※本記事は、株式会社メドレックス の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
メドレックスは、独自の経皮吸収型製剤技術を基盤とする創薬企業グループです。ILTS®やNCTS®といった製剤技術を駆使し、薬効の極大化や副作用の低減、服薬アドヒアランスの向上に貢献する医薬品開発を目指しています。
単体従業員数は20名、連結従業員数は21名です。
国内においてはメドレックスが生産・販売を一手に担い、海外2社の連結子会社を通じてグローバルに事業を展開しています。
直近では、開発が最も進む「Bondlido(MRX-5LBT:リドカインテープ剤)」が2025年9月に米国FDAから販売承認を取得しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
メドレックスは、研究開発を基軸とする事業を展開しており、専門性の高い人材が活躍する環境です。小規模な組織であるため、個々の従業員が柔軟かつ裁量を持って業務に取り組む働き方が特徴として挙げられます。給与水準や働き方の詳細について、以下で具体的に見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均年齢が比較的高く、平均勤続年数も一定の水準を示しています。これは、長期間にわたり専門性を培いながら業務に携わる従業員が多い傾向にあることを示唆しています。研究開発を重視する企業文化の中で、安定してキャリアを築いている人材が多いと考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,164,000円 |
| 平均勤続年数 | 12.4年 |
| 平均年齢 | 49.7歳 |
| 単体従業員数 | 20人 |
| 連結従業員数 | 21人 |
| 単体のグループ内比率 | 95.2% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、研究開発を基軸とする事業特性から、人材の多様性を経営上の最重要課題の一つと認識しています。性別、国籍、人種等にとらわれず、幅広いバックグラウンドを持つ人材の確保を目指しています。
具体的には、研究部門において裁量労働制を導入しており、従業員が自由闊達に研究活動を行えるような体制を整えています。これにより、個々の専門性を最大限に発揮できる環境を提供し、イノベーションを促進する方針です。
現時点では定量的な指標や目標は設定されていませんが、今後、必要かつ有用な指標の検討を進めていくとしています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
同社は、女性活躍推進法および育児介護休業法に基づく公表義務の対象ではないため、法定開示項目は記載を省略しています。
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
メドレックスは、独自の経皮吸収型製剤技術を基盤に、新たな医薬品を生み出す創薬企業グループです。画期的な新薬の開発を通じて、世界中の人々の健康とQOL向上に貢献することを目指しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、イオン液体の特徴を利用した独自の経皮吸収型製剤技術であるILTS®(Ionic Liquid Transdermal System)や、薬物のナノコロイド化技術を利用したNCTS®(Nano-sized Colloid Transdermal System)を中心とした医薬品製剤技術を強みとしています。これらの技術により、薬効の極大化、副作用の低減、飲み忘れ防止、経口投与が困難な患者への投与を可能にする医薬品の開発を進めています。
同社グループのビジネスモデルは、製剤開発した医薬品候補製剤を、医薬品としての製造販売承認取得に向けて開発する過程で、製薬会社等との提携関係を築き事業を推進するものです。提携先の製薬会社等からは、契約一時金、開発の進捗に応じたマイルストンフィー、および上市後の製品売上やロイヤルティの形で収入を得ています。
現在、開発が最も進んでいるのは、米国規制当局であるFDAから販売承認を取得した帯状疱疹後の神経疼痛治療薬「Bondlido (MRX-5LBT:リドカインテープ剤)」です。2026年下半期の上市を計画しており、販売パートナー候補との提携交渉を進めています。
また、痙性麻痺治療薬「MRX-4TZT(チザニジンテープ剤)」と中枢性鎮痛貼付剤「MRX-9FLT(フェンタニルテープ剤)」の2つのパイプラインが臨床開発ステージにあります。特にMRX-4TZTは、臨床第2相/POC試験を開始しており、ブロックバスターになり得るポテンシャルを持つパイプラインとして期待されています。
米国の創薬ベンチャーAlto Neuroscience, Inc.との提携下で開発が進められている統合失調症治療薬「Alto-101(PDE4阻害貼付剤)」は、統合失調症患者に対する臨床第2相試験が進行中です。さらに、無痛での自己接種が可能で高い免疫応答が期待できるワクチン等の投与デバイスであるマイクロニードルの研究開発にも取り組んでいます。
当連結会計年度の収益は、製品等の販売、研究開発等収入、およびマイルストン収入から構成されています。前連結会計年度と比較すると、製品等の販売は増加し、研究開発等収入は減少しました。また、株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所からのマイルストン収入が大きな割合を占め、特定の顧客への収益集中が見られます。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は変動があり、直近の当連結会計年度では前連結会計年度から減少しています。経常損失および親会社株主に帰属する当期純損失は継続して計上されており、当連結会計年度においては損失額が拡大する結果となりました。
