※本記事は、共同ピーアール株式会社 の有価証券報告書(第62期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 共同ピーアールってどんな会社?
同社はPR事業を中心に、インフルエンサーマーケティングやAI・ビッグデータソリューション事業を展開しています。
■(1) 会社概要
1964年11月に共同ピーアールを設立しPR事業を開始しました。2005年3月にジャスダック証券取引所に株式を上場しています。2022年1月にVAZ、同年6月にキーウォーカーを子会社化し、インフルエンサーマーケティング事業やAI・ビッグデータソリューション事業に領域を拡大しました。
従業員数は連結で377名、単体で221名です。筆頭株主は事業会社である新東通信で、第2位は麻布ビルディング、第3位は個人の真瀬正義氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 新東通信 | 32.91% |
| 麻布ビルディング | 12.66% |
| 真瀬正義 | 4.34% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性13名、女性0名の計13名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員は石栗正崇氏が務めており、社外取締役の比率は30.8%となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 石栗正崇 | 取締役社長執行役員(代表取締役)PRアカウント事業統括本部本部長 | 2001年アックスコンサルティング入社。サイバーエージェント等を経て2022年新東通信入社。2024年3月より現職。 |
| 松川和正 | 取締役常務執行役員PRアカウント事業統括本部副本部長 | 1990年新東通信入社。同社営業局長や執行役員を経て、2021年同社取締役就任。2024年3月より現職。 |
| 信澤勝之 | 取締役常務執行役員コーポレート本部本部長 | 1997年日立ソフトウェアエンジニアリング入社。ジオブレイン等を経て2019年同社入社。2024年3月より現職。 |
| 沼田英之 | 取締役上席執行役員名古屋支店長 | 1981年新東通信入社。同社取締役等を経て2015年同社取締役就任。共和ピー・アール代表等を経て2023年3月より現職。 |
| 木村忠久 | 取締役上席執行役員CCO | 1986年日本航空開発入社。1991年同社入社後、業務本部長等を歴任し、2023年1月より取締役CCO、同年3月より現職。 |
| 立花圭亮 | 取締役上席執行役員DX推進室室長 | 1999年藤和不動産入社。インタースペース等の営業開発部長を経て、ENITIA代表等に就任。2023年3月より現職。 |
| 古賀尚文 | 取締役名誉会長 | 1971年共同通信社入社。同社代表取締役社長などを経て、2016年に同社取締役会長に就任。2024年3月より現職。 |
| 谷鉄也 | 取締役会長 | 2001年新東通信入社し、2013年に代表取締役社長就任。2015年に同社代表取締役社長に就任。2024年3月より現職。 |
| 尼崎勝司 | 取締役 | 1973年大成建設入社。パドゥドゥ(現スイート・ベイジル)代表等を経てスペース・バジル代表就任。2020年3月より現職。 |
社外取締役は、髙橋千秋(藤田医科大学客員教授)、安藤教嗣(税理士法人名南経営理事長)、早川明宏(湘南ゼミナール取締役)、金泉俊輔(ニューズピックススタジオ代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「PR事業」「インフルエンサーマーケティング事業」「AI・ビッグデータソリューション事業」を展開しています。
■PR事業
企業の広報活動を支援・代行するコンサルティング業務や危機管理広報などを提供しており、企業と一般社会の良好な関係構築を支援しています。
収益源は、6ヶ月以上の継続的な広報活動支援を行うリテイナー契約のほか、スポット契約やペイドパブリシティなどのサービス料金です。運営は同社や共和ピー・アール、マンハッタンピープルなどが担当しています。
■インフルエンサーマーケティング事業
SNSで影響力を持つインフルエンサーを活用し、企業の製品やサービスを紹介することで、情報拡散や売上向上につなげるマーケティング支援を提供しています。
収益源は、所属クリエイターによる企業タイアップ広告の受託費用やキャスティング収益、イベントやコマース事業による販売収益などです。運営は主にVAZが行っています。
■AI・ビッグデータソリューション事業
Web上のデータを収集・分析・可視化する独自のデータ収集ツールを提供し、企業のマーケティング活動や意思決定をデータ面から支援しています。
収益源は、Webデータ抽出サービスやモニタリング自動化ツールなどのSaaS型サブスクリプション利用料や、AI活用支援の開発・コンサルティング費用です。運営は主にキーウォーカーが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績を見ると、売上高は56億円から86億円へと順調に拡大しています。経常利益も4億円から13億円へと大幅に増加し、利益率も7.0%から15.3%へと収益性が大きく向上しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 56億円 | 53億円 | 69億円 | 73億円 | 86億円 |
| 経常利益 | 4億円 | 7億円 | 9億円 | 11億円 | 13億円 |
| 利益率(%) | 7.0% | 14.0% | 12.5% | 14.8% | 15.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1億円 | 4億円 | 6億円 | 6億円 | 8億円 |
■(2) 損益計算書
直近2年間の損益状況を見ると、売上高が73億円から86億円へと大きく増加し、それに伴い売上総利益も拡大しています。営業利益率も14.7%から15.2%に上昇し、収益基盤の強化が進んでいます。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 73億円 | 86億円 |
