ゴルフダイジェスト・オンライン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ゴルフダイジェスト・オンライン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場のゴルフダイジェスト・オンラインは、ゴルフ関連のメディア運営、用品販売、ゴルフ場予約、レッスン事業などを展開するゴルフ専門IT企業です。直近の決算では、ゴルフ弾道測定器の販売などで売上高は増加したものの、米国事業の投資先行や費用増により、各利益段階で赤字計上となる増収減益の決算となりました。


※本記事は、株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン の有価証券報告書(第26期、自 2024年1月1日 至 2024年12月31日、2025年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ゴルフダイジェスト・オンラインってどんな会社?


ゴルフメディア運営やEコマース、ゴルフ場予約、レッスン事業など、ゴルフとインターネットを融合させた多様なサービスを展開する企業です。

(1) 会社概要


2000年に設立し、オンラインでのゴルフ場予約及び広告事業を開始しました。2001年にEコマースサイト「GDO SHOP.com」をオープンし、2004年に東証マザーズへ上場しました。2015年に東証一部へ市場変更し、2018年には米GOLFTECを子会社化、2022年に弾道測定器「SkyTrak」事業を買収しました。

連結従業員数は1,358名、単体では487名です。筆頭株主は創業者で代表取締役社長の石坂信也氏で、第2位は出版事業を行うその他の関係会社、第3位は雑誌発行を行うその他の関係会社となっており、創業家や関連事業会社が主要株主となっています。

氏名 持株比率
石坂信也 17.74%
ゴルフダイジェスト社 9.58%
モーターマガジン社 8.76%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.0%です。代表取締役社長最高経営責任者は石坂信也氏です。社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
石坂 信也 代表取締役社長最高経営責任者 三菱商事入社、ハーバード大学MBA修了後、2000年に同社を設立し代表取締役社長に就任。米GOLFTEC等の役員も兼務し、2000年より現職。
吉川 雄大 取締役副社長執行役員最高執行責任者 富士火災海上保険(現AIG損害保険)を経て2003年に入社。ゴルフ場サービス本部長等を経て、2020年より現職。


社外取締役は、岩澤俊典(元アビームコンサルティング社長)、木村玄一(ゴルフダイジェスト社社長)、水戸重之(TMI総合法律事務所パートナー弁護士)、高橋真木子(金沢工業大学教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「国内」および「海外」事業を展開しています。

(1) 国内事業


国内において、Eコマース「GDOゴルフショップ」での用品販売、ゴルフ場予約サービス、メディア運営、ゴルフレッスン「GOLFTEC」などを提供しています。主な顧客は一般ゴルファーやゴルフ場です。

収益源は、一般消費者への商品販売代金、ゴルフ場からの送客手数料、広告主からの広告掲載料、レッスン受講料などです。運営は主に同社が行い、ゴルフレッスンの一部は子会社等が担当していましたが現在は吸収合併等により同社が主体となっています。

(2) 海外事業


米国を中心に、ゴルフレッスン「GOLFTEC」の展開や、ゴルフ弾道測定器「SkyTrak」の企画・開発・販売を行っています。また、最新のゴルフビジネストレンドの把握や開発も行っています。

収益源は、レッスン受講料、クラブフィッティング販売、弾道測定器の機器販売およびサブスクリプション利用料などです。運営は主に米国子会社のGolfTEC Enterprises LLCやGDO Sports, Inc.などが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は直近5期間において連続で増加しており、事業規模は拡大傾向にあります。一方で利益面では、2022年12月期に赤字転落後、2023年12月期に黒字回復しましたが、直近の2024年12月期では再び損失を計上しています。特に直近は親会社株主に帰属する当期純損失が大きく、利益率もマイナスとなっています。

項目 2020年12月期 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期
売上高 337億円 396億円 461億円 529億円 570億円
経常利益 9.1億円 17億円 -1.8億円 3.5億円 -8.6億円
利益率(%) 2.7% 4.3% -0.4% 0.7% -1.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 2.6億円 10億円 3.4億円 1.6億円 -17億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、売上総利益も増加しましたが、売上総利益率は若干低下しています。販売費及び一般管理費が増加したことにより、営業損益は黒字から赤字に転落しました。営業利益率はマイナスとなり、収益性が低下しています。

