※本記事は、株式会社ファンコミュニケーションズ の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ファンコミュニケーションズは、インターネット広告市場において「パフォーマンスマーケティング」を事業コンセプトとし、アフィリエイト広告サービス「A8.net」を主要サービスとして提供しています。オンラインでのマーケティング活動を展開する企業に対し、費用対効果の高い集客支援を行っています。
単体従業員数は319名、連結従業員数は356名です。セグメントはCPAソリューション事業、戦略事業の2つです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)ファンコミュニケーションズ・グローバル(戦略事業)、(連結子会社)mint(同)、(連結子会社)WAND(同)などです。
2024年5月に株式会社WANDを完全子会社化し、インフルエンサーマーケティング事業を強化しました。また、当連結会計年度より報告セグメント「新規事業」を「戦略事業」に名称変更し、「nend」事業からは撤退しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ファンコミュニケーションズは、インターネット広告事業を主軸とする企業です。同社グループでは、従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、働きがいのある環境を整備することに注力しています。給与水準や働き方の特徴を通じて、同社グループがどのような人材を求め、どのように成長を支援しているのかを見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
ファンコミュニケーションズでは、従業員の定着とキャリア形成を重視する傾向が見られます。平均勤続年数と平均年齢からは、一定の経験を積んだ従業員が安定して活躍している様子がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,591,000円 |
| 平均勤続年数 | 7.8年 |
| 平均年齢 | 35.8歳 |
| 単体従業員数 | 319人 |
| 連結従業員数 | 356人 |
| 単体のグループ内比率 | 89.6% |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
ファンコミュニケーションズは、優秀な人材の確保と働きやすい職場環境の整備を人材戦略の基本方針としています。評価制度や研修制度の充実、リクルーティング手法の工夫を通じて、一人ひとりの能力を伸ばし、やりがいのある職場環境の構築を目指しています。
具体的には、出社を基本とした勤務体制への最適化を進めています。オフィスでの「顔を合わせた議論」による意思決定の迅速化を図るとともに、AIツールを活用した定型業務の自動化を推進しています。これにより、「オフィス中心×AI活用」を通じた生産性の向上を重要なテーマとしています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 14.0% |
| 男性育児休業取得率 | 76.9% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 69.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 67.6% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 116.2% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ファンコミュニケーションズは、インターネット広告市場において「パフォーマンスマーケティング」を事業コンセプトに、オンラインでのマーケティング活動を展開する企業を支援しています。主にアフィリエイト広告サービスを主力として提供しており、海外広告主の日本市場進出支援や、自社で広告媒体となるサイトの運営も行っています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、インターネット広告市場でオンラインマーケティングコストの削減を支援する事業を展開しています。アフィリエイト広告サービス「A8.net」を主要サービスとして提供し、成果報酬型の広告形態により、広告主は費用対効果の高い集客を、パートナーサイトは収益獲得を実現しています。
CPAソリューション事業
CPAソリューション事業は、アフィリエイト広告サービス「A8.net」やスマートフォンアプリ向けCPI広告サービス「A8app」を提供しています。収益は、広告主のWebサイトでの購買や資料請求、会員登録といった成果に応じてパートナーサイトに報酬を支払い、広告主から広告料を回収する仕組みから得ています。この事業は同社グループの売上高の大部分を占めており、前期と比較して売上高は減少しましたが、生産性向上により増益となりました。
戦略事業
戦略事業は、お笑いラジオアプリ「GERA」やデジタルマーケティングプロセス最適化支援サービス「N-INE」などを提供しています。収益は、番組メンバーシップ機能やスポンサー権利、サポート機能の購入、オンラインサロンの会員からの売上の一部を手数料として徴収するビジネスモデル、および各種マーケティング支援サービスから得ています。運営は、連結子会社の株式会社WANDがインフルエンサーマーケティング事業「LUMOS BUZZ」を、株式会社ファンコミュニケーションズ・グローバルが海外広告主の日本市場進出支援やゲームパブリッシング事業を展開しています。この事業は前期と比較して売上高が大きく増加しています。
同社グループの売上高は日本国内が約8割を占めており、シンガポールやアメリカなど海外での売上高も存在します。
| セグメント | 売上高(2024年12月期) | 売上高(2025年12月期) |
|---|---|---|
| CPAソリューション事業 | 59.1億円 | 56.6億円 |
