リブセンス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リブセンス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場し、アルバイト求人サイトや転職口コミサイトなど求人情報メディアの運営を主力事業とするIT企業です。直近の業績トレンドとして、アルバイト求人サイトにおける採用お祝い金の提供終了や広告費高騰の影響を受け、売上高は前年比で減収となり経常利益も赤字に転落しています。


※本記事は、株式会社リブセンスの有価証券報告書(第20期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. リブセンスってどんな会社?


求人情報メディアをはじめとする複数のインターネットメディアを運営するIT企業です。

(1) 会社概要


2006年に設立され、アルバイト求人サイトのサービスを開始しました。2011年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場するとともに、転職口コミサイトの本格稼働を開始しています。2015年には不動産情報サービスの運営を始め、2016年にITエンジニア向け転職サービスを立ち上げるなど事業領域を拡大しています。

従業員数は連結で254名、単体で244名です。大株主については、筆頭株主は創業者の村上太一氏で、第2位も創業者の桂大介氏が名を連ねており、第3位には証券業務を担う金融機関が入っています。

氏名 持株比率
村上 太一 49.68%
桂 大介 9.78%
SBI証券 3.59%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長兼執行役員は村上太一氏です。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
村上 太一 代表取締役社長兼執行役員 2006年2月同社設立代表取締役社長。2021年1月同社執行役員。2025年3月フィルライフ代表取締役社長就任より現職。
桂 大介 取締役兼執行役員 2006年2月同社設立取締役。2022年1月同社執行役員、同年3月同社取締役就任。合同会社シラス共同代表兼CTOより現職。


社外取締役は、淡輪敬三(元タワーズワトソン社長)、安川新一郎(グレートジャーニー合同会社創業者兼CEO)、川口加奈(特定非営利活動法人Homedoor理事長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「インターネットメディア事業」セグメントを展開しています。

マッハバイト
アルバイトの求人広告をサイト上に掲載し、求職者へ求人情報を提供することで、採用決定をサポートするサービスです。独自のアルゴリズムを用いたスピーディーな仕事探しを実現し、企業には費用対効果の高い採用機会を提供しています。
求人企業から採用ニーズに応じた掲載プランなどの料金を受け取ります。運営は主にリブセンスが行っています。

転職会議
企業の評判や社風、入社対策をはじめとする口コミ情報や求人情報をサイト上に掲載し、転職者がより自身に合った企業へ入社できるようサポートするサービスです。サイト会員の書き込みを活用した情報提供が特徴です。
新規顧客の開拓や既存顧客の予算拡大に伴う料金などを収益源としています。運営は主にリブセンスが行っています。

転職ドラフト
ITエンジニア向けの転職サービスであり、専門性を活かしてITエンジニアのキャリア形成を総合的に支援しています。年収提示型のスカウトや人材紹介を通じて、効率的な転職活動をサポートします。
企業からの人材紹介手数料などを収益として受け取ります。運営は主にリブセンスが行っています。

IESHIL(イエシル)
独自に収集した不動産履歴などのデータを活用し、各物件の価格推移や災害リスク、住環境データなどを提供して中古不動産の売買をサポートする情報サービスです。機械学習による価格査定機能などを備えています。
ユーザーをグループ会社へ送客し、専任アドバイザーによる無料相談を経て顧客に紹介した時点で収益が発生します。運営は主にリブセンスやフィルライフが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は42億円から63億円へと拡大傾向にありましたが、直近では56億円へと減収になっています。経常利益は一時黒字化して推移していましたが、直近では主力サービスの不調もあり赤字に転じています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 42億円 48億円 57億円 63億円 56億円
経常利益 -9億円 4億円 6億円 3億円 -3億円
利益率(%) -21.9% 9.2% 11.5% 4.1% -5.2%
当期利益(親会社所有者帰属) -9億円 5億円 7億円 2億円 -0.2億円

