ハイパー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ハイパー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ハイパーは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、コンピュータ等の販売やサポートを行うITサービス事業、事務用品通販の代理店業務を担うアスクルエージェント事業を展開しています。業績トレンドとしては、法人向けパソコンの入れ替え需要増などにより、直近の通期決算では増収増益を達成し、堅調に推移しています。


ハイパー転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、ハイパーの有価証券報告書(第36期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ハイパーってどんな会社?


ITサービス事業とアスクルエージェント事業を展開する同社の概要を紹介します。

(1) 会社概要


1990年、電話一体型簡易通信端末の普及企画等を目的としてハイパーコンセプションを設立しました。1993年にパソコン事業へ参入し、2001年にアスクル事業へ本格進出しました。2006年にジャスダック証券取引所へ上場し、2009年に現在のハイパーへ商号変更を行っています。

現在の同社グループは、連結従業員数340名、単体従業員数202名の体制で事業を展開しています。筆頭株主は創業者親族が株式を保有する資産管理会社のララコーポレーションで、第2位は創業者の玉田宏一氏、第3位は資本業務提携先であるエプソン販売です。

氏名 持株比率
ララコーポレーション 24.11%
玉田宏一 12.78%
エプソン販売 7.16%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性3名の計12名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長 CEOは望月真貴子氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
望月真貴子 代表取締役社長 CEO内部監査室管掌営業統括部管掌 1995年同社入社。営業企画部長、販売推進統括部長などを経て、2024年3月より現職。
田邉浩明 取締役 COO総務部管掌販売推進統括部管掌 2002年同社入社。業務部長、管理統括部長、販売推進統括部長などを経て、2024年3月より現職。
江守裕樹 取締役 CFO総合企画部管掌アライアンス営業推進部管掌経理部管掌 1995年同社入社。総務・経営企画統括部長、経理部長などを経て、2024年3月より現職。
玉田宏一 取締役会長 1986年新日本工販(現フォーバル)入社。同社社長やリステック会長などを歴任し、2024年3月より現職。
髙瀬昇幸 取締役 1985年新日本工販(現フォーバル)入社。レカムジャパン(現レカム)取締役等を経て、2024年3月より現職。
遠藤孝 取締役総務部管掌 1986年新日本工販(現フォーバル)入社。同社経営企画室長、常務取締役等を経て、2024年3月より現職。


社外取締役は、宮澤敏(庚伸代表取締役)、桒原桂一(行政書士 ComPass経営・法務事務所代表)、那須慎二(CISO代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ITサービス事業」「アスクルエージェント事業」および「その他」事業を展開しています。

ITサービス事業


同事業は、法人ユーザーを中心にコンピュータや周辺機器、ソフトウェア等の販売を行うコンピュータ事業と、機器の設置設定・保守やネットワーク構築、セキュリティ対策等を行うサービス&サポート事業で構成されています。特定のメーカーに縛られず、顧客の課題や規模に合わせた最適な商品やソリューションを提案します。

主に商品販売やサービスの提供による対価を収益源としています。運営は同社のほか、リステック、マルチネット、メビウス、司コンピュータなどの子会社が各専門分野のサービスを担っています。一部の取引では、顧客から受け取る額から仕入先に支払う額を控除した純額で収益を認識しています。

アスクルエージェント事業


同事業は、アスクルが行っている通信販売事業「ASKUL」の代理店業務や、事務用品、オフィス家具、現場用品等の販売を行っています。中小事業所から大手企業まで幅広い顧客に対して、インターネットやFAXによる注文受付とオフィス関連用品の翌日配送(一部当日配送)サービスを提供しています。

同事業における同社の役割は代理人取引に該当するため、顧客から受け取る額から仕入先に支払う額を控除した純額を手数料として収益認識しています。事業の運営は主に同社およびジャスティスが行っています。

その他


同事業は、一般企業への就職を目指す障害のある方を対象に、就労に必要な知識や能力の向上を目的とした職業訓練、就労支援に関するサービスを提供する就労移行支援事業を展開しています。

自治体等からの訓練等給付費等や利用者からの利用料を主な収益源として運営されています。事業の運営はみらくるが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


