※本記事は、サイボウズ株式会社 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月27日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
サイボウズは、グループウェアの開発とライセンス販売、SaaS・クラウド型グループウェア・ネットサービスの提供、高付加価値SIの提供を主たる業務としています。同社グループは、子会社10社及び関連会社2社により構成されています。
単体従業員数は1,080名、連結従業員数は1,356名です。セグメントは「ソフトウェアの開発・販売」の1つです。
主な国内グループ会社は、サイボウズ・ラボ(ソフトウェア技術の・研究開発)、サイボウズ・コネクトシー、エヒメスポーツエンターテイメントなどです。
サイボウズは、当期1月にエンタープライズ事業本部を設立し、大企業向け活動を強化しました。また、当期6月には株式会社エヒメスポーツエンターテイメントを子会社化し、地域DX推進にも注力しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
サイボウズは、チームワークを重視した企業文化を基盤に、従業員の働きがいと生産性の両立を目指しています。給与水準や働き方に関する制度は、従業員一人ひとりの多様性を尊重し、自律的なキャリア形成を支援する方針がうかがえます。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均年齢が比較的若く、勤続年数も平均的な水準となっています。これは、活発な組織でありながらも、一定の定着性が見られる人材構成を示しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,188,078円 |
| 平均勤続年数 | 6.7年 |
| 平均年齢 | 36.4歳 |
| 単体従業員数 | 1,080人 |
| 連結従業員数 | 1,356人 |
| 単体のグループ内比率 | 79.6% |
同社グループでは、一部の連結子会社において確定拠出年金制度を採用しています。これは、会社が拠出した資金を従業員が自ら運用する制度です。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「チームワークあふれる社会を創る」という企業理念のもと、事業活動を通じて世界中にチームワークを普及させることを社会に対する責任と捉えています。人的資本への投資を経営上の重要課題と認識し、事業成長とサステナブルな社会への貢献を目指しています。
人材育成においては、「チームの生産性とメンバーの幸福の両立」を目標に掲げています。多様な個性や価値観を持つメンバー一人ひとりと対話し、自律的なキャリア開発を支援する制度や仕組みづくりを進めています。
具体的には、入社から約半年間(新卒採用の場合は1年間)をオンボーディング期間と定め、スムーズな組織への適応と早期活躍をサポートしています。また、自分自身の経験やスキル、今後の希望を周囲に伝える「MyキャリNEXT」、社内公募ポジションを可視化する「ジョブボード」、期間限定で他部署業務を体験できる「大人の体験入部」といった施策を通じて、自律的なキャリア形成を支援しています。さらに、メンバーの自主的な学びに対して年間12万円まで支援するSelf-learning Program制度も提供しています。
働く場所・環境整備にも力を入れており、2007年から短時間勤務制度を、2010年からはテレワークを導入しています。現在、社員の出社率は約2割となっており、メンバーがチームの生産性を最大化する場所を主体的に考え、どこで働いても最大限の成果を発揮できるよう、オフィス環境とリモートワーク環境の整備を進めています。東京日本橋オフィスをチームワークの中心拠点であるBig Hubと位置づけ、国内外の拠点や自宅、パートナー企業と協働できる環境を構築しています。
オーナーシップの醸成を目的とした持株会制度も特徴的です。無期雇用だけでなく有期雇用のメンバーに対しても、拠出金額と同額の奨励金100%で運用されており、2025年12月末時点の国内従業員持株会加入率は89.1%です。2023年からはグローバル拠点でも持株制度を開始し、2025年12月末時点で対象者の69.7%が加入しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 28.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 83.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 79.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 80.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち非正規雇用労働者) | 85.2% |
人的資本への投資
社員数は正社員(無期雇用)の人数、管理職数は副部長以上の役職者の人数として算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 全社員数 | 1,080人 |
| 女性社員数 | 486人 |
| 女性社員比率 | 45.0% |
| 女性管理職数 | 39人 |
| 女性管理職比率 | 28.7% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
サイボウズは、グループウェアの開発と提供を主軸とする企業です。クラウドサービスを主力とし、多様な顧客層にサービスを展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、グループウェアの開発とライセンス販売、SaaS・クラウド型グループウェア・ネットサービスの提供、及び高付加価値SIの提供を主たる業務としています。主力製品である業務アプリ構築クラウドサービス「kintone」は、中小・中堅企業から大企業、さらには自治体まで幅広い顧客に導入されています。
