※本記事は、GMOペパボの有価証券報告書(第24期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. GMOペパボってどんな会社?
同社は、個人の表現活動を支援するインターネットサービスを軸に、多様なウェブツールを提供する企業です。
■(1) 会社概要
2003年に設立され、レンタルサーバーサービスを移管して事業を開始しました。2004年にはEC支援事業やドメイン取得代行サービスに参入し、2008年にJASDAQへ上場を果たしています。2012年にハンドメイドマーケット、2014年にはオリジナルグッズ作成サービスを開始し事業領域を広げています。
現在の従業員数は連結307名、単体307名体制で事業を運営しています。大株主の構成を見ると、筆頭株主は事業会社のGMOインターネットグループで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。第3位もGMOインターネットとなっており、グループの強固な資本関係のもとで事業を展開していることが分かります。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| GMOインターネットグループ | 58.76% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 4.02% |
| GMOインターネット | 2.09% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性3名の計10名で構成され、女性役員比率は30.0%です。代表取締役社長は佐藤健太郎氏が務めており、社外取締役比率は30.0%となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐藤健太郎 | 代表取締役社長 | 有限会社paperboy&co.(現GMOペパボ)に入社後、取締役等を経て2009年より現職。 |
| 熊谷正寿 | 取締役会長 | ボイスメディア(現GMOインターネットグループ)代表取締役などを経て2004年より現職。 |
| 星隼人 | 取締役副社長SUZURI・minne事業部長 | 有限会社グローバルコミュニケーションズなどを経て、2025年より現職。 |
| 栗林健太郎 | 取締役CTO室長兼事業開発部長 | 鹿児島県名瀬市役所、はてななどを経て、2023年より現職。 |
| 野上真穂 | 取締役経営管理部長 | 2009年にpaperboy&co.(現GMOペパボ)へ入社後、2017年より現職。 |
| 杉野由紀夫 | 取締役経営戦略部長兼HR統括部長 | 有限責任監査法人トーマツなどを経て、2026年より現職。 |
| 藁科明日香 | 取締役(監査等委員) | ウインライトなどを経て2012年にpaperboy&co.(現GMOペパボ)入社。2017年より現職。 |
社外取締役は、宍戸一樹(弁護士)、雨宮雄一(公認会計士)、山内真理(公認会計士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ドメイン・レンタルサーバー(ホスティング)事業」「EC支援事業」「ハンドメイド事業」「金融支援事業」および「その他」事業を展開しています。
■ドメイン・レンタルサーバー(ホスティング)事業
レンタルサーバーサービスやドメイン取得代行サービスなど、インターネット上で情報発信を行うための基盤ツールを個人や法人向けに提供しています。
顧客から契約期間に応じた利用料金やドメイン登録手数料を受け取るストック型のビジネスモデルが中心です。運営は同社が単独で行っています。
■EC支援事業
電子商取引の運営を支援するECサイト構築サービスや、オリジナルアイテムの作成・販売サービスをインターネット上で展開しています。
ECサイト構築のシステム利用料や、オリジナルグッズが販売された際の手数料などを主な収益源としています。本事業も同社が運営主体となっています。
■ハンドメイド事業
手芸や趣味工芸を中心としたハンドメイド作品を個人間で売買できるオンラインマーケットサービスを提供しています。
作家やブランドから得られる販売手数料のほか、広告利用費やサブスクリプションサービスの利用料などを収益として受け取ります。運営は同社が担っています。
■金融支援事業
フリーランスや個人事業主を対象とした資金繰り支援やファクタリングサービスなどを提供していました。
顧客から買い取った請求書などの債権に関する手数料を主な収益源としていました。なお、本事業を運営していたCNは、2025年9月に株式譲渡により連結から除外されています。
■その他
チームや教室向けの連絡・集金クラウドサービスや、配信者向けの画面作成ツール、AIを活用した問い合わせ対応の導入支援サービスなどを提供しています。
サービスの利用規模等に応じたシステム利用料や導入支援の対価を顧客から受け取る仕組みです。これらの新規サービスは同社が企画・運営を行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績を見ると、売上高は100億円台後半から110億円前後で安定的に推移しています。経常利益は一時的に赤字となった期間もありましたが、直近では収益性の高いサービスの伸長や業務効率化が奏功し、再び12億円規模へと回復を果たして利益率も向上しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 119億円 | 105億円 | 109億円 | 109億円 | 110億円 |
| 経常利益 | 10億円 | 8億円 | -2億円 | 9億円 | 12億円 |
| 利益率(%) | 8.2% | 7.3% | -2.3% | 8.6% | 11.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 7億円 | 6億円 | -8億円 | 6億円 | 9億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で微増となりましたが、売上総利益率は改善傾向にあります。これは、価格改定や上位プランの契約比率上昇などにより、収益性の高いストック売上が順調に積み上がったことが主な要因として挙げられます。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 109億円 | 110億円 |
| 売上総利益 | 58億円 | 60億円 |
| 売上総利益率(%) | 52.9% | 54.4% |
| 営業利益 | 8億円 | 9億円 |
| 営業利益率(%) | 7.6% | 8.5% |