(2) 損益計算書


売上高の減少に伴い、売上総利益も減少しました。一方で、前年度に組織体制強化のための積極的な人材採用を行ったことによる人件費の増加などが影響し、営業利益は赤字に転落しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 63億円 56億円
売上総利益 47億円 42億円
売上総利益率(%) 75.0% 74.7%
営業利益 1.1億円 -3.7億円
営業利益率(%) 1.7% -6.5%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が17億円(構成比37%)、給与手当が15億円(同34%)を占めています。売上原価は14億円で、売上原価合計に対する構成比は25%です。

(3) セグメント収益


同社はインターネットメディア事業の単一セグメントであるため、事業全体の売上高を示しています。主力サービスの減収や広告出稿量の調整などが影響し、全体として売上規模が縮小する結果となりました。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
インターネットメディア事業 63億円 56億円
連結(合計) 63億円 56億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業が低迷し、事業の見直しが迫られる状況を示しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 3億円 -7億円
投資CF 0.2億円 4億円
財務CF -0.1億円 -0.1億円


企業の収益力を測るROEは-0.5%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は88.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


生きる意味イコール幸せになることという考えのもと、経営理念として「幸せから生まれる幸せ」を掲げています。コーポレートビジョンには「あたりまえを、発明しよう。」を掲げ、世の中の問題を解決し、社会が潜在的に必要としている新しいあたりまえの実現を目指しています。

(2) 企業文化


多様で高度なプロフェッショナル人材が新たな価値を創出し続ける組織文化の構築を目指しています。強みにフォーカスし個人のポテンシャルを発揮すること、組織として選択と集中を行い大胆な変化を生み出すこと、多様な価値観を尊重し誰もが安心して最大限の挑戦ができる環境を重視しています。

(3) 経営計画・目標


2025年8月に「中期経営計画2025-2027」を公表し、ゼロからイチの事業創出に加えイチからジュウの事業成長が実現できる会社への進化を目指しています。

・2027年12月期に売上高90億円
・2027年12月期に調整後EBITDA5億円
・2035年12月期に向けて年平均15%の売上成長
・2035年12月期に向けてEBITDAマージン20%以上

(4) 成長戦略と重点施策


目標の実現に向けて、ブランディングの強化と高リテンション事業の創出というふたつの取り組みを基本的な方針として事業を推進しています。既存事業の成長とともに収益力を強化し、得られた利益を積極的に再投資することで、持続的な成長と新しい事業の創出を生み出すサイクルを確立することを目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


競争優位につながるアイデアや仕組み、ソースコードなどの知的成果物を生み出すプロフェッショナル人材を獲得、育成し、自社で働き続けてもらうことをきわめて重要と考えています。採用および定着の両面において、サービス開発の原動力となる優秀な人材の確保と個々の能力を最大化できる組織の構築に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 35.4歳 5.5年 6,345,000円

※平均年間給与は基準外賃金を含みます。また、無限定正社員と専任職型正社員を総合した金額です。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 23.3%
男性育児休業取得率 83.3%
男女賃金差異(全労働者) 66.0%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 70.6%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 133.0%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、ミドル・ハイレイヤー人材比率(47.0%)、eNPS(-18.0)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) インターネット広告市場の動向
インターネット広告市場は企業の景気動向に敏感であり、急激な景気変化や顧客企業の戦略方針の変更によって広告需要に影響が及ぶ可能性があります。掲載案件数の減少や単価の低下などが生じた場合、同社の事業や業績に影響を及ぼすリスクがあります。

(2) 検索エンジンへの集客依存
同社が運営するサイトでは特定の検索エンジンから多くの利用者を集客しています。検索アルゴリズムの変更やユーザーの集客経路の変化などにより、これまでのSEOが有効に機能しなくなった場合、サイトへの集客力が低下し業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(3) 求人関連事業への収益依存
同社の主たる収益は求人関連事業による収入であり、売上高の大部分を占めています。求人広告市場における他媒体との競争激化などにより売上が減少した場合や、新規事業の立ち上げが計画通りに進まない場合、業績に大きな影響を与えるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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