項目 2023年12月期 2024年12月期
売上高 529億円 570億円
売上総利益 178億円 183億円
売上総利益率(%) 33.7% 32.2%
営業利益 3.8億円 -8.2億円
営業利益率(%) 0.7% -1.4%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与が51億円(構成比27%)、広告宣伝費が22億円(同12%)、減価償却費が21億円(同11%)を占めています。

(3) セグメント収益


国内セグメントは売上が微増しましたが、システム投資等の費用増により利益は微減となりました。海外セグメントは弾道測定器事業の販売増で大幅な増収となりましたが、ゴルフレッスン事業での費用先行や環境悪化により、損失幅が拡大しました。

区分 売上(2023年12月期) 売上(2024年12月期) 利益(2023年12月期) 利益(2024年12月期) 利益率
国内 285億円 291億円 18億円 17億円 5.9%
海外 244億円 279億円 -14億円 -25億円 -9.1%
調整額 -1.6億円 -2.7億円 0億円 0億円 -
連結(合計) 529億円 570億円 3.8億円 -8.2億円 -1.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業活動で得た資金に加え、借入等の財務活動による資金調達を行い、それを投資活動に充てている「積極型」です。

項目 2023年12月期 2024年12月期
営業CF 46億円 20億円
投資CF -35億円 -31億円
財務CF -6.9億円 5.0億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-197.9%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は-0.0%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「ゴルフで世界をつなぐ Connect the world with GOLF」というミッションを掲げています。ゴルフの多様性を認め、人生を楽しむことに寛容な社会を目指し、テクノロジーとエンターテインメントを融合させたサービスを展開することで、人々の心身の健康に寄与し、ゴルフの楽しさをより多くの人に伝えることを使命としています。

(2) 企業文化


多様性を認め合い、人生を楽しむことに寛容な社会を目指して挑戦し続ける仲間を称賛し、応援するという「人事ポリシー」や、社員・管理職としての目指すべき姿を宣言した「人物像」を定めています。これらを基に、自ら行動する者に機会と場を提供し、社員の自律的な成長と学びを支援する風土を重視しています。

(3) 経営計画・目標


具体的な数値目標の記載はありませんが、国内事業の安定的成長による収益基盤の拡充と財務基盤の立て直し、および米国事業におけるゴルフレッスン・クラブフィッティングサービスの早期立て直しとゴルフ弾道測定器事業の成長促進を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


米国においては、ゴルフレッスンサービス等の立て直しと、弾道測定器事業の成長促進により事業拡大を加速させる方針です。国内では、マーケティング戦略の強化による「GDOクラブ会員」との関係深化、システムの安定稼働とセキュリティ強化、グローバル人材の開発・育成を進め、海外事業展開を重要な戦略と位置づけています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「自ら行動する者に機会と場を提供する」を人材開発方針とし、社員の自律を支援しています。性別や年齢、国籍に関わらず多様な価値観を尊重し、全従業員が能力を発揮しやすい職場環境の整備に努めています。また、キャリアデザイン制度やジョブチャレンジ制度などを通じ、従業員の主体的なキャリア形成を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2024年12月期 38.9歳 8.9年 6,116,624円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 8.9%
男性労働者の育児休業取得率 88.9%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 68.3%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) 76.1%
労働者の男女の賃金の差異(非正規) 91.6%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) インターネットビジネスの事業リスク


インターネット接続環境の悪化やEコマースの法的規制、モバイル端末利用の変動、検索エンジンアルゴリズムの変更などが業績に影響する可能性があります。また、システムトラブルやサイバー攻撃によるサービス停止、個人情報漏洩が発生した場合、損害賠償や社会的信用の失墜により経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 設備投資に係るリスク


国内外の事業戦略に基づき設備投資を実施していますが、投資対象が期待通りのリターンを生まない場合、財務状況が悪化する可能性があります。特に固定資産やのれんについて、収益性の低下により減損損失が発生した場合、経営成績に大きな影響を与える可能性があります。

(3) 業務提携・M&Aに係るリスク


事業拡大のためにM&Aや業務提携を行っていますが、統合プロセスや提携関係の構築が計画通り進まない場合、または想定したシナジー効果が得られない場合、投資回収が困難になる可能性があります。これに伴い、のれんの減損損失を計上する必要が生じ、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 財務・会計に係るリスク(継続企業の前提に関する重要事象等)


2024年12月期において大幅な損失を計上し債務超過となった結果、金融機関との財務制限条項に抵触しました。これにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象が存在しています。資金調達の困難化や借入金の期限の利益喪失が発生した場合、事業継続に重大な支障をきたす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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