また、中小企業向けグループウェア「サイボウズ Office」や中堅・大規模組織向けグループウェア「Garoon」、メール共有サービス「メールワイズ」といった多様な製品・サービスも提供しています。これらのサービスはクラウド化が進んでおり、安定的な収益基盤を強化しています。収益は、主に一定期間にわたり提供されるクラウドサービスからの継続的な利用料によって得られています。
同社グループはパートナー企業との協業を重視しており、パートナー経由の売上が国内クラウド関連事業の大部分を占めています。AI技術の活用にも積極的に取り組み、「kintone AIラボ」をはじめとするAI機能を各サービスに搭載し、顧客の業務改善を支援しています。さらに、自社開発のクラウド基盤「NECO」への移行を進めるなど、信頼性強化とセキュリティ向上にも継続的に投資しています。グローバル展開も進めており、北米・中南米、中華圏、APAC地域での導入社数を増やしています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5期にわたり売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに増加傾向を示しています。特に直近の当期においては、売上高が前期から大きく伸び、それに伴い各利益項目も大幅な増加となりました。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 185億円 | 221億円 | 254億円 | 297億円 | 374億円 |
| 経常利益 | 14.7億円 | 9.9億円 | 35.8億円 | 53.4億円 | 103億円 |
| 経常利益率 | 7.9% | 4.5% | 14.1% | 18.0% | 27.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 5.5億円 | 66百万円 | 24.9億円 | 35.5億円 | 70.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 12.03 | 1.45 | 52.29 | 74.99 | 153.17 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高および営業利益は、前期から当期にかけて増加しています。これは、同社グループの事業規模の拡大と効率性の向上が進んでいることを示しています。従業員一人ひとりが生み出す価値が高まっている傾向が見られます。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 22.5百万円 | 27.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.7百万円 | 7.4百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
サイボウズグループの財務状況は、安定した経営基盤と成長への投資余力を示しています。本業で着実に資金を生み出し、将来に向けた投資も継続している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率と潤沢な手元資金によって安定している状況です。自己資本比率はプライム市場の非製造業平均を大きく上回っており、財務の健全性が高いことを示しています。また、ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を大幅に上回る水準で推移しており、効率的な経営が行われていることがうかがえます。手元資金も増加傾向にあり、不測の事態への耐性も高いと言えます。これらの財務状況は、事業の継続性や将来的な成長投資の余力に繋がり、従業員の雇用や給与の安定性にも寄与すると考えられます。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 116億円 | 178億円 |
| 自己資本比率 | 55.2% | 59.1% |
| ROE(自己資本利益率) | 31.1% | 48.1% |
| 現金及び預金 | 55.9億円 | 117億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業で安定して資金を生み出している状況を示しています。当連結会計年度の営業活動によるキャッシュフローは107億円の収入となり、前期から増加しました。これは税金等調整前当期純利益の計上や減価償却費によるものです。
投資活動によるキャッシュフローは△31.0億円の支出となり、前期とほぼ同水準で推移しています。クラウドサービス投資の一環としてサーバー等を取得したことによる固定資産取得の支出が主な要因です。
財務活動によるキャッシュフローは△13.9億円の支出となり、前期から減少しました。配当金支払いによる支出が主な要因です。
営業活動で得た資金が投資活動の支出を上回るフリーキャッシュフローは75.7億円のプラスとなり、前期から大きく増加しています。これは、本業で十分な資金を創出しつつ、将来の成長に向けた投資も継続していることを示しており、事業の安定性と成長への意欲がうかがえます。この資金の流れは、従業員の雇用や給与の安定性にも良い影響を与えると考えられます。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 56.0億円 | 107億円 |
| 投資CF | △30.9億円 | △31.0億円 |
| 財務CF | △36.0億円 | △13.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 25.1億円 | 75.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、技術革新の進歩が速い市場環境において、新たな技術革新や利用者ニーズへの対応が遅れた場合、製品やサービスの陳腐化、競争力の低下を招く可能性があります。また、グローバルな事業展開においては、各国政府の予期しない法律や規制の変更、社会・政治・経済情勢の変化、為替変動など、海外事業展開に共通で不可避のリスクが存在します。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、今後の業容拡大において専門性を有する人材の採用・育成が不可欠であると認識しています。人材獲得競争が激化した場合や、在職している人材の社外流出が大きく生じた場合、同社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