創薬パイプライン型ベンチャーである同社グループは、医薬品開発に多額の投資を先行させるビジネスモデルであり、開発アセットの価値を高めていくことが企業価値最大化の道筋であると認識しています。営業活動によるキャッシュ・フローも継続してマイナスで推移しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 8百万円 | 59百万円 | 30百万円 | 2.6億円 | 1.3億円 |
| 経常利益 | △10.7億円 | △11.1億円 | △9.3億円 | △7.6億円 | △9.4億円 |
| 経常利益率 | △12771.9% | △1869.8% | △3151.1% | △292.8% | △731.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △10.6億円 | △11.1億円 | △9.3億円 | △8.1億円 | △9.4億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △49.62 | △43.81 | △26.82 | △18.56 | △17.44 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
従業員1人あたりの売上高は、当期において前期から減少しています。また、従業員1人あたりの営業利益は、前期に引き続き損失を計上しており、当期は損失額が拡大する傾向を示しています。
これらの数値は、同社グループが創薬ベンチャーとして、研究開発への先行投資を継続している事業特性を反映していると考えられます。主要なパイプラインが臨床開発段階にあるため、現時点では収益性や生産性を示す指標に開発投資の影響が表れています。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 11.7百万円 | 6.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △36.0百万円 | △44.9百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
メドレックスは創薬ベンチャー企業として、将来の成長に向けた研究開発投資を積極的に行っている段階です。そのため、現在の財務状況は先行投資フェーズにあることを示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
メドレックスの財務基盤を見ると、自己資本比率は高い水準を維持しています。これは、負債に過度に依存しない経営体制が構築されていることを示しています。一方で、ROE(自己資本利益率)はマイナスとなっており、収益性の改善が課題となっています。
手元資金である現金及び預金は減少傾向にありますが、一定の残高を確保しています。これは、事業活動に必要な資金を確保しつつ、今後の事業展開に備えている状況です。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 21.7億円 | 20.5億円 |
| 自己資本比率 | 92.9% | 92.2% |
| ROE(自己資本利益率) | - | △44.4% |
| 現金及び預金 | 19.8億円 | 17.5億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
メドレックスのキャッシュフローは、営業活動によるキャッシュ・フローが継続してマイナスとなっています。これは、主に税金等調整前当期純損失が計上されたことによるものです。投資活動によるキャッシュ・フローも有形固定資産の取得によりマイナスとなっています。
結果として、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュ・フローはマイナスであり、財務活動によるキャッシュ・フローで資金を調達している状況です。これは、創薬ベンチャー企業として研究開発に多額の先行投資が必要なフェーズにあることを示しています。今後の事業の進展と収益化が、雇用や給与の安定性、そして会社の成長性にとって重要な要素となります。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △8.0億円 | △8.9億円 |
| 投資CF | △3百万円 | △83百万円 |
| 財務CF | 10.7億円 | 7.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △8.1億円 | △9.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
メドレックスは、当連結会計年度においても営業赤字が継続しているため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況となっています。しかし、上場に伴う資金調達やその後の資金調達により、翌連結会計年度の研究開発活動を展開するための資金は確保できており、継続企業の前提に関する重要な不確実性はないと認識している状況です。
② 事業構造・収益性に関するリスク
新薬開発には多額の研究開発投資と長い時間を要し、臨床試験で有用な効果が発見できないこと等により開発が予定通りに進行せず、延長や中止の判断を行う可能性があります。また、同社グループの売上高は、現在開発中のパイプラインのライセンスアウト時の契約一時金及び開発進捗に伴うマイルストン収入に大きく影響されるため、収益計上が大きく変動する傾向があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループの事業活動は、現経営陣、各部門の責任者及び少数の研究開発人員に強く依存しています。そのため、優秀な人材の確保と育成が順調に進まない場合、並びに人材の流出が生じた場合には、同社グループの事業活動に支障が生じる可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
