ソルクシーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

 ソルクシーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ソルクシーズは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、ソフトウェア開発、コンサルティング、ソリューションの3事業を展開するIT企業です。金融系システム構築からクラウド領域まで幅広く手掛けます。直近の業績は企業の旺盛なDX投資需要を背景に、売上高は174億円、経常利益は14億円と増収増益で好調に推移しています。


※本記事は、株式会社ソルクシーズの有価証券報告書(第46期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. ソルクシーズってどんな会社?


金融業界を中心としたシステム受託開発やコンサルティング、クラウドソリューション等を提供するIT企業です。

(1) 会社概要


1981年に受託ソフトウェア開発を目的としてエポックシステムを設立したのが始まりです。1998年にトータルシステムコンサルタントと合併してエポック・ティーエスシーとなり、2001年に現在のソルクシーズへ商号変更しました。2004年にジャスダック上場を果たし、近年はM&Aを活用しながら事業領域を拡大しています。

現在の従業員数は連結で866名、単体で510名体制です。筆頭株主は事業会社のビット・エイで、第2位は創業者の長尾章氏、第3位は業務提携先であるヤクルト本社となっています。

氏名 持株比率
ビット・エイ 13.09%
長尾章 5.55%
ヤクルト本社 5.25%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性2名の計14名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は秋山博紀氏が務めており、社外取締役比率は35.7%です。

氏名 役職 主な経歴
秋山博紀 取締役社長(代表取締役) 1987年入社。事業推進本部長や経営企画室長等を歴任し2015年取締役。2020年常務取締役を経て、2023年3月より現職。
萱沼利彦 取締役副社長営業本部長 1983年入社。事業推進本部長、営業本部長、クラウド事業本部長等を経て、2025年1月より現職。
長尾義昭 取締役副社長SI事業本部長 1984年入社。事業本部第一金融事業部長、SI事業本部副本部長、営業本部長等を経て、2023年3月より現職。
長尾章 取締役会長 1983年トータルシステムコンサルタント設立。同社社長などを経て2006年ソルクシーズ代表取締役社長。2024年3月より現職。
渡辺博之 取締役 1996年オージス総研入社。エクスモーション専務取締役を経て2017年同社代表取締役社長。2019年3月より現職。
江口健也 取締役プロダクトサービス事業本部長兼営業本部副本部長兼クラウドサービス事業部長兼FinTech事業部長 1992年入社。クラウド開発事業部長、クラウド事業本部長等を経て、2023年9月より現職。
市川恒和 取締役経営企画室長兼事業戦略室長 1990年入社。事業戦略室長、キャリア推進本部長等を経て、2025年12月より現職。
甲斐素子 取締役管理本部長兼総務部長兼経理部長 1999年入社。経理部長、管理本部副本部長等を経て、2026年1月より現職。


社外取締役は、青木満(元富士通エフサス取締役常務)、山崎英二(元日立ソリューションズ取締役副社長)、中田喜與美(中田税理士事務所代表)、関谷靖夫(関谷公認会計士事務所代表)、飯塚順子(遠藤綜合法律事務所所属)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ソフトウェア開発事業」「コンサルティング事業」「ソリューション事業」を展開しています。

(1) ソフトウェア開発事業


金融業界や情報・通信業界などに向けたシステムインテグレーションや受託開発、それに付随するアウトソーシング業務等を提供しています。各グループ会社は銀行向けや証券バイサイド向け、市場系システム開発など、専門的な特定業務に特化してサービスを展開しています。

顧客からのシステム開発や保守・運用に伴う対価を主な収益源としています。運営はソルクシーズのほか、エフ・エフ・ソル、コアネクスト、アスウェア、エフなどの各子会社が行っています。

(2) コンサルティング事業


全業界を対象としたIT全般統制やシステム企画等のコンサルティングをはじめ、クレジット業界向け、および自動車や医療機器向けのソフトウェアエンジニアリングを活用した実践的なコンサルティング、ソフトウェアのテスト・品質管理業務等を提供しています。

顧客からのコンサルティングフィーやプロジェクト支援の対価を主な収益源としています。運営はインフィニットコンサルティング、エクスモーション、buboなどの各子会社が行っています。

(3) ソリューション事業


全国の自動車教習所向けの教習ソフトや基幹システム、全業界を対象としたオンラインストレージやクラウド帳票サービス、製造業向けのIoT・エッジコンピューティングソリューション、eスポーツ領域のマッチングサービス等を提供しています。