| 戦略事業 | 10.5億円 | 14.4億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5期間で見ると、一度大きく減少した後に横ばいから微増の傾向にあります。経常利益は、直近の期で増加に転じました。親会社株主に帰属する当期純利益は、増減を繰り返しながら推移しています。営業活動によるキャッシュ・フローは安定してプラスを維持しており、本業で着実に資金を生み出している状況です。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 267億円 | 77.4億円 | 74.0億円 | 69.6億円 | 71.0億円 |
| 経常利益 | 25.2億円 | 24.5億円 | 21.0億円 | 16.7億円 | 20.1億円 |
| 経常利益率 | 9.4% | 31.6% | 28.4% | 24.0% | 28.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 16.4億円 | 15.4億円 | 12.3億円 | 14.2億円 | 13.1億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 22.63 | 22.34 | 18.61 | 21.43 | 19.74 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は前期から増加しており、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から増加しています。これは、同社グループの生産性が向上していることを示しています。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 17.0百万円 | 19.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.9百万円 | 5.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で安定した資金を生み出しつつ、将来に向けた積極的な投資を行っている状況です。これにより、事業の成長フェーズにあることが示されています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は76.5%であり、プライム市場の非製造業平均(24.2%)と比較して高い水準を示しています。ROE(自己資本利益率)は7.4%で、プライム市場平均(9.4%)を下回っています。手元資金として147億円の現金及び預金を保有しており、財務基盤の安定性がうかがえます。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 181億円 | 176億円 |
| 自己資本比率 | 77.1% | 76.5% |
| ROE(自己資本利益率) | 7.9% | 7.4% |
| 現金及び預金 | 169億円 | 147億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当期の営業活動によるキャッシュフローは20.7億円の収入となり、前期から増加しています。これは主に税金等調整前当期純利益の計上によるものです。投資活動によるキャッシュフローは26.3億円の支出となり、前期から大幅に増加しました。これは投資有価証券の取得による支出が主な要因です。その結果、本業で得た資金を上回る投資を行っており、フリーキャッシュフローは5.6億円のマイナスとなっています。財務活動によるキャッシュフローは17.6億円の支出で、配当金の支払いが主な要因です。同社グループは本業で安定的に資金を生み出しつつ、将来の成長に向けた積極的な投資を行っている状況であり、事業の成長性が期待されます。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 12.6億円 | 20.7億円 |
| 投資CF | △3.2億円 | △26.3億円 |
| 財務CF | △12.6億円 | △17.6億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 9.4億円 | △5.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、現在、プロシューマー支援事業のうちインターネット広告事業が主力事業となっており、特定の主力事業にほぼ依存している状況です。そのため、主力事業の業績変動が全社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、生成AIをはじめとするAI技術の急速な進展と普及に伴い、AI検索の普及によるトラフィック減少や、AIを活用した新マーケティング手法との競争激化により、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループでは、事業拡大に伴う優秀な人材の確保と育成が重要な課題となっています。十分な人材確保が困難になった場合や、人材が外部に流出した場合には、業務に支障をきたすおそれがあるとしています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ファンコミュニケーションズグループは、デジタルマーケティング領域において、新しい価値を創造し続けることを目指す企業です。変化を機会と捉え、AI技術の活用を推進しながら、顧客とプロシューマー双方の「ハピネス」を追求する文化を育んでいます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「つくる 信じる コツコツと」を企業理念に掲げています。新しい価値を創造し、その可能性を信じ、たとえすぐに社会に受け入れられなくても、諦めずに一歩ずつ着実に前進していく姿勢を大切にしています。
経営ビジョンには「プロシューマー・ハピネス」を掲げ、生産者と消費者が融合する「プロシューマー」が社会でより活躍し、幸せを感じられるようサービスを提供することを目指しています。プロシューマーとしての活動から得られるやりがい(内的ハピネス)と、金銭的な報酬(外的ハピネス)の両方を提供することで、顧客とプロシューマー双方の喜びを最大化できる企業へと進むことを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、AI技術の爆発的な進化や外部環境の急激な変化を、自社の変革を推進する最大の機会と捉えています。AIの早期かつ徹底的な活用を競争優位性の源泉と位置づけ、すべてのプロセスにAIを活用する「グロースサークル戦略」を推進するカルチャーがあります。
