※本記事は、株式会社 ジェイ エイ シー リクルートメント の有価証券報告書(第39期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ジェイ エイ シー リクルートメントってどんな会社?
国内外で人材紹介業を展開し、中高額案件やグローバル人材に強みを持つ人材紹介のプロフェッショナル集団です。
■(1) 会社概要
1988年に人材紹介事業を目的に設立されました。2006年のジャスダック上場を経て、2015年に東証一部へ市場変更しました。2013年に求人広告のキャリアクロス、2018年に海外事業のJAC Recruitment International Ltdを子会社化し、グローバル展開を拡大しています。
同社グループの従業員数は連結で2,398名、単体で2,002名です。筆頭株主は創業者であり取締役最高顧問を務める田崎忠良氏で、第2位は代表取締役会長兼社長の田崎ひろみ氏、第3位は個人の金親晋午氏となっており、創業関係者や経営陣が上位株主を占める構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 田崎 忠良 | 20.48% |
| 田崎 ひろみ | 12.97% |
| 金親 晋午 | 10.11% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性3名の計11名で構成され、女性役員比率は27.0%です。代表取締役は田崎ひろみ氏が務めています。社外取締役比率は63.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 田崎 ひろみ | 取締役会長兼社長(代表取締役) | 1988年同社設立時に取締役就任。2000年代表取締役、2008年社長を経て2022年1月より現職。 |
| 山田 広記 | 常務取締役事業本部長 | 2003年同社入社。2016年執行役員、2017年事業本部長に就任。2022年3月より現職。 |
| 田崎 忠良 | 取締役最高顧問 | 1988年同社設立時に代表取締役就任。2000年取締役、2005年取締役相談役を経て2012年3月より現職。 |
| スティーブン・ブランデル | 取締役海外事業本部長 | 1989年T.TAZAKI&Co Ltd入社。2012年グループCFOに就任し2024年3月より現職。 |
社外取締役は、加瀬豊(元双日代表取締役会長)、ギュンター・ツォーン(元ディー・エイチ・エル・ジャパン代表取締役社長)、中井戸信英(元SCSK代表取締役社長)、豊田明子(元PwCアドバイザリー合同会社パートナー)、向山俊明(元JX Nippon Oil & Energy Europe Limited Director)、中村閑(阿部・井窪・片山法律事務所パートナー)、小沢直靖(小沢直靖公認会計士事務所代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、「国内人材紹介事業」「国内求人広告事業」「海外事業」を展開しています。
■(1) 国内人材紹介事業
主にミドルマネジメントからエグゼクティブ、専門職、グローバル人材などのハイクラス層を対象に、無期社員として求人企業へ候補者を紹介するサービスを提供しています。
求人企業が候補者を採用し入社した時点で成功報酬(コンサルティングフィー)を受け取るモデルを基本とし、一部の高額求人案件では前金方式も併用しています。運営はジェイ エイ シー リクルートメントおよびJAC Internationalが行っています。
■(2) 国内求人広告事業
主にバイリンガル人材をターゲットとした求人情報サイト「キャリアクロス」の運営を中心に行い、外資系企業や日系企業へ求人広告サービスを提供しています。
求人広告の掲載時に広告掲載料を受け取る前課金方式と、サイト経由で求職者が入社した時点で手数料を受け取る成功報酬方式を併用しています。運営はキャリアクロスが行っています。
■(3) 海外事業
アジア諸国と欧米の10ヶ国において、主に現地の日系企業や外資系企業を対象とした人材紹介事業を展開し、グローバルな人材ニーズに対応しています。
国内人材紹介事業と同様に、候補者が入社した時点で成功報酬を受け取るモデルを中心に展開しています。運営はJAC Recruitment International Ltdおよびその傘下の連結子会社各社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
同社の連結業績は、直近5期間において一貫して売上高の拡大を続けています。経常利益も毎期着実に増加しており、特に当期は売上高461億円、経常利益117億円と過去最高を更新しました。利益率も23〜25%台の高水準を維持しており、力強い成長性と高い収益性を兼ね備えた業績推移となっています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 249億円 | 304億円 | 345億円 | 392億円 | 461億円 |
| 経常利益 | 58億円 | 71億円 | 82億円 | 91億円 | 117億円 |
| 利益率(%) | 23.4% | 23.2% | 23.8% | 23.3% | 25.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 39億円 | 49億円 | 59億円 | 45億円 | 76億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い、売上総利益も順調に拡大しています。売上総利益率は92%台と極めて高い水準を保っており、人材紹介という労働集約型でありながら高付加価値なビジネスモデルの強みが表れています。営業利益率も25%台へと向上し、効率的な経営が行われています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 392億円 | 461億円 |
| 売上総利益 | 362億円 | 427億円 |
| 売上総利益率(%) | 92.6% | 92.7% |
| 営業利益 | 91億円 | 117億円 |