サイボウズは、「チームワークあふれる社会を創る」という企業理念のもと、情報共有の基盤となるソフトウェアを提供しています。同社グループは、この理念を実現するために、多様な働き方や価値観を尊重する企業風土を醸成しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
サイボウズグループは、「チームワークあふれる社会を創る」という企業理念を掲げています。この理念のもと、情報共有の基盤となるソフトウェアを提供することを主な事業領域としています。
事業活動を通じて世界中にチームワークを普及させることが社会に対する責任を果たすことであると考えています。将来の収益力向上と社会貢献の両立を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
サイボウズでは、「チームワークあふれる社会を創る」という企業理念の実現に向けて、5つのカルチャーを大切にしています。これらは「理想への共感、多様な個性を重視、公明正大、自主自律、対話と議論」です。
同社は、チームの生産性と従業員の幸福がともに高い状態の組織を目指しており、「100人100通りのマッチング」を重視しています。多様な個性を活かす柔軟な働き方を提供し、従業員一人ひとりのスキルと希望をマッチングさせる基盤づくりに取り組んでいます。
また、経営に関するあらゆる情報を公明正大に全社で共有し、情報格差を最小限にすることで、従業員が主体的に判断し、質問責任を果たせる環境を整えています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
サイボウズグループは、中長期の事業戦略を加速させるため、組織・体制の強化と積極的な人材採用を継続しています。経営陣が説明責任を果たし、対話と議論が日常的に行われる組織風土を醸成することで、組織全体のガバナンス強化を目指しています。
また、クラウドサービス事業者として、情報セキュリティを含む内部統制システムの整備に注力しています。海外拠点を含め「公明正大」の考え方のもと、内部統制の仕組み化を強化し、ステークホルダーからの信頼確保に努めています。
人的資本への投資や気候変動・環境への対応も経営上の重要課題と認識しており、事業活動を通じて社会課題解決と持続的な成長に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
サイボウズは、チームワークあふれる社会の実現をパーパスとし、持続的な成長と企業価値向上を目指しています。その経営体制は、迅速な意思決定と実効性の高い監督・監査を両立させることを重視しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
サイボウズの株主構成を見ると、個人株主である畑慎也氏が筆頭株主となっています。また、代表取締役社長である西端慶久(青野慶久)氏が株式を保有する資産管理会社であるCbzサポーターズが上位に位置しています。このことから、創業家や個人による影響力が一定程度ある資本構成であると言えます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 畑 慎也 | 17.64% |
| Cbzサポーターズ | 17.52% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 6.98% |
| サイボウズ従業員持株会 | 5.09% |
| 山田 理 | 4.13% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性6名・女性3名)で構成され、女性役員比率は33.4%です。代表取締役社長は西端慶久(青野慶久)氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 西 端 慶 久 (青野 慶久) |
代表取締役 社長 |
1994年4月松下電工株式会社入社。1997年8月同社設立、取締役副社長。2005年4月同社代表取締役社長より現職。2015年4月サイボウズ・ラボ株式会社代表取締役社長。2025年6月株式会社エヒメスポーツエンターテイメント取締役会長より現職。 |
| 岡 田 陸 | 取締役 | 2020年4月同社入社。2021年3月同社取締役。2024年3月同社取締役より現職。 |
| 田 岡 朋 弥 | 取締役 | 2022年4月同社入社。2024年3月同社取締役より現職。 |
| 永 岡 恵 美 子 | 取締役 | 1992年4月株式会社日本興業銀行入行。2014年5月同社入社。2025年3月同社取締役より現職。 |
社外取締役は、磯田満梨(吉田満梨)氏(神戸大学大学院経営学研究科教授)、熊平美香氏(株式会社エイテッククマヒラ代表取締役)です。
同社は監査役会設置会社であり、執行部門、取締役会、監査役会の役割を明確に分離しています。監査役3名全員が社外監査役であり、外部からの客観的かつ中立的な経営監視機能が確保されています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
サイボウズの役員報酬は、役職によって構成が異なります。代表取締役の報酬は、月額の基本報酬に加え、長期的な企業成長へのコミットメントを目的とした譲渡制限付株式報酬、そして連結売上高を指標とする業績連動報酬(特別賞与)で構成されています。代表取締役以外の社内取締役と社外取締役、監査役は、それぞれ基本報酬のみが支給される仕組みとなっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 36百万円 | 7.2百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 17百万円 | 2.8百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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