は古閑祐二氏が務めています。社外取締役比率は40.0%(10名中4名)です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 甲田英毅 | 会長(代表取締役) | イースタンリース監査役等を経て1994年同社入社。アップワード代表取締役などを歴任し2012年代表取締役就任。2026年より現職。 |
| 古閑祐二 | 社長執行役員(代表取締役)デジタルサービス営業部、カスタマーサポート営業部、DCマネジメント部、DCオペレーション部、システム運用2部・3部、総務部、経理部、人事部担当 | 1981年同社入社。製造システム営業部長、イースタンリース取締役、副社長執行役員などを歴任し2021年より現職。 |
| 佐野真樹 | 専務執行役員(取締役)製造システム営業部、ロジスティクスシステム営業本部、ロジスティクスシステム営業1部・2部・3部、百貨店ソリューション営業部担当 | 1999年同社入社。製造システム営業部長、専務執行役員などを歴任し2026年より現職。 |
| 岩月直人 | 常務執行役員(取締役)住宅システム営業部、建設システム営業部、金融システム営業部、不動産賃貸システム営業部担当 | 1995年同社入社。住宅・建設システム営業部長、執行役員などを歴任し2021年より現職。 |
| 脇田淳一 | 常務執行役員(取締役)リテールシステム営業1部・2部、ビル管理システム営業部、施設管理システム開発部、勤怠ソリューション営業部担当 | 1991年同社入社。設備管理システム営業部長、執行役員などを歴任し2026年より現職。 |
| 齋藤広 | 取締役(常勤監査等委員) | 1983年同社入社。内部監査室長、イースタンリース監査役などを歴任し2026年より現職。 |
社外取締役は、角谷明洋(東京濾器本部長)、田﨑滋樹(日本総合住生活常務)、菅谷雄一(吉川総合法律事務所所長)、磯貝和敏(日本橋会計代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、情報処理・ソフトウェア開発業務、機器販売業務、リース等その他の業務の各報告セグメントで事業を展開しています。
■情報処理・ソフトウェア開発業務
顧客の業務ノウハウを蓄積した業種別SEが、ソフトウェア開発、システム運用、ファシリティサービス等を提供しています。
主な収益は顧客企業からのシステム開発受託料やシステム運用に関する役務提供料などから構成されます。運営は同社のほか、関連会社のファインシステムやタイの現地法人が担っています。
■機器販売業務
同社グループが開発したシステムに必要なオフィスサーバー、パーソナルコンピュータ、その他の周辺機器等を顧客に販売しています。
主な収益は顧客へのハードウェア等引き渡しによる販売代金です。同事業の運営は同社が主体となって行っています。
■リース等その他の業務
各種事務用機器などのOA機器のリースやレンタル、ならびにビル・マンションの不動産賃貸業務などを提供しています。
収益は建設業界等からの事務機器レンタル収入や、不動産の賃貸料などから構成されます。運営は同社および子会社のイースタンリースが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績は堅調に推移しています。売上高は右肩上がりで成長を続け、経常利益および当期利益も毎期連続して増益を達成しており、利益率も着実に向上しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 168億円 | 176億円 | 196億円 | 196億円 | 208億円 |
| 経常利益 | 42億円 | 52億円 | 57億円 | 65億円 | 73億円 |
| 利益率(%) | 25.1% | 29.3% | 29.3% | 32.9% | 35.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 30億円 | 34億円 | 40億円 | 45億円 | 54億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期から増加し、これに伴い売上総利益および営業利益もそれぞれ増益となりました。売上総利益率や営業利益率も改善傾向を示しており、収益性の向上がうかがえます。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 196億円 | 208億円 |
| 売上総利益 | 85億円 | 94億円 |
| 売上総利益率(%) | 43.3% | 45.3% |
| 営業利益 | 56億円 | 63億円 |
| 営業利益率(%) | 28.4% | 30.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給与が12億円(構成比39%)、賞与が3億円(同10%)を占めています。売上原価のうち、給与が37億円(構成比32%)、外注費が27億円(同24%)を占めています。
■(3) セグメント収益
情報処理・ソフトウェア開発業務はシステム運用業務が堅調に推移して増収増益となりました。機器販売業務もハードウェアの入替え需要により増収増益、リース等その他の業務もレンタル収入が堅調で増収増益を達成しています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) | 利益(2024年12月期) | 利益(2025年12月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 情報処理・ソフトウェア開発業務 | 178億円 | 187億円 | 51億円 | 58億円 | 31.0% |