各種パッケージソフトの販売代金やクラウドサービスのサブスクリプション利用料等を主な収益源としています。運営はノイマン、Fleekdrive、イー・アイ・ソル、eekなどの各子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は堅調なDX投資需要を背景に一貫して増加傾向にあり、直近5年間で139億円から174億円へ成長しています。経常利益も当期は生産性向上や高付加価値案件の獲得により14億円と過去最高水準を達成し、利益率の改善が進んでいます。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 139億円 140億円 159億円 160億円 174億円
経常利益 11億円 11億円 12億円 10億円 14億円
利益率(%) 8.1% 7.6% 7.6% 6.0% 8.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 7億円 4億円 6億円 2億円 5億円

(2) 損益計算書


当期はクラウドサービスなどの収益性改善やM&A効果もあり、売上高が順調に伸びるとともに、売上総利益率も向上しました。これにより営業利益は前期から大きく増加し、利益率も改善しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 160億円 174億円
売上総利益 37億円 43億円
売上総利益率(%) 23.1% 24.6%
営業利益 9億円 14億円
営業利益率(%) 5.7% 8.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が4億円、役員報酬が2億円、支払手数料及び業務委託料が2億円を占めています。

(3) セグメント収益


ソフトウェア開発事業は証券・官公庁向け案件の増加や子会社化効果で増収となりました。コンサルティング事業は自動車業界のCASE需要等を背景に好調に推移しました。ソリューション事業もクラウドサービスや航空・防衛関連が伸び、全セグメントで増収を達成しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
ソフトウェア開発事業 118億円 128億円
コンサルティング事業 14億円 16億円
ソリューション事業 28億円 30億円
連結(合計) 160億円 174億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業であることを示しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 5億円 19億円
投資CF -5億円 -4億円
財務CF -1億円 -10億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.8%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も52.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


経営理念である「愛と夢のある企業」に基づき、「お客様の夢を実現するソリューションカンパニー」を目指しています。利益追求だけではなく、社会性・経済性・環境性を重視したサステナビリティ経営を推進し、持続可能な社会の実現と事業の両立を図ることを使命としています。

(2) 企業文化


6つの行動指針として「高い技術力を磨き、社会に貢献する」「お客様に最高の満足を提供する」「皆が夢を持ち続けられる企業を目指す」「新ビジネス・新技術へチャレンジする」「専門特化した技術を駆使したグローバル企業を目指す」「時流の変化を捉え、迅速かつ柔軟に挑み続ける」を掲げ、変化に果敢に挑戦する組織風土を重視しています。

(3) 経営計画・目標


2026年12月期から2028年12月期を対象とする中期計画を策定しています。基本方針として経営基盤の強化、本業であるSIビジネスの競争力強化、ストック型ビジネスの強化・拡大、海外マーケットの開拓を掲げ、さらなる企業価値の向上を目指しています。

* SIビジネスとストック型ビジネスの営業利益額比率で50:50にすることを目指す。

(4) 成長戦略と重点施策


「FinTech」「Cloud」「IoT」「CASE」「AI」の5分野を注力分野とし、デジタルトランスフォーメーション(DX)ビジネスを推進しています。また、M&Aや業務提携を積極的に展開し、開発リソースの早期拡充と技術力強化を図るとともに、ベトナムなどの海外市場開拓を加速させていく方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「IT技術者の楽園を作ろう」という想いのもと、従業員一人ひとりを企業の成長を支える貴重な財産と考え、人的資本経営を強化しています。適正な労働環境の整備や優秀な人材の獲得、能力開発、キャリア形成支援、柔軟な働き方の提供に注力し、従業員エンゲージメントの向上と健康経営の推進を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 41.4歳 14.7年 6,091,090円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.4%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 82.2%
男女賃金差異(正規雇用) 83.9%
男女賃金差異(パート・有期) 59.6%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) システム開発プロジェクトの不確実性


受託開発業務において、想定以上に工数が嵩む場合や、検収の遅れ、成果物の瑕疵による追加原価が発生するリスクがあります。また、重大なシステム障害が発生した場合には信用の失墜を招く恐れがあるため、受注前の事前検証やプロジェクト審査会を通じた適切な進行管理に努めています。

(2) エンジニア要員および外注先の確保


IT人材獲得競争が激化する中、必要なシステムエンジニアや品質の高いビジネスパートナーを十分に確保できない場合、事業展開に支障をきたすリスクがあります。同社は教育・研修制度の充実や給与水準の見直し、継続的な人的投資等を通じて人材流出防止とリソース確保に取り組んでいます。

(3) 顧客情報の漏洩リスク


情報サービス事業の特性上、業務を通じて顧客の機密情報を取り扱う機会があります。万が一情報漏洩事故が発生した場合、企業の信用低下や損害賠償による業績への悪影響が懸念されます。これを防ぐため、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証の取得やセキュリティ方針の徹底により管理体制を強化しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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