| 売上総利益 | 33億円 | 38億円 |
| 売上総利益率(%) | 45.2% | 44.3% |
| 営業利益 | 11億円 | 13億円 |
| 営業利益率(%) | 14.7% | 15.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当が7億円(構成比28%)、役員報酬が3億円(同11%)を占めています。売上原価は48億円で、売上高に対する構成比は56%となっています。
■(3) セグメント収益
PR事業は新規顧客の獲得やサービスの拡充が奏功し順調に成長しています。インフルエンサーマーケティング事業やAI・ビッグデータソリューション事業も大幅な増収を達成し、全体の成長を牽引しています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| PR事業 | 54億円 | 62億円 |
| インフルエンサーマーケティング事業 | 10億円 | 13億円 |
| AI・ビッグデータソリューション事業 | 9億円 | 11億円 |
| 連結(合計) | 73億円 | 86億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のキャッシュ・フローとなっています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 9億円 | 9億円 |
| 投資CF | -0.4億円 | -1億円 |
| 財務CF | -3億円 | -4億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は22.7%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は62.8%であり、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「我々は情熱と創造性で顧客の課題解決を図り、100年のコミュニケーションをつなぐPRエージェンシーである」という経営理念を掲げています。この理念は、顧客課題の高度化や多様化、メディア環境の変化に対応し、顧客の持続的成長に資するコミュニケーション支援を社会的な使命として位置付けています。
■(2) 企業文化
同社は、経営理念の実現に向けた中期ビジョンとして「New’S design company」を掲げています。これは、価値あるニュースを創出する企業体への進化を目指す文化を示しています。また、「フルAIシフト宣言」のもと、全社横断でAIの利活用を推進し、業務の効率化と提供価値の最大化に挑戦する組織風土を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は2024年から2026年を対象とした中期経営計画を策定し、持続的な成長に向けた取り組みを推進しています。中長期的な成長を視野に入れ、PRコンサルティング業務の質の向上や、SaaS型サービスの拡販による安定的な収益基盤の確立を目指し、生産性向上に貢献する目標を掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、事業の拡大に向けた11の重点課題を設定し、PR手法の高度化やインフルエンサーマーケティング事業の強化を進めています。また、AI・ビッグデータソリューション事業のサブスクリプション型サービスの販売を強化し、継続的な運用収益による事業拡大を図っています。さらに、M&Aや業務提携も戦略的な選択肢として検討しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、持続的な成長のために優秀な人材の確保と育成を最重要課題と位置付けています。多様な働き方に対応できる職場環境の整備や採用の多様化を進めるほか、「フルAIシフト」を前提としたデータサイエンティストやPR・マーケティング人材の育成に注力しています。また、従業員のモチベーションを維持するリスキリング支援も充実させています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 39.3歳 | 9.0年 | 6,386,535円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員比率(54.9%)、女性管理職比率(38.4%)、中途採用社員比率(11.5%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済環境およびPR業界の変化
PR業務は企業の経済状況に応じて予算が調整されやすい傾向があります。経済環境の悪化や他社の参入による競争激化、さらにインターネットの台頭によるメディアの多様化に適切に対応できない場合、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) メディアとの関係性の維持
マスコミ各社の意思決定者との継続的かつ良好な関係(メディア・リレーションズ)を維持することが、サービスの品質において重要です。人的ネットワークを持つ社員の退社や、誤った情報の提供等でメディアとの信頼関係を失った場合、事業運営に支障をきたす恐れがあります。
■(3) 人材の確保および育成
業容拡大に伴い、優秀な人材の継続的な確保と育成が必要不可欠です。少子高齢化社会の進行によって人材確保が困難になる場合や、事業拡大に応じた人材育成が十分に行えない場合、長期的な業務運営の効率性が損なわれ、業績に影響を与える可能性があります。
■(4) 情報管理とサイバーセキュリティ
事業を通じて顧客情報や個人情報を多く取り扱うため、情報漏洩やサイバー攻撃への対策が重要です。サイバー攻撃の高度化により不正アクセスやデータ改ざんなどのインシデントが発生した場合、サービスの停止や社会的信用の失墜につながるリスクがあります。



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