コスト構造を見ると、販売費及び一般管理費のうち、給料手当が15億円(構成比29.3%)、支払手数料が9億円(同18.4%)、広告宣伝費が9億円(同18.0%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力のドメイン・レンタルサーバー事業やEC支援事業が利益の大半を稼ぎ出す安定した構造です。ハンドメイド事業も業務効率化で利益を伸ばす一方、金融支援事業は子会社売却により縮小しました。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) | 利益(2024年12月期) | 利益(2025年12月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ドメイン・レンタルサーバー(ホスティング)事業 | 60億円 | 62億円 | 19億円 | 19億円 | 30.7% |
| EC支援事業 | 30億円 | 31億円 | 8億円 | 10億円 | 31.3% |
| ハンドメイド事業 | 14億円 | 13億円 | 0.6億円 | 0.9億円 | 7.0% |
| 金融支援事業 | 5億円 | 4億円 | -0.4億円 | 0.0億円 | 0.3% |
| その他 | 0.1億円 | 0.2億円 | -0.6億円 | -1.9億円 | -804.6% |
| 連結(合計) | 109億円 | 110億円 | 8億円 | 9億円 | 8.5% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CFがプラス、財務CFがマイナスであることから、営業利益や資産売却で得た資金を活用して借入返済等を進める改善型の状態にあります。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 12億円 | 14億円 |
| 投資CF | -3億円 | 3億円 |
| 財務CF | -4億円 | -9億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は33.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は24.7%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
企業理念に「もっとおもしろくできる」を掲げ、インターネットを通じた個人の表現活動や企業活動において、よりおもしろいものを自由に表現できる環境の構築を目指しています。また、「人類のアウトプットを増やす」というミッションのもと、一人ひとりの可能性を広げるサービスの運営に注力しています。
■(2) 企業文化
同社では、ともに働く仲間を「パートナー」と呼び、立場を超えて同じ目標に向かうチームであることを重視しています。「みんなと仲良くすること」「ファンを増やすこと」「アウトプットすること」という3つの価値観を大切にしており、多様性を受け入れながら能力を最大限に発揮できる組織づくりを推進しています。
■(3) 経営計画・目標
中長期的には、ドメイン・レンタルサーバー事業やEC支援事業が持つストック型ビジネスとしての安定的で高い収益力を基盤とし、高単価・高付加価値の新サービスや新規事業など、成長性の高い領域への投資を通じて企業価値の向上を目指す方針を掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
既存サービスのブランド力や顧客基盤、運営ノウハウを活用し、シナジー効果の高い関連企業などへの資金投入による事業領域の拡大を図ります。また、AIを活用した業務効率化による生産性向上を進め、創出された利益を専門性の高い優秀な人材の確保に再投資することで、戦略的な事業成長を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
多様な人材が活躍できるよう、フレックスタイム制の導入や妊婦・不妊治療向けの特別休暇制度など、柔軟な働き方が可能な環境整備を推進しています。また、AIによる業務効率化で生み出した利益を、エンジニアやデザイナーなどの優秀な人材を集めるための給与水準引き上げや福利厚生の充実に投資しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 36.9歳 | 7.7年 | 6,997,000円 |
※平均年間給与は基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 23.5% |
| 男性育児休業取得率 | 70.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 75.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 82.3% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 109.9% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、ワークバランススコア(80点)、職場環境スコア(78点)、創る人の割合(64%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) GMOインターネットグループとの関係
同社はGMOインターネットグループに属していますが、同グループの事業方針や取引条件等に大きな変更が生じた場合や、事実と異なる風評報道などによりグループ全体の信用が毀損された場合、同社の業績やブランドイメージに影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 競合環境と市場動向
レンタルサーバー、EC、ハンドメイド等の各領域において、市場規模の拡大が見込まれる一方で、技術開発競争や価格競争の激化、新規参入業者の増加等により優位性を保てなくなった場合、想定通りの成長が見込めず業績に影響を与えるおそれがあります。
■(3) 情報セキュリティとシステムトラブル
サイバー攻撃などによる顧客情報の漏洩や改ざんが発生した場合や、災害や通信ネットワークの切断による大規模なシステム障害が発生した場合には、サービスの提供が困難となり、損害賠償や信用低下を招くリスクがあります。
■(4) サービス利用者の違法行為
同社が提供するサービス上において、利用者が法禁物の取引、詐欺、知的財産権の侵害などの違法行為を行った場合、事前の防止が困難であれば、取引の場を提供する事業者として同社が責任追及を受ける可能性があります。



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