| 機器販売業務 | 15億円 | 18億円 | 4億円 | 4億円 | 22.2% |
| リース等その他の業務 | 3億円 | 4億円 | 1億円 | 1億円 | 25.0% |
| 連結(合計) | 196億円 | 208億円 | 56億円 | 63億円 | 30.3% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
東計電算は、ハードウェア入替え需要や建設業界向け事務機器レンタル収入の堅調な推移により、営業活動によるキャッシュ・フローを大きく増加させています。投資活動では、有価証券の取得・売却や固定資産の取得により支出がありましたが、全体として現金及び現金同等物は増加しました。財務活動では、配当金の支払い等により減少が見られました。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 37億円 | 64億円 |
| 投資CF | -17億円 | -36億円 |
| 財務CF | -29億円 | -22億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「コンピューターとニーズの仲介役」を創業の精神として掲げています。これは、顧客が抱える経営課題というニーズに対して、適切なITソリューションを提案するという社会的意義を示しており、業務の本質を理解した提案力と品質への責任を完遂できる組織を目指しています。
■(2) 企業文化
業種別組織体制を採用し、原則として組織間異動を行わない人事方針のもと、顧客業種に専門特化したSEを育成する文化が特徴です。「業種別」の方針により顧客の業務特性を深く理解することが、競合他社との差別化および優位性につながるという価値観を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益を定めています。次期の連結業績見通しとして以下の数値を掲げています。
* 売上高:219億円
* 経常利益:79億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:55億円
■(4) 成長戦略と重点施策
人手不足を背景とした省人化や業務の集中化への需要に対し、各プロダクトにAI機能を内蔵化して付加価値向上と運用負荷低減を図ります。同時に、AIへの過度な依存が専門性の蓄積を妨げないよう、競争力の源泉である専門SEの育成に改めて注力し、自社の情報システム資産を活用したサービス商品の拡販を進めます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は人的資本への投資を重要視し、多様性の確保、公正な人事評価、教育研修の拡充、職場環境の整備を基本方針としています。社外研修の活用や社内行事を通じて専門SEとしての提案力を磨くとともに、テレワークや年次有給休暇の計画的付与などワークライフバランスに配慮した支援策を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 39.7歳 | 14.3年 | 6,336,185円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.5% |
| 男性育児休業取得率 | 28.6% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 61.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 74.4% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 81.3% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 事業内容および業績変動要因について
情報化投資の動向や、Web型のホスティングサービス、ハウジングサービス業務の増加に伴うソフトウェア開発業務売上の増加など、技術進歩や事業内容の変化が業績に影響を与える可能性があります。
■(2) 顧客情報の漏洩について
事業遂行に関連して保有する顧客の機密情報が、予期せぬ事態により流出した場合、社会的信用の低下や多額の費用負担が発生し、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 情報ネットワークのセキュリティについて
インターネットを経由したシステムにおいてファイアウォール等の厳重な管理を実施しているものの、セキュリティホール等により外部からの不正侵入を受けた場合、ネットワークに重大な障害が生じる可能性があります。
■(4) 品質問題について
ソフトウェア開発は無形物の製作である特性上、最適な品質確保に努めていますが、開発時点では予期せぬシステム設計上の瑕疵やプログラムのバグ等により、顧客から損害賠償請求等を受ける可能性があります。



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