※本記事は、シンクレイヤ株式会社の有価証券報告書(第64期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. シンクレイヤってどんな会社?
放送通信事業者向けにシステムの設計・構築・運用保守や関連機器の販売などを総合的に提供しています。
■(1) 会社概要
1962年に愛知電子として設立され、テレビの共同視聴機器の製造・販売を開始しました。2002年に現在のシンクレイヤに商号変更しています。2004年にジャスダック証券取引所に株式を上場しました。その後、2014年に奥田電気工業を子会社化し、2024年には技術開発拠点を開設して事業を拡大しています。
現在の従業員数は連結で259名、単体で170名です。筆頭株主はMASBuddyで、第2位は同社役員の山口嘉孝氏、第3位はシンクレイヤ社員持株会となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| MASBuddy | 18.05% |
| 山口嘉孝 | 2.76% |
| シンクレイヤ社員持株会 | 2.71% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.2%です。代表取締役社長は山口正裕氏です。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山口正裕 | 代表取締役社長 | 1982年入社。海外事業部長、常務、専務を経て1994年より現職。愛知電子(中山)董事長等を兼任。 |
| 山口倫正 | 常務取締役生産技術本部長兼広報室長 | 2018年入社。経営企画室長を経て2024年取締役。2025年より常務、生産技術本部長兼広報室長として現職。 |
| 福永直也 | 取締役営業本部長 | 1990年入社。東京支社長、中部支店長、執行役員を経て2018年より取締役営業本部長として現職。 |
| 藤原伸昭 | 取締役管理本部長兼総務部長 | 三菱UFJ銀行からの出向を経て経理部長、執行役員。2021年取締役、2025年より管理本部長兼総務部長として現職。 |
| 山口嘉孝 | 取締役常勤監査等委員 | 1983年入社。製造部長、可児工場長、取締役、常務等を経て2025年より取締役監査等委員として現職。 |
社外取締役は、葛谷昌浩(公認会計士葛谷昌浩事務所所長)、中井志帆(石原総合法律事務所所属弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「トータル・インテグレーション部門」および「機器インテグレーション部門」の事業を展開しています。
■(1) トータル・インテグレーション部門
放送通信事業者向けに、システム全体を効率的にまとめ上げ、システムの設計、機器の選定、施工、保守管理等を提供しています。全国のケーブルテレビ事業者や通信キャリアなどが主な顧客であり、光ファイバーネットワークや無線ネットワークなどの次世代通信インフラの構築を支えています。
施設の構築やネットワーク設計、運用サポートの対価として収益を得ています。自社パッケージソフトウェアを用いたシステムの安定稼働サポートや、保守管理業務全般の請負も行っています。運営は主にシンクレイヤと、子会社のケーブルシステム建設が担当しています。
■(2) 機器インテグレーション部門
システム全体の分析や設計を行った上で最適な機器を選定し販売する事業です。ケーブルテレビ事業者及び通信キャリア、ISPに対して、独自開発した機器のほか、海外商品を含む他社商品を組み合わせて提供しています。
機器の販売代金として収益を得ています。単なる機器販売にとどまらず、仕様の確認やシステムとの親和性の試験を十分に行い、必要に応じて自社の独自技術を組み入れたカスタマイズも実施しています。運営は主にシンクレイヤが担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は100億円から131億円の間で推移しており、直近の2025年12月期は減収となりました。利益面では、2024年12月期に経常利益7.4億円を計上しましたが、2025年12月期は資材調達の遅れや工期調整などの影響を受け、経常利益3.8億円と減益に着地しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 131億円 | 100億円 | 104億円 | 117億円 | 105億円 |
| 経常利益 | 13億円 | 4.4億円 | 5.9億円 | 7.4億円 | 3.8億円 |
| 利益率(%) | 10.1% | 4.4% | 5.6% | 6.3% | 3.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 8.8億円 | 3.5億円 | 3.8億円 | 3.9億円 | 1.6億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で減少しており、これに伴い売上総利益も減少しています。また、販売費及び一般管理費はほぼ横ばいで推移した結果、営業利益および営業利益率が低下する結果となりました。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 117億円 | 105億円 |
| 売上総利益 | 25億円 | 22億円 |
| 売上総利益率(%) | 21.3% | 20.5% |
| 営業利益 | 6.5億円 | 3.5億円 |
| 営業利益率(%) | 5.6% | 3.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が5.6億円(構成比31%)、研究開発費が1.8億円(同10%)を占めています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業です。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -13億円 | 15億円 |
| 投資CF | -6.4億円 | -2.3億円 |
| 財務CF | 17億円 | -14億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は63.2%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「情報通信分野において常に最先端技術に挑戦し、高度な機器の提供とネットワークシステムの構築を通じて社会に貢献するとともに、会社の発展と社員の幸せを図る」ことを経営理念に掲げています。社会に貢献し、社会とともに成長していくことが企業の存在理由の原点であるとしています。
■(2) 企業文化
社是である「愛 仕事に愛情と誇りを持とう」「知 常に研鑽し知識を広げよう」「和 互いの人格を尊重し融和を図ろう」の精神を基本としています。絶えず変化するユーザーニーズを的確に捉え、タイムリーにソリューションを提供する組織文化が特徴です。
■(3) 経営計画・目標
中期経営計画「PLAN2026 未来を切り拓く ~継続的成長のための3つの柱~」を推し進めており、2026年12月期の目標として以下を掲げています。
* 売上高 111億円
* 営業利益 5.0億円
* 経常利益 5.1億円
* 自己資本当期純利益率 6.0%
■(4) 成長戦略と重点施策
「既存分野技術、既存顧客のさらなる深耕」「持続的な成長に向けた新領域の探索」「組織・人事の改革、デジタル活用」を基本方針としています。次世代通信インフラへの対応力強化や地方エリア向けソリューションの研究開発を進めるほか、地域DXに資するARコンテンツなど新領域にも注力します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
働きやすく魅力ある職場の実現に向けて、従業員一人ひとりが健康で安心して働き続けられる労働環境の整備に取り組んでいます。所定労働時間の見直しや休憩時間の延長を実施したほか、定年後も経験やスキルを活かせるよう再雇用制度の見直しを行い、多様な人材が能力を発揮できる環境の構築を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 43.9歳 | 19.0年 | 5,910,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 市場環境の悪化と競争激化
放送通信分野では、通信事業者や動画配信事業者の参入により競争が激化しています。民間投資や公共投資の鈍化、製商品の需要急変、価格下落などが生じた場合、業績に影響を与える可能性があります。
■(2) 部材調達と生産体制の変動
国内と中国の2拠点生産体制を維持していますが、経営環境の変化により体制を見直す可能性があります。また、半導体など電子部品の供給不足や価格高騰が生じた場合、製造コストの増加につながるリスクがあります。
■(3) 新製品・新技術開発の遅延
技術革新に対応した新製品の開発を行っていますが、研究開発が新技術の創造に繋がるとは限りません。市場ニーズを捉えられず魅力ある新製品を開発できない場合、将来の成長や収益性に影響を及ぼす可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。