同社の売上高は一時的に落ち込んだものの、直近では回復傾向にあり、増収基調で推移しています。経常利益も赤字から黒字へと転換し、利益率も徐々に改善を見せています。当期利益についても黒字を定着させており、全体として収益性の向上がうかがえます。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 205億円 106億円 114億円 124億円 138億円
経常利益 0.4億円 -0.4億円 1億円 2億円 3億円
利益率(%) 0.2% -0.4% 1.1% 1.9% 2.4%
当期利益(親会社所有者帰属) -0.6億円 -5.3億円 0.5億円 3億円 2億円

(2) 損益計算書


直近2期間の売上高は増加しており、それに伴い営業利益も拡大しています。売上総利益率は若干低下したものの、利益の絶対額は成長を維持しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 124億円 138億円
売上総利益 34億円 34億円
売上総利益率(%) 27.2% 24.6%
営業利益 3億円 3億円
営業利益率(%) 2.1% 2.3%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が9億円(構成比28%)、販売手数料が6億円(同20%)を占めています。

(3) セグメント収益


ITサービス事業は法人向けパソコンの入れ替え需要などが寄与し増収となりました。一方、アスクルエージェント事業はシステム障害の影響もあり減収となっています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
ITサービス事業 110億円 125億円
アスクルエージェント事業 14億円 12億円
その他 0.6億円 0.7億円
連結(合計) 124億円 138億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益+資産売却で借入返済を進める改善局面と判定されます。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 2億円 8億円
投資CF -0.3億円 0.1億円
財務CF -3億円 -0.8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は44.3%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「ユーザーニーズ実現企業」として、すべてのステークホルダーとの長期的に安定した共存共栄を目指すことを経営理念に掲げています。企業価値の向上を図り、同社グループを支持している株主、顧客、取引先の期待に応えていくことを目標として、事業活動を展開しています。

(2) 企業文化


同社は経営理念の具現化のため、人材を事業活動における重要な資源と位置づけ、人材の育成と成長を最重要課題と考えています。年齢、性別、国籍、障害などの不合理な理由による差別を行わず、多様化に即した人材育成を推進するほか、従業員の心身の健康維持と働きやすい職場づくりに向けた健康経営に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、販売を中心とする企業であり、企業の発展と存続を示すものとの観点から、売上高の安定的拡大ならびに事業の収益力を示す営業利益、経常利益を指標として重視しています。これらの指標の継続的向上に努め、企業価値を高めていく方針です。

(4) 成長戦略と重点施策


同社グループは、「人とITで日本の会社を元気に」というミッションのもと、顧客企業の生産性を高め続けるベストパートナーになることを目指しています。ソリューション営業の強化、顧客開拓と関係強化、ストックビジネスの強化、セキュリティサービスの開発、子会社との相乗効果の最大化などに注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、人材育成基本方針を定め、定期的な社内教育研修の実施や外部研修の積極的な活用を通じて、質の高い有効的な人材育成を行っています。業界知識や職責に応じた知識習得に加え、禁煙実施や運動習慣の支援といった健康増進活動の推進、社内制度の見直しや健康相談窓口の設置など労働環境の整備も進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 41.1歳 11.3年 5,330,724円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 価格競争と業界動向の変動


主力のコンピュータ販売において、インターネットの価格比較サイトやメーカー直販による低価格販売により競争が激化しています。また、OSの仕様変更や部品供給の状況によって製品の流通量が減少する可能性があり、これらの業界動向や価格競争が業績に影響を及ぼすリスクがあります。

(2) アスクルエージェント事業におけるシステム障害


アスクルが展開する通信販売事業の代理店業務を行っているため、アスクルの経営方針変更や競争激化による利益率低下リスクがあります。また、過去に発生したランサムウェア攻撃によるシステム障害のように、受注発注の停止が生じた場合には事業活動や業績に直接的な影響を及ぼす懸念があります。

(3) 特定の仕入先への依存


同社グループが取扱う商品は、上位数社の仕入先に大きく依存しています。これらの仕入先とは良好な関係を維持していますが、何らかの事情により取引が大きく変動した場合や、製品の供給に支障が生じた場合には、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 情報システムのトラブルと情報管理


予測不能な事象により基幹システムに障害が発生し、復旧作業に一定時間以上を要する事態となった場合、業務に支障をきたすリスクがあります。また、多数の企業情報や個人情報を保有しており、予期せぬ事態により情報漏洩が発生した場合には、損害賠償請求や社会的信用の失墜を招く恐れがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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