メドレックスは、創薬パイプラインの開発を核に、革新的な医薬品を通じて社会に貢献することを目指す企業です。研究開発への情熱と、変化を恐れないチャレンジ精神が同社グループの文化を形成しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
メドレックスは、創薬パイプラインの開発を推進し、開発アセットの価値を高めることで企業価値の最大化を目指しています。製薬会社等とのパートナーシップ構築も重視しており、開発権や販売権のライセンスアウトを通じて収益を得て、財務基盤の強化と持続的な企業成長を図る方針です。また、開発資金の確保も重要な課題と認識し、開発アセットの価値向上を通じて企業価値向上を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、持続的な成長のために人的陣容の強化が不可欠であると認識し、優秀な人材の確保と育成に努めています。研究開発推進の背骨となる「多様性とチャレンジ精神」を尊重する企業風土を培い続ける方針です。人材の多様性を経営上の最重要課題の一つと捉え、性別や国籍、人種等の区別なく多様な人材を確保したいと考えています。研究部門では裁量労働制を導入し、自由闊達な研究活動が行える体制を整えています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、持続的な成長のために人的陣容強化を重要な課題と認識し、優秀な人材の確保と育成に努めています。研究開発推進の背骨となる多様性とチャレンジ精神を尊重する企業風土の醸成も重点テーマです。また、企業規模・業容に応じた内部管理体制の整備と機能強化も経営課題としています。業務執行の妥当性や効率性のチェック機能を有効に働かせ、小規模組織に適した内部統制体制を敷いています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
メドレックスは監査等委員会設置会社であり、取締役会は常勤取締役と社外取締役で構成されています。これにより、経営の透明性と監督機能の強化を図るガバナンス体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
メドレックスの株主構成を見ると、筆頭株主は個人株主であり、上位には複数の個人株主が名を連ねています。その他、証券会社も主要な株主として存在しています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 江平 文茂 | 3.79% |
| 楽天証券 | 3.49% |
| 永井 崇久 | 3.37% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性7名・女性2名)で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は松村米浩氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 松村 米浩 | 代表取締役社長 | 1996年株式会社コーポレイトディレクション入社。2003年同社取締役、2015年MEDRX USA INC. presidentを経て、2017年より同社代表取締役社長。 |
| 松村 眞良 | 取締役会長 | 1971年帝國製薬株式会社入社。太田製薬株式会社代表取締役社長などを経て、2002年同社設立代表取締役社長に就任。2024年より同社取締役会長。 |
| 秋友 比呂志 | 取締役開発部長 | 1987年帝國製薬株式会社入社。2002年同社入社後、2005年より同社取締役開発部長。 |
| 濱本 英利 | 取締役研究部長 | 1994年帝國製薬株式会社入社。2002年同社入社後、2011年より同社取締役研究部長。 |
| 藤岡 健 | 取締役経営管理部長 | 1992年株式会社トーメン入社。公認会計士登録後、あらた監査法人等を経て2018年同社入社。2020年より同社取締役経営管理部長。 |
社外取締役は、岩谷邦夫氏(クリングルファーマ取締役会長・監査等委員)、山崎泰志氏(税理士法人左光・鍋嶋会計代表社員・監査等委員)、大城紀子氏(The Mentholatum Company在籍・米国公認会計士・監査等委員)、森川さち子氏(森川さち子公認会計士事務所代表・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役9名のうち4名が社外取締役です。これにより、経営の透明性と監督機能の強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
メドレックスの役員報酬は、基本報酬とストック・オプション報酬で構成されています。基本報酬は月間の固定金銭報酬であり、ストック・オプション報酬は株主総会で承認された範囲内で新株予約権として付与されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 44百万円 | 8.9百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 6百万円 | 1.5百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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