| 営業利益率(%) | 23.2% | 25.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が178億円(構成比57%)、法定福利費が25億円(同8%)、広告宣伝費が25億円(同8%)を占めています。売上原価については、外注費が20億円と大半を占めています。
■(3) セグメント収益
主力である国内人材紹介事業は、高額年収帯を中心とした旺盛な求人需要を捉えて大幅な増収となり、全社の成長を牽引しています。海外事業はアジア地域を中心に厳しい市況が続いたものの、グローバル連携の強化などにより増収に転じています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| 国内人材紹介事業 | 350億円 | 417億円 |
| 国内求人広告事業 | 4億円 | 4億円 |
| 海外事業 | 37億円 | 40億円 |
| 連結(合計) | 392億円 | 461億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動で生み出した資金を元手に投資と財務活動(配当等)を行っており、健全型のキャッシュ・フロー推移を示しています。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は41.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も72.3%といずれも市場平均を上回っています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 81億円 | 96億円 |
| 投資CF | -6億円 | -88億円 |
| 財務CF | -53億円 | -46億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「人と企業と経済と社会をつなぎ、その成長に貢献し続ける」ことをミッション(Our Mission)として掲げています。最適な人材を最適なポジションに紹介することで、人材の活躍による企業の躍進、経済と社会の発展、さらには地球環境の保全へとつながるサイクルを推進することを経営理念としています。
■(2) 企業文化
同社は、ハイクオリティを重視し意識の高い仕事をすること、企業と求職者の両者の満足度が最高水準である仕事をすることを企業目標に掲げています。また、常に改善と改革をスピーディーに行い、プロフェッショナルを志して成長し続けることで、株主・顧客・従業員が満足できる魅力的な企業を目指す文化が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
同社は長期的な経営ビジョン「JAC as No.1」を掲げ、サービス品質と収益性の両面で世界一になることを目指しています。資本コスト(WACC)を上回る高い資本収益性の維持を重視し、高い配当性向と利益成長の両立を図っています。
* 2026年見通し:売上高532億円、営業利益126億円
* 2028年目指す姿:売上高704億円、営業利益173億円
■(4) 成長戦略と重点施策
中長期的な事業拡大に向けて、人的資本の充実を中心とした成長投資を積極的に行います。「Face to Face」のコミュニケーションを重視したコンサルティングを徹底し、高額年収帯やエグゼクティブ領域などの注力分野を強化します。また、国内人材紹介事業と海外事業、求人広告事業との連携(Integration)を深め、事業シナジーの最大化と収益性の改善を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
企業価値創造の源泉を「人的資本」と位置づけ、コンサルタントとマネジメント全員が到達すべき「JAC Standard」を設定し、階層別トレーニングを通じたサービス品質向上に努めています。また、国籍、性別、年齢等を問わず、すべての社員にフェアなチャンスが与えられ、プロフェッショナルとして活躍できる心理的安全性の高い職場環境の整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 35.0歳 | 3.9年 | 8,159,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 26.4% |
| 男性育児休業取得率 | 58.6% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 82.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 84.5% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 89.9% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、障がい者雇用率(2.86%)、健康診断受診率(99.2%)、有給休暇及び夏季特別休暇取得日数(13.1日)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 特定人物への依存と影響力
創業者であり取締役最高顧問の田崎忠良氏、および代表取締役会長兼社長の田崎ひろみ氏の両氏が、経営方針の決定等において重要な役割を果たしており、大株主として大きな影響力を有しています。両氏が業務遂行できなくなった場合、同社グループの事業運営に支障をきたす可能性があります。
■(2) 個人情報の漏洩リスク
人材紹介および求人広告事業の性質上、多数の求職者や応募者の個人情報を保有しています。不測の事態により個人情報が外部へ漏洩した場合、損害賠償請求や社会的信用の失墜を招き、同社グループの業績および財務状況に重大な影響を与える可能性があります。
■(3) 退職者による競合への影響
人材紹介事業において、同社を退職したコンサルタントが同業他社へ転職し、あるいは独立して同業を開始することで、内密に同社の取引先企業や登録者と接触し、事業活動を妨げるリスクがあります。これを防ぐため、担当の複数化や引き継ぎの徹底を行っています。



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