エプコ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エプコ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

株式会社エプコは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、住宅・エネルギー分野における再エネサービス、メンテナンスサービス、設計サービスを主力としています。2025年12月期は、再エネ設備の設置工事が好調に推移し、売上高63億円(前期比増収)、親会社株主に帰属する当期純利益1億円の増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社エプコの有価証券報告書(第36期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. エプコってどんな会社?


住宅ライフサイクル全般に関わる設計・メンテナンスや、再エネ設備の施工等を提供する企業です。

(1) 会社概要


1990年に有限会社として設立され、1992年にエプコとなりました。2002年に店頭登録(現スタンダード市場)を果たし、2020年にはシステムハウスエンジニアリング(現 ENE's)を子会社化して再エネ領域を強化しています。現在、再エネ、メンテナンス、設計の3事業を展開しています。

同社の従業員数は連結で600名、単体で366名です。筆頭株主は創業者で代表取締役グループCEOの岩崎辰之氏であり、第2位は事業会社のパナソニックホールディングス、第3位はLIXILとなっています。大手企業と連携しながら事業成長を図っています。

氏名 持株比率
岩崎 辰之 27.74%
パナソニックホールディングス 11.17%
LIXIL 5.19%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.6%です。代表取締役グループCEOは岩崎辰之氏が務めています。社外取締役比率は66.7%です。

氏名 役職 主な経歴
岩崎 辰之 代表取締役グループCEO 1992年同社設立 代表取締役社長就任。2011年EPCO(HK)LIMITED CEO就任。2012年より現職。
吉原 信一郎 取締役 2002年同社入社経営企画室長、同社取締役就任。2017年代表取締役CFOコーポレート本部長。2025年より現職。


社外取締役は、渡邊将志(渡邊将志オフィス代表取締役)、秋野卓生(弁護士法人匠総合法律事務所代表社員)、田村正(マルチット代表取締役)、一木裕佳(日経BP総合研究所人的資本経営フェロー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「再エネサービス」「メンテナンスサービス」「設計サービス」事業を展開しています。

(1) 再エネサービス


新築・既存住宅向けの太陽光発電システムや蓄電池、電気自動車向け充電器などの再エネ設備設置工事を請け負っています。脱炭素社会の実現と自然災害に強い住まいの提供を目指しており、顧客は主に住宅会社や一般消費者です。

収益源は設備の設置工事に伴う請負代金です。同事業の運営は、同社の子会社であるENE'sや、東京電力エナジーパートナーとの合弁会社であるTEPCOホームテックなどが担っています。

(2) メンテナンスサービス


住宅引き渡し後における、施主からのメンテナンス対応や顧客情報の管理、メンテナンス・リフォーム提案を行っています。新築時の設計図をデータベース化し、専門スタッフが24時間365日体制で相談を受け付けています。

収益源は住宅会社から受託するカスタマーセンター業務の委託料やシステム利用料です。同事業の運営は同社が行っており、顧客の業務効率向上と満足度向上を支援しています。

(3) 設計サービス


低層住宅の新築時に必要となる給排水設備や電気設備の設計図面作成、コンサルティングサービスを提供しています。設備機器メーカー等と連携し、現場の施工品質向上や工期短縮、コスト削減に寄与する設計データを作成します。

収益源は住宅会社等からの設計受託料やコンサルティング料です。同事業の運営は同社および、生産拠点である中国の子会社(艾博科建築設備設計(吉林)有限公司など)が連携して行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年12月期から2025年12月期までの直近5期間を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、順調なトップラインの拡大が確認できます。一方、経常利益や当期利益については先行投資や外部環境の影響により増減を繰り返していますが、直近の2025年12月期は増収増益で着地しています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 47億円 48億円 51億円 56億円 63億円
経常利益 4億円 2億円 4億円 4億円 5億円
利益率(%) 7.9% 4.5% 8.4% 7.9% 7.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 5億円 2億円 3億円 2億円 1億円

(2) 損益計算書


売上高の拡大に伴い、売上総利益と営業利益も前期から増加しています。ただし、原価や販管費の増加により、売上総利益率はわずかに低下しました。一方で営業利益率は横ばいを維持しており、一定のコストコントロールが機能していることがうかがえます。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 56億円 63億円
売上総利益 17億円 18億円
売上総利益率(%) 31.1% 29.5%
営業利益 3億円 4億円
営業利益率(%) 6.0% 6.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が5億円(構成比34.0%)、地代家賃が1億円(同9.5%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の再エネサービスが太陽光発電・蓄電池設置工事の好調により大幅な増収を牽引しました。一方でメンテナンスサービスと設計サービスは、新設住宅着工戸数の減少や一部取引終了の影響を受け、売上規模を維持する水準にとどまっています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
再エネサービス 14億円 21億円
メンテナンスサービス 20億円 19億円
設計サービス 22億円 22億円
連結(合計) 56億円 63億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

エプコは、営業活動で得た資金を事業運営に活用し、投資活動では貸付金の回収や関係会社の整理を進めました。財務活動では配当金の支払いを実行しています。営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益や減価償却費がプラス要因となった一方、法人税等の支払いがマイナス要因となりました。投資活動では、貸付金の回収や関係会社の清算、持分の一部譲渡による収入が主なプラス要因となり、貸付けによる支出を上回りました。財務活動では、配当金の支払いが主なマイナス要因となりました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 3億円 4億円
投資CF -4億円 6億円
財務CF 2億円 -3億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「エプコグループで働く情熱ある社員とその家族の幸福を追求します」「エプコグループの存在目的は、社会問題を解決し、国民生活に貢献することです」「世界の人々の住まい、暮らしを支えるインフラ企業を目指します」という3つの経営理念を掲げています。

(2) 企業文化


行動規範として「お客様からパートナーと認められる思考と行動をする。」を定めています。社会問題を解決するサービスや技術を提供し、人々の暮らしを支える強固な社会インフラ企業を目指すという企業像を掲げ、事業を通じた社会貢献を重視する文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


「中期経営計画(2025年~2027年度)~変化への挑戦(第1フェーズ)~」において、2027年度の定量目標として以下の数値を掲げています。

* 売上高:75億円
* 経常利益:10億円
* ROE:14.5%

(4) 成長戦略と重点施策


再エネ領域において設備の普及拡大を通じて売上を増加させ、住宅領域ではDX(デジタルトランスフォーメーション)による生産性向上で利益率の改善を図ります。さらに、新規事業領域において第3の事業の柱を創出し、将来の収益源に育てる方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「住まいと暮らし、環境を支える」というミッション実現に向け、成長分野である再エネ領域への人材シフトや、DXによる既存業務の省力化を図る人材ポートフォリオの転換を推進しています。また、外国籍社員や女性管理職の登用などダイバーシティ・イノベーションにも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 42.4歳 8.7年 4,488,619円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 24.3%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 66.4%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 70.2%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 85.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、外国籍従業員比率(約27%)、聴覚障害者の在籍(5名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 住宅市場の動向に関する影響


主たる得意先が住宅会社であるため、景気、金利、雇用環境の悪化などにより新設住宅市場が縮小した場合、同社の受託状況や業績にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。

(2) 関連法令の規制変更


取引先である住宅・建設業界は建築基準法や電気事業法などの規制を受けており、将来的な法規制の強化や新設が行われた場合、同社の事業活動が制限されたり対応コストが増加したりするリスクがあります。

(3) 人材の確保と人件費の高騰


労働集約的な事業を展開しているため、国内外における多数のオペレーターや施工人材の確保・育成が不可欠です。必要な人材が確保できない場合や、急激に人件費が上昇した場合は、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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