中長期的な企業価値向上のため、サステナビリティ課題への対応を経営の重要課題と認識しています。DX推進や広告を通じた適切な情報提供により、より良い消費社会の実現を目指しています。
勤務体制は出社を基本とし、オフィスでの活発な議論による意思決定の迅速化と、AIツール活用による定型業務の自動化を組み合わせた「オフィス中心×AI活用」を通じて、生産性向上を図ることを重視しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、AI技術の活用による競争優位性の確立を重点課題の一つとしています。独自データベースとAIを統合した社内オペレーションシステム「FANCOMI AI」の開発を推進し、業務の自律化・高度化を通じてオペレーションコストの最小化を図っています。
また、コミュニケーションの活性化と生産性向上にも取り組んでいます。オフィスでの議論による意思決定の迅速化とAIツール活用による定型業務の自動化を組み合わせ、「オフィス中心×AI活用」による生産性向上を目指しています。
さらに、AI駆動型の事業展開を支えるため、AIリテラシーの高いエンジニアやデジタルマーケティングのコンサルティング能力を備えた人材の確保・育成を急務としています。社内教育体制の整備やAI活用を標準化させた企業文化の醸成を通じて、付加価値を創出できるプロフェッショナル集団への変革を推進しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ファンコミュニケーションズは、取締役会と監査等委員会を設置し、指名報酬諮問委員会を任意の諮問機関としています。取締役会は社外取締役を含む8名で構成され、経営の健全性と効率性を確保する体制をとっています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ファンコミュニケーションズの筆頭株主は柳澤安慶氏であり、個人株主が上位を占めています。また、UH Partners 2投資事業有限責任組合や光通信KK投資事業有限責任組合といった投資事業有限責任組合も上位株主として名を連ねています。光通信も大株主の一角を占めており、複数の個人株主と投資ファンド、事業会社によって支えられている資本構成です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 柳澤 安慶 | 41.90% |
| UH Partners 2投資事業有限責任組合 | 7.50% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合 | 7.29% |
| UH Partners 3投資事業有限責任組合 | 6.13% |
| 日本マスタートラスト信託銀行 | 4.13% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
ファンコミュニケーションズの役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は二宮幸司氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 二宮 幸司 | 取締役社長 (代表取締役) 執行役員 内部監査室管掌 第2営業本部管掌 プロダクトマネジメント部管掌 メディア開発部管掌 | 2004年4月 同社入社、2011年1月 MC事業部ADN推進部長、2012年3月 ADN事業部長、2013年4月 執行役員、2015年3月 取締役、2024年3月 代表取締役社長より現職。 |
| 吉永 敬 | 取締役副社長 執行役員 DX推進部管掌 ファンマーケティング推進部管掌 事業支援部長管掌 コーポレート本部長 人事部長 | 2005年4月 同社入社、2008年7月 A8事業部新規開発部長、2011年10月 A8事業部長、2013年4月 執行役員、2015年3月 取締役、2025年3月 取締役副社長より現職。 |
| 加藤 正人 | 取締役 執行役員 第1営業本部長 第1営業本部プラットフォーム推進部長 | 2009年2月 同社入社、2012年3月 ADN事業部 営業推進部長、2015年1月 nex8事業部長、2019年7月 ADプラットフォーム事業部長、2022年4月 執行役員、2023年4月 コーポレートデザイン本部長、2025年1月 A8事業部長、2025年3月 取締役より現職。 |
社外取締役は、小尾一介氏(Link Asia Capital代表取締役パートナー)、穂谷野智氏(ホルン代表取締役)、丸野登紀子氏(出澤総合法律事務所弁護士・監査等委員)、小泉正明氏(小泉公認会計士事務所所長・監査等委員)です。
ファンコミュニケーションズは監査等委員会設置会社です。監査等委員である取締役3名のうち2名が社外取締役であり、高い独立性と専門的な知見に基づき、客観的かつ適切な監視・監督機能を果たしています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ファンコミュニケーションズの役員報酬は、金銭報酬である基本報酬と、非金銭報酬である株式報酬で構成されています。株式報酬には、中期経営計画の業績目標達成状況に応じて付与される業績条件型譲渡制限付株式報酬と、企業価値向上と株主との価値共有を目的とした確定期間型譲渡制限付株式報酬があります。社外取締役には基本報酬のみが支払われる仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 92百万円 | 18.3百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 7百万円 | 7.2百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 16百万円 | 3.9百万円 |
ファンコミュニケーションズの役員報酬等の総額は1.1億円であり、報酬の支給対象となった役員の合計は10名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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